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2016年8月30日 (火)

尖閣の接続水域に中共海警局15隻と支那漁船300隻以上来襲 海警が領海侵入繰り返す・5

日本の外務省は6日午前、沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域に中共支那海警局の船6隻とその周辺に支那漁船約230隻を確認したとして、中国側に抗議したと発表した。

海上保安庁は6日、中国海警局の船1隻を新たに接続水域内で確認したと発表した。接続水域内を航行する中国海警局の船は計7隻になった。
さらに海上保安庁は7日、中国海警局の公船2隻を新たに接続水域内で確認したと発表した。計9隻のうち2隻が領海内に侵入した。

外務省によると、接続水域に入った中共海警局の船のうち、4隻はその外観から砲のような武器を搭載しているのを確認している。

金杉憲治アジア大洋州局長が在日中共大使館の公使に対し「緊張をさらに高める一方的な情勢のエスカレーションで、決して受け入れられない」と抗議した。

※以上、産経新聞の報道をもとに構成

従来から中共支那は尖閣諸島に対してあからさまな侵略意図を示しており、今回の大量の艦艇による接続水域侵入は、暴力・軍事力による同諸島強奪の姿勢をさらに一段と高める行為と認識せざるを得ない。

こうした中共の態度は、世界の秩序を完全に愚弄する思い上がり図に乗ったものであり、中共がこうした態度を改めない限り、この地域での紛争・戦争の危険は日に日に増大するものと見なければならず、その結果中共軍は敗走して共産党の威信は失墜し、国内の暴動によって中共は崩壊するだろう。

このような凶暴かつ愚劣な行為を改めなければ、招来する重大な結果について、中共支那はその一切の責任を負わなければならない。

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リンク:中国公船が領海侵入=今年28回目―沖縄・尖閣沖 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:尖閣の次は沖ノ鳥島、止まらぬ南シナ海問題の余波 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:天皇処刑と日本の共産革命に動き始めた中国 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:東アジアにおける戦略関係の転換期 - 細谷雄一 国際政治の読み解き方 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:尖閣への中国公船侵入延べ518隻 国有化4年 海保、増員上積みへ - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:<尖閣周辺>中国船4隻常態化 9月、3隻から増加 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:領海侵入、中国に抗議=外務省 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:日本政府、領海侵入で抗議…在日中国公使に - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国公船が領海侵入=今年27回目―沖縄・尖閣沖 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:尖閣・魚釣島沖の領海、中国公船4隻が侵入 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:いつでも自由に尖閣に近づける状態にしたい中国 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:レッドラインを超えた?中国がスカボロー礁基地化へ - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:<偶発衝突回避>「海空連絡」協議を加速…日中合意 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国公船4隻、尖閣諸島の接続水域を航行 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:米中戦争、“飲み込まれる日本”の選択 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:日中首脳会談 首相、領海侵入で自制要求 「衝突回避」運用へ協議加速 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:日中首脳、冷めた応酬 対話重視も南シナ海平行線 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国、日本領海を侵犯!世界各国が一斉に中国の不当輸出品を排除の動き - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:安倍首相が東シナ海で自制要求、中国主席と会談 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:軍・公船の活動「極めて遺憾」=周辺国の不安解消要請―安倍首相 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:<日中首脳会談>安倍首相、尖閣で自制要求 衝突回避を確認 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:連絡メカニズムの協議加速=尖閣情勢、安倍首相は改善要請―日中首脳会談 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国海警局の公船4隻、尖閣沖の接続水域航行 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:尖閣に侵入する中国漁民は武器を操る「海上民兵」だ - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:「尖閣諸島を手放せ」という人が知らない現代中国の「侵略の歴史」 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国の脅威は抑止できる 日米両国がいまやるべきことは… - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:防衛省の概算要求、最大5.1兆円 中朝の挑発、備え力点 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:“歴史に名を残す”ために尖閣を狙う習近平 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:防衛予算概算要求5年連続増 中国の尖閣侵略阻止に重厚な布陣 地対艦ミサイルなど離島防衛強化 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:「日本通」王毅外相が豹変した訳 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:<防衛省概算要求>過去最高の5兆1685億円 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:ミサイル防衛、離島対処強化へ=防衛省概算、過去最大5兆円超 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:国際社会を味方につけて中国の尖閣奪取を阻止せよ - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:日中首脳会談は調整難航 - 速報:Yahoo!ニュース.

以下、参考のために同記事を引用

中国公船が領海侵入=今年28回目―沖縄・尖閣沖
時事通信 9月24日(土)11時51分配信

 沖縄県石垣市の尖閣諸島沖で24日、中国海警局の「海警」4隻が日本の領海に侵入し、約1時間半~2時間航行した。

 中国公船の領海侵入は11日以来で、今年28回目。

 第11管区海上保安本部(那覇市)によると、海警「2101」「2307」「2501」「31239」が24日午前10時5~25分ごろ、魚釣島の北北西で領海に侵入。正午ごろまでに、同島の西南西で領海を出た。


尖閣の次は沖ノ鳥島、止まらぬ南シナ海問題の余波
Wedge 9月21日(水)12時20分配信

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THE ASAHI SHIMBUN/GETTYIMAGES

 来年の党大会に向けて、中国共産党指導部は国内の批判の矛先を日本に向けようとしている。領土を守るためには防衛装備だけでなく、法的な根拠も用意しておかなければならない。

  8月5日、中国漁船と中国公船1隻が尖閣諸島周辺の領海に侵入した。その後、一時は最大15隻の中国公船が同時に接続水域を航行、延べ36隻が領海に侵入し、関係者の間に緊張が走った。

 8月1日に東シナ海での漁が解禁されたため、尖閣諸島周辺に200隻程度の中国漁船が押し寄せることは想定の範囲内であった。しかし、警備という名目で15隻もの中国公船が同行し、漁船とともに領海侵入を繰り返すとともに、接続水域内で漁業規制とみられる管轄権行使に当たる行動を取ったことは過去にはなかった。尖閣周辺に派遣される中国公船は合計26隻が確認されているが、今回はこれまでに確認されたことのないものも含まれていた。新しく確認されたものは通常中国の沿岸部で警備に当たっている小型船がほとんどであったが、武装していた。

 ただ、11日に中国漁船が尖閣諸島周辺海域でギリシャ船籍の貨物船と衝突し、沈没したことは中国にとって痛手となった。沈没した中国漁船の14人の乗組員のうち6人を救助したのは、現場海域にいた中国公船ではなく、海上保安庁であった。中国公船は自国の漁船の保護を名目に現場にいたにもかかわらず、自国船の乗組員を救助することができず、結果として、日本が尖閣諸島の周辺海域を有効に管理していることを示すことになった。

 なぜ中国はこのタイミングで尖閣諸島に対する主張をさらに強めようとしたのであろうか。おそらく、それには南シナ海問題と中国の国内情勢が絡んでいる。

 中国は安倍政権が国際会議などの場で、南シナ海の問題を繰り返し取り上げることに対するいらだちを強めている。7月に、フィリピンによる南シナ海問題をめぐる中比の仲裁手続きで、中国のいわゆる「九段線」に基づく主張が否定され、フィリピンの圧勝ともいうべき裁定が出た。

 中国はこの仲裁手続きを「無効」と主張し、裁定内容も「紙くず」と呼び無視しているが、国内では外交上の失敗に批判が高まっている。安倍政権が「法の支配」を唱えて、南シナ海問題で中国を批判していることは、中国共産党指導部にとって、傷に塩を塗られたと感じているようなものだ。

 8月上旬は、中国共産党の指導者や長老らが集まる「北戴河会議」が開催されるタイミングでもあった。この非公式の会議は、党大会で党内の対立が露呈するのを避けるための事前調整の場である。2017年の共産党大会で、習近平総書記、李克強首相以外の常務委員5人が交代するが、この会議で指導部人事や重要議案の内容がほぼ固まるとされている。

 8月上旬に中国が尖閣諸島に政府公船を集中させたのは、この「北戴河会議」で指導部が突き上げられないよう、中国国内向けに実効支配を強化していることを一時的にアピールするためだったと考えられる。習近平指導部は国内の権力を固めるために、反腐敗運動を強行し、周永康元中央政治局常務委員をはじめ、政敵を失脚させてきた。だが、来年の党大会に向けて、指導部としてはさらに足元を固める必要がある。そのような中、中国はとりわけ日本との関係には敏感になっている。

 南シナ海での失点を覆い隠すように、中国では仲裁手続きを始めたフィリピンと並んで、日本を批判する論調が高まっている。つまり、中国国内の批判が習近平指導部に向かないようにするため、中国外交が失敗したのではなく、「部外者」である日本が南シナ海問題を複雑にしているという虚構を作り上げようとしているのである。

 国連海洋法条約に基づく中比の仲裁手続きでは、最終的に仲裁裁判の判事を国際海洋法裁判所の裁判長が選ぶことになっているが、それが偶然日本人の柳井俊二氏であったことも中国の日本批判に利用されている。

 8月下旬には王毅外相が日中韓外相会談のため来日を予定していたため、その前に日本に対して弱腰と言われないため強気の姿勢を示しておく必要もあったのであろう。そのためか、1週間ほどで中国公船の数は減少した。

「3・3・2方式」から「3・4・2方式」へ
 しかし、その後の領海侵入にはこれまでとは異なるパターンが見て取れる。12年9月に日本政府が尖閣諸島の3島を民間の地権者から購入した後、中国はしばらくの間、中国公船の尖閣周辺への派遣を激増させたが、次第に公船の数と領海侵入の頻度が安定し、毎月3回、3隻の政府公船が2時間領海に侵入する「3・3・2方式」に落ち着いていた。これが、中国が26隻態勢で断続的に日本の実効支配に挑戦する上で持続可能なパターンなのだと考えられていた。

 だが、8月以降、領海侵入は4隻が2時間行うようになっており、少なくとも「3・4・2方式」への変更を試みているようにみえる。これは、中国が常態的に尖閣諸島の主権をめぐって日本への挑戦のレベルを一段階上げることを意味する。場合によっては、より領海侵入の頻度を上げ、「4・4・2方式」としてくるかもしれない。そうすることで、中国はこれ以上日本が南シナ海問題に介入してくることを牽制しようとしているのであろう。

 だが、日本にとって南シナ海問題は海上交通路として、そして何より海洋法秩序の維持という観点から極めて重要な海域である。南シナ海で中国の一方的な現状変更を容認すれば、海洋法秩序が崩壊し、それは東シナ海問題をより悪化させることにもなる。このため、日本は毅然と南シナ海問題でも法の支配を主張するべきである。そのためには尖閣諸島・東シナ海で中国の挑戦に有効に対処していかなければならない。

 日本は東シナ海における中国の挑戦に対処するため、「統合機動防衛力」構想の下、陸海空自衛隊による南西諸島防衛を強化してきた。また、平和安全保障法制の制定と日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の改定により、日米同盟の抑止力も強化した。それでも、6月には中国艦船が初めて尖閣諸島の接続水域を航行する事案があったし、4月から6月に航空自衛隊が行った対領空侵犯措置(スクランブル)は199回と前年度同時期と比べて大幅な伸びを示した。 

 このため、引き続き、南西諸島周辺における警戒監視や対艦・防空能力の向上、高速揚陸艇の導入などによる陸海空統合輸送力の一層の強化が求められる。中国軍との不測の事態を避けるための「海空連絡メカニズム」の早期運用も不可欠だが、日本が公海とその上空での運用を提案したところ、中国が同メカニズムを尖閣の領海・領空でも適用することを主張し、合意できていない。海空を切り離して、「海上連絡メカニズム」を先行させるなど、異なる発想が必要であろう。

 より喫緊の課題は、グレーゾーンにおける危機管理である。東シナ海において、軍事バランスは依然日米に有利な状況が続いている。このため、中国は軍事的手段ではなく、漁船や海上民兵、政府公船を利用し、グレーゾーンにおいて日本への挑戦を続けている。

 海上保安庁は巡視船12隻からなる尖閣専従態勢の運用を開始した。だが、これは常時3隻の中国公船を監視するための数であり、中国側が「3・3・2方式」をさらに高めてくるのであれば、海上保安庁もさらに増強する必要がある。

 中国の海上民兵の実態は不明な点がまだ多いが、その動きにも注意が必要である。おそらく、今回中国公船と一緒に領海に侵入した漁船は海上民兵によるものであったと考えられる。他方、今回尖閣に大量に押し寄せた漁船の乗組員の多くは、内陸部から浙江省や福建省に出稼ぎにきた農民で、船の扱いにも慣れておらず、不測の事態を起こす可能性が高い。

中国だけでなく米国にも理解されない海上警備行動
 グレーゾーン対処に関して慎重に議論するべき点は、海上警備行動または治安出動による自衛隊の投入である。事態が海上保安庁の能力を超えた場合、海上警備行動を発令し護衛艦を派遣することになり、昨年その発令が電話閣議で迅速に行えることになった。

 ただ、これは国際的な慣行ではなく、あくまで日本国内の手続きであり、日本が自衛隊を先に出せば中国が軍艦を出す格好の口実を与えてしまう。海上警備行動については米国でも理解が広がっておらず、日本に慎重な対応を求める声が依然多数を占めている。このため、グレーゾーン対処は海上保安庁による対応を優先するべきである。他方で、自衛隊法を改正し、平時から護衛艦が海上保安官同乗の下で領海警備をできるようにし、まずは尖閣周辺以外の海域で、常日頃から海上保安庁のすぐ後ろに護衛艦がいる実績を積み重ねていくことが望ましい。

 東シナ海では、尖閣諸島の問題だけではなく、中間線付近での中国の一方的な資源開発の問題もある。また、日本全体に視点を広げれば、北方領土、竹島、小笠原諸島沖でのサンゴ漁、日本の排他的経済水域(EEZ)内への北朝鮮の弾道ミサイルの着水など、海の国境周辺で問題が山積している。

 なかでも最も深刻なのが、沖ノ鳥島である。中比の国際仲裁判断は当事国のみを拘束するとはいえ、国連海洋法条約における「島」と「岩」の基準を、中国が沖ノ鳥島を「岩」と主張してきたことに何度も言及した上で示した。特に、スプラトリー諸島で最大の太平島にも「岩」との判断が下されたため、日本も沖ノ鳥島を「島」とする主張を改めるべきだという論調が国際的に出始めている。

 国連海洋法条約では、島はEEZおよび大陸棚の基点となり得るが、岩では領海を主張することしかできない。仮に沖ノ鳥島が「岩」になれば、約40万平方キロメートルにおよぶ広大なEEZを失うことになる。中比仲裁判断では、「島」の基準について、自然の状態で、人間が集団で生活でき、資源採取以外の経済活動を外部の支援なしに行えることとしている。この基準では民間人の住まない離島はほとんど「岩」になってしまう。この基準を厳格に当てはめるなら、沖ノ鳥島だけでなく、南鳥島など他の離島もEEZの基点とはなれない。

 沖ノ鳥島を「島」として守るため、日本は「独自の経済的生活」を維持できるよう沖ノ鳥島の特徴を活かす必要がある。サンゴの再生研究や波力発電の研究、沖ノ鳥島が地質学上の「不動点」であることを活かした海面上昇の定点観測などを行って、島である根拠を積み重ねることが必要である。

* * *

現在発売中のWedge10月号では、「国境騒然」という特集を組んでいます。

■特集「国境騒然」
 ・南シナ海問題が発端の尖閣騒動 余波を受ける沖ノ鳥島、南鳥島
 ・尖閣周辺海域に現れた中国漁民の正体
 ・ガス田に東シナ海の“目”を設置した中国
 ・海上保安庁だけでは尖閣を守れない 待たれる「離島警備のプロ」創設
 ・図解 海に囲まれた日本 国境付近で絶えぬ争い
 ・現地ルポ 自衛隊基地配備に揺れた与那国島 次なる「震源地」石垣島の“騒乱”
 ・「アホウドリ」が広げた日本の領土 巨万の富を巡る無人島獲得合戦


天皇処刑と日本の共産革命に動き始めた中国
JBpress 9月16日(金)6時15分配信

 日中首脳会談などで安倍晋三首相が主張する法の支配・対話路線とは裏腹に、中国は「力の支配による既成事実化」としか思えない行動をとり続けている。

 南シナ海の人工島構築が発覚した時点での米中首脳会談では、軍事基地化は考えていないと発言していた。しかし、いまの実体は、軍事基地化以外の何物でもない。

 スカボロー礁でも、米国のやや強腰な警告に対し、同じ屁理屈を述べていた。しかし、浚渫船などが確認されている。

 東シナ海でも同様で、話し合いの合意を無視して一方的に中間線付近ではガス田の施設を拡充しているし、尖閣諸島では接続水域への入域や領海侵入を繰り返している。

 ASEAN(東南アジア諸国連合)は中国の経済支援を武器にした切り崩しで、一致団結した包囲網が形成できない。そうした中で人工島の施設は着々と完成し、軍事基地的運用も活発になっている。

 米国は大統領選挙の時期とも重なり、いま一つ南シナ海や東シナ海での姿勢が判然としない。日本は東シナ海問題で話し合いの機会を持つ努力をしつつも、最悪の状況も想定してしかるべき準備をしなければ後れを取るのではないかと危惧される。

 習近平政権になって一段と強権的になったが、基本的には建国以来の長期目標を達成する一環で、日本の共産化という最終目標に変わりはなく、日本は断じて阻止しなければならない。

■ 中国の対日工作

 中国の対日工作は長期的、かつ巧妙である。「100年マラソン」とも言われるように、目的達成(日本の共産化・中国化である)を100年のスパンで考えているということである。

 従来、香港・マカオ・台湾を取り返すのが主たる目的とみられたが、既に一部は達成している。近年は南シナ海ばかりでなく、尖閣諸島を含む東シナ海、さらには沖縄さえ中国領土だと喧伝している。

 こうした戦略を描いたのは、ゾルゲや尾崎秀実ともつながっていたとみられる中国の「国際問題研究所」所長の王梵生であったとされる。1945年2月のヤルタ会談は、王の情報を基に開催されたと米国は分析している(福田博幸『中国対日工作の実体』)。

 ちなみに、国際共産革命の勝利を確保するために、王はどういう図面を描いていたのだろうか。

 まずソ連を擁護するため、日本を中国との全面戦争に引きずり込み、北進論を南進論に転換させ、米英との戦争に発展させる。そして、日本だけでなく、米英も帝国主義だと宣伝して排除し、アジアの共産化を成し遂げるという構想であったという。

 「日本解放第二期工作要綱」なる秘密指令文書が「(1972年)7月中旬」に入手されたことから、福田氏は「『7月5日』の田中(角栄)内閣誕生と同時に中国の対日工作『第一期』は終了し、『第二期』に入ったことを物語っている」と解釈する。

 第二期の基本戦略は「日本が現在保有している国力のすべてを我が党の支配下に置き、我が党の世界解放戦に奉仕せしめることにある」と明記している。

 第一期工作の目標としていた国交正常化は田中内閣によって達成されたので、第二期の「民主連合政府の形成」を打ち出したのだ。「日本列島は、日本人だけの所有物じゃない」と嘯く鳩山由紀夫政権の出現によって達成されたかに見えたが、あまりにも短期間で終わった。

 ちなみに第三期工作の目標は「日本人民民主共和国の樹立、天皇を戦犯の首魁として処刑する」と、身の毛が弥立つ恐ろしいことを平然と書き連ねている。日本を革命で共産化するという堅忍不抜の意志表明であることが分かる。

 共産党の一党独裁による強権で、人権擁護どころか、指導者を批判する言論も民主化要求の反政府デモも一切許さない、今日の中国における状況の日本での展開である。2000年以上にわたって連綿と続いてきた日本的平和維持の二重構造(天皇の権威と政治の権力)の破壊である。

 カンボジア、ラオス、ネパールでは中国共産党の影響下で王政が廃止された。タイでも、華僑のタクシン派が台頭して以降、王政を揺るがす混乱が続いている。

 安倍政治を強権政治などと論(あげつら)い、自称民主化闘士などと思い込んでいる人士は、その時「こんなはずではなかった」と思っても後の祭りである。

 工作要綱には、第二期の目標を達成するために、「群衆掌握の心理戦」「マスコミ工作」「政党工作」「華僑工作」などを列挙する。

■ 第二期工作の細部

 「群集掌握の心理戦」では、「展覧会・演劇・スポーツ」「教育面での奉仕」「委員会開設」の項目がある。

 中国の書画・美術品・民芸品等の展覧会、民族舞踊団、雑技団、京劇団の公演、さらには中国語学習センターの開設などは、日本人が思うような単なる芸術鑑賞や語学の勉強ではなく、日本革命の素地をつくる遠大な目標の一里塚と位置づけていることが分かる。

 教育面での奉仕では、「大学へ中国人中国語教師派遣の申し入れ」や「留学生奨学金」という項もある。

 日本の大学や研究機関などで勤務する中国人教授は約3000人いるという。また毎年2000人の日本人高校卒業生に全額無条件の奨学金を発給して中国の大学へ留学させる、応募状況によっては5000人まで増加するとしている。

 教授たちは中国共産党の日本革命意志のもとに派遣されているのであり、また中国に親近感を持つ若者を育てて革命の土壌にする目的が透けて見える。

 日露戦争後、白人社会を負かした日本に憧れ日本に学びたいと、中国から1万2000人の留学生がやって来た。孫文、魯迅、梁啓超、蒋介石らはそうした留学生であった。

 お金がなく日本に来られない江沢民などのためには南京に中央大学を設立して学ばせた。日本は純粋に学問の場として提供したが、中国はすべてが革命の素地つくりと考えていることが分かる。

 「委員会開設」では、「中日文化交流協会」を拡充し民間人の組織体で実施させるが、大使館が支援する方式をとると明記したうえで、「初期においては純然たる奉仕に終始し、いささかも政治工作、思想工作、宣伝工作、組織工作を行ってはならない」と述べる。

 中国政府の革命意図を察知されないように手の内を隠し、友好的雰囲気で気軽に接触できるようにせよ、と厳命しているのだ。どれほど多くの日本人がこうして友好人士になったことであろうか。

 「マスコミ工作」では、「マスコミを支配する集団の意志が世論を作り上げる」として、田中内閣成立が日本解放工作の実績と述べ、さらに国交正常化へ追い込んだのは「日本のマスコミを支配下に置いた我が党の鉄の意志と、たゆまざる不断の工作」であるとも述べる。

 「我が国への好感、親近感を抱かせるものを、第一に取り上げさせる」など、すべては統制下で、マスコミ工作を推し進めるとしている。

 「政党工作」では「議員を個別に掌握する」「招待旅行」などが書かれている。親中派議員とされる人士は、招待旅行などで一生忘れられない、恩義に着るような思い出を抱かされたに違いない。

 「華僑工作」では、日本に住む華僑は無産階級の同志ではないが、「利用すべき敵」として台湾などへ逃亡させない、青少年などをしっかり掌握し、中国銀行に預金させ、大使館開設後は中国国籍を取得させるなどとしている。

 国籍を取得した後は、「日本解放の一戦力となすべく、政治教育、思想教育を開始」し、「対外諜報工作の手足」として〝いろいろなことができる″「利用価値の高い便利な存在」と位置づけしている。

 いずれにしても、中国は天皇を処刑して日本人民民主共和国を樹立すると公言し、日本在住の華僑を「利用価値の高い存在」としている。それにもかかわらず、日本国民ならびに国民を代表する議員たちはあまりにも無防備な昼行燈ではなかろうか。

■ 国防動員法の適用

 中国は国防動員法を2010年2月に公布し、7月施行した。この半年前(2009年9月)に鳩山由紀夫首相が政権に就く。中国にとっては工作の大いなる成果に思えたに違いない。ますます「民主連合政府の形成」に拍車がかかったのではないだろうか。

 この頃から日本国内での大規模土地取得の動きが明らかになり、高市早苗衆議院議員は、「平時からの国防動員準備業務の一環なのではないかという疑念」を抱いている(『WiLL』2011.8所収論文)。

 国防動員法第4条は「全国民の参加、長期的準備、重点的建設、全局を考慮した統一的計画」などを規定し、第5条で「公民及び組織は、平時には法により国防動員準備業務を完遂しなければならない」と規定している。

 第49条は「満18歳から満60歳までの男性公民及び満18歳から満55歳までの女性公民は、国防勤務を担わなければならない」とし、外国在住の中国人も免除されていないので、国防勤務の対象者である。

 こうして、「中国資本系企業の日本事務所も中国の国防拠点となり得るし、膨大な数の在日中国人が国防勤務に就くことになる」(高市議員)とみられる。正しく、〝いろいろなことができる″華僑の活用ではなかろうか。

 なお、中国は国防動員法を補強する「国防交通法」を来年から施行する。「特殊な状況」が発生すれば、民間企業の車両、船舶、航空機までも軍事行動に供出する義務があるというもので、在中日系企業も例外ではない。

■ 中国が目指す日本のモザイク化

 イスラエルはエルサレムを首都としているが、その東半分(東エルサレム)はパレスチナの首都でもある。南西部にはパレスチナが管轄するガザ地区があり、ヨルダン川西岸一体も概ねパレスチナ管轄地域である。

 このように、イスラエルは、国家の中にイスラエル官憲の力が及ばないパレスチナの管轄地域がモザイクのように点在している。

 北海道の広大な山林やリゾート地、さらに奥尻島、佐渡島、対馬、長崎県の高島と五島列島、鹿児島空港周辺の林地、鹿児島県の沖永良部島、沖縄県の石垣島や西表島周辺などが中国系資本の手に落ちたか落ちようとしている。

 東京都内や名古屋、新潟市内では公館用地として必要以上の広大な土地の取得に中国や中国資本が動いている。

 札幌市では地下3階、地上29階の高層ビルの数階の店舗を除くすべてが中国人の店舗と居住階になるビルが計画されている。新千歳国際空港近くには、住民の反対などで計画は縮小されたが、中国人専用の戸建て住宅がある。

 首都圏にあるマンションなども、中国人に占領されるのが少しづつ増えているという。そうした場所がいずれはチャイナタウン化するのは必定であろう。中国人に対する入国管理の緩和で、永住者は増大の一方で、現時点では30万人前後ともみられる。

 名古屋と新潟の土地に関しては、桜井よしこ氏が『中国に立ち向かう覚悟』で以下の事実を暴露している。

 日本政府は2011年7月、北京に新しい日本大使館を完成させたが、申請のなかった吹き抜けが作られているとして中国政府が使用を認めなかった。そのうえで、新潟と名古屋の土地買い取りについて日本政府が便宜を図るよう当時の丹羽宇一郎大使に求めたという。

 桜井氏は「筋違いの要求」なので「拒否すればよいだけ」のことを、「中国の属国になるのが日本の幸福だと信じている」「(民主党政権の)大使らの気概なき外交」で、「前代未聞の屈辱的な対応」をする。

 大使に泣きつかれた外務省は玄葉光一郎外相と野田佳彦首相(肩書きはいずれも当時)の了承を得て、「中国側の要請に関連国際法に従って協力する」という口上書を中国政府に提出する。

 そうすると、2日後に日本大使館の使用許可が下りたという。何と幼稚な恫喝に屈したことか。

■ 議員たちは土地を検分せよ

 古代から、土地検分が権力者たちの中心的仕事であった。それは、国家を運営する租税ばかりでなく、領民の生活を安堵するためにも可能な範囲で耕作地を開拓しようとしたからである。

 今日では、基本的には所有権が確立しているが、転売などを重ねて所有者不明の土地も相当あると見られている。所有者が確定していても、貸与などで所有者の目が届かない状況に置かれている土地もある。

 「土地売買の規制は外資も含めほぼ皆無、一方で土地所有者の権利(私権)は際立って強い。(中略)世界でも特異な日本の土地制度が改めて浮き彫りになっている」(笹川陽平論文「産経新聞」平成25年5月17日掲載)わけで、イスラエルのように、日本の土地が虫食いされても、手がつけられない状況のようだ。

 多くは中国系資本であろうが、ある部分は韓国系資本、あるいは北朝鮮系資本などで買い占められ、日本の官憲が手を出せない状況になってはいないか、法律や条例を基に検分する必要があろう。

 今では国会議員ばかりでなく地方議員までもが、いろいろな目的を掲げて外国視察に出かける。しかし、議員は第一義的には国や自治体の問題点を見つけ、その対策に責任を持つ立場にある。

 そうであるならば、議会に縛られない連休などで、責任下にある地域を隈なく見て歩き、問題点を見つけ、政策に反映するようにする必要があるのではないだろうか。

 国会議員と言っても、小選挙区制で、自分の選挙区を知るのがせいぜいである。しかし、議員になった暁には、責任は日本全土に及ぶわけで、○○(地域名)の出ですからなどの言い訳は成り立たない。

 日本の土地が中国を主とする外国資本に買い漁られているが、報道されている場所でもその細部は把握されていない。ましてや、所有者不明のところや、報道されていないところにおいておやではなかろうか。

 そうした場所を真剣に検分して回った議員は何人いるだろうか。議員は議会に出席すれば1日1万円などの手当てが出ると仄聞したが、議会に出席して議論するのが本務であろうから倒錯も甚だしい。そのための議員歳費ではないだろうか。

 歳費以外の手当などは一律ではなく、出張に出張手当があるように、地域を検分して回るなどには検分手当をつけるなど、実績主義で行うようにしてはいかがであろうか。

■ おわりに

 尖閣問題に関しては、古森義久氏が多くの米専門家に問いただしており、様々な意見が開陳されている。

 その1つ「尖閣に迫る中国、日本はどう対応すべきか 米専門家が警告、中国の尖閣奪取計画は確実に次の段階へ」では、「国際評価戦略センター」のリチャード・フィッシャー主任研究が日本は危機的な状況を迎えていると強調し、「中国側は、数の多い『漁船』民兵とヘリコプターや潜水艦を使った尖閣奇襲上陸作戦を計画している気配が濃厚です。さらに最近ウクライナなどから調達した大型ホバークラフトの使用もあり得るでしょう」と述べている。

 尖閣周辺では、日本漁師の2カイリ内での漁は海上保安庁の実力で排除されるが、中国船は退去を呼びかけるだけのため、島ギリギリの遊弋を許してしまうそうである。

 島ギリギリに行動できるということは、海保の目が届かない夜陰等にまぎれて、民兵が偽装漁船から上陸して地下工事などを行い、持久にも耐えるように物資の事前集積を図り、また夜陰に紛れて帰ってくることができるということである。

 すでに尖閣諸島では民兵が作った地下施設などがあって、明日に備えた何かをやっているのではないかと考えるのは思い過ごしの妄想であろうか。杞憂であれば幸いである。


東アジアにおける戦略関係の転換期 - 細谷雄一 国際政治の読み解き方
ニューズウィーク日本版 9月15日(木)11時38分配信

<フィリピンのドゥテルテ大統領が「アメリカは出て行け」と言い、アメリカのトランプ大統領候補が「アジア防衛は無駄だ」と言う。これにより、アジア太平洋地域のパワーバランスが大きく動き、まずは南シナ海、その後は東シナ海の尖閣諸島を中国が掌握することさえ現実になりかねない>

「ドゥテルテ比大統領、米との軍事同盟転換を示唆」(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 これは、今後のアジア太平洋地域のパワーバランスや安全保障環境を大きく動かしかねない、とても大きな決定だ。あまり、日本では広く報道されていないが、今後の東アジアの戦略関係を考えると、一つの大きな転換点となるであろう。

 気になるのは、ドゥテルテ大統領とトランプ大統領候補が過激な発言をするスタイルが驚くほど似ており、それが悪いスパイラルとなり、事態を予期せぬ悪い方向へと導いていくことだ。両者とも、安全保障や外交には興味もなければ、経験もなければ、残念ながら理解もない。ドゥテルテ大統領は「私は米国人が好きではない」と宣言し、他方でトランプ氏はアメリカ国民のお金を使ってアジア諸国を防衛することは無駄だと語っている。自分の国のことだけ考えることが正しいことだ、と述べることで、圧倒的な国民の支持を得ているのだ。これは、多かれ少なかれ、どこの国にも見られる現象である。6月に、イギリス国民は非効率的なEUに分担金を支払うことは、大切な国民のお金の無駄遣いだと述べていた。

【参考記事】トランプの「暴言」は、正式候補になってますますエスカレート

 つまりは、アジア諸国から「出ていけ」と言われ、アメリカ国民側も「アジアから撤退せよ」と述べているとすれば、長期的趨勢として、アメリカのアジア関与が後退していくことは、かなりの程度自然な成り行きとなるのではないか。アメリカの関与が大きく弱まった東アジアを、われわれは想起しなければならない。

 その後、ドゥテルテ大統領は、おそらくは外務省や国防省からの助言を受け入れて、自らの発言を修正するような姿勢を示している。しかしながら、フィリピン政府がどのような態度を示そうとも、アメリカの世論はこれから南シナ海で関与を深めることで中国との関係を悪化させたり、そのための財政負担を負うことによりいっそう大きな抵抗を感じるであろう。多くのアメリカ国民は、南シナ海の問題でフィリピンを支援したり、東アジアの安全保障問題に深く関わることが国益であるとは考えていない。

 その第一の影響として、南シナ海でフィリピンとベトナムが自らの領有権をこれ以上主張するのは難しくなるであろう。国連安保理常任理事国のロシアが、先日、中国政府がICJ仲裁裁定を拒絶すると述べたことを「支持する」と意見を表明した。中国政府高官はICJの裁定を「紙屑」と述べ、これから国際法や法の支配に基づいた国際秩序は大きく傷つけられるだろう。

 そのうえで、本来であればアメリカのパワーに依拠しなければならないはずのフィリピン政府が、アメリカに「出ていけ」と言っているわけなので、アメリカ政府は堂々とそのようなドゥテルテ大統領の発言に責任転嫁をして、アジアでの軍事関与を後退させる口実を得たことになる。だとすれば、アメリカが東アジアへの軍事関与を削減したことで、地域情勢が不安定化したという批判を、回避することができる。

 いま中国は、南シナ海の戦略的な要所であるスカボロー礁を掌握するうえで重要な時期に入っている。これである程度安心して、スカボロー礁を確保できるでろう。そうなると、南シナ海のほぼ全域が、中国の制空権と制海権に収まることを意味する。中国は圧倒的な戦略的優位を手に入れるのだ。

【参考記事】南シナ海「軍事化」中国の真意は

 南シナ海で制海権と制空権を確保すれば、次に中国が集中的に攻勢をかけてくるのは、いうまでもなく東シナ海の尖閣諸島であろう。国際世論からの批判や、中国が保有する公船の数の制約を考慮して、これまでは南シナ海での制空権と制海権の確保を優先してきたが、南シナ海でのそれがひと段落すれば東シナ海に行動の方向性を転換していくであろう。ロシアが中国の背後で支援をして、アメリカが「トランプ大統領」の下で日本防衛とアジア関与の関心を失えば、中国は大きな抵抗を受けることなく、尖閣諸島の奪取と領有を可能とするであろう。その際には、当然ながら、日本は歴史を直視して反省するべきだと、歴史問題としてこの問題を国際世論にアピールするはずだ。

【参考記事】中国はなぜ尖閣で不可解な挑発行動をエスカレートさせるのか

 その結果として、おそらくは10年後には、東シナ海の制空権と制海権を確保して、日本の自衛隊は容易に東シナ海で活動ができなくなるかもしれない。

 そもそも、南シナ海で中国が活動を活発化させるようになる大きな契機が、1991年にフィリピンの議会が、冷戦終結後に米軍基地を閉鎖することを求めたことだった。そして、四半世紀が立ち、再びフィリピンは国民世論に迎合して、アメリカに「出ていけ」と言っている。外交が、国民感情や世論の犠牲になるという、典型的な例かもしれない。もちろん、その背後に、中国からの圧力がフィリピンのドゥテルテ大統領に対して存在していたのだろうと予測する。

 これらのすべての動きは、日本の安全保障やアジア太平洋の戦略環境を考えると、とても悲観的にならざるを得ない趨勢だ。もしも、これから東アジアの平和を考えるとすれば、南カリフォルニア大学のデイヴィッド・カン教授が述べているように、かつての中華帝国の時代の朝貢体制に見られたような、中国を中心とした緩やかな階層的な秩序に依拠しなければならなくなるのかもしれない。そのような安全保障環境の不透明性や、不安定性を考慮して、われわれは自らの安全保障政策を考える必要がある。

※当記事はブログ「細谷雄一の研究室から」から転載・改稿したものです。


尖閣への中国公船侵入延べ518隻 国有化4年 海保、増員上積みへ
産経新聞 9月13日(火)7時55分配信

 平成24年に尖閣諸島(沖縄県石垣市)が国有化されてから11日で4年が経過し、中国公船の領海侵入は同日までに延べ518隻に上った。海上保安庁は今春、尖閣専従体制を整備した上で、28年度補正予算で大型巡視船3隻の増強を要求。29年度予算の概算要求では海上保安官の増員を求めているが、8月に中国公船が漁船とともに大挙して押し寄せたことを受け、さらなる上積みを検討する。東シナ海をはじめ、厳しさを増す安全保障環境への警備態勢を整える方針だ。

 同庁によると、11日午前10時すぎ、尖閣諸島周辺の領海に中国海警局の船4隻が相次いで侵入し、約1時間半航行した後、領海外側の接続水域に出た。領海侵入は今年に入り延べ87隻で、国有化以降では延べ518隻になる。

 外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は「主権侵害であり断固認められない」と中国大使館側に電話で抗議した。同省関係者によると、中国側は「(尖閣諸島は)中国固有の領土だ」などと反論したという。

 中国公船は国有化以降、頻繁に尖閣諸島周辺海域に出没。接続水域では「天候の悪い日以外はほぼ毎日航行している」(同庁)。8月には200隻を超える漁船とともに、過去最大となる公船15隻が同時に接続水域や領海に侵入した。

 南シナ海での領有権主張を仲裁裁判所の裁定で全否定され、南シナ海の海洋政策で手詰まり感のある中国は今後、東シナ海で活動を活発化させる可能性が強まっている。中国の大型公船は昨年末時点で120隻と3年間で3倍増。31年には135隻になると見込まれている。

 これに対し、同庁は、今年2月に大型巡視船14隻相当(実数12隻)の「尖閣警備専従部隊」を整備。28年度補正予算案では、新たに大型巡視船3隻を増強する。

 また、海上保安官の定員は国有化以降、毎年度純増し、28年度は1万3522人。29年度予算では領土・領海、海洋権益を守るために335人の増員を要求した。8月の事態を踏まえた安全保障への緊急的な警備態勢の整備を目指し、さらなる増員を求める方針。


<尖閣周辺>中国船4隻常態化 9月、3隻から増加
毎日新聞 9月12日(月)20時44分配信

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11日に領海侵入した海警2337=海上保安庁提供

 中国海警局の船4隻が11日、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に相次いで侵入し、約1時間半航行した。日本政府は2012年9月11日に尖閣の3島を国有化しており、国有化4年にあわせて侵入した可能性がある。尖閣周辺の接続水域や領海で行動する中国公船の数は、7月以前は1日3隻が多かったが、8月の活発化を経て9月以降は4隻単位での行動が常態化している。領海への中国公船侵入は8月21日以来3週間ぶりで、日本政府はいったん沈静化した中国側の行動の激化を懸念している。

 外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は11日、在日中国大使館の劉少賓公使に電話で抗議。菅義偉官房長官は12日の記者会見で「中国公船による我が国領海への侵入事案の多発は極めて遺憾で、到底受け入れられない」と批判した。

 中国公船の尖閣周辺での活動は8月上中旬に急速に活発化し、同8日には過去最多の15隻が接続水域に入り、領海侵入も相次いだ。一方、8月28~31日は接続水域・領海とも一隻も入らず、9月4、5日に中国・杭州で開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議を前に自制したとの見方も出ていた。しかし、G20開幕を待たずに9月1日以降は4隻がほぼ連日、接続水域を航行し、11日の領海侵入に至った。

 外務省関係者は「3隻でも問題だが、連日4隻を侵入させてエスカレートさせることで、既成事実化を図っているのではないか」と警戒している。【田所柳子】


領海侵入、中国に抗議=外務省
時事通信 9月11日(日)18時34分配信

 外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は11日、中国公船が沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海に侵入したことを受け、在日中国大使館の劉少賓公使に「主権の侵害であり断固として認められない」と電話で抗議した。

 中国側は「中国固有の領土だ」などと従来の主張を繰り返したという。11日は日本政府が2012年に尖閣諸島を国有化して4年に当たる。


日本政府、領海侵入で抗議…在日中国公使に
読売新聞 9月11日(日)15時18分配信

 領海侵入を受け、外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は11日午前、在日中国大使館の劉少賓公使に電話で抗議した。

 11日は日本政府が尖閣を国有化して4年の節目となる。政府関係者は、「尖閣は中国固有の領土だと改めてアピールしようとしているのだろう」とみている。


中国公船が領海侵入=今年27回目―沖縄・尖閣沖
時事通信 9月11日(日)12時47分配信

 沖縄県石垣市の尖閣諸島沖で11日、中国海警局の「海警」4隻が日本の領海に侵入し、約1時間半航行した。

 中国公船の領海侵入は8月21日以来で、今年27回目。

 第11管区海上保安本部(那覇市)によると、海警「2102」「2337」「2401」「31101」が午前10時20~40分ごろ、魚釣島の北北西で領海に侵入。同11時50分~午後0時10分ごろ、魚釣島の西南西で領海を出た。


尖閣・魚釣島沖の領海、中国公船4隻が侵入
読売新聞 9月11日(日)12時21分配信

 第11管区海上保安本部(那覇市)によると、11日午前10時20分頃から同39分頃にかけ、沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島沖の領海に中国海警局の公船4隻が相次いで侵入した。

 4隻は10日夜、同諸島・久場島沖の接続水域(領海の外側約22キロ)内を航行しているのが確認されていた。


いつでも自由に尖閣に近づける状態にしたい中国
JBpress 9月10日(土)6時0分配信

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の水域、日本領海へ中国海警の艦艇や多数の民兵漁船団が頻繁な接近、侵入を繰り返している。中国には一体どのような狙いがあるのか。

 米国で中国の海洋戦略を専門に研究する海軍大学教授、同大学「中国海洋研究所」研究員のトシ・ヨシハラ氏に見解を尋ねた。

 ヨシハラ氏はその名の通り日系米国人で、ジョージタウン大学、ジョンズホプキンス大学院を経てタフツ大学で博士号を取得した戦略研究の学者である。アジア太平洋の安全保障、特に中国の軍事戦略、海洋戦略を専門対象とし、民間のランド研究所やアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)でも活動してきた。少年時代は台湾に住んだことから中国語にも堪能で、中国人民解放軍の海洋戦略の研究では全米でも有数の権威とされている。

 インタビューの中でヨシハラ氏は、中国側に尖閣諸島の日本の施政権を突き崩そうとする意図があることを強調した。主な質問とヨシハラ氏の回答は以下の通りである。

■ 中国にシフトしていく東アジアのパワーバランス

 ――中国が最近、日本の尖閣諸島に対する攻勢を拡大し、強化しています。その現状をどうみますか。

 トシ・ヨシハラ氏(以下、敬称略) 中国はそうした活動によって、日本や日中関係に影響を及ぼすだけにとどまらず、東シナ海全域で徐々にパワーシフトを進めていこうとしています。私は、東シナ海の力の均衡が少しずつにせよ着実に中国側に有利にシフトしていくことを最も懸念しています。

 中国は明らかに、東アジアのパワーバランスの現状を打破しようとしています。その実現のために、中国は自国が望む時に望むような形でイニシアティブをとることができます。どのような手を打つかを、中国側が自由に選べるのです。

 一方、米国も日本もこれまでの国際システムを守ろうとする現状維持派です。だから中国の動きに対していつも受け身になってしまいます。

 ――中国の日本に対する当面の狙いはなんでしょうか。

 ヨシハラ 中国はまず尖閣海域に恒常的なプレゼンスを確立して、日本側の施政権を突き崩そうとしているのだと思います。

 つまり、尖閣諸島の水域に公艦を恒常的に配備し、日本側の領海や接続水域にいつでもどのようにでも入って行ける状態をつくることです。そして、そういう状態を内外に誇示していくことです。

 そうなると、日本の尖閣諸島への施政権が揺らいできます。やがてはその施政権が突き崩されるおそれがあります。

 ――尖閣諸島に日本側の施政権があるとされるからこそ日米安保条約が適用され、尖閣が第三国の攻撃を受ければ、米国は日本と共同して反撃に出るということも誓約している。その施政権が空洞化したら、日本にとっては尖閣を失う事態にもつながりかねませんね。

 ヨシハラ はい、そういうことにもなりかねません。中国は同時に、尖閣上陸に向けた軍事能力を築きながら、日本側の出方をうかがっているのだと思います。日本がどれほど強く反撃してくるのかを探っているのです。

■ 日本も南シナ海に艦艇を

 ――日本側はどう出るべきだと思いますか。

 ヨシハラ 日本はいま深刻なジレンマに直面したといえます。一定以上に強く出ると、中国はそれを理由にさらに強硬な行動をとりかねません。中国は日本に『挑発行動』をとらせたがっている気配があります。だから日本側は、尖閣諸島に人員を配置するなどの新たな措置は、当面はとらないことが賢明だと思います。

 しかしその一方で、日本側が何も反撃をしないでいると中国はさらに侵入や威圧的な行動を強めてくるでしょう。日本が「自国領土が侵略されても何もしない」とみなされるのは重大な問題です。尖閣防衛のためには、艦艇の力や兵員の増強を進めることが欠かせないでしょう。

 ――それ以外に尖閣問題で何か効果的な打ち手はあるでしょうか。

 ヨシハラ 中国への対抗策として日本が『水平エスカレーション』に出ることも効果的だと思います。南シナ海での中国の膨張に対し、日本がアメリカなどと協力して積極的に安全保障行動をとるという戦略です。例えば米国の空母部隊などを支援するような形で海上自衛隊の艦艇を派遣するのです。

 日本が南シナ海で米国とともに安全保障行動をとれば、中国は威圧されたように感じるでしょう。そのことが、中国の尖閣諸島に対する威圧行動の抑止につながります。

 自分たちが一方的な拡張政策をとれば必ず代償を払うことになる、ということを知らしめるのは、中国の膨張を抑えるのに大きな効果があるはずです。


レッドラインを超えた?中国がスカボロー礁基地化へ
JBpress 9月8日(木)6時10分配信

 9月2日、フィリピン国防当局は、南シナ海のスカボロー礁周辺海域でフィリピン沿岸警備隊が中国のバージ(平底の荷船)を多数視認したことを報告した。

 フィリピンと中国、それに台湾が領有権を争っているスカボロー礁は、現在のところ中国が軍事力を背景に実効支配中である。そのため、バージがどのような作業をしているのかまでは確認していないようである。しかし、中国がいよいよスカボロー礁の人工島化に本格的に着手したことは間違いないと見られる。

 かねてよりオバマ大統領は、「中国がスカボロー礁を埋め立てて軍事基地化することは、レッドライン(最後の一線=平和的解決と軍事的解決の境界線)を越えることを意味する」と中国政府に対して強い警告を発してきた。それだけにスカボロー礁周辺での新展開に、米海軍関係者たちは高い関心を寄せている。

■ スカボロー礁は“レッドライン”だ

 本コラムでも繰り返し取り上げているように、中国は南沙諸島の7つの環礁での埋め立て作業を急ピッチで進め、2年足らずのうちに7つの人工島を建造してしまった。そのうちの3つの人工島には、戦闘機はもちろんのこと爆撃機まで発着可能な3000メートル級滑走路も造り上げた。

 そして、それぞれの人工島にはレーダー施設や港湾施設をはじめとする明らかに軍事的設備と思われる様々な建造物も確認されている。まさに南沙諸島中国基地群の誕生である。

 (参考記事)
・2014年6月26日「着々と進む人工島の建設、いよいよ南シナ海を手に入れる中国」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41041)
・2015年3月12日「人工島建設で南シナ海は中国の庭に」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43161)
・2015年6月4日「南シナ海への認識が甘すぎる日本の議論」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43933)
・2015年9月24日「人工島に軍用滑走路出現、南シナ海が中国の手中に」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44833)
・2016年1月14日「中国が人工島に建設した滑走路、爆撃機も使用可能に」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45748)

 それに加えて、中国が武力を背景に実効支配を続けるスカボロー礁にも軍事基地が建設されるという情報が流布していた。

 アメリカが南沙諸島の7つの人工島以上にスカボロー礁の軍事基地化に神経をとがらせているのは、スカボロー礁と、アメリカがフィリピンでの軍事拠点として再び利用するであろうスービック海軍基地とが、わずか260キロメートル程度しか離れていないからである。

 南シナ海での米中軍事対決を想定する場合、南沙諸島の中国人工島基地群がアメリカ軍にとってきわめて大きな障害となることは言うまでもない。そのうえ、スービックに近接しているスカボロー礁に人民解放軍の前進拠点が設置されてしまうと、アメリカ海軍の作戦行動には深刻な脅威が生じてしまう。日本やハワイからスービックへ向かう米艦艇や補給船舶の航路帯の土手っ腹に、匕首(あいくち)が突きつけられる形になってしまうのだ。

■ スカボロー礁の埋め立て開始か? 

 すでに今年の3月に行われたオバマ大統領と習主席による米中首脳会談の席上において、オバマ大統領は「スカボロー礁の軍事化はレッドラインと認識している」との強い姿勢を表明していた。それ以降も、南沙人工島をはじめとする南シナ海問題に触れる際には「スカボロー礁はレッドライン」というアメリカ政府の認識が繰り返し表明されてきた。

 今年の7月には、ハーグの国際仲裁裁判所が中国による南シナ海における主権的権利(いわゆる九段線)の主張を退ける裁定を下したが、中国当局はこのような裁定はそもそも無効であり中国としては無視すると公言した。それに関連して、アメリカ政府は再度「スカボロー礁はレッドライン」との警告を発している。

 しかしその裁定以降、中国側はこれまで数隻の海警巡視船などを展開させていたスカボロー礁周辺海域に200隻以上の“漁船”と十数隻の海警巡視船や漁業取締船などを送り込み、示威行動を実施している。

 そして今回、フィリピン沿岸警備隊が、中国によるスカボロー礁埋め立ての兆候をとうとう確認したのである。

■ 空手形に終わっている“レッドライン”警告

 中国による人工島の建設作業が確認される以前から、少なからぬ米海軍関係者などは、中国の南シナ海支配の目論見に対抗できるような、軍事的圧力をも含んだ強い姿勢を打ち出すべきであると主張していた。

 しかし、2015年秋になってようやくオバマ政権が始めた“軍事的圧力”は、「公海自由航行原則維持のための作戦」(FONOP)だけであった。それも、対中強硬派の海軍戦略家たちが提唱していたような、中国側をある程度威嚇するようなFONOPとはほど遠い、南沙諸島や西沙諸島の環礁から12海里以内の海域を駆逐艦や哨戒機がただ通航するだけという中国側に遠慮したFONOPにすぎなかった。

 (参考記事)
・2015年10月15日「アメリカの軍艦派遣は打つ手が遅すぎた~南シナ海の軍事バランスはもはや圧倒的に中国が優位」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44978)
・2015年11月5日「遅すぎた米国『FON作戦』がもたらした副作用」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45163)
・2016年2月4日「それでも日本はアメリカべったりなのか?」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45947)
・2016年5月19日「米軍の南シナ海航行で中国がますます優位になる理由」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46862)

 今回、フィリピン当局がスカボロー礁周辺海域で中国のバージを多数視認したという情報に接しても、アメリカ政府は何ら積極的な反応を示していない。

 そのため対中強硬派の人々からは、「オバマ政権は『スカボロー礁はレッドライン』と言い続けてきたが、結局はシリア(シリア政府が反政府側を化学兵器で攻撃した事件)やウクライナ(ロシアがウクライナのクリミアを編入した事件)の際にオバマ政権が警告した『レッドライン』と同じく、口先だけに過ぎないことになるのではないか?」との危惧が高まっている。

■ 米軍は日本の“ちっぽけな岩礁”を守るのか? 

 日本の政府首脳やメディアの一部には、「尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲内」というアメリカ政府高官などのリップサービスを真に受けて、「中国が尖閣諸島を奪いに来ても、米軍が立ちはだかってくれる」と信じ切って安心している風潮がある。

 しかしアメリカ政府は、尖閣諸島への態度よりもさらに強い「レッドライン」という表現をシリアとウクライナに対して用いながら実質的には何もしなかった。そして、スカボロー礁でも、中国の動きを封殺しようとする行動には出ていない。

 スカボロー礁と同じく尖閣諸島周辺海域にも、200隻以上の漁船群と10隻以上の海警巡視船や漁業取締船などが出没している。これらの“漁船”の多くは海上民兵であり、海軍特殊部隊も混じっていることは、もはや公然の事実である。

 ウクライナ紛争の際にも、ロシアの多数の民兵や特殊部隊がクリミアに潜入していた。そのことを考えると、中国によるスカボロー礁や尖閣諸島に対する“漁船”の投入は、ウクライナの状況とオーバーラップする。

 そして、ウクライナでの「レッドライン」でもスカボロー礁の「レッドライン」でも、友軍や友好国や同盟国に対して強力な軍事的支援を行わなかったアメリカ政府が、いまだに「レッドライン」を表明していない東シナ海で、日本の“ちっぽけな岩礁”(アメリカではそう認識されている)を守るために中国軍と対決すると期待するのは、あまりに現実の認識が甘すぎるというものだろう。


<偶発衝突回避>「海空連絡」協議を加速…日中合意
毎日新聞 9月6日(火)20時33分配信

 菅義偉官房長官は6日の記者会見で、安倍晋三首相と中国の習近平国家主席が5日の首脳会談で、偶発的衝突を回避する日中間の「海空連絡メカニズム」の協議加速で合意したことに、「政府として積極的に取り組んでいきたい」と述べ、早期運用開始に意欲を示した。岸田文雄外相も6日の記者会見で「東シナ海の現場の状況を考える時に、こうした協議の場は大変重要だ。習主席と協議加速で一致したのは有意義だ」と述べた。沖縄県・尖閣諸島周辺では先月も中国公船の領海侵入が相次いでおり、日本政府は衝突回避の枠組みの早期構築を目指す。

 安倍首相は5日に中国・杭州であった習氏との会談で尖閣問題に言及し、「公船や軍の特異な活動は極めて遺憾で、一方的に緊張をエスカレートさせるべきでない。東シナ海の安定なくして日中関係の安定はない」と状況の改善を強く要求した。習氏は「東シナ海の平和と安定を維持する。両国が衝突するようなことがあってはならない」と応じた。首脳会談では、海空連絡メカニズム構築や、2008年に日中間で合意した日中中間線付近でのガス田共同開発の交渉再開に関し、今月14日に広島で高級事務レベル海洋協議を開くことが決まった。

 焦点の南シナ海問題では、首相が「地域の平和と安定に直結し、日本を含む国際社会共通の関心事項である南シナ海問題で中国の適切な行動を期待する」とけん制。習氏は「日本は当事者ではないのではないか」と反論した。新華社通信によると、習氏は「日本は南シナ海問題で言動を慎み、関係の改善に障害を作ることを避けるべきだ」とも強調したという。一方で、習氏は関係改善に向け「マイナスを減らし、プラスを増やすべきだ」とも述べ、首相も同意した。

 菅氏は6日、首脳会談について「全体として協力できるところは協力してプラス面を増やす一方、懸案は管理してマイナスを減らす、という共通認識に基づく非常に前向きなやりとりだった」と評価した。【小田中大】


中国公船4隻、尖閣諸島の接続水域を航行
読売新聞 9月6日(火)11時4分配信

 第11管区海上保安本部(那覇市)によると、6日午前9時現在、沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島と久場島沖の接続水域(領海の外側約22キロ)内を中国海警局の公船4隻が航行している。


米中戦争、“飲み込まれる日本”の選択
nikkei BPnet 9月6日(火)9時26分配信

 このコラムでは、これまで過去2回にわたり南・東シナ海における中国および米国の軍事戦略を考察してきた。中国は南シナ海の島々を軍事拠点化し、できる限り中国大陸から遠い所で米軍を迎え撃とうとし、対する米国は最新の軍事技術と戦術によって中国軍に対抗しようとするものの、政治的に難しいかじ取りを迫られている。

 今回はこれまでの総まとめとして、考え得る米中戦争の様相を検証し、その間で揺れる日本が取り得る戦略オプションについて考えてみたい。今回と合わせ、第2回「南・東シナ海で中国が本当に欲しいもの」および第3回「緊迫の南・東シナ海、進撃する中国を阻止する米国の戦略とは?」をご覧いただき、より理解を深めてほしい。

●米中戦争の様相を決める2つの鍵

 南シナ海の管轄権をめぐる仲裁裁判の判決結果により、現在、中国は厳しい立場に立たされている。2016年9月4日の中国杭州における20カ国・地域(G20)首脳会議では、日本を含む各国は、「絶好の機会を逃すまい」と中国に詰め寄ったことだろう。

 これからも続くであろう、このような外交的な働きかけを契機に、中国は今後、軍事的な行動を沈静化させるのか、それとも相変わらず過激なままか。あるいは、全く無関係に、一層過激化していくのか。「中国の過激度」は、米中戦争の様相を決める一つ目の鍵となる。

 二つ目の鍵は「米国の軍事戦略」だ。今、米国は二つの戦略の間にある。中国本土を直接攻撃することを想定した「統合エアシーバトル」戦略と、中国本土を直接攻撃しない「オフショア・コントロール」戦略だ。前者は、米中の全面対決が避けられず、戦争の長期化や核兵器の使用が懸念される。一方、後者は海上封鎖を狙いとするが決め手に欠ける(第3回参照)。

 これら二つの鍵は、それぞれの国内政治、関係国の情勢、そして偶然の出来事が絡み合うことによって、時間の経過とともに、次第に道筋を決める。事態が悪い方向に進めば、残念ながら米中を戦争へと導く扉を開けてしまう可能性がある。果たして、その扉は開かれるのか。そして日本は、どのように巻き込まれていくのか。

米中戦争への扉はこうして開かれる
 現在の南・東シナ海における中国の軍事的活動は、国際社会から認められることが不可能なレベルまで過激化してきている。米国は、「柔軟抑止オプション」(第2回参照)を駆使し、軍艦や軍用機といった、目に見える手段で中国に脅しをかけ、これ以上の過激な行動を取らないよう、けん制している。現在は戦争の「抑止」段階にある。

 ここからは、今後起こり得るシナリオを考える。

 まず「(1)抑止の失敗」段階である。

 中国は、南シナ海で埋め立てを終えた軍事拠点から、米海軍の艦船を妨害し、上空を飛行する偵察機には対空ミサイルの照準を合わせ始める。東シナ海では、中国公船が領海侵入、周囲を多数の中国海軍が包囲。海上保安庁との間で小競り合いが始まり、ついに中国公船が“正当防衛”として武器を使って威嚇射撃を実施する事態となる。

 次の段階は「(2)戦争前夜」。この段階は、2つの道に分かれる。

 第1の道は、「早期の統合エアシーバトル戦略」。米国は、戦争を回避するために抑止力を一気に高める行動に出る。友好国・同盟国の基地に戦力を緊急増派して先制攻撃が可能な布陣をして見せるとともに、長距離飛行が可能な航空機、ステルス機、無人攻撃機、弾道ミサイルの戦闘態勢を整え、米本土からも脅しを強める。

 第2の道は、「オフショア・コントロール戦略」。米軍の前方への増派は、中国を刺激し過ぎるとして国内政治のハードルを越えられず、米海軍を中心とした南・東シナ海で海上封鎖作戦へ移行。同盟国・友好国の港湾などを活用し、マラッカ海峡などを封鎖して中国の商船を臨時に検査し、事実上の中国への経済制裁措置を発動する。

 そして、ついに「(3)米中軍事衝突」段階へ。

 上述の第1の道「早期の統合エアシーバトル戦略」から本格的な「統合エアシーバトル戦略」へ移行。主にステルス技術、弾道ミサイル防衛システム、サイバー・宇宙能力を活用し、圧倒的なスピードと予測困難な攻撃パターンにより中国軍の機能麻痺を引き起こし、一気に政治的解決のための交渉に入る。

 上述の第2の道「オフショア・コントロール戦略」に効果がなかった場合、「統合エアシーバトル戦略」へ移行する。この場合、既に事態がエスカレートしており、中国側に戦争準備の時間を与えてしまっているため、「早期の統合エアシーバトル戦略」をとった場合と比べて効果が低くなり、戦争の長期化が憂慮される状況となる。

米軍が撤退するというシナリオも…
 最後に、米中が戦争をしないオプションが残されている。「(4)グローバル・ガバナンス変化」段階だ。

 これは、上述第2の道で「オフショア・コントロール戦略」に失敗し、そのまま米軍が撤退するというシナリオだ。事実上、米国はこの戦いに敗北し、中国の勝利により第二次世界大戦後の「国際秩序」は大きく変更を迫られ、いわば無秩序な世界へと突入する。

 以上が、今後起こり得る米中戦争の様相だ。米中が何を選択するかによって、世界は大きく変わることがお分かりだろう。実際には核兵器保有国同士であること、および経済的に相互利益を有していることから、政治・経済・外交を含む、あらゆる抑止オプションを徹底して活用しながら、徐々に中国に軍事的な圧力を高めていく行動に出ると思われる。

 いずれにしても、中国がこのまま自制の無い過激な行動を取り続けた場合、私たちの未来に待つシナリオは、悪くなる一方である。現時点では、抑止のために最大限努力することが、日本を含む国際社会全体に求められている。

“飲み込まれる”日本の戦略オプション
 日本は、否応なくこの状況に“飲み込まれる”。そう、“巻き込まれる”程度では済まない。

 「抑止」段階にある現在、日本は、国際社会の一員として、中国の過激化する行動を抑えていく努力が求められる。米軍が実施する「柔軟抑止オプション」(第2回)に協力し、彼らを支える必要がある。現在、既に自衛隊と米軍の間で緊密な協力が行われており、近年、自衛隊は米軍からこの作戦概念を取り入れ始めた。さらに、集団的自衛権が行使できるようになったことにより、抑止効果が非常に高まったと言える。

 しかし、「(1)抑止の失敗」段階に入ると、日本はより厳しい状況に立たされる。特に、東シナ海における小競り合いが、本格的な紛争にエスカレートしないように管理しなければならないためだ。東シナ海で日中のみが紛争の当事国となる場合、米国が具体的な行動に出るか否かは、日米間の外交交渉にかかっている。米国は“巻き込まれたくない”本音があるから、日米安保条約があっても日本は独力で中国を相手にする覚悟も必要となる。

 中国が南シナ海でも同様の威嚇を続けた場合、不幸にも米中は非常に高い確率で「(2)戦争前夜」を迎えることになるだろう。

 日本は米国が第1の道「早期の統合エアシーバトル戦略」を選択する場合に備え、早い段階から展開してくる本格的な米軍との共同作戦ができる能力を整えておく必要がある。戦闘領域での役割分担や緊密な連携は当然のこと、補給活動や、戦闘員の救難も直ちに行える体制を事前に完成させておく必要がある。

 米国が第2の道「オフショア・コントロール戦略」を選択した場合、前方へ配備される米軍の規模は縮小され、日本が当該作戦へ積極的に参加することが求められると予想できる。具体的には、マレーシア周辺海域での海峡の封鎖作戦や、南・東シナ海での中国商船を臨時検査するための海上自衛隊の協力だ。

 そして、「(3)米中軍事衝突」段階。日本の在日米軍基地及び自衛隊の施設は、中国から大量のミサイル攻撃を受ける。米軍は、米本土または太平洋上空から中国本土への直接攻撃を行う能力を備えているかもしれないが、日本は自分の領土を守るには日本の基地を起点とするしかなく、その基地に打撃を受けるため反撃できない。事前にミサイル攻撃への対処能力を向上させ、基地の被害を速やかに復旧する技術と作戦が必要となる。

 米中が戦争を避ける「(4)グローバル・ガバナンス変化」段階は、皮肉にも日本にとって最悪のシナリオかもしれない。南・東シナ海における中国の支配勢力は拡大し、我が国は、領土の一部と経済的排他水域を喪失することになる。そして、国際政治は中国の台頭を許容せざるを得ず、日本国内は中国寄りの政党と反中勢力に二分され、日本と日本人のアイデンティティは、再び試練の時を迎える。

日本の将来を決定する鍵は何か?
 日本を取り巻く状況は、実に残酷である。かつて太平洋戦争で米国と戦い、冷戦で米ソの間に立ち、そして現在は米中の間で強大な2大パワーの戦略に飲み込まれようとしている。各国のリーダーたちは、互いに脅し合いを始め、勝ち残りに躍起になっているように思えてくる。

 我々が住む、この日本という国が置かれた残酷な現状を直視してみると、これから、私たちが取るべきオプションが見えてくる。しかし、そのオプションを実行に移すためには、現実に対する謙虚な姿勢と、変化を起こそうとする勇気、そして何より、日本や日本人が、世界においてどのような存在でありたいかという理想が必要だ。

 この無秩序にさえ思える世界を生き抜くためには、戦いをも覚悟せざるを得ない。ならばそれぞれの人間が、たった一度しかない人生をかけて戦うために必要なものを、日本社会が明確に提供する必要があろう。

 日本の将来を決定する鍵は、残酷な現実に立ち向かう勇気と、明確な理想ではなかろうか。

※この連載の内容は筆者個人の見解であり、所属する組織の公式的な見解ではありません。

(文/上村 康太=日本GE株式会社 安全・危機管理部長)


日中首脳会談 首相、領海侵入で自制要求 「衝突回避」運用へ協議加速
産経新聞 9月6日(火)7時55分配信

 【杭州=小島優】20カ国・地域(G20)首脳会議出席のため中国・杭州を訪問中の安倍晋三首相は会議閉幕後の5日、中国の習近平国家主席と会談し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で相次ぐ中国公船の領海侵入について「特異な活動は極めて遺憾だ」と抗議し、自制を求めた。一方で、両首脳は東シナ海での不測の事態を回避するため、日中防衛当局間の「海空連絡メカニズム」の早期運用開始に向け、協議を加速することで合意した。

 首相は、中国が日中中間線付近で一方的にガス田開発を進めていることについて、2008年の東シナ海のガス田共同開発に関する合意に基づく協議の再開を提案。習氏も応じ、14日に高級事務レベル協議を広島で行うことで一致した。

 首相は南シナ海問題でも7月の仲裁裁判所の裁定を念頭に「国際法を守り、周辺国との不安解消に努めてほしい」と述べた。これに習氏は「日本は当事者ではない」と反論した。

 中国国営新華社通信によると、習氏は東シナ海問題に関し「日本は地域の平和と安定を守るために対話を通じて適切に対処すべきだ」と述べ、南シナ海問題についても「日本は言動に注意すべきだ」と不快感を示した。

 安倍首相は会談後の会見で東シナ海、南シナ海情勢について「日本の立場、私の考えを率直に伝えた」と説明。その上で「対話と協議を通じて東シナ海の安定を図り、真の意味で平和、協力、友好の海とするよう働きかける」と強調した。首相は11月にペルーで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での再会談を呼びかけた。習氏の返答はなかった。

 一方、北朝鮮の弾道ミサイル発射について首相は習氏に「責任ある国連安全保障理事会常任理事国として中国の建設的対応を期待する」と述べ、連携を求めた。


日中首脳、冷めた応酬 対話重視も南シナ海平行線
産経新聞 9月6日(火)7時55分配信

 日中関係の現状を象徴する会談だった。5日夜、中国・杭州で開催された日中首脳会談。1年5カ月ぶりの再会だったが、握手を交わす安倍晋三首相と習近平国家主席の表情はともに硬く、笑顔もなし。会談も、冒頭から冷たい言葉の応酬が続いた。

 習氏「中日関係は時に複雑な要素に妨害をされて機微かつ脆弱(ぜいじゃく)な一面も突出している。両国としては妨害を排除して一日も早く正常な発展の軌道に戻すように努力しなければならない」

 安倍首相「日中間に困難な問題、課題も少なくないが、戦略的互恵関係の考え方に立って、困難な課題をマネージしつつ、安定的な友好関係を築いていきたい」

 同時通訳で約35分の会談。日本同行筋は「かなり中身のある、やり取りができた」と強調した。とはいえ、習氏が「複雑な要素」、安倍首相が「困難な課題」と言及したのは、東・南シナ海をめぐる問題での対立が念頭にあるからにほかならない。

 東シナ海問題に関して安倍首相が「安定なくして日中の安定なく、真の意味で平和協力、友好の海とするため、ともに努力していく」と求めると、習氏も「安定を維持していく」と応じた。

 ただ、南シナ海問題について安倍首相が「地域の平和と安定に直結する国際社会の関心事項」として「法の支配」の重要性を強調したのに対し、習氏は日本は当事者ではないとする従来通りの中国側の立場を主張して平行線に終わった。

 「G20は経済問題が主要議題」-。会議前、日本政府には、中国政府が南シナ海問題を極力、避けようとする姿勢が伝わっていた。それでも首相がこの問題にこだわったのは、中国が4日に南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)に公船や作業船などを集結させたからだとみられる。

 会談の終わり、安倍首相は「マイナスを減らしてプラスを増やしていこう」と習氏に語った。ただ、これは会談の途中、習氏自身が日中関係の改善に向けて提案した言葉だった。首相に続き、習氏も再び同じ言葉を口にして会談を結んだ。

 首相が習氏の言葉を語ったのは、是々非々で対応する姿勢を中国側にアピールするためだったとみられるが、こうしたメッセージは中国側にどう伝わるのか。

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に公船を相次いで侵入させていた中国だが、8月下旬からは活動を沈静化させている。しかし、外務省幹部が「G20が終われば元の状態に戻るのではないか」と指摘するように、今後は、尖閣周辺での行動を再開し、南シナ海問題でも強硬姿勢を貫く可能性が高い。(杭州 小島優)


中国、日本領海を侵犯!世界各国が一斉に中国の不当輸出品を排除の動き
Business Journal 9月6日(火)6時2分配信

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東シナ海に向けて出航する中国の漁船団(写真:Imaginechina/アフロ)

 南シナ海における中国とフィリピンの領有権の問題について、7月にオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が「中国の主張には法的根拠がない」という判決を下した。この裁定について、中国は「紙くず」と認めない姿勢を貫く一方、当事者のフィリピンやアメリカは「判決を尊重すべき」と圧力をかけている。

 この判決に強制力はないが、国際法に基づく裁定であり、「それに従うべき」というアメリカの理屈は当然といえる。また、アメリカとしては、この中国の判決拒否を許せば、国際的な領土問題の仲裁そのものが無効化されてしまう事態も招きかねない。中国だけにわがままが許されるということはあり得ないため、ほかの国に対しても、このような強引な領土拡張を認めざるを得なくなってしまうわけだ。

 法治主義においては「法の下の平等」が原則だが、それを無視するような中国の態度は世界的に非難されて当然であると同時に、国際社会はその原則の遵守を強く求め続けることが必要だ。

 逆に、中国としては、これ以上の南シナ海の領土拡張は難しくなったということで、東シナ海の尖閣諸島に大量の船舶を航行させるというトンデモ行動に出た。この挑発行動ともとれる領海侵入に対しても、アメリカは「日米安保条約が適用される」と牽制している。

 基本的に、これまで西側諸国は「武力行使による既存の支配体制の変更は認めない」という方針をとってきた。「法の支配3原則」として、「国際法に基づく主張」「力や威圧を用いない」「司法手続きを含む平和的解決」があり、これらに当てはまらない例を一国でも許してしまうと、ほかの国に対しても許さざるを得なくなってしまう。それは世界の司法体系や秩序の崩壊につながってしまうため、そうした国を認めるわけにはいかないのだ。

●冷戦時代に戻ったかのような対立構造

 さかのぼれば、第二次世界大戦後に西側と東側に分かれるかたちで2つの秩序体制が生まれた。西側諸国は「自由」「人権」「普遍的価値観に基づく法による支配」という3つの条件を基本路線にすると同時に、東側諸国に対してもそれを要求し続けてきた。

 一方、東側諸国は共産主義とはいうものの、実態は共産主義を標榜した独裁政権であった。中国も旧ソビエト連邦も共産党による一党独裁であり、事実上、共産主義を利用した単なる独裁政権だったといえる。また、「独裁=人治主義」であるため、権力者がルールを決めて、国民はそのルールに従うという構図である。法治主義とは正反対の世界であり、例えば、言論の自由すら認められていない中国では、人権が守られていないも同然だ。

 かつての冷戦の時代は、いわばそうした価値観の対立が起きていたわけだが、東側が崩壊したことによってアメリカによる一国支配に近い体制となり、世界の理念やルールが共通化される動きが進んだ。これは、グローバリズムと言い換えることもできる。

 そのベースとなるのが前述した3つの条件であり、それらを守るという前提の下で西側諸国によって発展を約束されたのが、中国や旧ソ連(およびロシア)など東側諸国の立場だった。つまり、西側のルールを守ることによって、西側からの資本や技術の流入が許され、それによって発展するというシナリオだ。

 この基本構造は、今もまったく変わっていない。発展して豊かになったからといって、東側の国が前提条件を反古にすることは許されないわけだが、それをやってしまっているのが中国だ。そういう意味では、今、世界には非常に強い対立構造が生まれていて、まるで時間軸が冷戦の頃に戻っているかのような状況なのである。

●中国のダンピング製品は市場から排除へ

 このまま進んでいくと、世界で何が起きるのか。ひとつは、西側による中国の閉め出しである。すでに、アメリカは中国企業のファーウェイとZTEに組み込まれているチップの開発に中国人民解放軍が関与しているということで、「国家保安上のセキュリティリスクがある」として、使用に強い拒否反応を示している。

 政府機関や軍での使用を禁じるとともに、ソフトバンクがアメリカの通信会社のスプリント・コーポレーションを買収する際にも、ソフトバンクがファーウェイやZTEのチップや機器を使用していることを危険視し、中国製品の排除を条件に買収を認めたことがある。また、アメリカは中国に対して、プロセッサやCPUの輸出禁止という措置もとっている。

 かつて、国務規定というかたちで、東側諸国への最新鋭の製品の輸出統制があった。1980年代に東芝の子会社が旧ソ連に工作機械などを輸出したことが対共産圏の輸出統制に違反するとして政治問題に発展した「東芝機械ココム違反事件」があった。このままでは、再びそういった輸出統制がかけられるような方向に進んでいくことになるだろう。

 規制には金融規制という方法もあるが、一度に急激な金融規制を仕掛けた場合、中国に多額の投資をしている西側諸国にとっても大きな負担になる。特に、ただでさえ弱体化しているドイツ銀行など、ヨーロッパの各銀行にとっては破綻の原因にもなりかねない。逆にいえば、そうした事情をわかっているからこそ、中国は横暴を働いているわけだ。

 ただし、中国の傍若無人な振る舞いをこれ以上放置すれば、世界秩序が大きく乱されることになるため、今後は段階的な規制が進んでいくことになるだろう。そのひとつとして、中国製品のダンピング(不当廉売)に対する動きがある。

 現在、中国では鉄鋼や太陽光パネルなどが過剰生産の状態で、ダンピングによって輸出しているような状況だ。それによって先進国の市場は大きなダメージを受けており、国際的に問題視されている。

 すでに、アメリカ国際貿易委員会は中国から輸入される冷延鋼板について大幅な反ダンピング関税の適用を決定しており、その税率は522%にもなると見られている。また、中国からパテント違反の鉄鋼が大量に輸入されているということで、中国の鉄鋼企業に調査が入っており、今後は税関でストップがかかる可能性もある。

 このように、特にアメリカで中国製品に反ダンピング関税を適用する動きが強まっているわけだが、この流れはヨーロッパも同様である。そして、今後は、世界中がそういったかたちで“中国排除”を進めていくと見られている。
(文=渡邉哲也/経済評論家)


安倍首相が東シナ海で自制要求、中国主席と会談
ロイター 9月6日(火)0時51分配信

[杭州 5日 ロイター] - 安倍晋三首相は5日、中国の習近平国家主席と会談し、東シナ海と南シナ海で活動を活発化させる中国に自制を求めた。両首脳は、空や海での偶発的な軍事衝突を回避するための連絡体制の早期運用に向けた協議を加速することでも一致した。

中国の杭州で開かれた20カ国・地域(G20)会合に出席した安倍首相は、5日夜に習主席と会談。その後の会見で、中国の海洋進出によって日本や東南アジア諸国との緊張が高まっていることについて「日本の立場を率直に、明確に伝えた」ことを明らかにした。中国公船の東シナ海での活動に遺憾の意を表明し、状況を改善するよう求めた。

東シナ海の尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺では、中国の公船、軍艦、軍用機が活動を活発化させている。6月には日本が接続水域と主張する海域に中国軍艦が侵入したほか、中国の戦闘機が南下する動きを見せ、日本側との緊張が高まった。

一触即発の事態を避けるため、安倍首相と習主席は防衛当局間による連絡体制「海空連絡メカニズム」の構築に向けた協議を加速することで一致した。安倍首相は会見で、「さまざまな分野、さまざまなレベルでの対話を進めることで合意した」と語った。

尖閣諸島をめぐっては、中国が領有権を主張する一方、日本は固有の領土として領有権争いは存在しないとの立場を取っている。

このほか両首脳は、5日午後に北朝鮮が3発の弾道ミサイルを日本海に向けて発射したことも協議。安倍首相は、北朝鮮に強い影響力を持つ中国に連携を求めた。同首相は会見で、北のミサイル発射は「国際社会への明確な挑戦であり、断固抗議する」と語った。


軍・公船の活動「極めて遺憾」=周辺国の不安解消要請―安倍首相
時事通信 9月5日(月)23時54分配信

 安倍晋三首相は5日の習近平国家主席との会談で、東シナ海の尖閣諸島をめぐる情勢に関し、「公船や軍による特異な活動は極めて遺憾だ。状況を改善するよう求める」と伝えた。

 首相はまた、南シナ海での中国の海洋進出に関し「国際法のルールを守り、周辺国の不安解消に努めてほしい」と求めた。両首脳は東シナ海ガス田の共同開発交渉に関し、14日に交渉再開のための協議を行うことで一致した。


<日中首脳会談>安倍首相、尖閣で自制要求 衝突回避を確認
毎日新聞 9月5日(月)23時41分配信

 【杭州(中国)影山哲也、河津啓介】安倍晋三首相は5日夜(日本時間同)、中国の習近平国家主席と中国・杭州市で約35分間、会談した。首相は、沖縄県・尖閣諸島周辺で8月、中国公船による領海侵入が相次いだことに対し自制を求めるとともに、南シナ海問題で法の支配を重視するよう促した。両首脳は、偶発的な軍事衝突を防ぐ「海空連絡メカニズム」の早期運用開始に向けて協議を加速することで一致した。

 会談の冒頭、習氏は「中日関係は時に複雑な要素に妨害され、脆弱(ぜいじゃく)な一面も突出している。妨害を排除し、一日も早く正常な発展の軌道に戻すよう努力しなければならない」と表明。首相は「困難な問題も少なくないが、戦略的互恵関係の考え方に立ち、安定的な友好関係を築いていきたい」と応じた。

 首相は、尖閣周辺での中国公船の活動について「公船や軍の特異な活動は極めて遺憾だ。一方的に緊張をエスカレートさせるべきでない。東シナ海の安定なくして日中関係の安定はない」と状況の改善を強く要求。習氏は「東シナ海の平和と安定を維持する。両国が衝突するようなことがあってはならない」と述べた。

 中国が東シナ海の日中中間線付近で開発を続けるガス田問題を巡っては、2008年の共同開発に関する政府間合意に基づき、交渉再開に向けて協議することで両首脳が合意した。これに関連し、両政府は高級事務レベル海洋協議を今月14日に広島で開催する。

 首相が呼びかけた海空連絡メカニズムは12年6月に防衛当局間のホットライン設置などで基本合意したが、同年9月の尖閣国有化に中国が反発し、協議が中断している。

 焦点の南シナ海問題では、首相が「地域の平和と安定に直結し、日本を含む国際社会共通の関心事項である南シナ海問題で中国の適切な行動を期待する」と述べたのに対し、習氏は「日本は当事者ではないのではないか」と反論。会談では中国の主張を否定した7月の仲裁裁判所の判決に関するやり取りはなかった。

 新華社通信によると、習氏は「東シナ海の問題を適切に処理し、ともに平和と安定を守るべきだ。日本は南シナ海問題で言動を慎み、中日関係の改善に障害を作ることを避けるべきだ」と自国の原則的立場を強調した。

 首相は11月にペルーで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた再会談を呼びかけたが、習氏は明確に返答しなかった。ただ、習氏は関係改善に向け「マイナスを減らし、プラスを増やすべきだ」と述べ、首相も同意した。

 両首脳の会談は3回目で、昨年4月にジャカルタで行って以来約1年5カ月ぶり。南シナ海問題で日本が中国に仲裁裁判所の判決受け入れを繰り返し求めたことに中国側が反発し、日程調整が一時難航した。会談は主要20カ国・地域(G20)首脳会議の閉幕後に行われた。


連絡メカニズムの協議加速=尖閣情勢、安倍首相は改善要請―日中首脳会談
時事通信 9月5日(月)22時13分配信

 【杭州時事】20カ国・地域(G20)首脳会議に参加するため中国・杭州を訪れている安倍晋三首相は5日午後、中国の習近平国家主席と会談した。

 両首脳は東シナ海などで偶発的な衝突を避けるための「海空連絡メカニズム」の運用開始に向け、防衛当局間の協議を加速することで一致した。

 首相は東シナ海の沖縄県・尖閣諸島周辺の情勢に関し、「公船や軍による特異な活動は極めて遺憾だ」と伝え、領海侵入や接続水域航行が相次ぐ状況を改善するよう求めた。習主席は「東シナ海の平和と安定を共同で維持すべきだ」と述べた。

 両首脳の会談は約1年半ぶりで3回目。南シナ海の領有権問題で中国の権益主張を退けた7月の仲裁裁判所判決後、初めてとなる。首相は南シナ海への中国の海洋進出について、「国際法のルールを守り、周辺国の不安解消に努めてほしい」と要請。ただ、仲裁判決には触れなかった。これに対し、習主席は「日本は言動に気を付けるべきだ」とけん制、日本は当事者でないとの従来の立場を繰り返した。

 両首脳は、東シナ海ガス田の共同開発交渉に関し、14日に交渉再開のための協議を行うことで合意。さまざまなレベルで対話を促進することも確認した。習主席が日中関係について「一日も早く正常な発展の軌道に戻すよう努力しなければならない」と述べたのに対し、首相は「安定的な友好関係を築いていきたい」と応じた。

 会談では、北朝鮮が5日、弾道ミサイル3発を日本海に発射したことに関しても意見交換。首相は習主席に、「責任ある国連安保理常任理事国としての中国の建設的な対応を期待する」と述べ、対北朝鮮制裁決議の厳格な履行を求めた。


中国海警局の公船4隻、尖閣沖の接続水域航行
読売新聞 9月5日(月)10時35分配信

 第11管区海上保安本部(那覇市)によると、5日午前9時現在、沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島沖の接続水域(領海の外側約22キロ)内を、中国海警局の公船4隻が航行している。


尖閣に侵入する中国漁民は武器を操る「海上民兵」だ
NEWS ポストセブン 9月3日(土)7時0分配信

「尖閣諸島周辺での中国の一方的な行動は認められない」──岸田文雄外相の抗議に、のらりくらりと「東シナ海の情勢悪化を防ぎ、不測の事態を回避することが重要だ」と返した王毅外相。

「情勢悪化を防ぐ」どころか、日中韓の外相会談が開かれた8月24日の前日にも、尖閣諸島・久場島沖の接続水域(領海の外側約22km)を、中国海警局の公船4隻が悠然と航行していた。

 さらにその2日前にも、やはり延べ4隻の公船が領海に侵入している。

 調整が難航し、ようやくセットされた外相会談の直前に領海・接続水域への侵入を繰り返すとは傍若無人もいいところだが、見方を変えればそれだけ「尖閣は中国領」という主張が特別な機会を狙ったアピールではなく、“日常化”しているということである。

 放置すれば、日本の領土を奪われかねない非常に危うい事態だ。

 8月初旬に中国公船20隻以上、漁船400隻以上が尖閣周辺に押し寄せたことは大きな話題となったが、その後はオリンピック関連のニュースばかりが報じられ、尖閣周辺海域での緊迫した情報はほとんど伝えられなくなってしまった。

 海上保安庁の資料などをもとに、騒ぎとなった8月初旬から日中韓外相会談までの動きを検証しよう。

●8月7日 中国公船11隻と漁船15隻が相次いで領海侵入
●8月8日 中国公船4隻と漁船24隻が相次いで領海侵入
●8月9日 中国公船10隻と漁船25隻が相次いで領海侵入
●8月10~16日 接続水域で公船複数が航行・停泊を繰り返す
●8月17日 公船4隻が相次いで領海侵入
●8月19~20日 接続水域で公船3隻が航行
●8月21日 公船4隻が相次いで領海侵入
●8月23日 接続水域で公船4隻が航行

 テレビや新聞はこの事態を忘れてしまったようだが、切迫した状況が続いていることは明らかだ。1年前は、領海や接続水域に侵入する公船は一度に2~3隻だったが、ここに来て「4隻」ローテーションになっている。中国側の「尖閣を奪う」という明確な意思が伝わってくる。

 さらにこの間、8月19日には尖閣沖の排他的経済水域(EEZ)で、中国海警局の公船が中国漁船に横付けし、漁船乗組員が公船に乗り移る現場が海上保安庁によって確認されている。日本のEEZ内で、中国が「漁業管轄権」を行使した疑いがある。

 南シナ海で岩礁が次々に奪われたケースを考えれば、次なる行動は、海上民兵が起こすことになるだろう。

 8月に400隻以上も襲来した中国漁船には、100人以上の海上民兵が乗っていたことが明らかになっている。彼らは軍事訓練を受けており、海警局の公船と連携を取りながら動いている。

 中国の常万全・国防相も浙江省にある海上民兵の拠点を訪れて「海の人民戦争の威力を十分に発揮せよ」とハッパをかけているほどだ。

 領海内で中国漁船が何らかの違法行為をして、海警局がその“取り締まり”に駆け付けるといった方法で、何らかの「法の執行」をして既成事実を作ってくることは十分考えられる。

 さらに、中国の漁船が偽装事故を起こして尖閣諸島に“緊急避難”し、中国海警局がその“保護”に駆け付ける──そうすれば、上陸を許してしまうことになる。

 海自や海保が24時間体制で監視に当たっているが、100人以上の海上民兵が乗った数百隻の漁船には対応できない。日本側も、「抗議する」という言葉を繰り返すだけでは中国の挑発がエスカレートする一方であることを認識し、彼らの動きを「止める」新たな方策を取る必要がある。

※SAPIO2016年10月号


「尖閣諸島を手放せ」という人が知らない現代中国の「侵略の歴史」
デイリー新潮 9月2日(金)12時30分配信

■「尖閣は要らない」と言った元参議院議員
 尖閣諸島周辺や南シナ海での乱暴狼藉を見て、日本国内において中国への危機感を強める人が増えているが、一方で、不思議なほど中国への警戒心がない人もいる。8月29日に放送された『橋下×羽鳥の番組』(テレビ朝日系)では、元参議院議員の田嶋陽子氏が「尖閣諸島は一度手放して中国に渡すべき」という大胆な持論を述べた。

 この発言に対して放送直後からネットでは議論が沸き起こったが、こうした意見は田島氏の専売特許ではない。

「友好の妨げになるくらいならば、あげてしまえばいい」という類のアイデアは、主に左派とされる人の口から出てくることが多い。

 こうした人たちは「それで揉め事がなくなって、友好関係が保てるのならばいいじゃないか」と考えているのだろうが、果たして中国に対してそのような善意は通用するのだろうか。そのように心を許しても大丈夫なのだろうか。

 それを考えるうえで重要なのは、過去の歴史を学ぶことだろう。

 公文書研究の第一人者である有馬哲夫早稲田大学教授は、新刊『歴史問題の正解』の中で、「現代中国の歴史は侵略の歴史である」と題した章を設け、戦後間もない頃の中国の「侵略」の姿をわかりやすくまとめている。以下、同書から引用してみよう。

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■中国のアジア大侵攻
 意外なことに、中国のアジア各地での拡張主義的動きは、朝鮮戦争と時期が重なる。

 筆者は朝鮮半島に約30万の軍隊を送った中国は、この戦争にかかりっきりだったと思い込んでいたが、実際はまったく違っていた。

 中国は朝鮮戦争とほぼ同時進行で、ヴェトナム北部に大軍を送り、ミャンマー(当時はビルマ、以下同)北部・タイ・ラオス・中国南部の国境地帯で領土拡張の浸透作戦を行い、台湾に侵攻するための艦船の供与をソ連に求めていた。

 しかも、前年の1949年にはすでにチベット東部を侵略していて、朝鮮戦争のさなかにも中央チベットまで侵攻し、チベット征服を完成させているのだ。

 まさしく貪欲そのものだ。

 こういった中国の侵略的動きの全体を眺めてみると、朝鮮戦争への中国の参戦がこれまでとは違ったものに見えてくる。つまり、この参戦は、自衛というよりは、中国が周辺諸国に対して起こしていた一連の拡張主義的動きの一部だったと見ることができるということだ。

 事実この戦争のあと、中国はソ連に代わって北朝鮮の宗主国となる。

 その後、中国はさらにヴェトナム、ラオス、ミャンマー、タイ、インドへとターゲットを変えつつ、侵略的動きを継続させていく。近年の西沙諸島や南沙諸島の島々の強奪、そして尖閣諸島への攻勢は、この延長線上にあるのだ。

 まず、中国の拡張主義的動きがどのような背景から起こったのかを知る必要がある。以下の本国(アメリカ)の国務省―アメリカ極東軍司令部(東京)間の1950年1月24日の電報はこれを明らかにしてくれる。

「(前略)中国の勢力圏のなかにおいては、ソ連はチベットを含む戦争において(中国に)特別な権利を認めることになっている。熱烈な親ソ派は、共産主義拡大のためには国境線など忘れるべきだとする。共産主義のために中国が提供すべきとされる兵力は500万に引き上げられた。30万人の中国人労働者がすでに満州からシベリアに送られており、さらに70万人が6ヶ月のうちに華北から送られることになっている。中国のあらゆる施設と炭鉱にソ連の技術者が受け入れられることになっている。ソ連式の集団的・機械的農業を夢見る熱烈な親ソ派は、農民がいなくなった耕作地と残された人々の飢餓を平然と眺めている。(後略)」

■自国民を「シベリア送り」に! 
 ここでは中国とソ連の間の密約が明らかにされている。つまり、中国は共産圏拡大のために500万人までの兵力を提供することを約束し、満州と華北から100万人の労働者をシベリアに送ることにしている。それと引き換えに、中国の鉱山や施設にソ連の技術者を送ってもらい、領土を拡張することをソ連に認めてもらっている。

 満州と華北の人民といえば、軍閥同士の覇権争い、日中戦争、ソ連軍の侵攻、国共内戦によって多大の被害を被った人々だ。新生中国は、よりによって、もっとも戦禍に苦しんだ同胞をシベリア送りにし、その代わりとして、ソ連の技術者を派遣してもらい、隣国を侵略する権利をソ連から得たのだ。

 しかも、特に熱烈な親ソ派は、大動員の結果として広大な耕作放棄地が生じても、あとに残された人々が飢餓に苦しんでも、平然としているという。ソ連式の集団的・機械的農業が導入できるというので、このような事態を歓迎しているようだ。朝鮮戦争に駆り出されたのもこの地域の住民だったのではないだろうか。「中華人民共和国」といいながら、中国共産党幹部は人民の生活と生命をないがしろにしている。

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「歴史に学べ」といった主張は、左派、右派双方から唱えられているが、冷静に事実を見れば、大日本帝国の「侵略」によって平和が侵され、甚大な被害を受けたはずの中国が、その戦争からほんの数年で、アジア各地を侵略していただけではなく、100万人もの自国民をシベリア送りにしていたということになる。

「尖閣諸島なんか手放せ」という人たちは、この中国と現在の中国はまったく別の性質を持つ国家だと思っているのかもしれない。しかし、その根拠はどこにあるのだろうか。

デイリー新潮編集部


中国の脅威は抑止できる 日米両国がいまやるべきことは…
産経新聞 9月1日(木)17時5分配信

 ■米ヴァンダービルト大学名誉教授 ジェームス・E・アワーさん

 〈中国は南シナ海で人工島を造り、港や滑走路を建設。ミサイルを配備するなどして、周辺諸国の脅威となっている〉

 中国が将来、何をするのかが問題です。中国が普通の国として国際社会の一員になるのなら、それはよいことでしょう。中国もそうなると公言しています。しかし、問題は誰も中国を信じていないことです。

 中国は自らばかげた行動に出ることで、日本だけでなく、多くの東南アジア諸国やオーストラリア、インドが警戒感を募らせています。もし、中国がこのまま周辺諸国の脅威となっていくのであれば、かつて日米両国が協力してソ連の脅威を抑止したように、日米と周辺国は、同じように中国の脅威も抑止することができるでしょう。

 中国の軍部は冒険主義的ですが、文民の指導部は軍部をそれほどには信じていません。注意深く情勢を分析しています。だからこそ、日米両国は力強い戦略をもって日米安保の信頼性を高める努力をすれば、中国を抑止することができるのです。

 ただ、日米安保はまだ十分には強くはありません。オバマ政権のアジアへのリバランス戦略はいいアイデアですが、まだその形はぼんやりとして見えていません。米国はアジアにそれほど強力には関与していないと思います。それは米国にとっても、日本にも危険なことなのです。

 英語に「プッシュ・ザ・エンベロープ」という表現があります。少しずつ前進させるという意味です。子供が何か悪いことをして親の顔色をうかがっているとき、親はしっかりと叱る必要があります。そうしないと、状況は少しずつ悪くなります。悪いことをしてもいいというふうに思わせないようにすることが最も大切なことなのです。

 中国は少しずつ自分たちの欲求を満たそうとするでしょう。台湾はもちろん、日本の尖閣諸島も奪取しようとするでしょう。中国が前進するなら、米国と日本は何かの行動を起こすと、中国指導部に思い込ませることが何より大事なことなのです。しかし、残念ながら、私たちは中国に対してこうしたレッスンを与えてはいません。

 私たちには、偉大なる能力があります。米海軍と海上自衛隊は特にその能力が高いのです。中国が行き過ぎたことをした場合、私たちはその力を行使することを望んでいるとはっきりと知らせる必要があります。もし、日米が力を使うと信じたら、彼らは挑戦しようとはしないでしょう。しかし、何もやらなければ、少しずつゆっくりと、中国は前進してくるでしょう。

 ケリー米国務長官は、われわれは戦争をしてはいけない、外交で物事を解決するのだ、ということを繰り返し述べています。しかし、外交はそれだけでは機能しません。強力な防衛能力が裏付けとなって初めて機能するのです。

 オバマ政権はシリアが越えてはならない一線を引きましたが、それが破られても軍事介入をためらい、問題を深刻化させています。日本の菅直人政権は、日本領海内で違法操業した中国人船長を釈放してしまい、尖閣諸島周辺海域で中国の増長を招きました。外交が大切だと口でいうことは簡単です。しかし、軍事能力を持たなければ外交にはならないというのが現実なのです。

 戦争がなければ、こんなに素晴らしいことはありません。しかし、すべての人や国が平和や民主主義を希求しているわけではないのです。(聞き手 内藤泰朗)


防衛省の概算要求、最大5.1兆円 中朝の挑発、備え力点
産経新聞 9月1日(木)7時55分配信

 防衛省の平成29年度予算の概算要求は、日本周辺の海空域で挑発行為を続ける中国と北朝鮮を強く意識し、離島防衛やミサイル防衛(MD)など装備調達に力点が置かれた。総額(5兆1685億円)は5年連続の要求増だが、国内総生産(GDP)1%を上回らない状態は維持される見通し。米大統領選共和党候補のドナルド・トランプ氏は同盟国の負担増を求めており、11月の本選の結果次第では米側からさらなる防衛費の増額を求める圧力が強まる可能性もある。(杉本康士)

                   ◇

 「周辺海空域における安全確保、島嶼(とうしょ)部に対する攻撃への対応などのため、防衛力整備を着実に実施するための経費を計上した」

 稲田朋美防衛相は31日の防衛省内の会議で、防衛予算増額に向けた意欲を示した。

 8月だけでも尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で中国公船が領海侵入を繰り返したほか、北朝鮮の弾道ミサイルの弾頭が初めて排他的経済水域(EEZ)に着弾。そうした日本を取り巻く厳しい安全保障環境を反映する概算要求となった。

 ◆包囲網づくりも意識

 海洋進出を強引に進める中国に対し、防衛省は巡航ミサイルへの対処能力を向上させた改良型03式中距離地対空ミサイルを177億円で初めて取得し、沖縄本島に配備する方針だ。最新鋭「そうりゅう」型潜水艦の音波探知能力を強化した新型潜水艦(760億円)も新たに調達する。

 無人偵察機「グローバルホーク」(173億円)、6機分の最新鋭ステルス戦闘機F35(946億円)も今年度に引き続き計上。航空自衛隊三沢基地(青森県)に臨時F35A飛行隊(仮称)を新編する。

 装備以外にも、対中国包囲網づくりを意識した予算要求が目立つ。南シナ海の領有権を中国と争うフィリピンとベトナムの防衛駐在官を1人ずつ増員。中国が影響力を強める中央アジアでは、能力構築支援の対象にカザフスタンとウズベキスタンを新たに加えた。

 対北MD態勢では、射程や精度を向上させた海上配備型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の取得費(147億円)を計上。空自の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)も防護範囲と高度が約2倍となる改良型の取得費(1056億円)を初めて盛り込んだ。

 さらに、最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD)など将来のMD態勢をにらんだ調査(6千万円)も進める。

 ◆米から増額圧力警戒

 ただ、今回の概算要求も30年度までの中期防衛力整備計画に沿った装備取得の枠を出るものではない。人件費や老朽化した装備の修理費もかさみ、「思い切った投資はできない」(防衛相経験者)のが実情だ。

 防衛省によると、28年度の防衛費の対GDP比は1%だったのに対し、米国は3・4%で、中国は公表分だけで1・3%だった。

 日本以外の米国の同盟国では韓国が2・4%で、豪州は1・8%となっている。

 トランプ氏は同盟国に対し「応分の負担」を求める考えを強調している。厳しい財政事情を考慮すれば、日本の防衛費の劇的な増額は難しいが、政府内には「(米民主党候補の)ヒラリー・クリントン氏が当選しても、日本に対する風当たりは強くなるだろう」と警戒する声が上がっている。


“歴史に名を残す”ために尖閣を狙う習近平
JBpress 9月1日(木)6時15分配信

 8月上旬、尖閣諸島海域で中国の大量の漁船、公船が領海侵犯を繰り返した。1カ月後の9月4~5日に、今年の中国における最大の外交イベントとなる杭州でのG20開催を控えて、外交が大事であるならやるべきでないことを中国は平気でやってのけた。

 この時期、中国では「北戴河会議」と呼ばれる夏休みを利用した避暑地での非公式会議が行われ、そこでもG20の成功裏の開催に向けた調整がなされたことはまず間違いない。それにもかかわらず、中国は日中関係をいたずらに緊張させる行動をこの時期に起こしたのである。

 7月に常設仲裁裁判所は南シナ海問題に関する中国側の主張を退ける裁決を下した。尖閣諸島海域での挑発的な行動は「裁決の背後に日本の策謀があった」と言いがかりをつけた中国による「逆ギレ」対応とする見方もできる。

 だが、中国海軍の最近の動き、例えば6月の尖閣諸島接続水域でのウラジオストクに帰還するロシア艦隊との連携行動や、中国海軍艦船の「無害航行」を口実にした口永良部島付近の航行などの延長で考えれば、様々なやり方で日本側の対応を試していることが分かる。

 つまり、8月の尖閣海域での行動も、中国にとっては長期的な尖閣諸島奪取のための準備行動と見ることができるのである。そこには「軍の忠誠」を確保したい習近平がそれを黙認し、軍より格下の外交部は文句をつけることもできないという背景が想像できる。

■ 威信を保つために汲々とする習近平

 なぜそういった見方ができるのか。基本的な部分から論じると、1年後の来年秋に中国は第19回中国共産党大会を控えている。5年に一度の開催であり、習近平にとっては政権基盤をより強固なものにするチャンスである。

 習近平は2012年の第18回党大会で政権の座について以来、江沢民派排除の権力闘争と連動した反腐敗キャンペーンで権力固めに邁進してきた。江沢民派が影響力を残す党中央政治局常務委員会のこれまでのやり方であった「集団指導体制」を形骸化させ、多くの中央領導小組を作り、自分がトップを務めることで意思決定の「独占」を図ってきた。

 そして歴代のトップ指導者が手を付けられないできた人民解放軍の機構改革にも大胆に取り組み、強力な指導力を内外に見せつけてきた。

 党内には、習近平に正面から異を唱える人物も見当たらない。その意味で言えば、習近平はすでに党大会に向けて万全の態勢を整えていると言ってもいいのかもしれない。

 しかし、その一方で反腐敗キャンペーンは多くの敵を作っているはずであり、習近平に対する暗殺の可能性さえ語られている。腐敗撲滅に合わせて施行された過度な倹約令は公務員の活動を萎縮させてもいる。習近平が言論統制を強化しているのは、「党の権威を守る」ためというよりも政権批判を封じ込めるためである。いかに自分の威信を保つかに、習近平は汲々としているのである。

■ 政権の実績は「反腐敗」だけ

 さらに別の観点から見ると、習近平政権の底の浅さが分かる。習近平は、「中華民族の偉大な復興」という「中国の夢」を国家的スローガンとして掲げてきた。それから4年が経過したが、習近平は成果らしきものを何ら実現していない。

 中国は胡錦濤時代の2010年に経済規模で日本を抜き、米国に次ぐ存在になった。しかし、習近平時代になって国内経済は成長鈍化を続け、過剰生産能力の削減や赤字を垂れ流し続ける国有の「ゾンビ企業」排除に四苦八苦している。地方を中心とした公的債務の増大も危険視されている。一時期脚光を浴びた習近平の世界戦略である「一帯一路」(陸路のシルクロード経済ベルトと海路の21世紀海上シルクロード)も最近ではトーンダウンの印象がある。

 対外関係については目も当てられない状況となっている。とりわけ習近平が重視しているとされる周辺諸国との関係で言えば、内陸の中央アジア方面は別として、北朝鮮、韓国、日本、フィリピン、ベトナムという東シナ海から南シナ海にかけての近隣諸国との関係はことごとく悪化している。

 それもすべて中国の対応が原因となっている。北朝鮮の核開発や弾道ミサイル実験に有効な制裁策が取れず、北朝鮮のミサイル脅威に対抗するために韓国が米国の提案する終末高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の在韓米軍への配備決定に同意したら、それが中国の安全利益を脅かすとして強硬に反対し、フィリピンが提訴した南シナ海仲裁裁判では裁定を断固拒否し、国連安保理常任理事国としてはあるまじき国際法廷軽視の態度を取ってきた。もちろん、南シナ海における「航行の自由」を掲げる米国との関係も悪化している。

 このように内憂外患が深刻化する状況にあって、習近平が局面打開を切実に望んでいるとすれば、来年の党大会に臨むに当たり、「歴史に名を残す」実績が欲しいのではないか。

 厳しい見方をすれば、習近平時代になって権力の集中は進んだものの、政権としての実績は「反腐敗」以外見るべきものがないのが実状だ。習近平自身の求心力を高め、自分の意のままに党大会を乗り切り、盤石の体制を作り上げ、あわよくば政治局常務委員の定年制を改定し政権3期目を目指すとすれば、ぜひとも国を挙げて拍手喝采を受ける成果を上げたいはずだ。

■ 3つの課題の中で最も実行しやすい「尖閣回収」

 その文脈で言えば、習近平が掲げる「中華民族の偉大な復興」は、「失われた領土主権の回復」に絡んだ次の3つの課題実現と考えていいだろう。第1に「台湾統一」、第2に「南シナ海の『中国の内海』化」、第3に「尖閣(釣魚島)回収」である。

 もちろん、これらを同時に実現することなど不可能だろう。中国革命を完結させる「台湾統一」はますます困難の度を高め、「現状維持」がやっと、という状況にある。オプションとして「武力統一」は残されているものの、それが中国にもたらす国際的ダメージは計り知れない。台湾内部では、自らを「中国人ではなく台湾人だ」と認識する台湾人アイデンティティーの高まりは不可逆的なものであり、「事実上の独立国」だと認識する台湾人が常態化している現実を中国は直視する必要がある。

 「南シナ海の『中国の内海』化」は、中国にとってはミサイル原潜を遊弋させるための聖域確保という戦略的要請が背後にあるが、人工島建設など強引な実効支配の拡大は国際的な批判を招いてきた。国際法を軽視する言動とあいまって、南シナ海問題であまりに対中懸念を高めてしまったため、しばらくは習近平政権として強硬策は取りづらいだろう。

 問題は「尖閣(釣魚島)回収」である。前ニ者と比べ、中国側にもたらす利益は小さい。しかし、日中国交正常化以来の懸案を「解決」したという実績は大きい。中国の一般民衆が「釣魚島は中国のものだ」と信じて疑わない現実に照らせば、「尖閣(釣魚島)回収」の国内的な政治効果はとてつもなく大きいことは間違いない。しかも、ここ1年以内に実行が可能であることも指摘しておくべきだろう。

 そうであるとすれば、これは習近平政権にとって実行する価値があることになる。

■ 尖閣危機は十分に「起こりうる危機」

 ただし、当然ながらリスクを伴う。最大のリスクは、回収に失敗することである。失敗すれば、場合によっては習近平の政治生命に関わるだろう。

 尖閣海域を含む東シナ海での中国海軍の行動が「尖閣(釣魚島)回収」のための準備であるとすれば、日本側の反応を探ることでリスクを最小化するための努力の一環であることは間違いない。

 また、中国にとってもう1つ重要なのは、米国と話をつけ、米中戦争にエスカレートさせるのはお互いの利益とならないことを説得し、事態を極限化することを条件に米国から暗黙の了解を得ることである。米国は尖閣諸島を日米安保条約の適用範囲内であるとしてきたが、実際に尖閣有事となった場合、無人の島を守るために米軍がわざわざ介入することも考えにくい。米国に話をつけ、「口先介入」に留めることができれば中国側のリスクはクリアできる。

 米国と話をつけるならば、事を起こす直前となるはずだが、年内に日中韓首脳会談の日本開催が実現しそうな状況下で中国が事を起こすのは可能性として大きくはないだろう。しかし、11月の米大統領選挙で誰が当選しようが、来年1月下旬の大統領就任から政府高官の人事が固まり切るまでにおよそ半年かかる。米国の新政権が意思決定しづらいこの時期が中国に取ってのチャンスかもしれない。

 実際の回収作戦がどのような形になるかは分からないが、きわめて短期間の局地戦で中国が勝利し、兵員を上陸させ実効支配態勢を取り、尖閣諸島上空の制空権を確保できれば「中国の勝利」ということになる。いかに海上自衛隊が精強であっても、作戦の時間と場所を自分で設定できる先制攻撃が中国を優位に立たせることは間違いない。

 唯一、有効な対応策があるとすれば、それは「自衛隊の尖閣諸島常駐」しかないかもしれない。しかし、そこから生じる政治・外交的リスクは、「中国に尖閣諸島攻撃の口実を与える」ことも含め、きわめて高いものとなることを覚悟しなければならないだろう。

 上記のことを杞憂だと考えるのはその人の自由だ。しかし、世界各地で無秩序化が進む中で、「考えられないことが起こる」事態でさえも備えなければならない。いや、尖閣危機は十分考えられる「起こりうる危機」だと肝に銘じる必要がある。


防衛予算概算要求5年連続増 中国の尖閣侵略阻止に重厚な布陣 地対艦ミサイルなど離島防衛強化
産経新聞 8月31日(水)12時28分配信

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海上自衛隊の潜水艦「じんりゅう」。日本がオーストラリアに売り込みを図るのは、じんりゅうなどの最新鋭「そうりゅう」型潜水艦がベースになっている=3月7日、神戸市兵庫区(彦野公太朗撮影)(写真:産経新聞)

 防衛省は31日、平成29年度政府予算の概算要求で、米軍駐留経費などを含む総額として過去最大の5兆1685億円を計上する方針を決めた。5年連続の要求増で、28年度当初予算(5兆541億円)比で2・3%増。03式中距離地対空誘導弾1式の取得(177億円)など中国を念頭に、離島防衛関連装備に重点を置く内容となった。

 防衛予算は第2次安倍晋三政権発足後の25年度予算から4年連続で伸びている。ただ、人件・糧食費が前年度予算比78億円増の2兆1551億円と4割以上を占めた。

 新規事業では、サイバー攻撃監視態勢などに計125億円のほか、最新鋭「そうりゅう」型潜水艦を改良した新型潜水艦の建造費(760億円)を要求。新艦対空ミサイルの開発に90億円、改良型12式地対艦ミサイルと哨戒機用新空対艦ミサイルの開発に116億円を計上した。

 また、新たな海上配備型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の取得費(147億円)、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)改良型の取得費(1056億円)を初めて盛り込んだ。

 組織改編面では、全国の陸上自衛隊部隊を一元的に指揮する陸上総隊司令部を新編。沖縄防空を担う航空自衛隊の南西航空混成団を方面隊に格上げし、空自三沢基地に臨時F35A飛行隊(仮称)を新たに創隊する。

 一方、南シナ海の領有権を中国と争うフィリピンとベトナムに、防衛駐在官をそれぞれ1人増員する。中国が経済協力で影響力を強める中央アジアに関しては、能力構築支援の対象としてカザフスタンとウズベキスタンを新たに加える。

 今後約20年を見通して科学技術分野の取り組みの方向を示す「中長期技術見積り」を10年ぶりに改定。これを反映し、概算要求に国産水陸両用車(44億円)の研究、米海軍で開発が進めるレールガン(電磁加速砲)の研究(21億円)などを含める。将来有望な先進技術の研究を助成するファンディング制度は前年度の6億円から大幅増の110億円を計上する。


「日本通」王毅外相が豹変した訳
Wedge 8月31日(水)12時20分配信

 中国・王毅外相が8月23日、日中韓外相会談に出席するため来日した。駐日大使も務めた中国「日本通」の代表ながら、来日は2013年3月の就任後初めて。尖閣諸島や靖国神社参拝などをめぐる日中緊張はあったが、3年半も訪日しないのは異常事態だった。しかし折しも8月5日から尖閣諸島周辺に大量の中国公船や漁船が押し寄せ、日中関係の緊張が増す中での来日となった。東京で積極対日外交を展開するという「豹変」の裏には、習近平政権の「外交失点」に伴い国際的孤立がこのまま続けば、習近平国家主席は自らが議長を務める杭州G20(20カ国・地域)首脳会議に影響を及ぼしかねない、という危機感があった。

「強国外交」実践者
 「王毅さんはどうしちゃったんだろうね」。王毅を知る日本の外務省幹部や東京の日中関係筋はここ数年、口をそろえるように話す。

 習近平が国家主席に就任した13年3月に話を戻そう。全国人民代表大会(全人代)を前にして共産党関係者は「あなたたち(日本人)が望んでいる人が外交部長(外相)になるだろう」と明かした。日本政府による尖閣諸島国有化に対して中国政府が大反発し、日中関係は「戦後最悪」とまで言われた時期だった。

 「王さんは日中関係改善に尽力してくれる」という日本側の期待に反して外相に就任した王毅が神経を尖らせたのは「国内」「党内」だった。王は「日本通」としての弱みを熟知していた。日本通だからこそ、日中関係が悪化する中で日本にむやみに接近したり、親日的な発言を行ったりすれば、「売国奴」と批判されやすいからだ。

 筆者は、就任して1年が経ち、初めて全人代での内外記者会見に臨んだ際の王毅の言葉が忘れられない。

 「100年間の屈辱の歴史は、永遠に過去のものになった」

 外交の責任者として習近平が掲げる「強国外交」の忠実な実践者となった。習近平が掲げる政治スローガン「中国の夢」では、アヘン戦争(1840~42年)以来、中国が受け続けた屈辱の近代史をことさら取り上げ、「中華民族の偉大な復興」を目指している。「偉大な復興」の過程にある共産党は、ついに日本を抜く経済大国になり、自信を付けた国民の間に、愛国主義という名の「愛党主義」を盛り上げようとしている。「屈辱」を晴らすための対象にするのは抗日戦争を戦った日本であり、習近平体制にとって尖閣問題で妥協の選択肢はない。国民の多くも、外相にも強気の外交を要求しており、王毅の「屈辱の歴史は過去」発言には「中国はもう国際社会からばかにされない」という強い決意が込められている。

「中国は日本の友か敵なのか」
 筆者は北京特派員時代、しばしば国際会議の場で王毅を取材した。対外的には日本語を使うことはないが、日本人記者が近寄っても、丁寧に中国政府の立場を説明してくれる。2015年8月、クアラルンプールで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議を取材した際、宿泊ホテルで王の帰りを待っていた日本人記者に対し夕食で出たという南国のフルーツをごちそうしてくれたが、安倍晋三首相の「戦後70年談話」を控えた時期であり、歴史問題への厳しい姿勢を示した。

 王毅の日本に対する厳しい発言は数えれば限りがない。 

 16年3月の全人代記者会見では「日本の政権が中国を友人と見ているのか、それとも敵と見ているのか。対中認識の問題が病根だ」と迫った。

 蒋介石が「日本は敵か友か」という論文を側近に書かせたのは、満州事変から3年後の1934年。王毅は日中関係の緊張が続く中で、自身の発信によって安倍政権の対中認識に影響を与えようとするとともに国内向けに強気の姿勢を誇示した。

 16年4月に北京を訪問した岸田文雄外相と3時間20分にわたって会談した。「誠心誠意で来たのであれば、歓迎する。日本側は対抗意識を捨てよ」と強調した。

 日本に関する発言ばかりでない。「あなたは中国に来たことがあるのか。中国の人権状況を最も理解しているのは中国人だ」。6月、カナダで外相会談を行い、共同記者会見で、カナダ人記者が中国の人権問題に関して自国外相に向けた質問に口を出し、激高した。7月には中国の「全面敗北」となった南シナ海問題仲裁判決に関して「法律の衣を羽織った政治的茶番だ」と言い切った。

 「それが習指導部の雰囲気だ」(中国人研究者)。それに逆らえない王毅は、忠実な実践者となった。

昇進できるかどうか正念場
 来年秋に5年に一度の共産党大会を控え、「王外相には焦りがある」という見る向きも多い。「日本通」という経歴を払拭して、強気の外交を求める党内、国民の声に応えられる外相になり、国務委員(副首相級)に昇格できるか、どうかの正念場だからだ。習近平の福建省勤務時代の部下で、共産党中央対外連絡部の宋濤部長らと競い合うことになりそうだ。

 もはや「対日強硬派」に変わった王毅が、初めての来日に臨む直前の8月5日以降、中国海警局の公船と漁船が大挙して尖閣諸島周辺に押し寄せた。8日には過去最高の15隻の公船が接続水域を同時航行し、周辺で操業する漁船は400隻に上った。5~9日に領海侵入した公船は延べ28隻に達した。

 中には、軍の指揮下の準武装の漁船「海上民兵」が混じったが、これは中国の伝統的な手法である。日中平和友好条約の締結交渉が進んでいた1978年4月、尖閣諸島周辺に約200隻の中国漁船が集まり、そのうち数十隻が領海侵入を続けた。

 当時外務省中国課にいた杉本信行氏(元上海総領事、故人)の著書『大地の咆哮』によれば、山東省煙台の人民解放軍基地と福建省アモイの軍港の2カ所から約200隻の漁船に指示が出ていたことが、海上保安庁の巡視船や飛行機による中国側の無線傍受で判明した。日本との条約交渉は当時副首相だったトウ小平が積極推進派。しかし共産党内部には尖閣諸島の領有権を譲らず、交渉に反対する勢力もいた。杉本氏は著書でこう回顧している。「(トウは)文革の残党である極左派を含む共産党全体を完全に掌握してきれておらず、復活したトウが力を伸ばすなかで、反対勢力の動きは当然あったはずである」。

 2008年12月には、尖閣諸島の問題は「棚上げされた」と主張する中国政府自らが、それを破っていることを証明する事態が発生した。当時の首相、温家宝は日中韓首脳会談出席のため福岡を訪れた。その直前、中国の海洋調査船2隻が、尖閣周辺の日本領海内に侵入した。これも、同年6月の東シナ海ガス田共同開発合意に反対する勢力による牽制という見方が出た。

「握手」「牽制」と同時戦略
 「握手」の裏の「牽制」-。日中関係において、中国側は表向き日本と対話に積極的と思わせながら、尖閣周辺に船を送り込み、対話をぶち壊そうとする動きは多々起こった。日本政府側からすれば、「一体、どっちが本音なんだ」といぶかる事態がしばしば起こる。

 中国の対日外交は、共産党指導部内の権力闘争と深く関係していると言われる。抗日戦争勝利の結果、共産党が政権を獲得したという歴史的経緯から、保守派は共産党の正統性保持のため「対日接近」の動きを牽制する傾向にあるためだ。

 「握手」と「牽制」の同時展開は、指導部として戦略として実行しているのか、それとも内部の意見対立の上の結果なのか、よく見えないのも事実だが、大量の漁船と公船が同時に尖閣周辺に出現した8月5日以降の動きは、こうした歴史的経緯を見れば、多少は理解しやすい。

 王毅率いる中国外務省は、次期駐日大使の呼び声が高い「日本通」で、王毅が最も信頼を寄せる部下の孔鉉佑・外務次官補(アジア担当)を、日本に派遣し、日中韓外相会談に合わせた王毅訪日について調整させる意向だった。目の先にあるのは、杭州で9月4~5日に開くG20首脳会議の成功だ。

 「習近平外交」はなすこと失点続きだった。南シナ海仲裁判決で全面敗北し、最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の在韓米軍配備で韓国との関係も緊張している。このまま国際孤立が深まれば、習近平の威信を誇示するG20首脳会議で「対中批判」も出かねない。

習近平は軍を掌握できているのか
 「日本を取り込む」というのが、王毅の初来日に課せられた命題だった。そこに現れたのが、大量の公船と漁船である。しかも、河北省の避暑地・北戴河で、長老も交えて夏恒例の非公式会議が開かれ、政治・経済・外交問題の懸案を討議している最中だった。

 「対中関係改善」に動き出した中で、誰が一体、公船と漁船に指示を出したのか。断定はできないが、対日接近を図ろうとした習近平を牽制したい勢力が起こしたのではないか、という見方がある。南シナ海で対中批判の急先鋒である安倍政権に対する反発は、特に軍部の間で高まっていた。また仲裁判決後、南シナ海で強めた主権誇示のための行動を東シナ海にシフトさせる必要性もあった。尖閣周辺に派遣された一部の漁船は武装した「海上民兵」とされ、軍の指揮下で動いた可能性が高かった。状況は1978年時と似ている。

 「反腐敗闘争を強め、軍の大規模改革を断行している習近平への党内や軍内の批判は高まっている」(共産党筋)とされる中、習近平がどこまで軍を完全掌握しているのか、疑問を投げ掛けざるを得ない現実が露呈した。

 一方、習近平は自分が望んでいなくても、党内の求心力を高めるため、対日強硬路線の動きが軍内や党内にあれば、それに反対するわけにはいかない。そうした結果、尖閣周辺に大量の公船・漁船が送り込まれたのではないだろうか。

東京での「笑顔外交」
 しかし北戴河会議が8月中旬を前にして終了すると、党内は「G20成功」に向けて舵を切ることになった。日本政府がいくら抗議を強めようとも、対日関係改善は既定路線であったかのように、王毅は来日した。

 筆者は王毅が来日した23日午後、時事通信の配信記事で、王の来日でのスタイルについて「『こわもて』と『対話』」と解説したが、どちらかというと「対話」を優先したものとなった。

 23日夕、羽田空港に到着すると、さっそく待ち構えていた日本メディアの前に立ち、取材に応じ、「(尖閣諸島を含めた)東シナ海、南シナ海はどうか」と質問された。

 「当然、われわれの間の問題は何でも話し合える。東シナ海問題では最近、各方面の報道があるが、(漁船が押し寄せたのは)漁のシーズンだからであり、(日本側は)あおり立てている。中日双方は、現在の情勢をうまくコントロールし、中日関係の改善プロセスを推進し続けなければならない」

 そう笑顔で取材に応じ、日中韓外相会談の夕食会会場の丸の内・パレスホテルに向かった。1時間ほどの夕食会を終え、玄関口に来たのは韓国の尹炳世外相だけで、王、岸田両外相は1時間経っても出て来ない。

 2人は「お茶を飲みながら話し合った」(王毅)という。24日の日中正式会談に向けた調整だったが、ホテル玄関に現れた王毅は笑顔で手を振って車に乗り混んだ。さらに宿泊のホテルニューオータニに帰った際も「たくさん話し合った」と機嫌は良かった。

「G20成功」最優先という党内事情
 中国政府は一つの方向に向かって走っていた。日中韓外相会談の開催直前に北朝鮮が潜水艦発射弾頭ミサイル(SLBM)を発射したことが、3カ国の「協力」の弾みになったとの見方もある。しかし王毅の目の先にあったのは明らかに杭州G20だ。「G20成功」のためなら、日本側が抗議を強めても尖閣問題にとりあえずは前向きに対応しておこう、という態度である。それは、中国共産党・政府として王毅の来日に先立って「尖閣」に対して日本の実効支配を崩そうと、公船・漁船で行動を起こしたことを前提とした柔軟姿勢にも見えた。

 岸田との外相会談を終えた王毅は、また記者団の前に立った。

 「われわれが達成した共通認識は、双方の努力によって海上の摩擦をコントロールするということ。同時にわれわれは高級事務レベル協議を開き、中日間の(不測の事態回避に向けた防衛当局間の)『海空連絡メカニズム』を早期にスタートさせることです。われわれはもう十分に話し合った。小さな問題が少し残っている。日本側に(中国側と)同様の前向きな意思があれば、われわれはすぐに一致できる」

 一方、岸田は会談後、尖閣情勢に関して記者団にこう話している。「事態の完全なる沈静化、そして再発防止、東シナ海全体の状況の改善を強く求めた。王毅部長は、東シナ海情勢の悪化を防ぎ、不測の事態を回避することが重要であり、日中間で意思疎通を積み重ね、日中関係を改善していきたいとの趣旨の発言を行った」

 「海空連絡メカニズム」は、もともと日本側が早期の運用を強く求め、中国政府は渋ってきたのだ。岸田以上に王毅が記者団に前向きな姿勢をアピールしているのは、「G20成功」を最優先しているという党内の事情があった。

年内の「李克強来日」が試金石
 だからこそ王毅は記者団にもG20首脳会議に関して多くを語った。「今回のサミット(G20首脳会議)はこれまでの中で最も成果の多いものになるだろう。中国に対する国際社会の期待には背かない」

 その上でG20首脳会議に合わせた安倍と習近平の首脳会談の実現について聞かれると、「中国側は検討しているところだ。当然われわれは首脳会談に向けて日本側が良好かつ適切な雰囲気と環境をつくるよう望む」と答えた。しかしG20での安倍の対中協力姿勢は習にとって喉から手が出るほど欲しいものであり、首脳会談は実現するだろう。

 ただ長年王毅を取材してきた筆者にとって、予想外だったことがある。日中外相会談が終わり、王毅が韓国外相・尹炳世と共に、官邸に向かい、安倍晋三を表敬訪問したことだった。いくら外交儀礼の問題といえども、誇り高き中国の外相が韓国外相と同席し、日本の首相を表敬する。王毅ほどの外交スターなら、駐日大使時代も一対一で日本の首相と会えた。しかも尖閣情勢で日中関係が危機を迎える中、王毅は安倍との一対一の会談を求めるか、さもなければ韓国との表敬訪問には向かわないと考えていた。

 安倍への訪問を終え、官邸でまた記者団に囲まれた王毅はこう語った。

 「安倍首相は、『日本として杭州G20サミットの成功へ中国側を支持し続ける。建設的な役割を果たしたい』と表明した。同時に安倍首相は年内に(日本で)中日韓首脳会談を開けるよう期待している。当然われわれは適切な雰囲気と環境を絶えずつくり出し、年内の中日韓首脳会談開催を推し進めることを望んでいる」

 習のメンツと威信を懸けたG20首脳会議を終え、本当に李克強首相が日中韓首脳会談に出席するため日本を訪問するのか。これが中国共産党・政府が対日関係改善を真剣に考えているかどうかの一つの試金石になる。


<防衛省概算要求>過去最高の5兆1685億円
毎日新聞 8月31日(水)12時9分配信

 ◇米軍再編関連経費含め 北朝鮮や中国念頭に能力強化図る

 防衛省は31日、2017年度予算の概算要求について、米軍再編関連経費を含めた総額で過去最高となる5兆1685億円(16年度当初予算比2.3%増)とすることを決めた。軍事力増強を続ける北朝鮮や中国を念頭に、弾道ミサイル防衛(BMD)や離島防衛の能力を引き続き強化する。

 主な要求内容としては、海上配備型と地上配備型があるBMD用迎撃ミサイルの改良型を導入するため、それぞれ147億円と1056億円を計上。いずれも20年度以降の運用を目指す。潜水艦の拡充には、探知能力や静粛性を向上させた新型1隻の建造費760億円を要求。尖閣諸島を含む南西防衛強化策では、改良型03式中距離地対空誘導弾1式を取得し沖縄本島に配備するため177億円を求めたほか、艦対空、地対艦、哨戒機用空対艦それぞれの新型誘導弾の開発に着手し、射程の延長を図る。

 防衛装備品に応用できる最先端研究に資金を配分する「安全保障技術研究推進制度」には今年度予算の6億円から大幅に引き上げ、110億円を計上した。1件あたりの支給額は10億円(5年間)を想定している。

 陸上自衛隊が導入する垂直離着陸輸送機オスプレイの配備先として検討している佐賀空港(佐賀市)については、地元の同意が得られていないとして配備計画の予算要求を見送った。

 第2次安倍政権が13年に策定した中期防衛力整備計画は、防衛関係費の年0.8%増を目指しており、要求増は5年連続となる。


ミサイル防衛、離島対処強化へ=防衛省概算、過去最大5兆円超
時事通信 8月31日(水)12時4分配信

 防衛省は31日、2017年度予算の概算要求について、米軍再編関連経費を含めた総額で過去最大の5兆1685億円とすることを決めた。

 16年度当初予算比2.3%増で、要求増は5年連続。北朝鮮の相次ぐ挑発行為を受けたミサイル防衛システムの強化が柱だ。

 具体的には、日米両政府が共同開発中の迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」取得費に147億円を計上。地対空誘導弾パトリオット(PAC3)改修費も1056億円を要求し、より広範囲でのミサイル迎撃を目指す。

 沖縄県・尖閣諸島などを含む南西諸島防衛に関しては、改良型03式中距離地対空誘導弾の取得費に177億円、12式地対艦誘導弾の射程延長に向けて116億円を計上。軍事活動を活発化させる中国を念頭に、自衛隊の対応力向上を図る。

 主な装備品取得費としては、探知能力に優れた新型潜水艦1隻760億円、新型輸送機オスプレイ4機393億円、最新戦闘機F35・6機946億円などを盛り込んだ。


国際社会を味方につけて中国の尖閣奪取を阻止せよ
JBpress 8月31日(水)6時15分配信

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)に対する中国の侵略的な行動が止まらない。日本政府の再三の「断固たる抗議」にもかかわらず、中国海警の武装艦艇や民兵漁船団の日本領海への侵入はエスカレートするばかりだ。

 その間に中国外相は日本を堂々と訪問し、日本政府の抗議も軽く受け流す。このままでは中国が日本固有の領土を実効支配しかねない危険性も浮かび上がってきた。

 中国は何を狙っているのか。日本はどう対抗すべきなのか――。米国の中国研究者として知名度の高いジョージ・ワシントン大学教授、ロバート・サター氏に、尖閣諸島をめぐる最近の状況への見解をワシントンで尋ねてみた。

 サター氏は米国政府の国務省、国家情報会議、中央情報局(CIA)などで中国担当の専門官として30年以上を過ごしてきた。特に中国の対外戦略研究では米国でも有数の権威とされている。サター氏との一問一答は以下の通りである。

■ 日本と中国国内に向けたメッセージ

 ――中国はここ数週間、尖閣諸島の海域にこれまでにない規模と頻度で攻勢をかけてきています。今回の攻勢の動機をどう見ますか。

 ロバート・サター氏(以下、敬称略) 中国は日本が実効支配している尖閣諸島を自国領だと宣言し、その領有権を確実に手中に収めることを国家目標としています。この時期に中国海警や、いわゆる“漁船”を前例のない数と頻度で出動させて日本への威圧行動を始めたのは、明らかに中国指導部の新たな決定に基づいています。

 今回の行動の第1の動機は、南シナ海での中国の無法な行動に対して日本が国際的に最も強く抗議していることへの警告です。日本への反発や怒りが大きな動機になっていると思います。

 ――だとすると、この7月に国際仲裁裁判所が、中国の南シナ海での領有権主張を不当だとする裁定を下したことも、当然大きく関係しているわけですね。

 サター そうです。今回の行動には、日本だけでなく米国などの国際社会全般に対して、裁定への抗議を宣言するという動機もあるでしょう。

 同時に、そのメッセージを中国国内に向けて発信するという動機もあります。中国政府は国際仲裁裁判所の裁定で敗北しました。しかし、「裁定は無視して『4つのノー』(不参加、不受理、不承認、不執行)の立場を貫く」「安全保障や国家主権にかかわる案件では決して後退せず、断固たる立場を変えない」というメッセージを中国の国民に向けて発信し、政権の基盤強化を図るという動機です。

 ――中国は9月上旬に杭州で開かれるG20サミットの主催国です。サミットを円滑に開くために、国際的に反発を浴びるような言動は控えるのではないかという観測もありましたが。

 サター その観測は米国側にもありましたが、見事に外れましたね。G20開催までは中国は挑発的な言動をとらないだろうという観測は的中しませんでした。

■ 今すぐ尖閣上陸を目指すわけではないが・・・

 ――中国によるこの種の軍事がらみの挑発について、日本では一部に「中国軍部の一部が勝手にとった行動であり、政治指導部は必ずしも認めていない」との見方もありました。今回の攻勢についてはどう見ますか。

 サター 今回の尖閣への挑発的な行動は、習近平国家主席が完全に把握している動きです。海警艦艇や漁船集団の動員数だけを見ても、事前に十分に準備をしているはずです。しかも、きわめて大胆な動きです。日本や米国がどう反応するかを考えれば、末端の軍部だけで実行できるような次元の作戦ではありません。

 ――では、今回、尖閣諸島に攻勢をかけた中国側の目標は何だと思いますか。

 サター 中国海警の艦艇と民兵漁船を日本の領海に侵入させること自体は従来から行ってきました。今回はその船の数と侵入の頻度が異様に増えました。その当面の目標としては、日本に対しこれまでよりも強い圧力をかけること、そして日本側の反応を探ること、さらにそうした演習により、将来実施するであろう尖閣奪取作戦に向けて軍事能力を高めることでしょう。

 ――今すぐに尖閣上陸を目指すわけではないということですか。

 サター 今、尖閣水域に入ってくる中国側の艦艇や漁船には、上陸作戦を遂行する能力はほとんどないでしょう。中国側が本気で上陸を試みるならば、空から降下する空挺作戦、あるいは高速のホバークラフトなどの使用が合理的な方法となります。民兵漁船などはそれに続く上陸要員になる可能性があります。

■ 国際的な場での批判は効果的

 ――日本の対応について何か助言がありますか。

 サター やはり尖閣諸島の防衛能力、つまり中国の攻撃や上陸に対する反撃能力を高めておくことでしょう。中国軍や民兵がホバークラフトで尖閣に上陸してきても即時に撃退できる能力を築き、それを中国側に示しておくことです。そのためには、自衛隊が尖閣周辺で演習を実施することも効果的でしょう。

 また、今のところ中国艦艇の侵入には日本の海上保安庁の艦艇が対処していますが、中国艦の数が急増し、対応が不十分となっているようです。日本としては緊急に海上保安庁の予算を増やし、警備力を強化する必要があります。自衛隊の予算も増やし、尖閣での水陸両用作戦の能力を高めることが不可欠です。

 ――物理的な防衛強化のほかに必要なことは? 

 サター 米国をはじめとする、中国の軍事行動に懸念を抱く他の国々との安全保障の連携強化です。オバマ政権のアシュトン・カーター国防長官も最近の演説で述べている『戦略コミュニティー』を強化するということです。

 日本がインド、オーストラリア、ベトナムなどと、個別に、あるいは集団的に安保協力を進めれば、中国の攻勢への抑止となります。日本が主導的な役割を担って国際的な『戦略協力』『戦略ネットワーク』を結成するのです。

 ――他に日本独自の外交活動で有益な手段がありますか。

 サター すでに述べたように日本が国際的な場で中国の威圧的な行動を批判することは効果があります。中国は日本の批判に怒って、より威圧的になるかもしれませんが、その反発は痛いところを突かれたという証拠です。反発することによって国際的な立場はさらに不利になるでしょう。

 日本は、中国が嫌がり困ることをするぞという姿勢を見せるべきです。たとえば、米国に習って日本版の台湾関係法を作ることを示唆するのも一案です。中国の台湾への軍事圧力が日本にとって重大な関心事であることを示せば、中国は猛烈に反発するでしょう。中国の人権弾圧や少数民族弾圧を国際的な場で批判する方法も同様に効果があります。

 そうした日本の断固たる対抗姿勢が中国の日本への威嚇を抑制することになります。


日中首脳会談は調整難航
産経新聞 8月30日(火)7時55分配信

 日中両政府は中国・杭州で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議にあわせた安倍晋三首相と習近平国家主席の首脳会談を調整している。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で公船の領海侵入を強行する中国側に、日本政府が強く抗議するなど日中関係が緊迫する中で、調整は直前まで難航しそうだ。

 日本政府は、岸田文雄外相が24日の日中外相会談で王毅外相に対し、日中中間線付近でのガス田開発なども含め、首脳会談前の「東シナ海全体の状況の改善」を要求。安倍首相は習氏と会談した際には、東シナ海での一方的な挑発、開発行為に抗議し、再発防止を求めるとみられる。

 習氏が前向きな態度を示す可能性は低く、「互いの主張をぶつけ合う場になる」(政府関係者)との見方が強い。

 G20首脳会議後は、ラオスで東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議が予定されており、安倍首相が南シナ海での中国の主張を全面否定した仲裁裁判所の裁定について、どこまで言及するかも焦点となる。

 また、G20首脳会議などにあわせた韓国の朴槿恵(パククネ)大統領との首脳会談が実現すれば、安倍首相はソウルの日本大使館前にある慰安婦像の撤去を含め、昨年末の日韓合意を着実に実行するよう改めて求める構え。

 韓国が予定する米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の国内配備や、11月の日本開催を目指す日中韓首脳会談についても協議するとみられる。

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