« 左翼売国政党推薦の都知事候補・鳥越俊太郎の資質と品性・2 | トップページ | 東日本大震災等および原発事故関連のニュース・2135 »

2016年7月27日 (水)

どこまで図に乗る中共支那、南シナ海にミサイル・戦闘機を配備・21

南シナ海の他国領海で横暴な侵略行為を強行している中共支那が、スプラトリー諸島のファイアリークロス礁を勝手に埋め立てて造成した飛行場へ強引な侵略飛行を行なったのに続き、今度はベトナムから強奪したパラセル諸島のウッディー島に地対空ミサイル8基を配備し、さらに対空機関砲の設置に加えて戦闘機まで進出させた。
一方でベトナムと領有権めぐって係争中のスプラトリー諸島にあるクアテロン礁などには、高周波レーダー施設を設置したことも明らかになった。

同諸島はかねてよりベトナムと中共がその領有権めぐって係争中であり、こうした地域を一方的に自国領と断言し軍事施設を建設して、支配権の既成事実化を試みる中共支那の好戦的・冒険的な侵略行為は、ベトナム・フィリピンなど近隣諸国や関係国および公海上の海上交通路(シーレーン)の安全を脅かし、いたずらに紛争の危険性を高める、国際法上認めることの出来ない危険な挑発行為である。

この中共の重大かつ危険な挑発行為に対して、アメリカなどがこうした危険な行為を停止するよう要求しているにもかかわらず、これに対して中共は「最も重要なことは(自国の設置した)レーダーなどではなく、(米軍の)戦略爆撃機や駆逐艦を含む最新兵器が日々、南シナ海に出現していることだ」として居直り、こうした一連の行為が「(自国の)主権の範囲内」と強弁している。

こうした中共の態度は、世界の秩序を完全に愚弄する思い上がり図に乗ったものであり、中共がこうした態度を改めない限り、この地域での紛争・戦争の危険は日に日に増大するものと見なければならず、その結果中共軍は敗走して共産党の威信は失墜し、国内の暴動によって中共は崩壊するだろう。

このような凶暴かつ愚劣な行為を改めなければ、招来する重大な結果について、中共支那はその一切の責任を負わなければならない。

15番目の記事
16番目の記事
17番目の記事
18番目の記事
19番目の記事
20番目の記事

リンク:防衛白書 中国の動き「強く懸念」 北ミサイル小型化・弾頭化の可能性 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:ベトナムの空港システムに不正アクセス、南シナ海領有権問題に絡む? - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国の海洋進出に批判強める=16年版防衛白書 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国軍活動に「強い懸念」=北朝鮮核開発に危機感―防衛白書 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南・東シナ海で中国が本当に欲しいもの - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海“中国敗訴”で共産党統治のジレンマが浮き彫りに - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国がアジア各国を“金満外交”で蹂躙する理由 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:掲示板に「南シナ海は中国領土」 ベトナム2空港にサイバー攻撃 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国、東シナ海で艦艇100隻以上の大規模演習 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:櫻井よしこ氏が中国軍艦領海侵入で取るべき対応提案 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:東シナ海で実弾演習=日本けん制する狙いか―中国 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:ASEAN分断図る中国、露骨な金権・恩義外交 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海問題で中国政府が煽る民衆デモの正体【中国人漫画家・孫向文】 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:稲田氏「慰安婦像撤去要求は重要」 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:ベトナム航空、ハッキング被害…国際空港でも - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:「南シナ海」で分裂回避=共同声明、団結を優先-ASEAN外相会議〔深層探訪〕 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中露、9月に南シナ海で初の軍事演習 プーチン大統領の訪日控え日本側にシグナルか - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:アジアの安全保障に対する欧州の態度 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:高まる中国の脅威!!東シナ海でも「同じこと」は起きる - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:「国際的な義務順守を」=中ロの南シナ海合同演習―米 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中露が南シナ海で演習へ 9月 対米牽制で利害一致 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中ロ、9月に南シナ海で共同軍事演習 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:安倍首相、9月訪越へ調整=南シナ海にらみ連携強化 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国とロシア、南シナ海で9月に合同演習へ 中国国防省 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:9月に南シナ海で合同演習=連携強化を誇示―中ロ - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海 ARF、東アジアサミットの議長声明も仲裁裁定に触れず - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:北朝鮮化し始めた中国の言動 孤立路線の行きつく先は? - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:オバマ氏とトランプ氏の「共通点」が、中国の暴走を招いた! - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国の「対外強硬政策」を挫折させたベトナムと日本の戦略 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海問題 中国の日本批判突出 国内世論向けに利用 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海に基地もリゾートも、裁定を完全無視の中国 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海問題 比大統領、裁定前提の対中協議を米に約束 米閣僚との会談は初 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:<比大統領>「判決を尊重」米国務長官と会談、共同歩調明言 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:ARFも仲裁判決に触れず=議長声明で―南シナ海問題 - 速報:Yahoo!ニュース.

以下、参考のために同記事を引用

防衛白書 中国の動き「強く懸念」 北ミサイル小型化・弾頭化の可能性
産経新聞 8月2日(火)10時48分配信

 中谷元(げん)防衛相は2日午前の閣議で平成28年度防衛白書を報告し、了承された。今年6月に中国海軍艦艇が日本の領海内を航行したことについて「わが国周辺海域における行動を一方的にエスカレートさせており、強く懸念される状況となっている」と危機感を鮮明にした。北朝鮮の核・ミサイル開発に関しては「核兵器の小型化・弾頭化の実現に至っている可能性も考えられる」とした。

 中国と北朝鮮の活動が活発化していることを踏まえ、両国に割いたページ数は27年度白書の計38ページから計48ページに増えた。

 南シナ海の軍事拠点化を含む中国の動向に関しては前年度まで「今後の方向性について懸念を抱かせる側面がある」としていた部分を今年度は「強い懸念」と表現。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺や南シナ海での活動を踏まえ、警戒レベルを引き上げたことを示した。

 また、北朝鮮が2月に発射したミサイルについて、平成24年12月に発射した「テポドン2号」改良型と断定。同じ型のミサイル発射を成功させたことを踏まえ、「北朝鮮の長射程の弾道ミサイルの技術的信頼性は前進した」と分析した。ただ、弾頭の大気圏再突入技術に関しては「さらなる検証が必要になる」とし、弾道ミサイル発射が今後も続くことを示唆した。

 在沖縄米軍基地に関しては「沖縄は、米本土やハワイ、グアムなどと比較して、わが国の平和と安全にも影響を及ぼし得る朝鮮半島や台湾海峡といた潜在的紛争地域に近い位置にある」との記述を新たに盛り込み、沖縄の地政学的重要性を強調した。

 昨年9月に成立した自衛隊の役割を拡大させる安全保障関連法関連では計10本のコラムを掲載。同法は「歴史的な重要性持つ」と説明した。


ベトナムの空港システムに不正アクセス、南シナ海領有権問題に絡む?
ITmedia エンタープライズ 8月2日(火)10時45分配信

 ベトナムの首都ハノイやホーチミンの空港でシステムが不正侵入され、運行情報を示す画面に南シナ海問題を巡ってベトナムとフィリピンを中傷する文言が表示される事件が起きた。メディア各社が伝えた。

 ベトナムのニュースサイトTuoi Tre Newsの英語版が同国運輸省の話として伝えたところでは、7月29日午後、ハノイのノイバイ国際空港とホーチミンのタンソンニャット国際空港で、運航情報を示す画面の内容が改ざんされ、ベトナムとフィリピンを中傷する文言や、南シナ海についてのゆがめられた情報が表示された。

 また、スピーカーシステムから英語で中傷的な放送が流れたという情報もある。

 この影響で搭乗手続きなどに支障が出て、便の運航が遅れるトラブルが発生。影響はベトナム国内の他の空港にも及び、多くの空港が搭乗手続きを手作業に切り替えて対応した。

 運輸省は両空港のシステムに対する攻撃を食い止め、原因を調査中と説明しているという。

 ベトナム航空のWebサイトも改ざんの被害に遭い、乗客41万人あまりの情報が流出したとも伝えられている。

 改ざんされた画面には、「China 1937CN Team」を名乗る集団の犯行声明が掲載された。ベトナムとフィリピンに対する「警告」だと主張しているという。

 南シナ海を巡っては、フィリピンが申し立てた仲裁裁判でオランダ・ハーグの国際仲裁裁判所が中国の領有権を否定する判決を言い渡したことに対し、中国が強く反発していた。


中国の海洋進出に批判強める=16年版防衛白書
ロイター 8月2日(火)10時28分配信

[東京 2日 ロイター] - 政府は2日、2016年版の防衛白書を閣議で了承した。東シナ海の尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺で中国軍との緊張が高まった最近の事例などを紹介し、昨年よりも同国の海洋進出への批判を強める内容となった。

政府は白書の中で、今年6月に中国軍艦が尖閣諸島の接続水域を航行したり、軍用機が南下した事案に言及。約12年ぶりに同国軍艦が鹿児島県沖の日本領海に侵入したことも指摘した。

さらに南シナ海で中国が人工島を造成していることにも触れた上で、中国による海洋進出の動き全般について「自らの一方的な主張を妥協なく実現しようとする姿勢を示しており、今後の方向性について強い懸念を抱かせる面がある」とした。

昨年の白書もほぼ同じ文章で中国を批判しているが、16年版では「強い」と付け足し、一段と厳しい表現にした。

このほか白書は、北朝鮮が6月に高い角度で発射した「ムスダン」とみられる中距離弾道ミサイルについて、通常の軌道で打ち上げていれば約2500─4000キロ飛行した可能性があると分析。「中距離弾道ミサイルとしての一定の機能を示したものと考えられる」とした。

(久保信博 編集:田巻一彦)


中国軍活動に「強い懸念」=北朝鮮核開発に危機感―防衛白書
時事通信 8月2日(火)10時25分配信

 中谷元防衛相は2日午前の閣議で、2016年版防衛白書を報告した。

 中国による東・南シナ海への海洋進出について、「一方的な主張を妥協なく実現しようとする姿勢」だと非難。「今後の方向性に強い懸念を抱かせる」と指摘した。

 白書は、6月に発生した中国軍艦による沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域航行や鹿児島県・口永良部島付近での領海侵入などを挙げ、「艦艇が活動範囲を一層拡大し、行動をエスカレートさせている」と批判した。中国軍機に対する自衛隊機の緊急発進(スクランブル)回数の急増にも触れ、「強い関心で注視する必要がある」とした。

 中国公船の大型・重武装化も踏まえ、「わが国の領海侵入を企図した運用態勢の強化は着実に進んでいる」と分析。南シナ海での領有権をめぐる中国の主張を退けた仲裁裁判判決については、「当事国は仲裁判断に従う必要がある」と指摘した。

 白書は北朝鮮情勢について、「核兵器の小型化、弾頭化の実現に至っている可能性も考えられる」と説明。今年に入り弾道ミサイル発射実験を続けていることも踏まえ、「わが国はもとより、国際社会の安全に対する重大かつ差し迫った脅威」との表現で強い危機感を示した。

 過激派組織「イスラム国」(IS)などテロ組織の活動については、邦人も標的にしているとの見方を示した上で、「わが国自身の問題として正面から捉えなければならない」とした。

 また、沖縄県の普天間飛行場問題については、名護市辺野古への移設が「唯一の解決策」だと重ねて指摘。昨年成立した安全保障関連法に関しては「平和と安全を確かなものにする歴史的重要性を持つ」と意義を強調した。


南・東シナ海で中国が本当に欲しいもの
nikkei BPnet 8月2日(火)10時1分配信

 中国は、南・東シナ海でますます過激な言動を繰り返している。南シナ海の管轄権に関する2016年7月12日の仲裁裁判の判決結果を「紙くず」だと一蹴し、全く受け入れようとせず、東シナ海では海や空で激しい脅し合いが行われている。一体なぜ、中国の態度はこれほどまでに強硬なのか。リーダー、習近平の真意は何か。そして、私たち日本人は、この益々過激になる中国にどう対応すべきか――。

●東シナ海「一触即発の空」

 2016年6月17日、東シナ海上空、日本と中国の状況は極めて緊迫していた。対領空侵犯措置任務中の航空自衛隊F-15J戦闘機と中国空軍の戦闘機の間で、空中戦の一歩手前までいったというのだ。航空自衛隊側の戦闘機は、最終的に自己防御装置を作動させたとされる。

 詳細は明らかではないが、恐らく航空自衛隊の戦闘機は「フレア」と呼ばれる発火性の火工品を機体から射出したと考えられる。これは、熱源探知ミサイルが標的をロックオンできないように妨害する高温の発熱体で、パイロットの判断によって機体後方下部から射出される。万が一ミサイルが発射された場合でも、おとりとして使用する防御のための最終手段だ。

 熱源探知ミサイルの射程は、通常20km程度。これだけ離れれば問題無いと感じるかもしれないが、実はそうではない。ミサイルの推進速度は約マッハ2.5。後方から狙い撃ちされると20秒程度で、さらに真正面から狙われると互いの相対速度が加わり約10~15秒で命中する可能性がある。

 通常、相手に無用な刺激を与えないよう適度に間合いをとりながら接近するはずが、中国軍の戦闘機がこれまでにない特異な動作(高速で真正面から接近、背後を取る機動等)を仕掛けてきたことから、止むを得ず防御動作をとって安全圏に退避したと考えられる。まさに一瞬の判断だ。

 このような臨機の判断により「フレア」を射出する事態になったのは、東西冷戦時代にも無かった。現場は「リアルな戦闘」だと感じ、非常に緊迫したはずだ。

 現在の東シナ海上空は、戦闘機のみならず、それを支えるための様々な軍用機や艦船が入り乱れる様相を呈している。渋谷のスクランブル交差点や、“ポケモン探し”で異様に盛り上がる近所の公園を思い浮かべてほしい。今回の中国の“振る舞い”は、そんな場所に凶器を持った人物が現れ、「俺の場所だから出ていけ!」と脅し始めたようなものである。

 今、東シナ海上空は、中国がパワーを誇示するための主戦場と化している。

南シナ海「中国の膨らむお腹」
 一方、南シナ海を巡る中国の言動も、いっそう過激になっている。2016年3月31日、習近平国家主席はオバマ米大統領との会談で、航行の自由を口実に中国の主権を犯すいかなる行動も容認しないと表明した。米国の民間シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)は、あと約15年で南シナ海が「中国の湖」のようになると習近平の意図を表現している。

 なぜ、中国は南シナ海に固執するのか――。その理由は、中国の対米軍事戦略に隠されている。

 中国は南シナ海の島々を次々と軍事拠点化し、できる限り中国大陸から遠い所で米軍を迎え撃ちたいと考えている。これにより、米軍が中国を直接攻撃できないようにし、自らは核兵器搭載の原子力潜水艦を、南シナ海を通じて太平洋に安全かつ隠密裏に進出させたいのだ。この考え方は、「接近阻止/領域拒否」(A2/AD:エイ・ツー・エイ・ディー:Anti-Access/Area Denial)と呼ばれる戦略だ。

 ではなぜ、中国はこの戦略を採用するのか――。これについては、下の図を見ていただきたい。

 中国にとっての脅威は、東の太平洋からやって来る米軍だった。中国が今ほどの経済力と軍事力を持ち合わせていなかった東西冷戦の時代では、せいぜい、中国大陸沿岸600~700km程度しか守れず、主に台湾を攻撃するための兵器を準備していた。これでは、遠征が可能な米軍の空母が接近してしまうし、日本や韓国にある米軍の基地を攻撃できないから、米軍による中国本土への空爆を許すことになる。結局、作戦は米側に主導されてしまい、自国の作戦能力に損害を受け易くなるるとともに、輸出入貿易のために不可欠なシーレンも失い、経済的な打撃を免れない。

南シナ海「中国の膨らむお腹」
 ところが近年、中国は経済成長に伴って強い軍事力を獲得した。加えて、航空機やミサイル技術が進歩し、より遠くまで飛行可能な爆撃機と長距離を飛翔するミサイルを保有するに至った。これにより、長距離爆撃機から長射程のミサイルを米海軍の艦船に向けて打ち込む手段を手に入れ、より遠い場所で米軍を迎え撃つ能力を身に着けた。さらに、これらのアセットを南シナ海の島々に配備すれば、もっと遠方で米軍を追い払えるようになる。

 新兵器を自分で開発する能力も向上してきた。人工衛星を利用して米軍の空母をピンポイントで狙い撃ちする新兵器・対艦弾道ミサイル「DF-21」や、米軍のF-35ステルス攻撃機と見た目がよく似た、“中国製の”ステルス戦闘機「J-20」を開発中だ。

 これらが十分に戦力化されれば、南シナ海周辺の海空域は当然のこと、沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ第一列島線以東における接近阻止/領域拒否も可能となる。こうして、アメリカを寄せ付けない、中国の対米軍事戦略が完成する。そうなれば、日本も中国の軍事力に強い影響を受けることになる。

 中国の太平洋沿岸の勢力範囲は、まるで太っていく“中年オヤジのお腹”のように見えてくる。経済力という栄養を十分に得た中国は、まるでその腹をどんどんと膨らませているようだ。しかも、最新の科学技術と相まって、自然とこれまでに無い高い膨張率で拡大し続け、今まで履いていたズボンとベルトでは耐えられないほどの影響力を持ってしまった。しかも、今後さらに膨張し続けそうだ。

米国の反撃「柔軟抑止オプション」と戦略の転換
 もはや米国も黙ってはいない。南・東シナ海での米軍の作戦を指揮する米太平洋軍司令官ハリス海軍大将は、2016年2月、米国議会において南シナ海のことを「戦争に近い状態(Short of War)」と表現し、この認識の下で様々な対策を打ってきた。

 例えば2015年の10月から計3回、イージス艦を南シナ海で航行させ、中国による国際秩序への挑戦に対して牽制したり、東シナ海では中国が突如、防空識別区を設定したわずか2日後、戦略爆撃機B-52を悠然と飛行させ、中国には当該空域の管理能力が無いことを国際社会に示して見せた。また、米空軍の最新鋭のステルス戦闘機F-22を沖縄の嘉手納基地に一時的に展開させ、事実上、中国本土への到達能力を誇示。接近阻止/領域拒否が困難だと脅しをかけた。

 これらの軍事的な活動は、戦争に至る前段階において行われる作戦の一種だ。柔軟抑止オプション(FDO=Flexible Deterrent Option)と呼ばれ、米軍の中では戦略・戦術の基準となる「統合ドクトリン」という文書に明記されている。武力衝突によらず問題を早期に解決することを目的とする活動で、軍事的手段のほかに、外交的手段、情報的手段、経済的手段などがある。

 そもそも米国は、このような対抗策を念頭に10年ほど前から戦略の転換を行ってきた。米国防省が実施する4年ごとの国防計画の見直し(QDR=Quadrennial Defense Review)において、2006年以降、アジア太平洋地域に海軍力をシフトさせる方針を打ち出し、2014年のQDRにおいても同地域への軍のリバランスを引き続き行う旨を明記している。具体的には、これまで太平洋と大西洋で5:5だった海軍力のバランスを、2020年までに6:4にすることや、オーストラリアへの海兵隊2500人規模の展開などだ。

日本の対中戦略を考えるためのポイント
 これまでのところ、米国が予想してきた通り、南・東シナ海での中国の軍事活動は過激になってきている。今後、米国とその同盟国は、中国に対してどのような対応をすべきか。明らかにすべき問題は4つある。

 まず、中国は今後も引き続き過激な行動をとるのか。リーダー、習近平の意図のみならず、経済力によって成長した“膨らむお腹”が、今後も今までのように膨らみ続け、軍事的な影響力を拡大し続けるのか。

 2つ目は、米国は中国との戦争を望むのか。米中は相互に経済的な依存性がある上、米中双方が核兵器保有国であるため、状況は複雑だ。戦争に踏み切るための政治的なハードルは高くなる。

 3つ目は、上記の判断を受け、今後米国は中国に対してどのような戦略を展開するのか。前回の「『ドナルド・トランプ』を正しく怖がる」でも記載した通り、米国は太平洋上の空および海から直接対抗する「統合エアシーバトル」戦略(Joint Air - Sea battle Concept)の検討を進めているが、同時に中国本土を直接攻撃しない「オフショア・コントロール」と呼ばれる、より中庸な戦略も提唱している。米国はどちらの道を選ぶのか。

 そして4つ目は、米国の戦略によって同盟国の負担は増えるのか。増えるとすれば、受け入れが許容できるレベルなのか。負担を求められた時、日本は何をどう変えなければならないのか。

 次回はこれらのポイントを念頭に、日本の対中戦略オプションについて考えてみる。

※この連載の内容は筆者個人の見解であり、所属する組織の公式的な見解ではありません。
(文/上村 康太=GEジャパン(株)安全・危機管理部長)


南シナ海“中国敗訴”で共産党統治のジレンマが浮き彫りに
ダイヤモンド・オンライン 8月2日(火)8時0分配信

● 南シナ海問題をめぐる仲裁判決 官民一体で"内宣"する中国

 「南シナ海問題をめぐる仲裁判決が下されて以来、中国はまさに統一戦線を展開するかのごとく、官民一体でネガティブキャンペーンを張っていますね。正直、ここまで猛烈になるとは予想していませんでした」

 7月下旬、私は北京の天安門広場からそう遠くない一角で、国営新華社通信で国際報道を担当する旧知の記者と向き合っていた。

 「これは"内宣"です。主権や国益に関わる南シナ海問題ですから、国内世論が乱れることを上は恐れているということです」

 "内宣"とは、「国内向けの宣伝工作(筆者注:いわゆる"プロパガンダ"と同義語に捉えていいであろう)」のことを指す。それに対して、"外宣"が「国外向けの宣伝工作」を指し、中国国内では往々にして両者が対比的に語られる。

 私は続けて聞いた。

 「党や政府機関はともかく、研究者たちも全く同じトーンで中国の立場が完全に正しいと主張し、異なる見方や視角は全く見られません」

 先方は苦笑いしながら答える。

 「一切の異見は許されません。それだけでなく、党の立場や主張を宣伝するように指名された研究者は、その任務を全うしなければなりません」

 7月12日、南シナ海の領有権問題などを巡ってフィリピンがオランダにあるハーグ常設仲裁裁判所に提訴していた判決が世に出された。当時、私は日本にいたが、日本のメディアはその動向を大々的に報じていた。

 従って、事の成り行きや判決の詳細に関しては割愛するが、簡単にレビューしておくと、周知の通り、判決はフィリピン側の主張を全面的に受け入れるものであった。中国が南シナ海の大半に歴史的権利を持つとの主張は無効であり、中国が支配する岩礁も海洋権益の基点にならないとした。特に焦点になったのが、中国が独自に主張する境界線"九段線"であるが、これについても国際法上の根拠がないとする判決を出し、中国が同海域で進める人工島造成などの正統性が疑問視されることになった。

 裁判所が審理をしていた間に進めてきた岩礁の埋め立てといった行為は同海域における事態を悪化させたと、中国の行動を非難した。

● 「ここまで悪いとは想定外だった」 "中国敗訴"を振り返る研究者

 どう読んでも"中国敗訴"としか解釈できない判決結果に対して、私が日頃交流している党・軍・政府の関係者や体制内で影響力を持つ研究者らの多くが「中国に対して相当不利な判決が出るとは思っていたが、ここまで悪いとは想定外だった」という感想をぶつけてきた。そんな心境が、冒頭で描いた新華社記者との会話から浮かび上がってくる事態を現実化させたのだと言える。

 中国が官民一体の統一戦線で"全面的敗訴"に対抗するためのネガティブキャンペーンを展開する上で、一つの"根拠"になったのが、判決が出る直前に米ワシントンD.Cで講演した戴秉国前国務委員が、仲裁裁判所が近く示す判決を「紙くずに過ぎず、中国がこのような仲裁を受け入れず、いわゆる裁定を認めず、執行しない」というトーン&スタンスである(筆者注:党機関紙《人民日報》のウェブ日本語版の関連記事を参照されたい。同サイトは上記における"外宣"に相当する)

 また、判決が出た直後、外交部、国防部、全国人民代表大会外事委員会といった機関が続々と声明を出し、政府としての白書まで出版し、中国の南シナ海における立場や主張を正当化しようとした。12日に王毅外相が判決結果を受けて発表した談話が中国当局の主張や立場を代表していると言えるため、以下、要点を記しておきたい。

● 王外相が判決を受けて発表した談話 「政治的茶番劇」など4点を主張

 王外相は「今日、臨時的に組織された仲裁法廷がフィリピンの前政府が一方的に提起した南シナ海仲裁案にいわゆる裁定を下し、中国の南シナ海における領土主権と海洋権益に損害を与えようと企んだ」と前置きした上で次の4点を主張した。

 (1)南シナ海仲裁案は首尾一貫して法律という外衣を着た政治的茶番劇であり、その本質が徹底的に暴露されることとなった。
 (2)中国は仲裁を受け入れることも、参加することもしないのは、法律に則って国際的法治と地域のルールを守るためである。
 (3)中国の南シナ海における領土主権と海洋権益は堅実な歴史的・法的根拠を擁しており、いわゆる仲裁裁定の影響を受けない。
 (4)中国は引き続き交渉と協商を通じて平和的に紛争を解決していくことに尽力し、本地域の平和と安定を守ろうとする次第である。

 王外相は「中国は中国側の同意を経ていないいかなる第3の解決方法、中国側に押し付けようとするいかなる解決方法を受け入れない」とも主張。興味深かったのは、判決が出た当日というタイミングで、「いま、この茶番劇は終了した。正しい軌道に戻るべき時がやってきた」と主張していることである。

 中国の指導部がそのように主張する背景として、王外相が談話の後半部分で言及している次の部分が挙げられるだろう。

 「中国はフィリピン新政府が最近行った一連の表明を承知している。そこには、南シナ海問題を巡って中国と協商・対話をしていきたいという意思も含まれている。中国は同政府が実際の行動を以て中国・フィリピン関係を改善する誠意を見せること、中国側と手を携え、意見や立場の相違を妥当的に管理し、両国関係をできるだけ早く健康的な発展の軌道に戻すことを期待する」

● "親中派"ドゥテルテ新大統領に期待 フィリピンに仲裁結果の形骸化を狙う

 習近平共産党総書記が5月下旬に実施されたフィリピン大統領選直後に祝電を送ったように、中国は"親中派"とされるドゥテルテ新大統領に期待をかけているように見える。南シナ海問題をめぐる仲裁案はあくまでも前任のアキノ大統領時代の産物であり、それを差別化しつつ、中国はフィリピン内政における政権交代に戦略的に便乗し、仲裁判決の結果を形骸化させるべく2ヵ国間交渉を仕掛けていくに違いない。

 と同時に、習近平政権が設立して以来、"一帯一路"、アジアインフラ投資銀行、シルクロード基金などの枠組み構築も含め、継続的に蓄積してきた"経済外交力"を爆発させるように、形勢をひっくり返すべく利用しようとしたのが、先日ラオスのビエンチャンで開かれた一連のASEAN関連外相会議である。

 仲裁案の結果を受けて、ASEAN諸国がどのような声明を発表するのかが注目されたが、中国と領有権を巡って揉めてきたフィリピンやベトナムの主張・立場とは裏腹に、とりわけ中国からの巨大な経済支援を受けているとされるカンボジアが最後の最後まで共同声明で仲裁案を取り扱うことに反対し、結果的に盛り込まれることはなかった。

 同地で行われた中国・カンボジア外相会談において、王外相は「カンボジアなどのASEAN国家が南シナ海問題において公道を保持したことを、我々は高く評価している。カンボジアが堅持している立場が正しかったと歴史は証明するであろう。我々はいかなる外部勢力がいわゆる南シナ海仲裁案を利用・扇動することによってこの地域を撹乱させることを許してはならない」と主張した。

 中国国内では「カンボジアが踏み止まったおかげで、ASEAN会議の共同声明が仲裁案に言及しなかった。カンボジアのおかげだ。これまで以上にカンボジアを全面的に経済支援すべきだ」という世論が高まっていると私は感じている。

● 今後、安全保障と経済支援の中心?  中国の立場を支持したラオス、カンボジア

 中国は今後、安全保障と経済支援の戦略的結合という観点から、東南アジアではラオス(筆者注:ラオスは会議の議長国を務めたため赤裸々な対中傾倒は避けたものと思われるが、同地域ではラオスも中国の立場を支持しているとされる)とカンボジアを中心に展開していくだろう。

 「中国政府はフィリピンが巨額のお金を使って仲裁案を担当する裁判官らを"買収"したと主張するが、中国がカンボジアを含めた途上国に自国の立場を支持してもらうためにバラ撒いているお金の額もばかにならない。中国も代償を払っている」(冒頭の新華社記者)。

 中国・ASEAN諸国会議は、2002年に締結された《南シナ海における関係国の行動宣言(DOC)》を共同声明として発表した。中国が同諸国に猛烈にアタックした結果だと言える。

 中国は、DOCを以て"南シナ海問題は当事者同士の直接協議で解決するべき議題"という世論を作り出し、かつDOCを早期に《南シナ海行動規範》に昇格させたいと考えているだろう。王外相はASEAN諸国外相に対して、2017年上半期までに「行動規範」の採択を完了するという目標を提案している。

 王外相はビエンチャンで受けた中国メディアの取材に対して「東アジアは経済共同体を推し進める必要がある。その過程で主導権を握るべきなのはASEAN諸国だ」と指摘したが、ASEAN諸国の経済的利益を十二分に尊重することで南シナ海情勢に関連する安全保障利益における"集団的譲歩"を迫りたいと目論んでいる北京の意図が赤裸々に伺えた瞬間だった。

 ビエンチャンで取材をしていた中国中央電子台(CCTV)の記者によれば、「ラオス滞在中も、東南アジア諸国、特にインドネシア、シンガポール、マレーシアといった中国の立場に厳しい態度を示してきた国のなかで、中国を支持してくれそうな議員や高官を探し出し、取材せよという以前からの任務を背負っていた」とのことである。ここにも、外交を通じて"内宣"を強化しようとする中国共産党指導部の慣例的やり方がにじみ出ている。

 中国はラオスにおける一連の外相会議を経て、仲裁案敗訴によって苦しい立場に置かれた国際的処遇がとりあえず"緩和"したと考えているだろう。「これは中国が成長する上で必然的に経験しなければならない挑戦だ。仲裁案の影響は簡単には過ぎ去らない。現在、我々は段階的な勝利を収めたけれども、仲裁の影響は長期的かつ複雑であるのだ」(阮宗澤・中国国際問題研究院常務副院長が、同研究院が7月27日に主催した南シナ海情勢に関する座談会で指摘)。

● フィリピンを操る黒子は米国 南シナ海は米中衝突の"火薬庫"

 特筆に値するのは米国との関係である。米中関係にとって、南シナ海はまさに両国の核心的利益が真正面から衝突する"火薬庫"であり、両国にとっては近年最大の懸案であり、仮に米中間で武力衝突が起こるとしたら、その可能性が最も高いのは朝鮮半島でも、東シナ海でも、台湾海峡でもなく、この南シナ海であると私は考えてきた。いまでもそう捉えている。

 実際、今回の仲裁案に関しても、フィリピンはあくまでも表舞台で演じている子役に過ぎず、裏でそれを操っている黒子は米国であるというのが、中国が"内宣"や"外宣"で訴えてきたロジックである。

 内宣の例としては、7月13日、外交部の陸慷報道官が「米国はこれまでも国際法に対して選択的に執行する態度を取っている。自らの利益に合えば用い、合わなければ捨てるというやり方だ。他国に対して《国連海洋法条約》を守るように要求しつつ自らはそれに加わろうとしない。米国に南シナ海問題で他国に対してとやかく言う如何なる資格があるというのか? 我々は米国に自らの言動をしっかり反省し、違法な裁決のために世論を造ること、南シナ海問題で挑発的な行動を取ること、中国の主権の安全利益を損なうこと、地域の緊張情勢を高める行動を停止することを警告したい」と主張した。

 外宣の例としては、7月22日、中国駐米国大使館がワシントン・ポスト紙に"手紙"を送り(15日)、「中国の南シナ海での行動を批判する社説(14日掲載)を厳粛に反駁し、中国側としての立場を表明した。手紙の内容は、7月22日の同紙評論版に掲載された」というプレスリリースを発表した。

 手紙は「懸念されるのは、仲裁という茶番劇と軍事的な威嚇が同時に行われていることである。米国が南シナ海に軍艦や軍機を配置するやり方は"強権とは公理"というパフォーマンスであり、地域の緊張情勢を加速させ、外交交渉努力を破壊するものである。我々は米国が正しい選択をし、軍事的な挑発的行動を停止させ、外交努力を重んじること、そして、南シナ海問題を以て中米関係を定義しないことを促したい」と主張している。

● 米国を批判・牽制しておきながら 両国関係の戦略的重要性も強調

 ここまで米国を批判・牽制しておきながら、7月25日、ビエンチャンで行われた王毅外相とケリー国務長官の会談は別の様相を呈していた。外交部が公開した会談のプレスリリースでは両国関係の戦略的重要性を強調するトーンが前面に押し出されており、両国が多方面で協力していこうという意思が示されていた。

 懸案である南シナ海問題に関しても、あくまでも中国側の主張や原則的立場を繰り返す内容に終始し、かつ驚いたことに、ケリー長官が、「中国とASEAN諸国間の声明を歓迎すること」、「米国は南シナ海仲裁案に対して特定の立場を取らないこと」、「中国とフィリピンが2ヵ国間対話を再開し、できる限り早く仲裁案という一ページを乗り越え、南シナ海の緊張情勢からクールダウンすること」を表明したと記されていた。(参照記事)。

 実際には、立場の相違や利益の衝突など、激しいやり取りがあったのだろうが、それは封印された。中国当局がそういうやり取りの存在を人民たちの視線から隠したいと考えていたということである。

 また、同日(25日)、習近平総書記が北京でスーザン・ライス米大統領補佐官と会談したが、その模様は中国で最も視聴率の高いCCTV《新聞連播》(7時のニュース)で2分44秒にわたって放送された。この番組では、原則、党指導部が"内宣"として人民たちに伝えたいことしか扱われない。

 南シナ海問題は一切報道されず、あくまでもこの3年強のあいだに米中両国が残した成果、新型大国関係の重要性などを強調するにとどめ、あとはG20首脳会議で双方が再会するのを楽しみにしているといった内容のみが謳われた。

 このアンビバレントな対米宣伝工作は何を意味しているのだろうか? 

● 唯一絶対の執政党として君臨し続けるため 中国共産党は使える手は全て使う

 本稿の最後にこの問題を2つの側面から考えてみたい。

 まず、共産党指導部が"内宣"において統一戦線を敷き、国内世論を徹底的に固めようとした理由は、南シナ海問題という主権や領土に直結する核心的利益において、そんな主権や領土を主張し、死守する立場にある中国共産党が、少しでも譲歩や妥協をしたかのように国内的に認知されたり、勝負に負けたかのような印象が広がったりすれば、共産党の威信は傷つき、中華人民共和国における唯一絶対の執政党として君臨し続けるための正統性が揺らぐことになりかねないからである。

 この手の問題を巡っては、中国共産党は使える手は全て使い、何が何でも権益を死守しようとする。より具体的に言えば、自らが統治する人民の前では権益が死守されているという既成事実を死守しようとする。

 二つ目のポイントは、米国との関係が極端なまでに悪化することを嫌がる共産党指導部の思惑と関係している。

 自らの主権や領土といった核心的利益を何が何でも死守しようとすることは、民主選挙を持たず、制度に基づいた政権交代が許されない、言い換えれば、何が何でも失敗が許されず、自らが行っている政策が永遠に正しいことを証明していかなければならない共産党にとっては至上命題である。

 と同時に、中国という近代化を掲げる国家がグローバル時代における改革開放政策や国際社会との相互依存によって成り立ち、前に進んでいることもまた真実である。

 特に、第二次世界大戦後の国際秩序や規範・ルールの形成過程を主導してきた米国との関係を安定的に管理することは、昨今の中国共産党にとってはもう一つの次元における"核心的利益"だと言える。

● 主権、領土問題では一歩も引けない中国共産党 外的要因による内的リスクにも備える

 今回の南シナ海仲裁案を巡って米国を悪者に仕立て上げ、"反米感情"が高揚しすぎることによって、愛国無罪や反米無罪をスローガンに掲げ暴徒化する不満分子や造反者が続出し、社会不安が広がるリスクを懸念するのもまた共産党の伝統的思考回路である。その性質は、日本をケースにした前回コラム『日本の"改憲勢力"台頭で中国社会が無秩序化する? 』で指摘した次のパラグラフと同様である。

 "反日"が引き金となる形で当局と人民の関係が緊迫化し、人民が当局に反発すべく"愛国無罪"を掲げて暴徒化し、両者が対立する過程で、内戦を彷彿させるような武力衝突が起こり、結果的に社会が不安定化・無秩序化していくこと。これが、日本の参院選が中国共産党政治の盛衰にもたらし得る最大級の潜在的リスクだと私は考えている。

 主権や領土といったテーマを前に一歩も引けない中国共産党。一方で、一体化と多元化が同時に起こっているように見える国際社会、特に米国をはじめとした西側先進諸国と安定的に付き合い、かつ外的要因が引き金となって内的リスクが高まる事態にも備えなければならない中国共産党。

 統治のジレンマが深いレベルで顕在化しつつある。

 南シナ海仲裁案を北京で眺めながら、そう感じさせられる今日この頃である。


中国がアジア各国を“金満外交”で蹂躙する理由
ダイヤモンド・オンライン 8月2日(火)8時0分配信

● 中国の強引な南シナ海進出に対して アジア各国の姿勢のばらつきが鮮明化

 国際的な裁定が下ったにもかかわらず、今のところ、中国の強引な南シナ海の海洋進出の落としどころが見えない。それに伴い、アジア情勢にも大きな影響が出ている。最も顕著な兆候は、ASEAN(東南アジア諸国連合)の中で対中国の姿勢で溝ができていることだ。

 中国の海洋進出に対する、アジア各国の姿勢のばらつきが鮮明化している。ラオスで開催されたASEAN外相会議の共同声明を見ても、中国への懸念を示したものの、仲裁裁判所の判断を尊重するとの記述は棚上げされた。

 カンボジアなど親中派の国が中国への配慮を求めた結果、一時は共同声明が出せない恐れもあったとみられる。結局、各国は妥協を余儀なくされ、中国の「身勝手」を容認するとも取れる声明に落ち着いた。

 声明の中で明示的な批判がなかったことを受け、中国の王毅外相は「ASEANは中国を支持」と身勝手な見方を示した。あくまでも強気な姿勢を崩さない。。

 中国政府には、国内経済の減速に対する国民の不満を抑え、関心を海外に向けさせるために積極的な海洋進出を進める必要があるのだろう。そこには、中国を中心に世界が動くという"中華思想"に頼って、現在の一党独裁体制を支える理屈を作ろうとする意図が読み取れる。同時に、中国側の焦りも感じられる。

 これらの中国の間違った海外政策で、アジア諸国の対中感情は明らかに悪化している。フィリピン等は自らの主権が侵害されたことを受けて、中国との経済的な関係以上に外交ルートを使った安全保障の強化を重視し始めた。

 そうした中、国際的な司法判断を尊重し“大人の対応”を取ってきたわが国に対して、好意的な姿勢を見せる国は増えている。わが国は東南アジア各国との連携を強め、正しいことを正当に主張すべきだ。それは、最終的にわが国の経済外交の促進にもつながる。

● 中国の“金満外交”に懐柔された ラオスやカンボジアなど親中派の国

 7月12日に示された仲裁裁判所の判断に対して、中国政府は真っ向から反発し、国際司法判断の受け入れを断固拒否している。その裏には、経済成長率の低下が顕著な中国国内の問題がある。

 そうした中国の強硬姿勢は、先述した通り、ASEAN諸国の足並みを乱れさせ始めた。顕著な例が、ASEAN外相会議の共同声明だ。声明の策定に当たり、カンボジアは過去の声明文にも修正が必要と主張し、中国に対する配慮を求めたようだ。

 その背景には、カンボジアのフン・セン首相が中国からの経済支援によって国内経済を支え、政権基盤を強化してきたことがある。「中国なくしてフン・セン政権なし」の状況につけ込んで、中国は外相会議に先立ってカンボジアへの新規支援を約束し、自らへの支持を取り付けていた。

 ASEAN議長国であるラオスも、カンボジアと並ぶ親中派として知られる。ラオスも、外相会議に先立って中国との会談を行っていたようだ。中国は自己正当化と、東南アジア各国からの批判阻止を目的に、ASEAN諸国の切り崩しを図っていた。親中派の国は、中国のいわゆる"金満外交"に懐柔されたのである。

 一方、中国に対する警戒を一段と強めているフィリピンやベトナムなどは、国際司法判断を尊重することを声明文に入れるべきだと主張した。特にフィリピンには、仲裁裁判所に提訴することで、中国の横暴を国際世論に晒し少しでも歯止めをかけたいと考えてきた。インドネシアやシンガポールなどもそれに同調した。

 その結果、共同声明では南シナ海での動向に懸念を持っていると、暗に中国の海洋進出を批判する表現が盛り込まれた。しかし、名指しで批判することは回避され、中国への配慮が強く印象付けられる内容になってしまった。

● 中国経済の減速と無縁ではない 積極的な海洋進出と外交政策

 当面、南シナ海を巡る対立は続くだろう。これは中国経済の減速と無関係ではない。中国国内では、成長率の鈍化や失業の増加等、社会情勢は不安定になりつつある。その中で、共産党政権は国民の不満を抑え、権力基盤を強化するために積極的な海洋進出を図っている。

 習近平政権が、国民の求心力維持のために掲げたのが"中華思想"だ。これは、漢民族が中心となって世界の秩序、繁栄を築くとの考えだ。つまり、漢民族が悠久の繁栄を謳歌するために、積極的に海外の資源や成長源泉を取り込んで国内の基盤を強化しようとしたのである。

 中国は、東南アジア各国に対して表向き友好的なアプローチを仕掛けた。その一つがAIIB(アジアインフラ投資銀行)の創設だ。世界各国の協力を取り付けつつインフラ開発支援を呼びかけることで、中国は過剰な供給能力を抱えた国有企業の海外進出を企図した。

 一方、中国はスプラトリー諸島海域などで埋め立てを実行し、そこが固有の領土であると主張した。これにフィリピンなどが反発すると、軍事施設などを設営し圧力をかけた。これが、「従わなければ力づくで手に入れる」という“力の論理”に基づく外交だ。

 道路や鉄道の整備などが不可欠なアジアの新興国にとって、インフラ開発支援はのどから手が出るほど必要なはずだ。にもかかわらず、徐々に中国の進出を批判し、距離を取ろうとする国が増えている。

 この状況は、力の論理の限界、そして中国経済の重要度の低下を意味している。つまり、ASEAN諸国は、冷静に自国の安全保障と中国の脅威を天秤にかけ、自国の主権と安全保障を守るために国際社会との関係強化を目指し始めた。

 それでも中国は、国内事情などを勘案して強硬な姿勢を貫くだろう。中長期的に見た場合、それは更なる中国への批判や離反につながることは避けられない。長期的に見て、間違った政策を振りかざし続ければ、いずれ、近隣諸国との関係が崩壊し、中国自身の利益にもならないはずだ。

● わが国は粛々と司法遵守の重要性を説き 東南アジア各国との関係を強化すべき

 中国に対する批判や懸念が高まっている状況は、わが国にとってある意味では大きなチャンスだ。ASEAN各国の考えは経済成長と安全保障の両立に向かっている。政府は毅然とした態度で国際司法判断の尊重を国際社会と共有し、ASEAN諸国が求めるインフラ支援などを行えばよい。

 アジア諸国のインフラ投資には、官民共同のプロジェクトとして積極的に推進すべきだ。それは、アジア諸国だけではなく、わが国の経済にとっても重要なメリットになる。

 2015年12月末、ASEAN域内の貿易促進や市場の統合による経済成長の加速を目指す、アセアン経済共同体(AEC)が発足し東南アジアの10ヵ国が加盟した。AECの人口は6.2億人、全体の経済規模2.5兆ドル(260兆円程度)にのぼる。

 AECは世界経済の中でも今後の成長が期待される重要な市場だ。世界の主要国にとって、AECとの関係強化やサポートは是が非でも手に入れたい成長基盤と言える。

 すでに、製造業、金融業など、わが国の多くの企業がASEAN地域の経済成長を見込んで積極的に進出している。省エネや製品の耐久性、安全性、アフターサービスだけでなく、技術指導などの面でもわが国に対する期待は強い。

 わが国政府は従来の経済協定にとどまらず、トップセールスを展開するなど、早期に、しかも積極的にASEAN経済への関与を深めるべきだ。

 現在、中国関連のインフラ支援に関して不信感は高まっている。中国が受注したインドネシア、ジャワ島での高速鉄道整備計画は予定通り進んでいない。そうしたケースを考えると、わが国企業の資金や技術の面からのサポートを強調すれば、インフラ投資の需要を取り込むことは可能なはずだ。

 中国の主張を全面的に否定した国際仲裁裁判所の裁定は、中国の強引な海洋進出が完全に誤っていることを世界に示した。わが国は粛々と司法遵守の重要性を説き、東南アジア各国が欲する技術やノウハウの提供に力を入れて関係を強化するべきだ。それが、中国の横暴に歯止めをかける有力な手段になるはずだ。


掲示板に「南シナ海は中国領土」 ベトナム2空港にサイバー攻撃
産経新聞 8月2日(火)7時55分配信

 ベトナム国営メディアは1日、空港など全国の航空関連施設に安全対策を強化するよう、当局が指示したと伝えた。ベトナムでは7月29日、首都ハノイと南部ホーチミンの両国際空港がハッカーの攻撃を受け、電光掲示板や館内放送で「南シナ海は中国固有の領土だ」などとするメッセージが流された。当局によると、両空港のハッキングは数時間続き、搭乗手続きが手作業に切り替えられた。ハッカーは、中国からベトナムなどにサイバー攻撃を続けている集団「1937CN」を名乗ったが、同集団は否定声明を出した。(シンガポール 吉村英輝)


中国、東シナ海で艦艇100隻以上の大規模演習
読売新聞 8月2日(火)7時32分配信

 【北京=蒔田一彦】中国国営新華社通信などによると、中国海軍は1日、東シナ海で大規模な実弾演習を行った。

 海軍トップの呉勝利司令官が指揮し、東シナ海を管轄する東海艦隊に加え北海艦隊と南海艦隊の艦艇計100隻以上、軍用機数十機が航空機・水上艦・潜水艦の合同攻撃やミサイル迎撃など10項目以上の訓練を実施。具体的な海域は明らかにしていないが、日本をけん制する狙いもありそうだ。

 常万全国防相は7月31日、建軍記念日の1日を前に北京で開かれた式典で、南シナ海での中国の主権主張を否定した仲裁裁判所の判決を念頭に「中国軍は領土と海洋権益を断固として防衛する」と述べていた。


櫻井よしこ氏が中国軍艦領海侵入で取るべき対応提案
NEWS ポストセブン 8月2日(火)7時0分配信

 尖閣諸島の領有権を主張してきた中国が、いよいよ軍艦まで使って日本の海に触手を伸ばし始めた。相次いで領海や接続水域に船を入れてくる中国に対し、日本はどう対処すべきか。ジャーナリストの櫻井よしこ氏が解説する。

 * * *
 6月15日未明、中国海軍の情報収集艦が鹿児島県の口永良部島近くの日本領海に侵入しました。続いて16日午後には同じ中国の情報収集艦が沖縄県の北大東島の接続水域に入りました。それより約1週間前の9日には中国海軍の軍艦が尖閣諸島の接続水域に侵入しています。外務省が抗議しても、中国の軍艦の動きは止む気配がありません。

 中国のやり方を思い出してみましょう。中国はまず領有権を主張します。次に漁船を入れ、続いて公船を侵入させます。それを常態化させ、最後に軍艦を入れて島を奪ってしまうのです。日本の領海や接続水域に堂々と軍艦を入れてきた。南シナ海で東南アジア諸国の島を奪い続けている中国が、東シナ海でも次なる一歩を踏み出したと言えます。

 安倍政権以前の日本政府は、中国を「刺激する」という理由で、国家として当然すべきことをしてきませんでした。中国は、こちらが配慮すれば相手も慮ってくれるという幻想が通用する国ではありません。日本の国防を考えて、軍事力の行使も含めて国際常識とされる権限を、自らを律しながらもきちんと行使すべきです。国際的なスタンダードにのっとった行動ができるよう、自衛隊に関する法規の早急な解決が必要です。

 中国の暴走を止めるために、いま日本は尖閣諸島の周辺に海上自衛隊の艦船を2隻配備しています。

 中国は海警局の公船が毎月3回ほど、我が国の接続水域と領海を侵犯し続けています。公船の後方、北には中国海軍の軍艦が常駐しています。以前は尖閣諸島への距離は約120kmでした。それが2014年の冬頃からずっと南下して尖閣諸島から約70kmのところまで近づいています。我が国の自衛隊の船は中国海軍の艦船と尖閣諸島の間に常駐して彼らが日本の海を侵犯しないように監視活動を続けているわけです。この監視と抑止の構えをしっかり維持し、強化することが大事です。

 中国はまた、日本との合意を無視して東シナ海で着々とガス田開発と称して16ものプラットホームを完成済みです。それらはいつでも軍事転用が可能です。東シナ海は南シナ海と同じ事態に陥る危険性があります。この「新しい現実」、それがもたらす危機の深刻さを日本人はしっかりと認識すべきだと思います。

 これまでは中国を刺激するという理由で避けてきたことも、今後は実行しなければならないでしょう。

※SAPIO2016年8月号


東シナ海で実弾演習=日本けん制する狙いか―中国
時事通信 8月1日(月)21時30分配信

 【北京時事】国営新華社通信などによると、中国海軍は1日、東シナ海で実戦を想定した実弾演習を実施した。

 「定例の訓練活動」と位置付けているが、沖縄県・尖閣諸島をめぐり対立する日本をけん制する狙いがありそうだ。

 演習は東シナ海を管轄する東海艦隊が中心となり、北海、南海両艦隊も参加して、約1.6万平方キロの海域で実施。海軍トップの呉勝利司令官が指揮し、約100隻の艦艇や数十機の戦闘機、各種兵器が投入された。中国軍は、中国の主張を退けた仲裁裁判所の判決が出た7月12日の前後に南シナ海で演習を実施した。


ASEAN分断図る中国、露骨な金権・恩義外交
Japan In-depth 8月1日(月)18時0分配信

ラオスの首都ビエンチャンで7月24日から東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会議、ASEAN地域フォーラム(ARF)などの一連の会議がASEAN加盟10カ国に日米中韓などの関係国外相も出席して開かれた。
今回の会議では直前の7月12日にオランダ・ハーグの仲裁裁判所が公表した、中国の南シナ海における領有権の主張に関し「法的根拠はない」とする裁定を受けて、ASEANがどう対応するかが最大の焦点だった。

■全会一致の原則が足かせ

南シナ海の南沙諸島(英語名スプラトリー諸島)には中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾がそれぞれ全域または一部島の領有権を主張、実効支配や人工島増設などで激しい争いを続けている。中国、台湾を除く各国はASEAN加盟国。国際的に問題を解決する道筋を開くためにフィリピンは仲裁裁判所に裁定を求めていた。中国政府は裁定を「紙屑」として受け入れ無視を公式発表しており、加盟国の領有権、安全保障にかかわるこの問題をASEANがどう取り扱うかが注目されていたのだ。 
結論から言えば、外相会議、ARFそれぞれの会議後に発表された共同声明、議長声明に「仲裁裁判所の裁定」への言及は盛り込まれなかった。これはつまりASEANが組織共同体として国際社会の判断を中国に受け入れるよう求めることを認めなかったことになる。会議直前から会議中を通じて二国間会議の場や公式・非公式の場を利用してASEAN加盟国に「裁定への言及盛り込み反対」を根回し、説得してきた中国外交の“勝利”であるとともにASEANの“敗北”でもあった。

ASEANは伝統的に「コンセンサス(全会一致)による決定」という原則を貫き通している。つまり、共同声明に関し加盟国の一カ国でも異を唱えれば全体としてまとまらない、という「原則」である。中国側にすれば切り崩すのは一カ国で十分なわけで、今回はカンボジアが終始中国寄りの発言で、フィリピンやベトナムなど南沙問題当事国メンバーの強硬論に異を唱え続けた。これまでもASEAN会議ではこの「全会一致」原則で言及や名指しを盛り込むことが阻まれた共同声明、議長声明が過去にあり、この一見民主的に見える原則が「足かせ」になって多数の意見や考えが反映できないジレンマに陥っている。

■中国のASEAN分断作戦

ASEAN加盟10カ国は、南沙問題に関しては強硬派のフィリピン、ベトナム、さらに中国が一方的に設定し領海権の根拠としている「九段線」の南端で自国のナツナ諸島の排他的経済水域(EEZ)が重なるインドネシアが、会議の議題、共同宣言で「裁定を盛り込み、中国を名指しして厳しい態度を示す」ことで動いていた。タイ、ミャンマー、マレーシア、シンガポールなどは中国からの経済援助や自国が抱える人権問題、華僑支配が強い経済構造問題など様々な国内事情から「風見鶏」的中立を堅持。そして親中ながらも議長国として中立を装わなければならないラオス。こうした「中立装い国」はASEANの結束に配慮してフィリピン、ベトナム、インドネシアの主張する対中強硬論に歩調を合わせるそぶりをみせながらも、一方で中国の「アメとムチ」にも理解を示すというダブルスタンダードで臨んでいた。

こうした各国の立場と位置づけを中国は当然のごとく会議前から読み切り、ラオス入りした王毅外相はカンボジア外相との二国間会談に臨み「カンボジアは(南沙問題で)道理と正義を守っている」と高く評価してみせた。中国はタイ、ブルネイ、シンガポール、ラオスとも二国間会談を実施、「南沙問題は当事者間で解決する問題」との中国の主張を刷り込むことに成功。これらの国はどっちつかずの姿勢に終始することになった。

この時点でほとんど“勝敗”は決しており、ASEANの盟主の地位を取り戻すべく加盟国間で最後まで調整役に徹したインドネシアが「裁定どころか中国という名指しすら盛り込めなかった」と嘆息する始末だった。いくらカンボジアが強硬に中国寄りの発言を繰り返しても〔1〕全会一致の原則 〔2〕複数の国がカンボジアに強硬にモノを言わず説得に回らなかった――ことから中国の「ASEAN分断作戦」は見事な成果を収めたのだった。

■なぜカンボジアは中国寄りなのか

ASEAN加盟10カ国の中で今回の会議ではカンボジアが最後の最後まで強硬に中国寄りの立場を堅持し続けた。カンボジアはなぜ同じ東南アジアの国々の期待を「裏切って」まで中国を擁護し続けるのか。それはカンボジアの歴史と経済状況に答えがある。

カンボジアの正式名称は「カンボジア王国」とう王政の国である。建国の父として国民の多くから慕われていた国王シアヌーク殿下(2012年に死去)という人物を覚えているだろうか。常に笑みを絶やさず誰にでも合掌して腰を低くして接する姿はカンボジア国民の統合の象徴でもあった。国民の多くが虐殺されたポルポト時代、シアヌーク殿下は中国・北京に逃れていた。その後もカンボジアと北京を足しげく往復したのは北京の病院で体調管理、病気治癒をしていたためで、亡くなったのも北京滞在中だった。中国共産党はこのカンボジアの象徴、国王を完全に手中にし、政治的実権のない国王を通してカンボジアへの影響力を増大していった。

カンボジアでは主要国道の延伸プロジェクト、海浜リゾートの開発(38億ドル)、ダム建設計画(2億8000万ドル)などの中国関係の巨大プロジェクトが進められ、多額の資金、資本が流れ込んでおり、カンボジア経済を支えているという現実がある。

今回のASEAN会議の直前、7月15日にアジア欧州会議(ASEM)出席のためモンゴルを訪れたフンセン・カンボジア首相は中国の李克強首相と会談した。この会談でフンセン首相が南シナ海問題で中国の立場への理解と支持を表明、中国は“見返り”として6億ドル(約629億円)の経済支援を約束したという。長年国王を世話した中国の恩義と6億ドルの経済支援の約束こそが、ASEAN会議でのカンボジアの「孤立無援」を支える原動力だった。

中国の開発途上国への「経済支援外交」「札束攻勢」は常とう手段だが、カンボジアにはさらに歴史の恩人として中国に払う敬意という「楔(くさび)」が背景に存在していることを理解しなければならない。

■ASEANの在り方見直し論も

ベトナムを訪れた中国人が入国審査で旅券を提示したところ、中国旅券の中の「九段線」が描かれたページにベトナム人入国管理官がいたずら書きをして返却した。中国人ガイドがベトナムの寺院を訪れた中国人団体観光客に対し「14世紀にはベトナムは中国の一部、全てのベトナム文化は中国が教えたもの」と説明し、海岸近くでは海をさして「この南シナ海は中国領です」と話し、中国語の説明のため周囲のベトナム人は理解できずに微笑んでいるだけ。

南シナ海の南端近くに位置するインドネシア領ナツナ諸島には、付近のインドネシアのEEZや領海内で違法操業して拿捕された中国やベトナムの漁船の乗組員が拘置されている施設があるが、インドネシア政府は新たな施設建設計画を発表した。「収容されている中国人とベトナム人の漁民がけんかや騒動を起こし、とても同じ施設に収容しておけない」というのがその理由だという。このような事例は中国とベトナムの関係が政治外交面だけでなく、市民レベルまで悪化していることを示している。

ASEAN会議でのカンボジアの中国寄りの姿勢に、シンガポールのシンクタンク研究者やタイのメディアからは「ASEANの在り方を見直す時期に来ている」との批判や論調が増えてきている。

見直しの要点は〔1〕「原則」としての全会一致の見直し 〔2〕加盟国の除名――に絞られている。この2点は実は新しくて古いASEANの問題点でこれまでもミャンマーの民主化運動指導者、アウン・サン・スー・チー女史への人権問題が表面化した2003年に、当時のマレーシアのマハティール首相が「スーチー女史を解放しない場合はミャンマーを(ASEANから)除名する」と警告したこともある。

「全会一致」と並ぶASEANの原則である「内政不干渉」についても「人権や領土領海など国境を超える問題では関係国で協議して解決を目指す」という主張が、特に1967年のASEAN発足当時の加盟国インドネシア、タイ、フィリピン、シンガポール、マレーシアから度々提唱されてきた。

しかし、国内に深刻な人権問題を抱えたり、社会主義、軍政という異なる政治体制だったりという個別事情をかかえたベトナム(1995年加盟)、ミャンマー、ラオス(1997年加盟)、カンボジア(1999年加盟)という「後から加盟した国々」による反対でいつまでも実現できない、という構造的問題が宿痾(しゅくあ)のようにASEAN という組織には付きまとっている。

来年2017年に発足から50年を迎えるASEANは、半世紀の節目に向けて、「原則」の見直しを含めたASEAN憲章の再検討という「内部改革」の動きをみせている。今回の会議でのカンボジアの姿勢がこの動きを加速させ、大きなうねりに発展する可能性は高い。当然のようにそうした事情は中国も理解しており、今後更にASEAN加盟国に対する中国からの個別の働きかけは激しさを増すことが十分予想される。「アメとムチ」「経済と恩義」「懐柔と恫喝」など中国からの攻勢にどう組織共同体としてASEANは対処していくのか、来年に向けて大きな曲がり角、正念場を迎えようとしている。


南シナ海問題で中国政府が煽る民衆デモの正体【中国人漫画家・孫向文】
週刊SPA! 8月1日(月)16時20分配信

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。今回、最新刊「中国が絶対に日本に勝てない理由」(扶桑社刊)が発売されるにあたり、短期集中ながら連載させていただくことになりました。第1回目の『日本国憲法は“欠陥品”!? 中国人漫画家が語る「改憲勢力3分の2に期待すること」』に続き、第2回の今回のテーマは「南シナ海問題」についてを、中国人漫画家の僕がどう見るか、です。

◆世界の「対中包囲網」で高まる中国ナショナリズム

 2016年7月15日、南シナ海沖を乱開発する中国に対し、日米韓三ヶ国の外務相は中国側が「ハーグ裁判所の判決結果を認めるべき」という見解を発表しました。ほかにもオーストラリア、インドなど各国の首脳陣が中国を非難する意向を示しており、世界各国による「対中包囲網」が完成しつつあります。

 これらの事実を受け、中国国内では偏執的なナショナリズムが発生し、中国を批判した国に対する抗議活動が活発化しています。具体的な事例をあげると現在の中国国内ではアメリカ資本のファーストフード店に対する不買運動が発生し、消費者が売国奴と罵られたり、店舗に生卵が投げつけられるといった嫌がらせが各地で行われています。抗議活動に参加している人々の多くが中国の行政側が公認した「仕込み」であり、店舗側が警察に通報しても抗議を停止しません。

 さらに現在は官民が一体となって抗議活動を後押ししています。2016年7月20日、山東省のある都市では教師の指導のもと小学生たちがファストフード店の前に立ち、抗議活動を行ったそうです。中国国旗を手に掲げ口々に中共擁護、アメリカ批判の声をあげる小学生たちの姿を見て、僕は「紅衛兵」(文革時、中共に扇動された一般市民の総称)を連想しました。またとあるネット通販企業は、中国が主張する南シナ海の領海線「九段線」が描かれた地図を、「海水一滴すら渡さない!」という「人民日報」発のキャッチコピーのもと販売しています。

 中国国民たちの抗議活動は、もはや被害妄想の域まで達しているものもあり、中国を非難したフィリピン産のバナナを販売する店舗に脅迫声明が送られたり、ネット上ではバナナの購入者が批判されています。先日日本の女性大食いタレントが「6kg分のバナナを食べる」という動画をYouTubeにアップしたところ、「バナナの数は137本、これは中国の人口13.7億人を風刺している!」「バナナを食べるな日本鬼子!」といった馬鹿馬鹿しい抗議が殺到したのです。

◆中国政府も煽り立てる抗議活動

 暴走する中国の抗議活動に対し、中共政府は表面上沈静化を呼びかけているものの、上述の仕込みのように実際は国民たちを煽り立てています。この現状を受け、冷静に事態を見つめている層の多くが「義和団の乱」を連想しているようです。

 義和団の乱とは19世紀末期の中国で発生した抗議活動で、当初は民間団体による外国人排斥運動でしたが、当時中国を支配していた清王朝の策略により、しだいに対外戦争へと変化しました。外国を敵視して国内をまとめ上げようとする中共政府の政策は、まさに清王朝と同一のものです。

 南シナ海をめぐる「現代の義和団の乱」に対し、冷静な層は「2012年に発生した反日デモと同じく、政府による自作自演だろう」「政府は自国民を白痴化させるつもりか?」、「本当の愛国者は、昼間仕事をしている」という批判をネットなどに次々とよせています。これは僕の見解にすぎませんが、日本の左派・リベラル層は多くの人が勤労している平日の昼間の最中、大勢で集合しデモ活動を行います。僕は彼らと中国の抗議者たちに共通点を感じます。

 今回の例のみならず過去のデモ活動、そして日本における粗暴な振る舞いを見て中国人に嫌悪感を覚える方は多いでしょう。だが漢字や干支など日本に様々な文化を伝えた古代中国に対し、尊敬の念を抱いている日本人は少なくないと知人からうかがったことがあります。

 司馬遷や魯迅、あるいは岳飛や「三国志」の関羽など古代中国の偉人たちは、日本のみならず世界各地で崇拝されています。僕は中国の人々がかつての品格を取り戻すためには、中共政府の退陣、ならびに民主主義化での再教育が必須条件になると思います。

【孫向文(そん・こうぶん)】

中華人民共和国浙江省杭州市出身、漢族の33歳。2013年に来日以降、雑誌やインターネットを中心に漫画やコラムを執筆している。最新刊に「中国が絶対に日本に勝てない理由」(扶桑社)


稲田氏「慰安婦像撤去要求は重要」
産経新聞 8月1日(月)7時55分配信

 自民党の稲田朋美政調会長は31日、フジテレビ番組「新報道2001」に出演し、南シナ海問題や元慰安婦の支援財団などについて語った。稲田氏の主な発言は次の通り。

                   ◇

 --南シナ海の領有権問題をめぐる仲裁裁判所の裁定を中国は無視しようとしている

 「中国は(国連安全保障理事会の)拒否権を持っている特権的な立場にあり、国際法を守るのは当然だ。力による現状変更は国際社会から全く理解されない。主張があるなら裁判手続きの中で行うべきだったが、参加せずに逃げた」

 --南シナ海をめぐる脅威が高まっている

 「仲裁裁判の手続きの途中ですら軍事拠点化を進めた。中国は国際法に慣れていないとの意見もあるが、国連安保理の常任理事国でありながらそういう主張をするのは中国にとってよくないのではないか」

 --韓国政府が設立した元慰安婦の支援財団に対し、日本政府が近く10億円を支払うようだ

 「(昨年末の)日韓合意は日韓関係にとって意義があり、両国がしっかり合意を守る必要がある。(ソウルの日本大使館前の)慰安婦像を撤去することも合意の重要な要素なので、韓国にはしっかりと進めていくという姿勢を示していただかなければならない」

 --今後も慰安婦像の撤去を要求し続けていくか

 「客観的な事実が全てだ。慰安婦像は『(旧日本軍が)20万人の若い女性を強制連行し、性奴隷にした』という誤った認識の象徴。撤去を求めていくことは日本にとって非常に重要だ」

 --内閣改造・自民党役員人事に関し、けがで入院中の谷垣禎一幹事長が辞意を伝えたと報道されている

 「谷垣氏がこういうことになり、実力的にも人格的にも、党と官邸のパイプ役としても、いかに存在感があったかを改めて感じさせられている」

 --稲田氏が重要閣僚で入閣するとの報道もある

 「私もびっくりしたのだが、そういう話は全くない。私はいかなる立場でも、安倍晋三政権が進めてきた改革や東アジア・太平洋地域の経済、法の支配(の確立)などを後押ししていきたい」


ベトナム航空、ハッキング被害…国際空港でも
読売新聞 7月31日(日)14時21分配信

 【バンコク=児玉浩太郎】ベトナム国営紙トイチェー(電子版)などによると、ベトナム航空のウェブサイトが29日午後、ハッキング被害に遭い、「南シナ海は中国の固有の領土だ」などとする声明と画像が表示された。

 同社の顧客約40万人の個人情報が流出した可能性もある。

 中国の南シナ海での主権主張を支持するハッカー集団による犯行とみられる。人工島の造成など一方的に南シナ海の軍事拠点化を進める中国は、これに反発するベトナムと対立関係にある。声明ではベトナムだけでなく、領有権を争うフィリピンも批判した。

 ベトナムの首都ハノイと南部ホーチミンの国際空港でも同日午後、発着情報を示す表示板の画面が同様の被害に遭った。


「南シナ海」で分裂回避=共同声明、団結を優先-ASEAN外相会議〔深層探訪〕
時事通信 7月30日(土)8時27分配信

 東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議は25日、注目された南シナ海問題をめぐる仲裁裁判判決への言及を見送る形で共同声明を採択した。判決に対する評価を声明に入れるかどうかで加盟国が鋭く対立したことから、一時は「採択断念の可能性もある」(ASEAN外交筋)との見方も出たが、中国を刺激する声明案の文言そのものを削除することで折り合いを付けた。6月の中国・ASEAN特別外相会合で、中国の切り崩しによって中国を批判する声明の撤回に追い込まれた苦い経験から、今回は何とかその二の舞いを防ぎ、団結を優先させた形だ。

 ◇親中派が強硬姿勢
 「仲裁判決後に加盟国が一致して南シナ海問題に触れた声明を出せたことに意義がある」。ASEANのある外交官はこう語り、異例の3日連続で開かれた外相会議で結論がようやく出たことを評価した。

 仲裁裁判をめぐっては、フィリピンやベトナムが当初、判決を歓迎する文言を入れるよう要求したのに対し、親中派のカンボジアが強硬に反対。その後、フィリピンとベトナムは妥協し、歓迎ではなく、「判決を認識」というあいまいな表現を盛り込むことでぎりぎりまで折衝が続けられたが、結局カンボジアは反対姿勢を崩さなかったもようだ。

 24日に現地入りした中国の王毅外相はカンボジアやラオスなど域内6カ国外相と相次いで会談。中国に厳しい内容の合意形成を阻むため、外交攻勢に出た。

 それでも各国が声明採択にこだわったのは、今回の会議で声明が出せなければ、ASEAN各国間の亀裂が固定し、存在意義が薄れるとの危機感があったためだ。特に域内最大の人口を持つ「盟主」インドネシアの懸念は強く、正式会議前日の23日夜に臨時会合を呼び掛け、団結の必要性を強調。南シナ海という言葉を使わず、「地域の平和と安定」に関して新たな声明を出すことも提案した。

 ◇全会一致見直しも
 ただ、中国が最も嫌がった仲裁判決に関する文言が声明に入らなかったことで、「結果として、中国の思うつぼになった」(日本政府関係者)との懸念も出ている。中国が南シナ海で人工島の軍事拠点化をさらに進めても、カンボジアなど親中派の意向で、ASEANが一致した行動を取れない可能性もある。

 中国の意向に従うことの多いカンボジアに対しては、各国からは「中国の属国だ」(外交官)と厳しい意見が出ている。カンボジアがASEANの結束を乱し続けた場合には、意思決定の全会一致方式を見直すことも検討すべきだとの声も上がっており、今後もASEANが結束を保てるかは不透明な情勢となっている。(ビエンチャン時事)


中露、9月に南シナ海で初の軍事演習 プーチン大統領の訪日控え日本側にシグナルか
夕刊フジ 7月29日(金)16時56分配信

 中国とロシアの海軍が、9月に南シナ海で合同軍事演習を行うことが明らかになった。中露は2012年以降、海軍合同軍事演習を毎年実施しているが南シナ海での演習は初めてだ。ロシアのプーチン大統領は年内にも来日する見通しだが、南シナ海への進出をもくろむ中国に肩入れするつもりなのか。

 中国国防省の楊宇軍報道官が28日の記者会見で発表した。楊氏は「定例の演習であり、両軍の実務的な協力を深化させるのが目的だ。第三国に向けたものではない」と強調したが、米韓が最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備を決定したばかりのタイミングだ。中露はTHAADに激しく反発してきただけに、米国を牽制(けんせい)する狙いがあるのは明らかだろう。

 南シナ海をめぐっては、中国が主権が及ぶと主張し、独自に設定した「九段線」(赤い舌)について、オランダ・ハーグの仲裁裁判所が12日、「法的根拠はない」とする裁定を下した。中国の主張に正当性がないことがはっきりしたのだ。困った中国がロシアを味方に引き込んだようにも見える。

 ここで気になるのは、日露関係への影響だ。プーチン氏は年内にも来日し、安倍晋三首相との首脳会談で北方領土問題の進展を目指す考えだが、中国への接近をどうみればいいのか。

 ロシアの安全保障に精通する軍事アナリストの小泉悠氏は「中露はここ数年、毎年5月ごろに海軍合同軍事演習を行ってきた。ところが、今年は4月に実施準備会合の開催が報じられてから動きがなく、中露間で何か駆け引きが行われているのではないかと考えられてきた」といい、続けた。

 「ロシアはこれまで中国の安全保障問題に巻き込まれることを避けてきた。だが、米国をはじめ西側との関係が悪化し、最近は中国寄りの姿勢を示すことが多くなっている。プーチン氏の来日で日露外交が活発化する見通しを念頭に、日本に『われわれロシアと良好な関係を築かないと、中国に肩入れするぞ』というシグナルを送っている側面もある」


アジアの安全保障に対する欧州の態度
Wedge 7月29日(金)12時10分配信

 多額の武器輸出を含むアジアとの絆を考えれば、欧州は、アジアの安全保障により大きな役割を果たしてよいはずだが、欧州がその気になるのかはわからないと、6月18-24日号の英エコノミスト誌が論じています。要旨は以下の通りです。

フランス国防相の空疎な提案
 欧州自身は時に自らの軍事プレゼンスを認めてもらいたい素振りを見せる。6月初めのシャングリラ対話では、仏国防相が、南シナ海における軍事プレゼンス維持に向けて欧州諸国が調整、協力することを提案した。が、多くの関係者は、空疎な提案としてこれを退けている。

 一方、欧州をとりわけ冷ややかに見ているのはASEANだ。両者は東ティモールや軍事政権下のミャンマーをめぐって長年揉めてきた。また、欧州の植民地だったASEAN諸国は、人権を問題にする欧州を偽善的と見ており、衰退しつつある欧州の絶望的状況を欧州自身がよく理解していないらしいことにも苛立っている。この見方は、EUが経済危機、移民問題、イギリスの離脱問題等、EU内の問題に振り回される中でいっそう強固になってきた。

 地域の安全保障問題の重要な討議の場となってきた、東アジアサミットや拡大ASEAN国防相会議にEUが入っていないこともマイナスに働く。欧州はアジアの安全保障への関与不十分で加盟できず、加盟しなければ議論に加われない、というジレンマにある。

 EUは一つにまとまれない、というアジア側のもう一つの不満もある。イギリスは「中国の親友」になろうと、ラオスやカンボジアがASEAN内で時々やるように、中国の指示でEUのコンセンサスを妨害しかねない。勿論、中国はEUが米国の対中政策に同調しないよう、中国の提供する商業的利益をめぐるEU諸国間の競争に付け込み、EU全体を誘惑しようとするだろう。

 しかし、これらは、EUを東アジアサミットや拡大ASEAN外相会議に参加させない理由にはならない。南シナ海の問題は、単に米中競争の問題ではなく、ルールに基づく国際秩序の将来にかかっている。自分達の問題で混乱している欧州は、欧州がアジアを必要としているように、アジアも欧州を必要としていることを認識すべきだろう。

出 典:Economist ‘The lost continent’ (June 18-24, 2016)

 上記論説では、欧州のアジアの安全保障に対する関心は薄く、仏国防相が、南シナ海への欧州の関与を提案しても欧州の他国は聞く耳を持たず、他方、ASEANは、欧州は衰退しているうえに、経済危機など自らの心配事で頭がいっぱいでアジアに注意を払う余裕がなく、「中国の親友」になろうとする英国が、中国の指示でEUのコンセンサスを妨害しかねないなどと欧州に批判的であるが、南シナ海問題はルールに基づく国際秩序の将来がかかった問題であり、ASEANは欧州の関与を歓迎すべきである、との趣旨を述べています。

欧州の安全保障の関心はロシアだった
 欧州の安全保障上の関心は、一貫してロシアであり、アジアの安全保障に対する関心が薄かったのも無理はありません。欧州のアジアに対する関心は主として経済的なものであり、特に、中国の経済発展にあやかりたいとの魂胆が明らかでした。

 他方、アジアの安全保障上の関心の中心は中国であり、安全保障に関する欧州とアジア、特にASEANの土俵は異なっていました。

 しかし、南シナ海の問題は、単にアジアにおける中国の影響力の拡大のみにとどまらず、ルールに基づく国際秩序の維持の問題であり、欧州も関心をもって当然です。欧州は確かに経済危機、難民、移民問題、イギリスのEU離脱問題など、自身のかかえる諸難題への対処に手いっぱいですが、国際政治の一つの重要な極であることには変わりありません。南シナ海への関与は、欧州の政治的存在感を示すうえでも意味があります。

 欧州の南シナ海問題への関与は、日本、米国そしてASEANにとって歓迎すべきことです。ASEANはEUに対する冷ややかな態度を変え、この問題についての欧州との対話を進めるべきであり、日本も、欧州との二国間対話あるいは多国間の会合で、欧州の南シナ海問題への関与を推進すべきでしょう。


高まる中国の脅威!!東シナ海でも「同じこと」は起きる
ダイヤモンド・オンライン 7月29日(金)11時0分配信

 内向化が止まらないアメリカ、南シナ海などで膨張し続ける中国、イギリスのEU離脱、IS(イスラム国)による相次ぐテロ……この動揺する世界を、日本はいかに乗り切るべきか? 
前回に引き続き、人気ジャーナリスト・櫻井よしこ氏の最新刊『凛たる国家へ 日本よ、決意せよ』の中から紹介していこう。

 ◆前回の内容◆
オバマ氏とトランプ氏の「共通点」が、中国の暴走を招いた! 
http://diamond.jp/articles/-/96780

● アメリカのみならず、 イギリスでも「内向化」がとまらない…

 孤立主義と言い換えてもよい自国第一主義は、アメリカにとどまらず、ヨーロッパにも急速に広がっている。イギリスは2016年6月の国民投票で、EU離脱を決定した。33万3000人の移民が流入し、社会不安が生じ、離脱派が急速に勢いを増した結果である。

 強烈に離脱反対の論陣を張ったキャメロン首相は敗れ、7月13日、テリーザ・メイ氏が新首相に決定し、イギリスは敢然と次の段階へ進もうとしている。

 だが、その前途は決して明るくはない。EU離脱によって経済的にはおそらく縮小していくと思われる。EUに残りたいスコットランドは、イギリスからの離脱を考え始めた。仮にスコットランドが去れば、イギリスは国土の3分の1を失う。北海油田も失う。原子力潜水艦が停泊できるイギリス唯一の軍港を持つクライド海軍基地も失う。かくして連合王国のイギリスは、グレートブリテンどころか、小さなブリテンの国になってしまいかねない。

 イギリスのEU離脱は、アメリカとEUの関係も弱体化させかねない。イギリスはアメリカにとってかけがえのない支持国であり、最善の理解者であった。第1次世界大戦も第2次世界大戦も彼らは共に戦った。

 戦後の戦争でも、ベトナム戦争を除くすべての戦争で、両国は共に戦った。アメリカとヨーロッパの架け橋だったイギリスのEU離脱で、アメリカのEUに対する影響が低下するのは当然である。

● その他の欧州諸国でも 似たような動きが加速…

 イギリスと同様の動きは、EU諸国でも急速な広がりを見せている。フランスでは右翼政党「国民戦線」党首のマリーヌ・ル・ペン氏が支持率を高めており、来年(2017年)の初夏に予定されている大統領選挙の最有力候補である。
彼女の政策は反EU、反移民、反難民である。フランス独自の価値観とフランス独自の文化、文明を大事にしたいという自国第一主義である。

 ドイツはメルケル首相が110万人の難民を受け入れ、シリアをはじめとする諸国の難民からは非常に感謝されている。悲鳴を上げているのがドイツ国民だ。110万人の難民流入で、街の様子が変化する。多大な予算も必要だ。
不満と不安が高まり、反移民、反難民、反EUの気運の中で、支持を広げたのが、フラウケ・ペトリーという女性リーダー率いる「ドイツのための選択肢」という政党である。ドイツ連邦議会選挙は来年秋の予定である。

 自国第一主義の右翼的な政党は、同様にポーランド、オランダ、チェコ、スロバキアなどでも台頭した。2016年5月に大統領選挙を行ったオーストリアは、0.6%の差でEUに背を向ける極右政党が敗れたが、この選挙に不透明な部分があったと右翼政党側が主張し、大統領選挙はやり直されることになった。

● 空中分解しつつある軍事同盟、 それを喜ぶ「いくつかの国」

 自国第一主義、排他主義の蔓延の中で、EUでは求心力よりも遠心力が働いているのである。EUの結束力は弱まると見るべきだ。EUの軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)にも必然的に影響が及ぶだろう。NATOはイギリスのEU離脱決定後の7月8日に会合を開いたが、予想どおり具体的な結論は得られず、結束を固めるという抽象的な合意で散会した。

 NATOを支える最大の力、アメリカもNATOに対して強い不満を表明している。トランプ氏は4月27日の初の外交政策発表でNATOに言及し、28の加盟国のうち、GDPの2%を軍事費に充てるというNATO合意を実行しているのは、わずか4ヵ国ではないかと論難した。

 大半の加盟国が義務を果たさないような軍事同盟は時代遅れであるとトランプ氏は語る。ヨーロッパ全体の団結力が、軍事力も含めて、弱体化するプロセスが始まったのではないか。

 これを歓迎しているのがロシアのプーチン大統領である。同大統領が中東におけるアメリカの空白を巧みに利用して主舞台に躍り出た経緯については前回触れた。

 同じ構図がアジアでも見られる。中国は日本などの西側諸国が是とする国際法を守らない。西側諸国が重要視する平和的話し合いに応じない。西側諸国が否定する力による現状変更を敢えて行う。

 蛮行と不法行為を続ける中国にどう対応するかが、いまや世界と日本にとっての最重要の課題である。

● 参院選での与党勝利、 その背後にある「人々の心理」とは? 

 私たちはいま、急いで日本を中国の脅威に対応できる国に変えていかなければならない。脅威が押し寄せてきたとき、現状では国土、国民を守ることは難しい。このまま基本的な構図を変えなければ、日本の文明を守ることも、やがて難しくなる。

 中国の脅威への対処こそ、最も喫緊の課題である。7月10日の参議院議員選挙で与党自民党が勝った理由もそこにあると私は考える。多くの人々が中国の脅威を感じている結果、日本の将来を任すべき政党を選んだのが今回の選挙だったのではないか。それはそのまま、民共連携が勢力を伸ばせなかった理由ではないのか。

 この国をやがて社会主義に導こうと考える共産党の思想信条にいま、本当に賛同できるのか。共産党は、日本国を守る責務を引き受けている自衛隊を憲法違反と決めつけ、最終的に解散することを決めている。中国の脅威が増大する前で、本当にこのような政党に議席を与え、日本を任せられるかと言えば、大いに疑問を抱かざるを得ない。その共産党と、価値観を著しく異にする民進党が連携したことへの拒否が、参議院選挙の結果に表れたのであろう。

 自民党をはじめとする改憲勢力が参議院で3分の2を勝ち取ったことで、戦後初めて衆参両院で改憲勢力が3分の2を超えた。この国民の声を活かすことが自民党の責任である。

 日本国憲法を改正し、日本国を日本国として存続させるための体制をつくる時である。速やかに憲法論議を開始し、憲法改正を発議するのがよい。その際の焦点は、どう考えても、憲法前文と9条2項ではないか。

 9条1項は、日本は侵略戦争はしないとするものだ。2項には、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と明記されている。

 第1項は日本が守るべき価値としてそのまま残し、第2項を改正して、自衛のための戦いに必要な軍事力の保持をきちんと認め、自衛隊を国軍として位置づけることが重要である。無論、緊急事態条項も必要である。その他にも急がれる改正点があるのは当然である。

 折しも、7月14日、各紙が1面トップで、天皇陛下が「生前退位」のご意向を示しておられると伝えた。82歳になられる陛下は、ご自身の健康上の理由からご公務の削減措置がとられていることなどを心苦しく思われて、ご意向を示されたと報じられた。現行憲法では崩御前のご退位はできないためのお考えだという報道である。宮内庁はこの情報を否定したが、皇室典範の改正も含めて私たちは皇室の在り方についても考えるべきなのだ。

 こうした重要項目を中心に、憲法論議を速やかに開始し、発議し、国民の意思を問うてほしい。

● 日本の活躍を アジア諸国も期待している

 政権与党に課せられた最大の責務は、国内的には憲法改正であるが、それだけでは日本の責任は果たされない。

 中国は国際社会の忠告に耳を貸さず、これからも南シナ海及び東シナ海において、国際法違反のまま自国の権益を守ろうとするだろう。1つの方法としてフィリピンの取り込みがある。様々な経済的恩恵を与えることで、国際法を事実上否定する戦術を取ると思われる。経済的な搦め取りの背後で、常に強大な軍事プレゼンスの示威も欠かさないだろう。

 経済力と軍事力を前面に立てる中国の主張が国際法に合致しないのであれば、自由と法を重視する国々は、彼らに国際法を遵守するよう働きかけなければならない。彼らが他国の領土や領海を軍事力で奪うならば、それに対する抑止力を発揮しなければならない。

 その先頭に日本はアメリカと共に立つべきである。南シナ海で起きることは、必ず、東シナ海でも起きるのである。南シナ海の秩序を守ることは、東シナ海でわが国の国益を守ることと同義なのである。

 21世紀のアジアの秩序は国際法、平和的話し合い、各民族の尊重という普遍的価値と原則に基づくものでなければならない。中国の暴走を抑止するために、各国が助け合う仕組みを構築することだ。1つの国に対する中国の攻撃は、各国全体で受け止める。第一義的に法と話し合いを優先する。中国が応じない場合は、アメリカを中心とする軍事的枠組みを活用する。

 その際、日本はアメリカと共にアジアの秩序と安定のために、全力を尽くすべきだ。日本が口先だけの国であることは許されないだろう。だからこそ、どのような形で日本がアジアに貢献し、日本の国益をも守ることができるようになるか、そのための憲法改正はどうあるべきか、これらすべてを活発に論議するのがよい。

 日本は民主主義国なのである。国民の議論を元に、日本国の姿がつくられていくことを忘れてはならない。

 日本の活躍はアジア諸国の期待でもある。だからこそ、世界に向けて日本の理念を掲げよう。明治維新で発布した五箇条の御誓文と十七条の憲法の、国民一人一人を大切にし、世界に視野を広げ、公正で公平な国づくりを目指した先人たちの叡智を、私たちも身につけよう。穏やかな日本の文明を基本に置いて、雄々しさと勇気を発揮できる国民として、21世紀の人類の理想を語り、その実現に力を尽くすことが大事である。

 (「はじめに」より)


「国際的な義務順守を」=中ロの南シナ海合同演習―米
時事通信 7月29日(金)9時37分配信

 【ワシントン時事】カービー米国務省報道官は28日の記者会見で、中国が9月に南シナ海の海上と空域でロシアと合同軍事演習を実施すると発表したことについて「軍事演習が国際的な義務と法を順守して実施されるよう期待する」と述べた。


中露が南シナ海で演習へ 9月 対米牽制で利害一致
産経新聞 7月29日(金)7時55分配信

 【北京=西見由章】中国国防省の楊宇軍報道官は28日の記者会見で、中国とロシアの海軍が9月、南シナ海で合同演習を実施することを明らかにした。中露は2012年以降、海軍合同演習を毎年実施しているが南シナ海での演習は初めて。中国側としては軍事大国のロシアに接近し、ハーグの仲裁裁判所の裁定に従うよう求める米国に実力で対抗する意思を示す狙いがありそうだ。

 米韓両国が北朝鮮の核ミサイルの脅威に対処するため、最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を決定したことも、配備に反対してきた中露の連携を後押ししたとみられる。

 ただ南シナ海の領有権をめぐり中国と争うベトナムは、ロシアと歴史的なつながりが深い。

 中国軍事専門家はロシアの狙いについて「アジアで米中対立が先鋭化し双方の力がそがれれば、ロシアの利益につながる。米国との本格的な対立は望まないが、中国の背中を押す程度のことはやるだろう」と分析している。

 楊氏は会見で「定例の演習であり、両軍の実務的な協力を深化させるのが目的だ。第三国に向けたものではない」と強調した。


中ロ、9月に南シナ海で共同軍事演習
ロイター 7月29日(金)7時35分配信

[北京 28日 ロイター] - 中国国防省の楊宇軍報道官は28日、9月にロシアと南シナ海で海空の共同軍事演習を実施すると明らかにした。

同報道官は定例記者会見で、中ロの戦略的協力関係の強化を目的とした定例演習で、第三国に対するものではない、と語った。


安倍首相、9月訪越へ調整=南シナ海にらみ連携強化
時事通信 7月29日(金)7時3分配信

 安倍晋三首相が9月上旬にラオスで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議出席に合わせ、ベトナム訪問を調整していることが分かった。

 政府関係者が28日、明らかにした。南シナ海の領有権を中国と争うベトナムと連携を強化し、中国の海洋進出をけん制する狙いだ。

 首相は訪越時に、共産党のグエン・フー・チョン書記長やチャン・ダイ・クアン国家主席ら要人との会談を検討。両国の国家プロジェクトである「日越大学」の大学院修士課程開設式典にも出席する方向だ。


中国とロシア、南シナ海で9月に合同演習へ 中国国防省
AFP=時事 7月28日(木)19時55分配信

【AFP=時事】中国国防省の楊宇軍(Yang Yujun)報道官は28日、月次の定例会見で、同国とロシアは南シナ海(South China Sea)で9月に合同軍事演習を実施すると発表した。

 楊報道官は合同演習について、中国とロシアの包括的戦略パートナーシップを「強化および発展」させることと、「海洋の安全保障上の脅威に両国の海軍が共同で対応する能力を高める」ことが目的だと述べた。

 オランダ・ハーグ(Hague)にある常設仲裁裁判所(PCA)が南シナ海の領有権をめぐる中国の主張を退け、外交的な緊張が高まる中、南シナ海には米軍が艦船を定期的に派遣しており、合同演習が実施されれば、一つの海域に同時に世界有数の軍隊が集まることになる。【翻訳編集】 AFPBB News


9月に南シナ海で合同演習=連携強化を誇示―中ロ
時事通信 7月28日(木)18時7分配信

 【北京時事】中国国防省報道官は28日の記者会見で、9月に南シナ海の海上と空域で、ロシアと合同軍事演習を実施すると明らかにした。

 報道官は「定例の演習。第三国を対象としていない」と説明したが、ロシアは南シナ海問題で中国の立場に理解を示してきており、米国や日本などに対抗し両国の連携をアピールする狙いがありそうだ。


南シナ海 ARF、東アジアサミットの議長声明も仲裁裁定に触れず
産経新聞 7月28日(木)17時59分配信

 【シンガポール=吉村英輝】東南アジア諸国連合(ASEAN)は28日までに、ラオスの首都ビエンチャンで26日に開催した、ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議と、東アジアサミット(EAS)外相会議の議長声明を発表した。両会議では、日本や米国などが、南シナ海での中国の主権主張を否定した仲裁裁定に言及したが、議長声明では一切、触れられなかった。

 議長国のラオスが経済的に強い結びつきを持つ中国に配慮し、自国の裁量でまとめられる議長声明にも、仲裁裁定の盛り込みを控えた格好となった。

 南シナ海問題について、ARFの議長声明は「何人かの閣僚から埋め立てなどへの懸念が示されたことに留意した」と指摘。EASの議長声明は、航行や飛行の自由などについて「重要性を再確認した」との表現にとどまった。


北朝鮮化し始めた中国の言動 孤立路線の行きつく先は?
Forbes JAPAN 7月28日(木)11時30分配信

南シナ海の領海問題をめぐる最近の中国の言動は、まるで北朝鮮の国営朝鮮中央通信社(KCNA)のようだ。

南シナ海問題は当初、中国とその周辺国の間での主導力争いとして始まったが、間もなく中国と米国の経済力・軍事力誇示合戦へと発展した。

南シナ海での緊張は、中国が2年前に人工島を建造したことによって高まった。米国はこれを受け、人工島周辺に軍艦を派遣し、韓国駐留軍のミサイル能力を増強。これに対する中国側の対応は当初、米国の「国際法違反」を非難する声明発表や、自らが主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の参加国らを味方につける試みに留まっていた。

だが中国はその後、米軍を「抑止」するためとして、係争海域への原子力潜水艦の派遣を宣言するという手段に踏み切った。中国の国営英字紙・環球時報は社説で以下のように述べている。

「戦略核ミサイルは軍事抑止力の基盤だ。保有核弾頭数が西側主要国よりはるかに少ない中国は、『効果的な核抑止力』の戦略を採用してきた。また、中国は核保有国の中で唯一、先制不使用を宣言している。これは、中国の核抑止力はその反撃能力にあるということだ。

一方で、中国の核抑止力は、米政府の対中政策策定において重要な役割を果たすべく、真正かつ効果的でなければならない。いかなる国が米国の持つ力を査定する時と同じように、中国は直ちに米空母の存在を考え、米国との直接軍事衝突を避けるだろう」

2013年からこの問題について審理していた仲裁裁判所は最近、中国の国連海洋法条約(UNCLOS)違反を認定する判決を下した。この判決は、中国が南シナ海で独自の航行規則を定めたり、世界の海上交通の要所である南シナ海の貿易路を制限したりする法的根拠を否定する内容で、フィリピンの密接な同盟国である米国にとって勝利となった。

国連安保理の常任理事国である中国は、この判決に従うものと思われた。だが中国政府は反対に強硬姿勢を強め、判決は無効だと主張。人工島の建造を継続する意向を表明した。

しかもロイター通信によれば、中国政府高官らは、問題の海域を外国艦が巡回すれば「大惨事」につながる恐れがあると警告しているという。

私の読み間違いだろうか? 中国の言動はまるで、核開発計画に対する国連決議を無視し、周辺国と米国に対し非難や威嚇を繰り返す北朝鮮のようだ。

これは投資家にとっても憂慮すべき動きだ。軍事衝突が起きれば、アジア経済の統合と成長を阻害し、世界経済に打撃を与える。特に、内需主導の経済基盤がない中国にとっては大きな損害となる。

これは中国が本当に望んでいることなのだろうか?


オバマ氏とトランプ氏の「共通点」が、中国の暴走を招いた!
ダイヤモンド・オンライン 7月28日(木)11時0分配信

907
写真:ダイヤモンド・オンライン

 内向化が止まらないアメリカ、南シナ海などで膨張し続ける中国、イギリスのEU離脱、IS(イスラム国)による相次ぐテロ……この動揺する世界を、日本はいかに乗り切るべきか? 
人気ジャーナリスト・櫻井よしこ氏の最新刊『凛たる国家へ 日本よ、決意せよ』の中から紹介していこう。

● 「南シナ海は古代から我々のもの」 という中国の主張に「違反」判定が下った

 いま、私たちの眼前で起きているのは、国際社会の法を守る陣営と守らない陣営の対立である。

 2016年7月12日、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、中国が南シナ海に独自に設定した境界線「九段線」には法的根拠がないとする裁定を下した。これは中国の主張や行動は国連海洋法条約に違反するとして、3年前にフィリピン政府が訴えた仲裁手続きに関する判断である。

 裁定は確定的であり、上訴は許されない。すなわち、最終決定である。

 「南シナ海は2000年も前の古代から中国の海」だとしてきた主張は退けられたのであり、中国の完敗である。

 常設仲裁裁判所の裁定文は500ページを超える大部のものだが、そこには、前述の南シナ海のほとんどすべてが中国の海だと主張する根拠、すなわち九段線は認めないという点に加えて、以下のような他の重要な論点も含まれている。

 ・中国がスプラトリー諸島のミスチーフ礁で造成した人工島は、フィリピンの排他的経済水域の200カイリ内にあり、フィリピンの主権を侵害している

 ・スプラトリー諸島には国際海洋法で認められる島はない、したがってそこに人工島を造成したとしても、人工島を基点にして排他的経済水域、領海などは形成されない

 ・中国はフィリピン漁民の活動を著しく妨害した

 ・中国は生態系に取り返しのつかない害を与えた

 などである。

● 国際社会のルールを 受け入れるつもりがない中国

 ただ、中国側は仲裁裁判自体を認めない、したがって裁定そのものも受け入れないと早くから宣言し、アメリカが空母10隻を南シナ海に展開しても中国は恐れないなどと強硬姿勢を取ってきた。

 事実、仲裁裁判所が裁定を公表する予定を明らかにすると、中国は南シナ海に主力艦隊を集結させて、これまでで最大級の軍事演習を1週間にわたって実施してみせた。

 南シナ海を管轄する南海艦隊のみならず、北海艦隊、東海艦隊も参加しての大規模軍事演習の映像を公表したのは、フィリピン政府のみならず国際社会に、どのような国際法に基づく判決であろうとも中国は受け入れないという固い国家意思を明らかにしたものだ。中国は法の支配を離れて力の支配を選択したのである。

 国際法を尊ぶ国々にとっての課題は、裁定をどのように具現化するかである。裁定が出された当日も、習近平主席は北京で開かれた欧州連合(EU)との会議においてトゥスク大統領に対し、「中国の南シナ海における領土主権と海洋権益は、いかなる状況下でも裁定の影響を受けない。裁定に基づくいかなる主張や行動も受け入れない」と語った。

 言葉による拒否だけでなく、行動においても中国は強い拒否の姿勢を示した。南海艦隊が海南省三亜市の海軍基地に最新鋭のミサイル駆逐艦「銀川」を配備、命名式を行い、スプラトリー諸島のミスチーフ礁とスービ礁に建設済みの飛行場では、彼らは民間機の試験飛行を実施した。

● 南シナ海で中国がやっていること

 南シナ海の現状を改めて整理しておこう。北方のパラセル諸島は、40年以上前に、中国がベトナムを攻撃して奪い、現在は、中国海軍の拠点となっている。

 東南に下ると、スカボロー礁がある。台湾に近く、フィリピンにおける米軍の拠点であるクラーク、スービック両基地からも遠くないスカボロー礁は、3年前から中国が実効支配を続けている。

 同海域では、埋め立てにつながると見られる船の集結が確認されており、オバマ政権の間に、中国は埋め立て工事と軍事拠点の構築を断行しかねない。

 さらに南に下ったスプラトリー諸島では、フィリピンが領有を主張する岩礁が7つも奪われ、埋め立て工事が完了した。その面積は、13平方キロにも及ぶ。

 人工島には、3000メートル級の滑走路が建設済みだ。北部海域のパラセル諸島には戦闘機、爆撃機、地対空ミサイル、地対艦ミサイルなどの配備が確認されており、スプラトリー諸島にも同様の武器、装備が配備されると考えなければならない。

 今回、仲裁裁判所の裁定が下されたとはいえ、これらの島や施設を元の岩礁に戻して、南シナ海の原状復帰を図ることはできるのか。アメリカ国防総省がイージス艦「ラッセン」や空母「ロナルド・レーガン」を南シナ海に展開させても不可能であろう。中国は、拠点を築いてしまったのである。

● すべての発端は アメリカの「自国第一主義」

 なぜ中国はここまで大胆に行動を起こし得たのか。原因は、オバマ大統領にある。2013(平成25)年1月から始まった第2期オバマ政権は、対外政策に関する限り、後退に次ぐ後退を重ねた。オバマ政権2期目こそ、後世に、アメリカの後退の始まりとして記憶されるであろう。それはパックス・アメリカーナ(アメリカによる平和維持)の時代の終焉につながる危機でもある。

 アメリカの後退を象徴する驚きの言葉が世界を駆け巡ったのは、2013年9月10日のことだった。オバマ大統領が、アメリカは中東のシリアに軍事介入しない、その理由はアメリカが「世界の警察」ではないからだと語ったのだ。

 間髪を入れずにロシアのプーチン大統領がアメリカの不介入、その存在の空白を埋めるかのように動いた。当時、シリアのアサド大統領は、化学兵器を使用して、10万人を超える自国民を殺害していた。

 アメリカはアサド政権を打倒すべきだったが、オバマ大統領の不介入政策でアサド政権の跋扈を許し、前述の演説をしたのだ。動こうとしないアメリカを尻目にロシアは次々と先手を打った。化学兵器の国際管理を提案し、自国民を殺害し続けてきたアサド大統領と共に、プーチン大統領が正義の味方であるかのような位置を得たのである。

 アメリカを主軸とした冷戦後の国際秩序に異変が生じた瞬間である。

 アサド大統領を支援するプーチン大統領は、テロリスト撲滅と称して、反アサド勢力を攻撃し始めた。それが中東の混乱を深め、大量の難民を生み、ヨーロッパを追い詰め、イギリスのEU離脱の原因となった。

 ひたすら軍事力の行使を忌避するオバマ大統領の不決断が国際政治の力学に空白を生み、中国とロシアの膨張を可能にした。イスラム国(IS)をはじめとするテロリスト勢力の膨張も同様である。

● 一見過激なトランプ氏の主張も、 オバマ氏の主張の延長線上にある

 オバマ政権が続くあと5ヵ月間、アメリカは事実上、機能しないだろう。

 アメリカは、いま、大統領選挙の真っ只中にあり、共和党のドナルド・トランプ氏の主張する「アメリカ第一」主義が広がっている。移民・難民の排斥、同盟諸国による防衛予算の負担増を1つの特徴とする氏の主張は乱暴に聞こえるが、実はオバマ大統領の主張と重なるのである。

 オバマ氏の中東への軍事介入の拒否も「アメリカ第一」主義の一例だ。また、氏が大統領に就任した2009(平成21)年には、陸軍大学ウエストポイントで、自分の最も強い関心は国家建設にある、すなわちアメリカをしっかりと建てるということだ、と語っている。

 他国のことよりアメリカだというオバマ大統領の主張は、トランプ氏の「アメリカ第一」主義と基本的に変わらない。

 他国の争いに軍事介入することはもうしたくないと、多くのアメリカ国民が共和党、民主党の相違を超えて考え始めている。アメリカを主軸とする冷戦後の世界の体制は、ここにきて明白な変化を遂げ、孤立主義にシフトしつつあるのである。

 (第2回へ続く)


中国の「対外強硬政策」を挫折させたベトナムと日本の戦略
週刊SPA! 7月28日(木)9時10分配信

◆南シナ海の中国領有権を認めなかった仲裁裁判所判決

 国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所は、7月12日、南シナ海で中国が主権を主張する独自の境界線に対し、国際法上の根拠がないと認定した。スプラトリー(南沙)諸島、パラセル(西沙)諸島、スカボロー礁を押さえ、主要航路を三角形で囲む海域を軍事基地化している中国の傍若無人な軍事拡張の動きに、国際社会から厳しい警告が出された形だが、中国は判決を受け入れないとして反発を強めている。日本は、今後、中国にどう対処していけばいいのだろうか。

◆「決して降伏しない」ベトナム

 中国は、ベトナム沖では、石油切削用プラットフォームを造って居座ろうとした。それに対しベトナムは、所有する全艦船20数隻を周辺海域に送った。すると中国はさらに大きな艦船100隻以上を送り、高圧放水銃などを使ってベトナム艦船を排除した。中国側は「中国海軍の強さを誇示すれば、ベトナム側は圧力に屈する」とみていたのだが、それは間違いだった。ベトナムには「決して降伏しない」という覚悟があった。かつては中越戦争で中国軍の侵略を跳ね返し、ベトナム戦争でも米軍に屈しなかったのがベトナムという国である。

 ベトナム政府は、反中デモを事実上黙認し、さらには中国への軍事侵攻すら厭わない態度に出たのだ。

◆中国の脅しに屈しなかった安倍政権

 一方、日本に対して中国は、日米同盟にくさびを打ち込もうとした。

 第一のくさびは尖閣諸島である。米国政府は、他国どうしの領土紛争には特定の立場をとらないことを決めている。中国が尖閣諸島の領有権を主張しても、米国は日本を支持できない。

 第二のくさびが靖国神社の参拝問題だ。中国が侵略の被害者として日本の首相の靖国参拝を非難しても、米国としては日本を弁護できない。

 この二つのくさびを打ち込むべく、中国は「2014年11月の北京でのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の会合に参加したければ、一つの合意と一つの約束を守れ」と日本政府に迫った。「一つの合意」とは領土問題が存在すると認めること。「一つの約束」とは靖国神社に参拝しないという約束のことだった。

 中国は「言うことを聞かなければ巨大市場を失うぞ」と脅せば、日本企業が日本政府に圧力をかけ、中国の要求に屈すると読んでいた。しかし、中国の読みは幻想に過ぎなかった。

 靖国不参拝の要求は安倍政権によって無視された。尖閣については、「双方は、尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し」たのみで、領土問題の存在を認めることも拒否された。安倍外交の完勝である。

 日本が参加しないAPEC(アジア太平洋経済協力会議)など意味はない。日本政府が「中国の無法な要求に従わなかったので、参加を拒否された」と公表すれば、参加国は一斉に非難の声をあげ、中国は国際社会で赤っ恥をかき、反中包囲網はますます結束を強めただろう。

◆対中包囲外交に求められる国民の見識と気概

 中国の領海主張を否定した仲裁裁判所裁定は、国際法による法治を求める安倍政権の主張を国際社会が支持したことを示すが、残念ながら、その裁定は強制力を持たない。中国を抑え込むには、日本が周辺諸国と協力して対中包囲網をつくり、島嶼防衛ができるだけの防衛力を築く必要がある。そのためにも国民は国家の主人公として、それを支持する見識と気概を持たなければならない。それが自由民主主義国家を守るための国民主権の大原則である。 <文/伊勢雅臣>

参考文献:エドワード・ルトワック『中国4.0 暴発する中華帝国』(文春新書)


南シナ海問題 中国の日本批判突出 国内世論向けに利用
産経新聞 7月28日(木)7時55分配信

 【北京=西見由章】オランダ・ハーグの仲裁裁判所が中国の主権を否定した南シナ海問題をめぐり、中国政府やメディアによる日本への批判が突出している。問題への介入を非難する中国自身が、国内世論向けに“敵役”として日本を利用している面がありそうだ。

 中国外務省によると、ラオスでの一連の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議の日程を終えた王毅外相は26日、「一部に事態をかき乱そうとする者もいたが、中国とASEAN加盟国の協力で対話と協力の基調を維持した」と中国メディアに語り、日本などを牽制(けんせい)した。

 同日開かれた東アジアサミット(EAS)外相会議では、「いずれ裁定の背後にある『政治操作』が明らかになる」と主張。日米豪が裁定順守を求めた共同声明に対しても「平和の擁護者か事態をかき乱す者か、テストされているのはあなた方だ」と反論した。

 王氏は岸田文雄外相との会談でも「これ以上介入を続ければ、別の意図があると証明することになる」などと、ケリー米国務長官との会談と比べても、ひときわ高圧的な態度をみせた。

 官製メディアも仲裁裁の黒幕として日本を非難。仲裁人(判事に相当)を任命した国際海洋法裁判所の柳井俊二所長(当時)について、「日本の右翼だ」とまで主張している。

 中国側がことさら日本の介入を持ち出す背景として、国内事情が関係しているとみる向きもある。

 共産党関係者は裁定について「大国であるはずの中国が、フィリピンに敗北したのは国民に対してメンツを失いかねない事態だ」と指摘。「フィリピンの背後で日米が結託して中国を陥れようとしているとの構図が必要だった」と解説した。

 中国社会に根付いている反日感情を利用して、世論操作している側面もあるとみられる。


南シナ海に基地もリゾートも、裁定を完全無視の中国
JBpress 7月28日(木)6時20分配信

 中国政府は、南シナ海そして東シナ海への支配権を拡張するに当たって、「歴史的権益」をその正当性の主な根拠としてきた。しかし7月12日、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、中国が主張している南シナ海における歴史的権益は国際法的には認められないという裁定を下した。

 それに対して、中国政府やメディアはこぞって「裁定を受け入れない」、というよりは「常設仲裁裁判所にはそのような裁定をなす権限がないため、そもそも裁定なるものは無効であり、中国の立場には何の影響も与えない」との態度を表明している。

■ 戦闘空中パトロールを開始

 中国は裁定に対する様々な反論やプロパガンダに加えて、軍事的示威行動にも打って出た。

 7月18日、中国国営メディアは、人民解放軍空軍が発表した爆撃機による南シナ海での戦闘空中パトロールの写真を公開した。これは空軍の新鋭爆撃機「H-6K」がスカボロー礁上空を飛行しているものだ。時期が時期だけにきわめて挑発的な画像と言える。

 フィリピンのルソン島沿岸から220キロメートル沖合(フィリピンの排他的経済水域内)に位置するスカボロー礁は、中国本土沿岸からは900キロメートル以上離れており、中国軍用機の発着が可能な西沙諸島永興島(ウッディー島)からは600キロメートルほど東南に位置している。フィリピン、中国そして台湾が領有権を主張しているが、2012年に発生したフィリピン海軍艦艇と中国監視船による睨み合い以降、中国が軍事力を背景にした実効支配を強めている。

 今回の仲裁裁判所の裁定を完全に無視する中国は、南沙諸島同様にスカボロー礁でも埋め立て作業を開始するのではないかと考えられており、アメリカ政府は中国に対して警告を発している。しかし、先週中国で行われたアメリカ海軍と中国海軍のトップ会談では、中国側はアメリカの懸念を一切取り合わず、スカボロー礁を含む南シナ海九段線内は“中国の主権的海域”であるとの姿勢を維持することを再度アメリカ側に通告した。

■ 南シナ海で実質的なADIZを設定準備

 スカボロー礁上空をパトロールしたH-6Kは、中国空軍並びに中国海軍が長らく使用しているH-6型爆撃機の最新バージョンだ。強力なエンジンが搭載され、各種性能も向上し、対艦攻撃用ならびに対地攻撃用の新鋭巡航ミサイルも積載可能である。

 今回スカボロー礁をパトロールしたH6-Kには、巡航ミサイルは装着されていなかった(巡航ミサイルは主翼下のパイロンに装着される。ただし巡航ミサイル以外にも胴体内に爆弾を格納することは可能)。だが、H-6Kがスカボロー礁近辺まで進出してくると、フィリピンを拠点にするアメリカ海軍艦艇は危険にさらされるため、アメリカ海軍関係者たちは神経をとがらせている。

 中国当局によると、今後、人民解放軍は継続的に南シナ海で空中パトロールを実施し、H-6K爆撃機のみならず戦闘機、偵察機、そして空中給油機など各種空軍機をパトロールに投入するという。実際に、南シナ海上空では戦闘機による実弾射撃訓練なども開始された。

 中国が東シナ海で中国版「ADIZ」(防空識別圏)を公表した際には、アメリカや日本をはじめとする国際社会からの猛反発を受けた。その経験を踏まえて、南シナ海では中国版ADIZを公表する前に、航空戦力や艦艇それに人工島を含む地上からの対空ミサイル戦力などを充実させて実質的なADIZを設定してしまおうという戦術と考えられる。

■ 海南島のリゾート開発会社が南シナ海クルーズを計画

 中国メディアは、南シナ海での戦闘空中パトロール実施の発表と合わせる形で、「南シナ海クルーズ」計画のニュースも伝えた。

 この計画を打ち出したのは、中国海南省の海南島・三亜市を拠点にリゾート開発やクルーズなどを手がけている「三亜国際クルーズ」(COSCO Shipping、香港ベースのChina National Travel Service Group、それにChina Communications Constructionのジョイントベンチャー)である。

 三亜国際クルーズは今後数年間のうちに8隻の豪華客船を建造して、西沙諸島や南沙諸島を含む南シナ海でのクルーズ観光を行うという。同時に、クルーズの拠点となる三亜市には4つのクルーズターミナルを建造し、海南島をますますリゾート地として発展させるという大規模なリゾート開発計画を立てている。

 現在、三亜国際クルーズは「Dream of the South China Sea」というクルーズシップを運行しており、来夏までには2隻のクルーズシップを追加するという。現時点では西沙諸島でのクルーズ観光が実施されているが、将来的には南シナ海全域でのクルーズを実施する計画とのことである。

 すでに三亜市では、大規模な高級ホテルをはじめとする観光施設の建設が盛んに進められ、西沙諸島でもリゾート施設の建設計画が進んでいる。したがって、南沙諸島の人工島でもホテルやクルーズターミナルなどのリゾート施設の建設が着手されることは時間の問題であろう。

■ 観光客の盾を用いる人民解放軍

 このように、中国は南シナ海の軍事的支配を推し進めるために、軍事力の誇示と平行して非軍事的施設の建設にも力を入れている。

 先週の本コラム(「仲裁裁判所の裁定に反撃する中国の「情報戦」の中身」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47395)でも指摘した灯台の建設はその一例であるが、クルーズ観光をはじめとするリゾート開発は、灯台や気象観測所それに海洋研究所以上に強力(中国の実効支配にとって)な民間施設となってしまう。

 南シナ海で大規模なリゾート開発を進める中国は、すでにほぼ完全に領有権を手中に収めた西沙諸島はもとより、人工島建設により実効支配を強烈に推し進めている南沙諸島にまで、数多くの観光客や観光業従事者たちを送り込むことになる。

 クルーズシップには中国人観光客のみならず日本やヨーロッパそれにアメリカからの観光客も多数乗船するであろう(すでに三亜市の高級リゾート施設などは、英語版それに日本語版の宣伝サイトなどで外国人観光客を海南島リゾートに誘致している)。

 近い将来には、世界各国からの多数の観光客で賑わう西沙諸島や南沙諸島のリゾート施設と隣接して、人民解放軍の軍事拠点が南シナ海に睨みを効かすことになるのだ。


南シナ海問題 比大統領、裁定前提の対中協議を米に約束 米閣僚との会談は初
産経新聞 7月27日(水)21時15分配信

 【バンコク=吉村英輝】フィリピンのドゥテルテ大統領は27日、首都マニラのマラカニアン宮殿(大統領府)でケリー米国務長官と会談し、南シナ海問題について中国と協議を行う場合には、中国による主権の主張を全面的に退けた仲裁裁判所の裁定を踏まえて行うと約束した。アベリヤ大統領報道官が明らかにした。

 中国は裁定を「紙くず」とした上で、フィリピン側に、アキノ前政権が避けてきた南シナ海問題での2国間協議の再開を求めていたが、ドゥテルテ氏は正式にこれを拒否する姿勢を示した形だ。

 6月末に就任したドゥテルテ氏が、同盟国である米国の閣僚と会談するのは初めて。ケリー氏はこれに先立ち、ヤサイ外相とも会談し、会談後の記者会見では仲裁裁の判断には「法的拘束力がある」と強調。一方で、「紛争を生み出そうとは思っていない」とも述べ、裁定を前提に、フィリピンと中国の2国間協議を促していく姿勢を示した。2人は米比が裁定をてこに、中国との交渉を優位に進めることで一致した。

 報道官によると、ドゥテルテ氏は趣味のオートバイの話でもケリー氏と意気投合するなど、会談は好意的なムードで行われた。ケリー氏は、ドゥテルテ氏が目指す治安改善に向け、法律の執行機関育成などでの支援を申し出た。

 新たな軍事協定を結ぶなど、対中牽制(けんせい)のため米国と親密な関係を築いた前アキノ政権から、米比関係がどう変化するか注目される。


<比大統領>「判決を尊重」米国務長官と会談、共同歩調明言
毎日新聞 7月27日(水)21時8分配信

 【バンコク岩佐淳士】フィリピンのドゥテルテ大統領は27日、首都マニラで米国のケリー国務長官と会談し、南シナ海問題を巡る中国との対話について「いかなる協議も(オランダ・ハーグの仲裁裁判所が中国の主張を退けた)判決を前提に行う」と述べた。比大統領報道官が明かした。

 6月末に大統領に就任したドゥテルテ氏は中国との関係改善に意欲を示しているが、仲裁判決については中国に受け入れを求め、「法の支配」を訴える米国と歩調を合わせることを明言した形だ。仲裁判決後、米比政府の本格協議は初めて。

 ケリー氏はヤサイ外相とも会談した。その後の共同記者会見で、ケリー氏はフィリピンが仲裁判決後、「責任を持ったうえで慎重に対応している」と評価した。ヤサイ氏はフィリピン国内に米軍を駐留させる新軍事協定の「完全な履行」を明言し、両国の同盟関係強化の継続を強調した。

 25日に発表された東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議の共同声明には、仲裁判決に関する記述が盛り込まれなかったが、ヤサイ氏は「声明には国連海洋法条約の順守や法的、外交的手続きの尊重など全ての要素が盛り込まれた」と強調。ケリー氏も「声明にとても満足している」と語った。

 ドゥテルテ氏は中国とのパイプを持つラモス元大統領を特使に任命し、中国との2国間協議実現を目指している。一方、中国は2国間協議の条件に判決棚上げを持ち出しており、ドゥテルテ氏は米国と歩調を合わせる発言をすることで、中国をけん制したとみられる。


ARFも仲裁判決に触れず=議長声明で―南シナ海問題
時事通信 7月27日(水)20時49分配信

 【ビエンチャン時事】東南アジア諸国連合(ASEAN)と日米中など域外国の外相らが参加してラオスの首都ビエンチャンで26日に開催されたASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議の議長声明が27日、発表された。

 議長声明は、南シナ海に対する中国の主権主張を認めなかった12日の仲裁裁判判決に一切触れていない。

 議長国ラオスが経済的に強い結び付きを持つ中国に配慮した結果とみられる。25日に採択されたASEAN外相会議の共同声明でも、親中派のカンボジアとラオスが反対し、仲裁判決への言及が見送られていた。

 議長声明は南シナ海情勢について、「複数の閣僚は最近および現在進行中の情勢を引き続き深刻に懸念している」とした上で、埋め立てなどに関して「一部の閣僚から示された懸念に留意した」と明記。名指しは避けつつも、岩礁埋め立てなど中国による南シナ海での軍事拠点化の動きをけん制した。

« 左翼売国政党推薦の都知事候補・鳥越俊太郎の資質と品性・2 | トップページ | 東日本大震災等および原発事故関連のニュース・2135 »

ニュース」カテゴリの記事

侵略・支配・抑圧」カテゴリの記事

国防・軍事・安全保障」カテゴリの記事

領土・外交」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/566606/63989767

この記事へのトラックバック一覧です: どこまで図に乗る中共支那、南シナ海にミサイル・戦闘機を配備・21:

« 左翼売国政党推薦の都知事候補・鳥越俊太郎の資質と品性・2 | トップページ | 東日本大震災等および原発事故関連のニュース・2135 »

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31