« 三菱MRJ、ヨーロッパから初受注 スウェーデンのリース会社 | トップページ | 東日本大震災・原発事故関連のニュース・2131 »

2016年7月11日 (月)

どこまで図に乗る中共支那、南シナ海にミサイル・戦闘機を配備・12

南シナ海の他国領海で横暴な侵略行為を強行している中共支那が、スプラトリー諸島のファイアリークロス礁を勝手に埋め立てて造成した飛行場へ強引な侵略飛行を行なったのに続き、今度はベトナムから強奪したパラセル諸島のウッディー島に地対空ミサイル8基を配備し、さらに対空機関砲の設置に加えて戦闘機まで進出させた。
一方でベトナムと領有権めぐって係争中のスプラトリー諸島にあるクアテロン礁などには、高周波レーダー施設を設置したことも明らかになった。

同諸島はかねてよりベトナムと中共がその領有権めぐって係争中であり、こうした地域を一方的に自国領と断言し軍事施設を建設して、支配権の既成事実化を試みる中共支那の好戦的・冒険的な侵略行為は、ベトナム・フィリピンなど近隣諸国や関係国および公海上の海上交通路(シーレーン)の安全を脅かし、いたずらに紛争の危険性を高める、国際法上認めることの出来ない危険な挑発行為である。

この中共の重大かつ危険な挑発行為に対して、アメリカなどがこうした危険な行為を停止するよう要求しているにもかかわらず、これに対して中共は「最も重要なことは(自国の設置した)レーダーなどではなく、(米軍の)戦略爆撃機や駆逐艦を含む最新兵器が日々、南シナ海に出現していることだ」として居直り、こうした一連の行為が「(自国の)主権の範囲内」と強弁している。

こうした中共の態度は、世界の秩序を完全に愚弄する思い上がり図に乗ったものであり、中共がこうした態度を改めない限り、この地域での紛争・戦争の危険は日に日に増大するものと見なければならず、その結果中共軍は敗走して共産党の威信は失墜し、国内の暴動によって中共は崩壊するだろう。

このような凶暴かつ愚劣な行為を改めなければ、招来する重大な結果について、中共支那はその一切の責任を負わなければならない。

6番目の記事
7番目の記事
8番目の記事
9番目の記事
10番目の記事
11番目の記事

リンク:仲裁判決ニュース遮断=中国・南シナ海 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:米、仲裁判決順守求める=中国などの挑発行動警戒―南シナ海 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:<仲裁裁判決>台湾も強く反発 中国と同様に領有権を主張 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:<仲裁裁判決>中国・習指導部に痛手 国内政治に飛び火も - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:仲裁裁の判決「無効で拘束力ない」…中国外務省 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海問題 「岩」判定に反発、台湾も裁定を「受け入れない」 蚊帳の外に不満 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:【図解】南シナ海で各国が領有権を主張する海域 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:緊迫・南シナ海問題 仲裁裁の裁定「無効で承認しない」 中国が声明 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海の仲裁判断、当事国は従う必要=岸田外相 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海判決受け入れを=EU大統領、中国首相に促す - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海問題 「九段線」否定をフィリピンが歓迎 仲裁裁の裁定で - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:<南シナ海>中国外相「判決受け入れず」 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海領有権、「中国に歴史的権利なし」 国際仲裁裁判所 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海めぐる中国主張、ハーグ裁判所が退ける-判断「無効」と中国 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:ハーグ仲裁裁判所、中国の「九段線」内の権利認めず - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:日本政府、中国に仲裁順守要求=G7結束、ASEANとも協力―南シナ海問題 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海問題 「珊瑚礁に取り返しの付かない害」と仲裁裁判所 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国主張に「法的根拠なし」…南シナ海仲裁裁判 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国「事実に基づかない決定」 南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:<南シナ海>「九段線」中国の権益認めず 仲裁裁判所 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:判決無視、実効支配強化へ=外交で切り崩し、対抗措置も―中国・南シナ海 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国の南シナ海支配認めず 仲裁裁判所「法的根拠なし」と初判断 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海、中国の主張認めず=「九段線」に法的根拠なし―初の司法判断・仲裁裁判所 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:仲裁裁判サイト、つながりにくく=「南シナ海」でアクセス集中か - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:フィリピンからのメッセージ「中国に立ち向かいますので応援お願いします」 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:アングル:南シナ海仲裁判断、なぜ重要か - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:仲裁裁判で注意喚起=比大使館が「議論するな」―北京 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国の南シナ海領有権主張、法的根拠なし 常設仲裁裁判所 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:中国「九段線」に今夕判決…国際法、初の判断 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:ハーグ裁判、判決後の東シナ海の動向注視したい=中谷防衛相 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海「仲裁裁判」:「中国の野望」の分析と対策 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:南シナ海であらわになる中国外交の「本性」~国際法など知ったことか! 東アジアの安保は冷戦時代に逆戻り - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:<南シナ海問題>「条約順守」…日本、声明へ - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:判決前に神経とがらせる中国、実効支配を誇示 - 速報:Yahoo!ニュース.

以下、参考のために同記事を引用

仲裁判決ニュース遮断=中国・南シナ海
時事通信 7月12日(火)21時58分配信

 【北京時事】中国で12日夜、南シナ海をめぐる仲裁裁判の判決について伝えていたNHKの海外テレビ放送のニュース番組が一時、視聴できなくなった。

 判決が中国に不利な内容だったことから、都合の悪いニュースと判断し、放送を遮断したとみられる。


米、仲裁判決順守求める=中国などの挑発行動警戒―南シナ海
時事通信 7月12日(火)21時36分配信

 【ワシントン時事】米国務省のカービー報道官は12日、南シナ海問題をめぐる仲裁裁判所の判決は中国とフィリピンを「法的に拘束するものだ」と強調し、両国が判決を順守するよう期待感を表明した。

 さらに、全ての関係当事国に「挑発的な声明や行動」を避けるよう促した。米政府は日本などと共に外交圧力を強めていく方針だ。


<仲裁裁判決>台湾も強く反発 中国と同様に領有権を主張
毎日新聞 7月12日(火)21時15分配信

 【台北・鈴木玲子】南シナ海での中国の主張を退けた仲裁裁判所の判決に対し、中国と同様に同海全域で島しょの領有権を主張する台湾の総統府は12日、声明を出し、「南シナ海の諸島と関連海域は中華民国(台湾)が所有する。我が国の領土と主権を守り、我が国の利益を損なういかなる情勢にも譲歩しない」と反発した。

 さらに南沙(英語名スプラトリー)諸島で台湾が実効支配する太平島(英語名イトゥアバ)が島ではなく「岩礁」だとした判決に対し、「絶対に受け入れられない。判決は中華民国に対して具体的な法的な拘束力はない」と強調した。

 台湾は、中国が主張する「一つの中国」原則の影響により国連海洋法条約に加盟できない。このため「仲裁裁では意見を求められることもなかった」と批判した。

 台湾の海岸巡防署(海上保安庁)の巡視船が既に太平島周辺海域で警備に当たっているが、13日に台湾海軍の艦船1隻を増派すると発表した。

 声明は一方で「南シナ海の紛争は多国間協議で平和的に解決すべきだ」とも主張した。

 中華民国は1947年に南シナ海全域に「十一段線」を引いたが、49年に中華人民共和国(中国)が成立し、中華民国は中国大陸での支配権を失い、台湾に移った。中国はこの十一段線を引き継ぐ形で2本減らして「九段線」とした。


<仲裁裁判決>中国・習指導部に痛手 国内政治に飛び火も
毎日新聞 7月12日(火)21時7分配信

 【北京・河津啓介】12日に公表された南シナ海を巡る仲裁裁判所の判決は、中国側の完敗と言える結果となった。中国政府は即座に受け入れ拒否を表明したが、習近平指導部には大きな痛手だ。領土や領海を巡る逆風は習国家主席への党内批判を招きかねず、国内政治で指導部の足元をゆさぶる可能性がある。

 12日午後5時(中国時間)、判決が公表されると中国の国営メディアは一斉に「中国は判決を受け入れも、承認もしない」「事実に基づかず無効で拘束力はない」との自国の立場を執拗(しつよう)に伝えた。

 ネット世論の反応も「神聖な領土主権は不可侵である!」「寸土も譲るな」と激しい反発が目立ち、衝撃の大きさをうかがわせた。中国の公安当局は判決が出た直後から北京にある在中国フィリピン大使館前の道路を封鎖し、抗議活動などの不測の事態に備えた。

 主権や領土、祖国統一に関わる問題を、習指導部は決して譲れない「核心的利益」と位置づける。中国の学校教科書を開くと、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島は「祖国の最南端」と明記され、中国が主権や権益の範囲と主張する「九段線」が地図に描かれている。

 習指導部は政治スローガン「中国の夢」を掲げ、近代以降、欧米列強や日本の進出で失った大国の威信を取り戻し、党の求心力を保持しようとしている。南シナ海の権益確保も中国は不当に奪われた版図の「回復」と見なす。それだけに南シナ海問題は、習指導部の生命線と言えるほど重みを増しており、今回の判決で中国側が動揺するのは必至だ。

 中国共産党は来年、5年に1度の党大会を控えており、今夏から習氏の後継者選びも見据えた党内の主導権争いが激化するとみられている。敏感な政治の時期に、外交戦略の誤算が生じたことで、習指導部にとっては判決前の予想を超えた試練の時を迎えたと言えそうだ。


仲裁裁の判決「無効で拘束力ない」…中国外務省
読売新聞 7月12日(火)20時19分配信

 【北京=竹腰雅彦】中国外務省は12日、仲裁裁判所の判決について「無効で拘束力はなく、受け入れず認めない」との声明を出し、改めて従わない立場を示した。

 「仲裁裁判と判決は、国連海洋法条約の権威を損ない、中国の主権国家としての権利を侵すもので、不公正かつ不合法だ」と批判。今後も「直接の当事国による対話を通じた解決方針を堅持する」と強調した。

 これとは別に、スプラトリー(南沙)、パラセル(西沙)両諸島などを含む南シナ海の島嶼(とうしょ)と海域の主権、管轄権を主張する「南シナ海の領土主権と海洋権益に関する政府声明」も発表した。


南シナ海問題 「岩」判定に反発、台湾も裁定を「受け入れない」 蚊帳の外に不満
産経新聞 7月12日(火)20時15分配信

 【台北=田中靖人】台湾の総統府は12日、南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定に対し「絶対に受け入れない」との声明を発表した。

 声明は、仲裁裁がスプラトリー(中国名・南沙)諸島で台湾が実効支配するイトゥアバ(太平島)について「岩」だと認定したことに反発。裁判の過程で台湾側の意見が求められなかったことにも不満を表明した。

 その上で、裁定は台湾に対する「法的拘束力を持たない」と主張。南シナ海の島嶼(とうしょ)と周辺海域の領有権を改めて訴えた。

 声明は一方で、南シナ海の紛争は多国間協議で平和的に解決すべきだとの姿勢も強調した。


【図解】南シナ海で各国が領有権を主張する海域
AFP=時事 7月12日(火)19時16分配信

998
南シナ海で各国が領有権を主張する海域について示した図。【翻訳編集】 AFPBB News

【AFP=時事】南シナ海で各国が領有権を主張する海域について示した図。【翻訳編集】 AFPBB News


緊迫・南シナ海問題 仲裁裁の裁定「無効で承認しない」 中国が声明
産経新聞 7月12日(火)19時12分配信

 南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定について、中国外務省は12日、「この裁定は無効で、拘束力がない。中国は受け入れないし、承認しない」とする声明を発表した。

 声明は、「中国は南シナ海の領土主権と海洋権益はいかなる状況においても仲裁裁の裁定の影響を受けない」と強調。「中国は、この裁定に基づくいかなる主張や行動にも反対し、受け入れない」と裁定を無視する姿勢を示した。


南シナ海の仲裁判断、当事国は従う必要=岸田外相
ロイター 7月12日(火)19時11分配信

[東京 12日 ロイター] - 岸田文雄外相は12日夕、中国が南シナ海で主権を主張する「九段線」について法的な根拠はないとしたオランダ・ハーグの仲裁裁判所の判断を受け、「仲裁判断は最終的。法的に拘束するもので、仲裁国は従う必要がある」との談話を発表した。

その上で岸田外相は、「南シナ海における紛争の平和的解決につながっていくことを強く期待する」とした。

岩礁などを埋め立てて人工島を造成する中国は、南シナ海のほぼすべての海域が自国の管轄にあると主張。フィリピンが2013年、その妥当性の判断を求めて仲裁裁判所に提訴していた。

(久保信博※)


南シナ海判決受け入れを=EU大統領、中国首相に促す
時事通信 7月12日(火)19時9分配信

 【北京時事】北京を訪問中のトゥスク欧州連合(EU)大統領は12日、中国の李克強首相と会談し、南シナ海問題をめぐる仲裁裁判所の判決について「ルールに基づく国際秩序は共通の利益であり、中国とEUは順守しなければいけない」と述べ、判決を受け入れるよう促した。

 会談は判決が出る前に行われた。

 また、トゥスク大統領は「意見の異なる問題」として、人権問題に言及。11月にブリュッセルで人権問題をめぐる対話を行いたいとの意向を伝えた。


南シナ海問題 「九段線」否定をフィリピンが歓迎 仲裁裁の裁定で
産経新聞 7月12日(火)19時3分配信

 フィリピン政府高官は12日、仲裁裁判所が南シナ海をめぐる裁定で中国が主張する「九段線」について法的根拠がないとしたことを歓迎する声明を発表した。AP通信が伝えた。


<南シナ海>中国外相「判決受け入れず」
毎日新聞 7月12日(火)19時0分配信

 【北京・石原聖】中国の王毅外相は12日、「いわゆる判決は無効で、拘束力はなく、中国は受け入れず、認めない」との談話を発表した。また「九段線内の中国の領土主権と海洋権益は長い歴史の過程で形成された客観的事実であり、損なおうとするたくらみは徒労に終わる」と強調。「争いと不公平に満ちた臨時の仲裁裁判所が国際的な法治や公平、正義を代表することはできない」と批判した。


南シナ海領有権、「中国に歴史的権利なし」 国際仲裁裁判所
AFP=時事 7月12日(火)18時58分配信

【AFP=時事】(更新)南シナ海(South China Sea)の領有権をめぐってフィリピンが中国を提訴した裁判で、オランダ・ハーグ(Hague)にある常設仲裁裁判所(PCA)は12日、中国には同海域の島々に対する「歴史的権利」を主張する法的根拠はないとする裁定を下した。

【図解】南シナ海で各国が領有権を主張する海域

 同裁判所は、中国が南シナ海での領有権を主張するために独自に設定している境界である「九段線」の内側の海域について「中国が歴史的権利を主張する法的根拠はないと結論付けた」と述べ、「中国はフィリピンの主権を犯している」とした。

 13年に中国を提訴したフィリピンは仲裁裁判所の裁定を歓迎した。一方で中国外務省は同日「裁定は無効で何の拘束力もない。中国はこれを受け入れないし、認めない」と真っ向から拒絶した。さらに「第三者によるいかなる手段の紛争解決も受け入れない」とし、領有権問題に関する長年の姿勢を繰り返した。【翻訳編集】 AFPBB News


南シナ海めぐる中国主張、ハーグ裁判所が退ける-判断「無効」と中国
Bloomberg 7月12日(火)18時48分配信

オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は12日、南シナ海での領有権に関する中国の主張について、歴史的権利は認められないとの判断を下した。大国として国際的地位を高めたい中国は打撃を受けた。

仲裁裁判所は「中国が当該海域およびその資源に対して独占的な権利を歴史的に行使していたという証拠は見当たらない」とし、従って中国の主張には法的根拠がないと結論付けた。

この裁判は、中国の主張が国連海洋法条約に沿うものではないとしてフィリピンが起こした。裁判所は判断に拘束力があるとしているものの、強制する仕組みはない。中国は1947年の地図に記されているいわゆる『九段線』に基づいて、南シナ海の80%余りに自国の領有権が及ぶとしている。

中国の軍当局は同国の海上の利権を「断固として防衛する」と表明。外務省は判決について、「無効であり拘束力はない」との声明を出した。

王毅外相はそれでも、「国際秩序を構築し地域の平和を維持する国として中国は引き続き当事国間の2国間交渉によって平和的に対立を解消していく」と表明した。

ローウィー国際政策研究所のディレクター、ユーアン・グレアム氏は「九段線内に歴史的権利を持つとした中国の主張を無視した判決で、中国にとっては大きな打撃だ」とコメントした。

原題:China No Historic Right to South China Sea Resources, Court Says(抜粋)China’s Sea Claims Dashed by Court as Xi Suffers Prestige Blow (抜粋)


ハーグ仲裁裁判所、中国の「九段線」内の権利認めず
ロイター 7月12日(火)18時47分配信

981
7月12日、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は、中国が南シナ海で主権が及ぶと主張している境界線「九段線」について、同海域内の資源に対する歴史的な権利を主張する法的な根拠はないとの判断を下した。写真は南沙諸島の中国埋立地。米海軍提供。昨年5月撮影(2016年 ロイター)

[アムステルダム/北京/マニラ 12日 ロイター] - オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、中国が南シナ海で主権が及ぶと主張している境界線「九段線」について、中国には同海域内の資源に対する歴史的な権利を主張する法的な根拠はないとの判断を下した。

また、中国当局の警戒行動はフィリピン漁船と衝突するリスクを生じさせたほか、人工島などの建設活動によりサンゴ礁に回復不能な損傷を与えたと指摘した。

これに対し中国外務省は、中国人は同海域で2000年以上も活動してきた歴史があり、排他的経済水域(EEZ)の設定は可能と主張し、仲裁裁判所の判断を受け入れない考えをあらためて示した。

中国は南沙(スプラトリー)、西沙(パラセル)諸島を含む南シナ海の島々に対する主権を有し、中国の立場は国際法と国際慣行にのっとっていると強調した。

中国の王毅外相は、今回の動きは始めから終わりまで茶番であり、緊張や対立を深める結果となったとする一方、状況を正しい軌道に乗せる時期が来ており、フィリピンのドゥテルテ新政権は関係改善への対応に誠意がうかがえると述べるなど、融和的な姿勢もにじませた。

フィリピンのヤサイ外務相は記者会見で「この重要な判断が及ぼすものについて慎重かつ徹底的に精査している」とした上で「関係国・地域に対し自制と誠意を求める。フィリピンは今回の画期的な決定を強く支持する」と述べた。

日本政府は仲裁判断が最終的なもので、紛争当事国を法的に拘束するとの見方を示した。ベトナムな歓迎する意向を表明する一方、台湾は受け入れないとした。

ISEASユソフ・イシャク研究所のイアン・ストーリー氏は「南シナ海の管轄権を主張する中国にとって、今回の判断は法律的に大打撃で、中国は今後、間違いなく激しい怒りを表明してくるだろう。南シナ海で一段と積極的な行動をとる可能性もある」と述べた。


日本政府、中国に仲裁順守要求=G7結束、ASEANとも協力―南シナ海問題
時事通信 7月12日(火)18時39分配信

 南シナ海をめぐる中国とフィリピンの対立で仲裁裁判所が中国の主張を基本的に退ける判決を12日に示したのを受け、日本政府は岸田文雄外相の談話を発表し、「当事国は今回の仲裁判断に従う必要がある」と中国に順守を求めた。

 先進7カ国(G7)で結束するとともにベトナムなど東南アジア諸国連合(ASEAN)各国とも協力し、「法の支配」尊重を促す国際的な圧力を強める。

 岸田外相は談話で「仲裁判断は最終的で、紛争当事国を法的に拘束する。今後、南シナ海における紛争の平和的解決につながることを強く期待する」と強調した。外務省幹部は取材に対し「歴史的意義のある判決だ」と評価した。

 日本政府は、15日からモンゴルで開催されるアジア欧州会議(ASEM)首脳会議の際に、安倍晋三首相と李克強首相の会談を調整。日本の立場を直接伝えたい考えだ。また、杉山晋輔外務事務次官を来週初めにも北京に派遣する方針だ。


南シナ海問題 「珊瑚礁に取り返しの付かない害」と仲裁裁判所
産経新聞 7月12日(火)18時32分配信

 仲裁裁判所は12日、南シナ海をめぐる裁定で、「中国は、スプラトリー(中国名・南沙)諸島の珊瑚礁の生態系に恒久的かつ取り返しの付かない害を与えた」と指摘した。ロイター通信が伝えた。


中国主張に「法的根拠なし」…南シナ海仲裁裁判
読売新聞 7月12日(火)18時31分配信

997
(写真:読売新聞)

 【ハーグ=横堀裕也、マニラ=向井ゆう子】中国の南シナ海における主権の主張は国連海洋法条約に違反するなどとしてフィリピンが提訴した仲裁裁判で、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、南シナ海をほぼ囲い込む境界線「九段線」は「歴史的な権利を主張する法的根拠はない」などとする判決を示した。

 南シナ海を巡る中国の主張に国際法に基づく判断が示されたのは初めてで、フィリピンの主張がほぼ認められた。中国は判決を無視する構えだが、主権を巡る主張の根拠が否定されたことになり、外交的に厳しい立場に立たされるのは必至だ。

 訴えで大きな焦点となっていたのは、「九段線」の法的根拠と、中国が南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で造成を進める人工島の法的位置付けだった。


中国「事実に基づかない決定」 南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定
産経新聞 7月12日(火)18時30分配信

 ロイター通信は12日、南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定について、中国国営新華社通信が「事実に基づかない決定だ」と報じたと伝えた。


<南シナ海>「九段線」中国の権益認めず 仲裁裁判所
毎日新聞 7月12日(火)18時30分配信

996
中国が主張する「九段線」と南沙諸島で埋め立てている七つの岩礁

 南シナ海のほぼ全域に主権や権益が及ぶとした中国の主張に対し、フィリピンが国連海洋法条約違反などを確認するよう申し立てた仲裁裁判で、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、中国が主張の根拠としてきた「九段線」について、フィリピンの主張を認め「資源について中国が主張する歴史的権利には法的根拠はない」とする判決を下した。南シナ海の人工島で実効支配を進める動きについて、国際法上「ノー」が突きつけられた中国の「全面敗訴」に近い形で、中国政府は猛反発した。

 南シナ海での中国の主張を巡り国際法に基づく判断が出されたのは初めて。

 中国は従来、九段線の内側の海域で管轄権を有するとし、これは、国連海洋法条約発効(1994年)以前からの「歴史的権利」と主張してきた。これに対し、南シナ海の岩礁について領有権を争ってきたフィリピンが2013年、中国の主張は「同条約に反しており無効」として仲裁裁判を申し立てていた。

 判決では、中国の主張する九段線の「歴史的権利」について「南シナ海で中国が独占的な管理をしてきた証拠はない」と断じ、中国の主張を退けた。

 中国は九段線の主張を背景に、南沙(英語名スプラトリー)諸島の七つの岩礁で人工島造成を行い、滑走路などを建設し軍事拠点化を進めていると批判されてきた。判決により、造成を継続することに対しては「国連海洋法条約違反」として、国際社会の批判が強まる可能性が大きい。

 判決ではさらに、七つの岩礁について、いずれも排他的経済水域(EEZ)が設定できる「島」ではなく「岩」か「低潮高地」と認定した。これにより、周辺海域での資源開発への主権的権利も中国は主張できなくなった。

 判決はまた、七つの岩礁での埋め立てと人工島造成が、サンゴ礁の環境に深刻な損害を与え、国連海洋法条約の定める環境保護義務に違反していると認定した。

 仲裁判決には上訴が認められず、法的拘束力があるが、判決を強制執行する手段がない。このため現状では中国の動きを実力で阻止できないが、判決の無視は国際的な批判にさらされることになり、中国の出方に注目が集まる。また、判決を後ろ盾にフィリピンなどが海域で中国に対し強硬姿勢で臨めば、偶発的な衝突につながりかねず、これまで以上に緊張が高まる恐れもある。

 同裁判所は昨年10月、フィリピンが訴えた15項目のうち7項目について裁判所の管轄権を認めたが、九段線の有効性の判断については明確にしていなかった。【服部正法】

 ◇判決受け入れず…中国外務省

 【北京・石原聖】中国外務省は「仲裁法廷が出したいわゆる判決は無効で、拘束力はなく、中国は受け入れず、認めない」との声明を発表した。声明は「中国の南シナ海の領土主権と海洋権益はいかなる状況下でも判決の影響を受けない。判決に基づく主張と行動にも反対し、受け入れない。領土問題と海洋の境界画定紛争で、紛争解決方法を強制することは受け入れない」と強く反発した。

 ◇画期的な判断…フィリピン外相

 【バンコク岩佐淳士】フィリピンのヤサイ外相は判決を受け記者会見し「南シナ海を巡る争いの解決に向けた画期的な判断だ」と歓迎した。一方で「関係者に自制と落ち着きを求める」と述べ、中国などに対立をあおるような行動に出ないよう求めた。6月に発足したドゥテルテ政権は対中姿勢を軟化させ、中国との対話に意欲的だ。フィリピンに優位な判決を利用して経済協力を引き出しつつ、関係改善を模索する狙いとみられる。

 ◇解説 「歴史的権利」退ける

 仲裁裁判所の判決のポイントは中国が主張する南シナ海での排他的な「歴史的権利」を退けたことだ。

 中国は南シナ海の島しょを最も早く発見し、命名し、開発・利用しており、資源を利用する歴史的権利を有すると主張する。だが、判決は資源利用は国連海洋法条約の排他的経済水域(EEZ)の設定に基づくものであり、中国の「歴史的権利」は条約と「相いれない」と判断した。

 また、歴史的に中国の航海者や漁民が南シナ海の島々を利用してきたことを認めたうえで、これは中国側が他国の航海者らと同様に、公海上の自由を享受してきたことによるとして、中国だけの特別な権利は認めなかった。

 一方、歴史的権利だけでなく中国が人工島造成を進める七つの岩礁についても「島」でないと判断し、EEZが認められなくなった。人工島造成による環境破壊も明確に認定した。中国による岩礁の軍事拠点化の国際法上の根拠も大きく揺らいだことになる。

 今後も中国が造成を続ければ、国際法違反状態の継続となり、国際社会の厳しい批判にさらされることは避けられない。【服部正法】

 【ことば】仲裁裁判所

 国連海洋法条約に基づいて、さまざまな海洋権益をめぐる争いを解決する機関の一つ。海洋問題の専門家5人が仲裁人(裁判官)を務める。今回はガーナ、ポーランド、ドイツ、オランダ、フランスの出身者。国際司法裁判所などは相手国の同意がないと提訴できないが、仲裁裁判は通知するだけで始めることができる。

 【ことば】九段線

 中国が設定している、南シナ海のほぼ全域を囲う9本の破線。中国はこの内側のエリアについて、中国の管轄権が及ぶと主張している。九段線が囲ったエリアは周辺国の沿岸近くまで大きく張り出しており、その形から「中国の赤い舌」などと呼ばれる。周辺国などは「国際法上、何の根拠もない」と異議を唱えているが、中国は九段線による権利は「海の憲法」と呼ばれる国連海洋法条約発効以前から中国が有している「歴史的権利」と反論してきた。中国は管轄権の中身や九段線の緯度・経度などの詳細を明らかにしていない。


判決無視、実効支配強化へ=外交で切り崩し、対抗措置も―中国・南シナ海
時事通信 7月12日(火)18時24分配信

 【北京時事】南シナ海をめぐる仲裁裁判の判決は、中国が習近平政権下で積極的に進めてきた同海への進出の法的な正当性を明確に否定した。

 中国外務省は、声明で「判決は無効で拘束力はなく、受け入れず、認めない」と判決を拒否。批判の広がりを警戒する中国は今後、日米に対する軍事的なけん制を強めつつ、周辺国への外交攻勢で「包囲網」の切り崩しを図る考えだ。

 習国家主席は、欧州連合(EU)のトゥスク大統領との会談で「中国の領土主権と海洋権益は判決の影響を受けない。判決に基づく一切の主張や行動を受け入れない」と強く反発し、実効支配継続の方針を強調。中国政府も別の声明を発表し、自国の領土主権の正当性を訴えた。

 さらに、中国当局は12日、南沙(英語名スプラトリー)諸島のミスチーフ礁とスービ礁に建設した飛行場で、民間チャーター機による試験飛行も実施。判決を拒む姿勢をあらわにし、実効支配を強めていく意思を明確にした。

 中国海軍は判決を前にした5~11日、西沙(英語名パラセル)諸島周辺で大規模な軍事演習を実施した。米国などの対応次第では、人工島での軍事施設増強や、東シナ海に続く南シナ海での「防空識別圏」設定など対抗措置を取る可能性も想定される。

 米軍関係者は「中国は自軍の実力を分かっており、大規模な軍事衝突という選択肢はない」と指摘するが、米軍の「航行の自由作戦」をけん制する軍事的行動に出る恐れも強まっている。


中国の南シナ海支配認めず 仲裁裁判所「法的根拠なし」と初判断
産経新聞 7月12日(火)18時16分配信

 【ベルリン=宮下日出男】南シナ海における中国の主張や行動は国連海洋法条約違反だとしてフィリピンが求めた仲裁手続きについて、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、中国が南シナ海の広い範囲に独自に設定した「九段線」には「法的根拠はない」と認定する裁定を公表した。中国の強引な海洋進出に対する初の国際的な司法判断で、「歴史的権利」という中国の主張が否定された。

 裁定は確定的な判断で上訴はできない。中国は一貫して無視する姿勢で、罰則など強制的に裁定に従わせる手段はないが、国際社会が司法判断の尊重を求める圧力を高めるのは必至。中国の立場が苦しくなる一方、南シナ海情勢は一段と緊迫化する可能性がある。

 仲裁裁判所は九段線を審理するか否かを留保していたが、裁定は「管轄権を有する」と認定。その上で九段線内の海域や資源について、「中国が歴史上、排他的に支配してきた証拠はない」と指摘し、九段線内の権益をめぐる「歴史的権利」という主張に、「法的根拠はない」と判断した。

 裁定は中国が実効支配する各礁を含め、スプラトリー(中国名・南沙)諸島の岩礁はすべて「島」ではなく、200カイリの排他的経済水域(EEZ)のない「岩」と、高潮時には水没して12カイリの領海も発生しない「低潮高地」と認定した。

 裁定はまた、フィリピンのEEZ内での同国漁船の妨害や人工島造成などにより、中国がフィリピンの主権を侵害していると判断。中国による埋め立てがサンゴ礁の生態系を大きく損なっているとし、中国の環境保護に対する義務違反を認定した。

 仲裁は2013年1月、フィリピンの申し立てを受けて開始。中国は参加を拒否したが、昨年11月には中国抜きで口頭弁論が開かれていた。


南シナ海、中国の主張認めず=「九段線」に法的根拠なし―初の司法判断・仲裁裁判所
時事通信 7月12日(火)18時15分配信

 【ブリュッセル時事】オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、南シナ海問題をめぐる判決で、中国が南シナ海をほぼ囲むように設定する独自の境界線「九段線」について、域内の資源に「歴史的権利を主張する法的根拠はない」との判断を下した。

 また、南沙(英語名スプラトリー)諸島で中国が造成する人工島に関し、排他的経済水域(EEZ)は生じないと判断した。

 南シナ海で実効支配を進める中国の主張を否定する初の司法判断が示されたことで、習近平政権への国際的な圧力が強まるのは必至だ。

 中国外務省は声明で、判決について「無効で拘束力はなく、中国は受け入れず、認めない」と拒否する姿勢を強調した。一方、仲裁裁判所に提訴したフィリピンは「画期的な決定だ」と、判決を歓迎する声明を出した。

 中国は九段線内側の海域に「歴史的権利がある」と主張してきた。これに対し判決は「中国が独占的に支配してきた歴史的な証拠はない」と指摘。その上で「九段線内の資源に関して歴史的権利を主張する法的根拠はない」と結論付けた。南沙諸島については、中国が人工島を造成する7礁を含めて法的に「低潮高地や岩」であり、「EEZや大陸棚は生じない」と判断した。

 判決はまた、中国がスカボロー礁でフィリピン漁民の伝統的な権利を侵害していると指摘。さらに、中国による人工島造成は付近のサンゴ礁に深刻な被害をもたらし、環境保護義務に違反すると認定した。中国がフィリピンのEEZ内で漁業や石油採掘を妨害したことは「主権の侵害に当たる」と判断した。

 フィリピンは、自国に近いスカボロー礁を2012年に中国が実効支配したことなどを受け、13年に国連海洋法条約に基づき仲裁裁判所に提訴。九段線について、国際法上根拠がなく違法だと主張していた。これに対し中国は「仲裁裁判に管轄権はなく、判決に拘束力はない」(王毅外相)と反発し、一貫して手続きを拒否。仲裁裁判所は昨年10月、岩礁が低潮高地に当たるかなど訴えの一部に関し、裁判所に管轄権があると認め、審理を続けてきた。


仲裁裁判サイト、つながりにくく=「南シナ海」でアクセス集中か
時事通信 7月12日(火)17時49分配信

 【ブリュッセル時事】南シナ海問題をめぐり、フィリピンが国連海洋法条約に基づき中国を相手に起こした国際仲裁手続きの経緯が掲載されている仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)のウェブサイトは12日、つながりにくい状態が断続的に続いた。

 この問題への関心の高さから、アクセスが集中した可能性が高い。

 裁判所サイトの別のページに影響はないもよう。ツイッター上では「ハッカー攻撃ではないか」といったコメントも見られた。


フィリピンからのメッセージ「中国に立ち向かいますので応援お願いします」
JBpress 7月12日(火)16時45分配信

 (本記事は2014年4月9日に公開されました)

 この半年ばかりの間、東南アジア諸国を何度も巡っていると、友人がたくさんできる。実に嬉しいことだ。

 クアラルンプールから帰国してすぐに、その内の1人から急ぎの便りが来た。フィリピンの若い友人からである。先般、マニラを訪問した際に、中国の海洋進出問題を話し込んだ1人だ。

 ゾイロ君という。フィリピン外務省が頼りにする33歳の新進気鋭の弁護士資格を持つ外交官である。ほとんど1人で、大国、中国に対峙して、国際司法を通じた取り組みを行っている。アキノ大統領が頼りにするのは、こうした若いフィリピン人の活躍なのだ。

 実は、フィリピン政府は、この3月30日に国際仲裁裁判所にフィリピンの主張を示した申述書を提出した。フィリピン政府が提出した申述書は、40以上の地図を含め、4000ページ近くに及ぶものである。

■ 南シナ海に対するフィリピンの歴史的主張

 さて、メールを開けてみると、フィリピン政府が国際仲裁裁判所に提出したばかりの膨大な申述書のエッセンスとでも言える内容である。フィリピン政府による申述書そのものは、いまだ開示されないものであるが、ゾイロ君からのメールには、フィリピンが言いたいことが明瞭に書いてある。

 そして、ゾイロ君によれば、ぜひ日本の皆さんにフィリピンの主張を理解してもらいたいので、なにとぞよろしくお願いしたいと書いてある。頼まれたからには断れない。アジアの同朋への人情だ。

 この場を借りて、その要点を紹介させていただきたい。それは、歴史と法律の2つからなる議論である。

 最初は、中国の南シナ海に対する歴史的な主張に対する、フィリピンによる東南アジア諸民族の歴史的事実を踏まえた正当な反論である。フィリピンの主張は実に明確である。

 ・中国が「九段線」(筆者注:かつて中国の支配が及んでいたとする領域)と呼んでいる歴史的な主張には何ら根拠がなく、南シナ海に対する歴史的な権利を有しない。もし、南シナ海における「歴史的な権利」を主張するのであれば、フィリピンを含めて東南アジアの諸民族こそが、その唯一の権利を有する。

 ・なぜなら、中国はそもそも有史以来、歴史上、南シナ海を活用したことも、また、実効支配したこともないからである。

 ・中国人が、南シナ海に出てくるのは、せいぜい13世紀頃であって、中国は遅れてやって来た人々なのだ。反対に、フィリピン諸島の人々を含めて東南アジアの人々は中国人が来るよりも、1000年も前に海洋交通路として南シナ海を活用していた。

 ・そして、海洋貿易ルートとして中国人が南シナ海を活用したのは短期間にすぎない。決して継続的なものではない。一方で、東南アジアの人々は、古代から現在に至るまで継続的に南シナ海を活用してきている。

 ・南シナ海に対する実効支配の根拠として、中国による「朝貢体制」に依拠することは、誤解である。

 ・「朝貢体制」は、基本的に中国と東南アジアの統治者間の経済的なアレンジメントにすぎない。それは、現代における自由貿易や、市場アクセス合意のようなものである。

 ・それは、中国が、中国の貿易上の利益を促進するために、その使者を派遣する中国のイニシアティブである。東南アジアの統治者たちは、それに応えるか、時折、競合もした。なぜなら、彼らは、中国市場へのアクセスを求めたからである。

 これが、フィリピンの歴史に関する主張のごく簡単な要点である。もちろん、各論については、膨大な歴史資料と欧米の歴史家の評価が添付されている。

■ 中国人はいつ南シナ海にやって来たのか

 フィリピンと中国の双方をよく知る米海軍出身の歴史家である、故ウィリアム・ヘンリ・スコットや東南アジアの海洋史に詳しいケネス・ホールの著作などをひもとけば、フィリピンを含め東南アジアの諸民族と南シナ海の歴史はより明らかになる。ゾイロ君が送ってくれた歴史書を交えて、かいつまんで記そう。

 古来南シナ海は、季節風(モンスーン)による航海を通じて、インドや、中東、そして東南アジアの海洋民族に開かれた海であった。

 最近の歴史研究によれば、様々なエスニシティからなる東南アジアの諸民族の「Kunlun」と呼ばれる船乗りが、「Kunlunpo」と呼ばれる航海船を造り、インドとアジアの交易にあたっていたのである。マレー・ポリネシア系の東南アジアの諸民族こそが、中国とインドとの海上ルートを開き、アフリカ大陸まで航海していたと見られている。

 そこに中国人がやって来たのは、歴史上は比較的最近のことである。にもかかわらず、中国は古代の「海上のシルクロード」を開拓したのは、中国人であると言わんばかりなのである。むしろ、漢の時代(BC206年~AD220年)には、内陸のキャラバンルートが使われたのである。

 歴史文書によれば、中国民族はそもそも海洋民族というよりは、内陸に住む民族であって、主として海岸線をたどって、徐々に南下したとされている。また、海洋への進出に関しては、中東系の人々にならって、少しずつ南の海洋に進出したとされている。

 実際に海のシルクロードが中国人によって開拓されるのは、イスラム勢力の進出(AD751年)により、陸地を通るシルクロードが閉鎖される8世紀半ばの唐時代を待つ必要がある。当時でも、外国の商人のみが中国に向けて海洋ルートを活用したのであって、中国商人が海洋ルートを活用して、外洋に出たわけではない。

 歴史書によれば、11世紀になるまで、中国の船は恒常的に南シナ海で航海していたわけではない。中国商人が現在の南シナ海にようやく進出するのは、宋代の後半から元時代にかけて、特に13世紀になってからと言われている。

 もちろん唐や宋の時代を通じて、貿易が徐々に行われていったが、これをもって南シナ海の島々への中国の歴史上の支配を正当化するのは荒唐無稽と言わざるを得ない。

 その後、明王朝が富の独占を図るために、船の建造などを禁じる海禁政策を取った結果、朝貢貿易は栄えるものの、商人による自由な航海は行われなくなる。むしろ、倭冦という海賊がはびこるのもこのためである。勘合貿易として知られる日本と中国との貿易は、その時代の朝貢貿易の一例である。

 また、15世紀初頭に鄭和による遠洋航海が行われて以降は、明時代の後半、そして清時代に入ると、海禁政策のため、中国は海洋への進出を行わなくなったと言ってもよい。

 その証拠に清時代の中国の地図には、南沙諸島は描かれていない。むしろ、清時代の海禁政策は銀や銅の不足をもたらし、その結果として、経済混乱が起こり、東南アジア方面への中国人の大量の移住が始まったとされている。また、1842年に終わったアヘン戦争後、国力の低下した中国の海洋進出は全く見られなくなってしまう。19世紀は、一層多くの中国人の東南アジア諸国への移住を促すこととなった。

 その一方で、東南アジアの諸民族は、近代に入っても、常に南シナ海を古代と同様に航海していたことが知られている。

 こうした歴史的事実は、私たち日本人にとっては、しごく当たり前のことであり、あえて言挙げするに値しないほどのことかもしれない。しかし、これほどまでに中国政府が、対外的な宣伝を繰り返すならば、歴史的事実をもって、国際社会に正当性がどちらにあるかを明らかにすることはもはや当然の義務であろう。

 私たちに代わってフィリピン政府は、こうした歴史的事実を国際仲裁裁判所を通じて大真面目に提示してくれているということなのだ。

■ 国際法と合致しない九段線の主張

 続けて、ゾイロ君のメールには、フィリピンの国際仲裁裁判所に対するフィリピンの法的な主張が次のように明確にされている。

 ・中国の九段線(の主張)は、南シナ海のほとんど全ての権利を主張し、他国の排他的経済水域や大陸棚にまで及ぶほど拡張的であって、国際法に反するものである。

 ・中国は、南シナ海に対する歴史的権利を主張するが、そもそも国際法においては、歴史的な主張は、領土獲得の方途として認められていない。

 ・また、中国は、南シナ海に対して歴史的権利を主張するが、国連海洋法条約および国際慣習法によれば、歴史的な主張は、領海、内水、湾のみに及ぶものであって、南シナ海は以上のいずれにもあたらない。

 ・フィリピンは仲裁裁判において、南シナ海の特定の場所に対する主権の決定を要求しているわけではなく、国連海洋法条約におけるこうした地勢の性質と海洋上の権利に関わる解釈について要求しているのである。

 ・もし、これらの地勢の性質と、海洋上の権利が明確にされるのであれば、九段線に関わる曖昧さも明らかとなろう。

 ・九段線の国際法上の解釈が明確となれば、南シナ海の地勢がいずれの国の主権に属そうと、中国とフィリピンの海洋上の権利も国連海洋法条約の条項の下で、明らかになるだろう。

 ・中国の主張にもかかわらず、フィリピンが提訴した国際仲裁裁判は、領土紛争を提起するものでもなく、海洋上の国境画定を提起するものでもない。これは、国連海洋法条約の条項の解釈の問題を提起しているだけなのである。

 このようにゾイロ君からの便りは、フィリピン政府の言いたいことを網羅している。ここでは詳細は記さないが、彼からのメールには、中国の主張の法的な誤りを、一つひとつ客観的な論理と資料を通じて、反駁している詳細な反論集まで添付されている。

 多少の誤解を承知で、フィリピンの主張を、ごく簡単にまとめるならば、中国の主張する「九段線」に国際法上の根拠は何らないことを、国際仲裁裁判所で審議してもらいたいということなのだ。中国の国際法の理解が弱いことを、さりげなく一刺ししようというわけである。

 フィリピン政府は、国際仲裁裁判所に、フィリピン政府が組織した国際弁護士チームによる申述書を提出した。これが始めの一歩である。

 こうして、フィリピン政府は、いわゆる中国が得意とする三戦の1つである「法律戦」に正式に挑んだことになる。まだ、国際仲裁裁判所がフィリピン政府の提訴を受けて、実際に本件を審議することになるか否かは分からない。それは国際仲裁裁判所の判事の判断にかかっている。

■ 国家総出の「法律戦」

 この3月6日にフィリピン女性判事協会で開催された、「中国との裁判において、かけられているもの」と題された講演会において、フィリピン最高裁のアントニオ・カルピオ判事が次のように述べている。

 「フィリピンの1987年憲法は次のように宣言している。「フィリピン国家はその排他的経済水域にある国家の海洋資源を保護し、フィリピン市民がそれを使用することを確保する義務がある。これこそが、私たち全てが守るべく宣誓した憲法が求めるものなのだ」

 フィリピンの最高裁の判事までが、このような意気込みを示していることは実に興味深い。行政も司法も総出なのだ。今回のフィリピンの国際仲裁裁判所への提訴は、フィリピンという国家総出の総力戦ということなのだろう。デル・ロサリオ・フィリピン外相は、3月30日、仲裁請求は、「フィリピンの正当な領有権を守り、国際法に基づく公正かつ永続的な解決策を確保するためのものだ」と述べている。

 奇しくも、フィリピンが申述書を国際仲裁裁判所に提出する1日前の3月29日には、中国の艦艇が、フィリピン海兵隊が駐在する、アユンギン礁(別名セコンド・トーマス礁)のシエラ・マドレ号に、物資を運ぼうとする民間の補給船の行く手を妨害しようとしている。中国は、露骨な形でフィリピンを力で脅そうとしているのだ。

 同日の記者会見において、中国外交部の洪磊(ホン・レイ)副報道局長は、「仁愛礁(アユンギン礁の中国名)の不法占拠を企むフィリピン側のいかなる行為も容認しない」と強く非難した。しかしながら、中国の言う「不法」とは一体どのような法律に基づく不法行為なのであろうか。

 4月1日付の「人民日報」でも、「フィリピンが国際法を乱用し、中国に圧力を加えるという悪巧みは実現できない」との記事が掲載されている。そこでは、 「フィリピンが一方的に南海争議を国際仲裁に提出したことは『国連海洋法公約』を含む国際法に背くだけでなく、基本的な歴史事実に背くものだ。国際道義に背くほか、国際関係の基本準則に背くものだ。中国政府がこれを受け入れず、仲裁に参加しない行為は道理にかなうものであり、法律的な根拠がある」と主張されている。

 もっとも、人民日報でも、それがどのような歴史事実なのか、あるいは、どのような法律的根拠なのかは、残念ながら明らかにされていない。

 4月3日の米国上院の公聴会でも、ラッセル米国務次官補が、「中国が今、当局の船を数多く派遣して焦点を当てているのは、セカンド・トーマス礁だ」と述べ、米国としても強い警戒感を示している。

 フィリピンという、東南アジア諸国のか弱き同朋たちが、健気にも法律を通じた戦いに挑もうとしている。これを、我々は暖かく見守る必要があろう。南シナ海が戦略的に重要な国際交通路として守るべき公共財であることを改めて想起しようではないか。

 さて、間もなくゾイロ君は、オランダにあるフィリピン大使館に人事異動になるという。国際仲裁裁判所の動きを睨んだ人事である。

 オランダのハーグの法廷で、これから展開されるだろう「弱者の戦い」に大いに注目しよう。

 (本稿は筆者個人の見解である)


アングル:南シナ海仲裁判断、なぜ重要か
ロイター 7月12日(火)15時53分配信

995
 7月11日、常設仲裁裁判所は、南シナ海の大半に主権が及ぶとする中国の主張に反発してフィリピンが提訴した仲裁手続きについて、12日に判断を下す。写真は、スプラトリー諸島のヒューズ礁とみられる衛星画像。米戦略国際問題研究所(CSIS)が運営するサイト「アジア海洋透明性イニシアチブ」が2月に提供(2016年 ロイター/CSIS Asia Maritime Transparency Initiative/DigitalGlobe/Handout via Reuters/File Photo)

[香港/アムステルダム 11日 ロイター] - オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は、南シナ海の約90%に主権が及ぶとする中国の主張に反発してフィリピンが提訴した仲裁手続きについて、12日に判断を下す。

以下にいくつか重要ポイントを挙げた。

1.なぜ仲裁裁判所の裁定は重要なのか。

フィリピンによる提訴は、南シナ海の領有権をめぐる争いで、初めて法的に異議申し立てられたケースだ。重要な国際海上交通路にまたがる南沙(英語名スプラトリー)諸島を中心に、南シナ海は長い間、緊張状態にあり、近年はその度合いが一段と高まっている。

中国、台湾、ベトナム、マレーシア、ブルネイが、スプラトリー諸島とその周辺海域、あるいは周辺海域の領有権を主張している。中国、台湾、ベトナムは、南シナ海北方の西沙(同パラセル)諸島を自国の領土だと主張している。

南シナ海の領有権問題によって、台頭する中国と長年支配者として振るまってきた米国は、同海域で政治的・軍事的に激しい争いを続けている。中国が拡張する自国海軍の活動領域を見据える一方、米国は日本やフィリピンといった従来の安全保障上の同盟国だけでなく、ベトナムやミャンマーのような新たな友好国との関係を強化している。

中国専門家らは、海南島を拠点とする潜水艦が同国の核抑止力にとって今後決定的に重要となることを考えれば、南シナ海の重要性は増すばかりだと指摘する。

2.裁判に何が関係するか。

フィリピンは2013年、中国の主張が国連海洋法条約(UNCLOS)に違反し、同条約で認められた200カイリの排他的経済水域(EEZ)に含まれる南シナ海で開発を行う自国の権利が制限されているとして、仲裁裁判所に提訴した。

中国は、フィリピンの提訴によって審理を進められることに対して繰り返し警告し、聴聞会への参加も拒否してきた。裁判官を任命する権利も無視している。仲裁裁判所には権限がなく、南シナ海における中国の歴史的権利と主権は、UNCLOSが定められるより以前から存在していると同国は主張。

UNCLOSは主権に関する問題は扱わないが、海上における行動のみならず、さまざまな地理的特徴から国が主張できることを規定している。同条約は島嶼(しょ)や岩礁から12カイリを領海とし、ヒトが持続して居住可能な島から200カイリをEEZと定めている。EEZは主権のある領海ではないが、同水域内において漁業や、石油、ガスなどの海底資源を採取する権利は与えられる。

中国とフィリピンを含む167カ国がUNCLOSに署名している。米国はそのなかに含まれていないが、南シナ海における海上パトロールなどにおいて、同条約を国際的な慣例法として認識している。

3.カギを握るのは何か

フィリピンによる提訴は、自国がEEZを利用する権利を明らかにしようとする約15の項目から成る。中国によるスプラトリー諸島の7つの岩礁における埋め立てや人工島の造成だけでなく、漁業や浚渫(しゅんせつ)、当局による監視などの活動に対しても異議を申し立てている。

また、黄岩島(同スカボロー礁)を中国が実効支配していることに対しても異議申し立てを行っており、スカボロー礁が完全にフィリピンのEEZ内であるとする判断を求めている。

南シナ海の大半に主権が及ぶとの主張において、中国が基準としている「九段線」の合法性をめぐる裁定は、どのような内容であれ、注視されるだろう。九段線は他の国々のEEZに交わっており、東南アジア海域の中心部にまで深く入り込んでいる。

フィリピン側の弁護団はまた、スプラトリー諸島における島嶼や岩礁などのどれもEEZを主張するほど十分ではないと主張している。

4.次に何が起きるか。

裁定結果には法的拘束力があるものの、UNCLOSは執行機関を持たず、専門家らによると、中国が判断を無視した場合、どうなるかはまだ分からないという。実際の主権をめぐる裁定に関わるケースは、該当国間の合意が必要であり、国際司法裁判所(ICJ)によって審問される。ICJによる判断は、中国が常任理事国である国連安全保障理事会が強制執行できる。

中国当局者らは、自分たちの主張を実行するため、将来的な軍事活動を排除していない。それにはスカボロー礁での人工島建設や防空識別圏の設定なども含まれる。中国は、南シナ海における米軍のさらなるプレゼンス拡大には警告を発してきた。

こうした中国の動きに対しては、米国はいわゆる「航行の自由」作戦や上空飛行を増やしたり、東南アジア諸国への防衛支援を強化したりすることで対応可能だ。米当局者が匿名を条件に語った。

領有権を主張する他国、とりわけベトナムが、中国に対して独自に提訴するかも非常に注目されている。ベトナム政府は法的選択肢を模索しており、同国の当局者らはそのような行動に出ることを排除していない。

5.常設仲裁裁判所とは何か。

1899年に設立された常設仲裁裁判所(PCA)は、最も歴史ある国際司法機関。

PCAは、中国とフィリピンが署名するUNCLOSのような国際条約の下で紛争を解決することがしばしば求められる。

南シナ海問題における手続きをボイコットしている中国は、裁判官の任命を拒否。フィリピンはドイツ国籍の裁判官1人を任命している。残りの裁判官は国際海洋法裁判所の所長が任命した。

中国は、裁判長がガーナ人、他の4人の裁判官が欧州人であることは、世界の法制度の多様性を適切に反映していないとし、自国に対して偏見を持たれる恐れがあることを示唆している。

PCAは執行力を持たず、同裁判所の裁定で勝利した該当国は通常、自国の裁判所で主張を追求するが、成果が得られないことが多い。


仲裁裁判で注意喚起=比大使館が「議論するな」―北京
時事通信 7月12日(火)14時53分配信

 【北京AFP=時事】南シナ海の領有権問題をめぐる仲裁裁判の判決を12日に控え、北京のフィリピン大使館は同日までに、中国在住のフィリピン人に対し「政治問題に関する会合や議論を避ける」ようメールで注意喚起した。

 メールは、判決に向け緊張が高まる中、フィリピン人が中国国内で受ける可能性がある「脅威」に対し注意するよう警告。身分証明書を常に携帯し、不測の事態には大使館か警察に通報するよう促した。また公共の場以外に、インターネット上での議論も自制するよう求めた。


中国の南シナ海領有権主張、法的根拠なし 常設仲裁裁判所
BBC News 7月12日(火)13時29分配信

981
中国の南シナ海領有権主張、法的根拠なし 常設仲裁裁判所

南シナ海に対する中国の領有権主張や人工島の建設などが国際法に違反するとして、フィリピンが中国を相手に提訴した裁判で、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は12日、中国の主張に法的根拠がないと判断を示した。対する中国は、常設仲裁裁判所の判断を認めないと反発している。

各国が領有権を争う南シナ海問題を巡り、常設仲裁裁判所は、中国が独自に主張する境界線「9段線」について、国際法上の根拠がないとする判決を出した。南シナ海問題に関する、初の司法判断。中国が進める人工島造成などの正当性は、これで国際法上は認められなくなった。

仲裁裁判所はさらに、中国が9段線の内側で築いた人工島は、排他的経済水域や大陸棚が認められる「島」ではないと判断を示した。

中国は南シナ海の90%に対する領有権を主張しているが、周辺国も海域内の島や岩礁の領有権を主張している。

中国の習近平主席は判決を受けて、「中国の領土主権と海洋権益は、いかなる状況下でも、仲裁の判断の影響は受けない」と強調した。その一方で、近隣諸国との紛争解決を重視しているとも述べた。

今回の訴訟は、中国とフィリピン両国が批准している国際海洋法条約(UNCLOS)に基づいて進められた。仲裁裁判所の判決に法的拘束力はあるものの、裁判所は執行権限を持たない。

米国は判決を控えて南シナ海に空母と戦闘機を派遣していた。中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹紙「環球時報」は「武力対立」に備えるべきだと述べた。

中国海軍は領有権が争われている西沙(英語名パラセル)諸島付近で軍事訓練を実施している。

常設仲裁裁判所はフィリピンが提訴した15件のうち、少なくとも7件について同裁判所が判断を下すのが適切だとしており、ほか8件については検討を続けている。

中国は、常設仲裁裁判所の判決には従うべきでないとする自らの主張に対する国際的な支持を得ようとしている。中国の外交官らは相次いで、中国政府の立場を説明する記事を英語のメディアに寄稿している。

中国はまた、裁判所の判決拒否を支持する国が60カ国に上っているとしているが、公に表明した国はわずかだ。

(英語記事 International tribunal to make South China Sea ruling)


中国「九段線」に今夕判決…国際法、初の判断
読売新聞 7月12日(火)12時49分配信

 【マニラ=向井ゆう子】中国が南シナ海で主張する「九段線」は国連海洋法条約に違反するなどとして、フィリピンが2013年に提訴した仲裁裁判で、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日午前(日本時間12日夕)、判決を出す。

 中国が南シナ海で進める軍事拠点化を巡り、国際法に基づく初めての判断が下されることになる。

 フィリピンは〈1〉「九段線」の主張は国連海洋法条約に違反〈2〉スプラトリー(南沙)諸島の人工島をはじめ、中国が実効支配する各礁は、満潮時に水没する「低潮高地」にあたり、領海や排他的経済水域(EEZ)は生じない――などとする15件の訴えを起こした。仲裁裁は「九段線」について判断を示すかどうかは留保したものの、このうち7件について昨年10月、審理入りを決めた。


ハーグ裁判、判決後の東シナ海の動向注視したい=中谷防衛相
ロイター 7月12日(火)12時47分配信

[東京 12日 ロイター] - 中谷元防衛相は12日の閣議後会見で、南シナ海における中国の領有権に関する仲裁裁判所の判決が同日夕に下されることについて、「判決後の(東シナ海の)情勢や動向もしっかりと注視したい」と述べた。

中国は、南シナ海の域外国の日本や米国がこの問題に関与することに反発している。不利な判決が下されれば、日本をけん制するために東シナ海で軍の活動を一段と強める可能性がある。

(久保信博)


南シナ海「仲裁裁判」:「中国の野望」の分析と対策
新潮社 フォーサイト 7月12日(火)10時42分配信

994
南シナ海の戦略的トライアングル

 2013年1月、フィリピンは南シナ海における中国との紛争について、政治的・外交的な解決努力は尽くしたとして、国連海洋法条約に基づく仲裁手続を開始した。
 仲裁裁判所の裁判事務を担当する、オランダ・ハーグにある常設仲裁裁判所(PCA)は昨年10月、フィリピンが提起した15項目のうち8項目は留保するものの、7項目について管轄権があると判定し、審理することを決定した。そして7月12日、その裁定が下されることになったのである。
 提起されている問題とはそもそも何なのか、仲裁裁判では何に対して裁定が下されるのか、そしてその結果どんな影響が南シナ海に及ぶのか。

■国際司法に訴え出たフィリピン

 2012年4月のことだった。フィリピン・ルソン島の西方、同国の排他的経済水域(EEZ)内にあるスカボロー礁の近くで、中国漁船の不法操業を取り締まろうとするフィリピンの艦船と、それを阻止しようとする中国公船とが対峙する事態になった。にらみ合いは続くが、2カ月後、悪天候でフィリピン艦船が現場海域を離れた隙を狙い、中国が同海域を押さえ、スカボロー礁は中国が実効支配するようになった。
 フィリピンの海軍力は艦船80隻、総トン数約4.7万トン。2700トン級のフリゲート艦2隻が最も大きい艦艇だ。これに対して中国は艦船892隻、総トン数142.3万トンで、潜水艦のほか6500トンや5700トンの駆逐艦などを擁しており、その圧倒的な戦力差は歴然としている。
 中国の一方的な実効支配を実力で覆せないフィリピンは2013年1月、国連海洋法条約に基づくPCAへの提訴という方法をとった。紛争の解決を当事者間ではなく、国際司法の場に委ねたのである。

■「島」なのか「岩」なのか

 ではフィリピンが提起し、仲裁裁判所が同裁判所に管轄権があると認めた7項目を見てみよう。因みに仲裁裁判所は一方の当事国の参加だけで審理を進めることができる枠組みである。

(1)スカボロー礁にEEZや大陸棚は生じない。
(2)南沙諸島のミスチーフ礁、セカンドトーマス礁、スービ礁は「低潮高地」(後述)であり、領海、EEZ、大陸棚は生じない。
(3)ガベン礁、ケナン礁は「低潮高地」であり、領海、EEZ、大陸棚は生じない。
(4)ジョンソン南礁、クアテロン礁、ファイアリークロス礁では、EEZ、大陸棚は生じない。
(5)中国はフィリピン漁民のスカボロー礁での伝統的漁業を不法に妨害している。
(6)中国はスカボロー礁、セカンドトーマス礁の環境保護に関して条約に違反している。
(7)スカボロー礁近海での中国公船の危険な運用は条約違反である。

 最も重要なのは、最初の4項目である。ここでは、対象となる各礁が国際法上の「島」なのかどうかが問題となっている。つまり、各礁の「国連海洋法条約上の法的地位」が争われているのだ。
 国連海洋法条約では、島とは「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるもの」と定義されている(海洋法条約第121条1項)。ただし、人間が居住できなかったり、独自の経済的生活を維持できないものは「岩」とされ、EEZや大陸棚を持たないと定められてもいる(海洋法条約第121条3項)。
 一方、低潮高地の定義はこうだ。「自然に形成された陸地であって、低潮時には水に囲まれ水面上にあるが、高潮時には水中に没するもの」であり、「その全部が本土又は島から領海の幅を超える距離にあるときは、それ自体の領海を有しない」(海洋法条約第13条)。
 つまり「島」ならば、これを基点に領海やEEZ、大陸棚が決定されるわけだが、「岩」や「低潮高地」は「島」ではないので起点にはなりえない。仮にそれを人工島化しても、「自然に形成された陸地」ではないので、国際法上は「島」とはみなされないということなのである。
 これらのことを前提に7項目を見てみる。
 まず(1)だが、スカボロー礁はそもそもフィリピンのEEZ内にあり、しかも同国はこれを「島」ではなく「岩」と認識している。だから中国がここを実効支配しても、中国のEEZや大陸棚は生起しない、という言い分である。(2)~(3)については低潮高地だから、領海やEEZの基点となる「島」とは法的に認められない。(4)は、既に中国が勝手に人工島にしてしまったが、その人工島をもって大陸棚やEEZの基点としていることはけしからん、という訴えなのである。(5)~(7)は、国際司法上、上記(1)~(4)が証明されれば、当然違法だというべき内容である。

■間接的に「九段線」を論破?

 注意しなければならないのは、こうした項目に対する仲裁裁判所の裁定は、中国の南シナ海支配の是非を直接的に問うものではない、ということだ。
 中国は以前から、南シナ海のほぼ全海域を囲い込む「九段線」を主張している。これは、九段線内のエリアでは自らの主権、管轄権、歴史的権利がすべて及んでいるとするもので、西沙・南沙諸島などへの中国の進出は、すべてこの主張に基づいている。
 フィリピンはもちろんこの点についても、「九段線内での主権、管轄権、歴史的権利の主張は海洋法条約に反し、法的効力はない」と仲裁裁判所に提起したが、昨年10月の裁判所の決定では「判断留保」とされ、直接的に審理されることはなくなった。
 しかし、もし各礁の法的地位についてフィリピン寄りの裁定が下された場合、結果として九段線の主張が崩されることになる。当然これを中国は受け入れず、「裁判は認めない」「仲裁裁判所に管轄権はない」「裁判所の裁定は受け入れない、拘束力もない」と、裁定が出る前から徹底して裁判を無視する言動を繰り返しているのである。彼らにとっては、国際司法判断上、違法か否かは問題ではなく、これまで積み上げてきた既成事実のみが大切なのである。

■南シナ海は「核心的利益」

 海洋法条約締結国でありながら、なぜ中国はそこまで裁判を忌避するのか。それは、中国にとって南シナ海が今や「核心的利益」になったからだ。
 中国の海洋進出はもともと、漁業や海底資源といった経済的利益を求めるためのものだった。今回の仲裁裁判の原因となったスカボロー礁での紛争も、中国漁船の操業が問題視されたことが発端だった。
 ところが中国は2014年から、実効支配している各礁の人工島化を急速に進めはじめた。中でも西沙諸島のウッディー島には3000メートル級の滑走路を造成したほか、レーダーシステムを設置、2砲兵中隊の地対空ミサイルを配備した。さらに南沙諸島のファイアリークロス礁も埋め立てが進められ、3000メートルを超える滑走路、軍用とみられる港湾施設などの軍事施設が完成あるいは建設中という状況だ。
 これはつまり、中国軍の前方展開が始まったことを意味しているのだ。3000メートル級の滑走路があれば、主力戦闘機を南シナ海に常駐させることが可能な上、港湾施設は、中国海軍水上艦艇はもちろん、戦略ミサイル潜水艦も海南島周辺よりも水深が深い南方に配備できるようになる。南シナ海を核心的利益と中国が宣言したことは、この地域が中国にとって経済的利益のみならず、軍事的、国家戦略上極めて重要なエリアに本質的に変ったことを意味しているのだ。
したがって、中国がこれらをむざむざと手放すとはとうてい考え難い。
 ちなみに、東シナ海における尖閣諸島も「核心的利益」と言いだしたように、南シナ海の島嶼と全く同じ文脈で観る必要があることを付言しておく。

■「戦略的トライアングル」を阻止せよ

 そして今年3月、米軍が重大な発表を行った。中国がスカボロー礁周辺海域の測量を行っており、いずれ人工島の造成を始めるのではないか、というのである。
 もしスカボロー礁が軍事拠点化したら、フィリピンの喉元にまで中国軍が進出してくるだけではない。ウッディー島、ファイアリークロス礁、スカボロー礁を結ぶ、南シナ海の「戦略的トライアングル」が完成され、この地域の覇権を中国が完全かつ面的に掌握することになる。それは言い換えれば、中国が日本や韓国の生命線であるシーレーンを押さえるのみならず、対米核抑止力としての第2撃能力、即ち米国からの第1撃の核攻撃に対して場所が特定困難な潜水艦から核ミサイルを報復攻撃する能力、を握ることになるのである。
 こうした中国の野望を阻止する方法としてまず必要なのは、今回の仲裁裁判で、フィリピンの主張が国際的な司法判断として認められることだろう。
 もちろん中国は、そうした判断を受け入れず、スカボロー礁の軍事拠点化に手を染めるかもしれない。しかしそうなると、昨年来言われている米軍のフィリピン再駐留が急がれることになる。
 筆者は今年4月に寄稿した「海自護衛艦『カムラン湾寄港』の読み方」の中で、中国は南シナ海に「力の空白」が生じるたびに進出を繰り返した、と論じた。1992年、米軍はフィリピンのスービック海軍基地から完全撤退し、そこに力の空白が生まれた。が、一昨年、フィリピンと米国は、米軍によるフィリピンの軍事基地使用を盛り込んだ新軍事協定に署名。米海軍はスービック港に戦闘機やフリゲート艦を再度常駐させる計画だという。
 もしこれが早期に実現すれば力の空白は埋まり、中国のスカボロー礁軍事拠点化を阻止することが可能となる。どちらが先手を打つのかによって、南シナ海情勢は大きく変わるだろう。

■南シナ海で国際的な活動を

 だが、アメリカの動向に頼るだけでは不十分である。6月に寄稿した「日米への意趣返しか? 相次いだ中国軍艦の『進入』『侵犯』」でも述べたことだが、今回の仲裁裁判での司法判断を中国に理解させるためには、南シナ海問題を「国際化」することも必要である。
 6月にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラダイアログ)で、フランスのルドリアン国防相は、EU(欧州連合)各国に「海軍艦艇を派遣しよう」と発言した。これは「国連海洋法条約に基づく考え方を中国に教えるため」に、「WEU(西欧同盟)海軍を南シナ海に派遣」しようという意味である。こうした国際的な活動が、中国に対しては案外効くのである。
 その中国は、仲裁裁判の判定次第では「海洋法条約から脱退する」とまで過激な発言をしているが、本当にそこまでエスカレートするだろうか。
 日本はかつて、満州事変に関するリットン調査団の報告を受け入れられず、国際連盟を脱退して孤立し、その後の悲劇を招いた。中国の現状は、当時の日本と似ている。もし海洋法条約から脱退すれば、中国は孤立し、破滅の道に向かって歩み出すことになりかねない。賢明なる指導者はそれをよくよく理解している、と信じたいところである。

元海将、金沢工業大学虎ノ門大学院教授、キヤノングローバル戦略研究所客員研究員 伊藤俊幸

Foresight(フォーサイト)|国際情報サイト
http://www.fsight.jp/


南シナ海であらわになる中国外交の「本性」~国際法など知ったことか! 東アジアの安保は冷戦時代に逆戻り
現代ビジネス 7月12日(火)7時1分配信

南シナ海問題をどう裁くか
 オランダ時間の7月12日午前11時(日本時間午後6時)。ついにハーグの常設仲裁裁判所が、南シナ海問題についての判定を下す。

 常設仲裁裁判所は、1899年に設立された国際法廷で、国家や国際機関の間の紛争を、国際法に基づいて仲裁・調停・審査する。現在121ヵ国が批准しており、その中には中国も含まれる。ホームページには、中国語表記もある(英語の他は、国連の公用語である仏・露・アラビア・スペイン語のみで日本語はない)。

 ⇒常設仲裁裁判所(https://pca-cpa.org/)

 同ホームページを読むと、2013年1月22日に、フィリピン政府によって、この案件がオランダに持ち込まれたと書かれている。

 前年の2012年4月に、南シナ海の中沙諸島にある黄岩島(スカボロー礁)を、中国がフィリピンから奪取した。

 私は当時、北京に住んでいたので、よく覚えているが、当時の中国人の高揚感たるや、凄まじかった。メディアは連日、黄岩島報道一色で、共産党や政府幹部だけでなく、市場の野菜売りのオバサンとか、タクシー運転手といった一般庶民たちも興奮していた。小さな島を一つ取ることが、これほど国民全体を沸き立たせるものかと驚いたものだ。

 もっともこの年の中国人は、その5ヵ月後に、尖閣諸島を日本政府に国有化されてしまい、黄岩島の時の喜びと同じくらいの振幅で憤ったのだったが。

 黄岩島から200km東には、フィリピン軍のスービック海軍基地とクラーク空軍基地がある。そのため地理的に言えば、フィリピン軍の方が中国人民解放軍よりも有利だ。

 だが両基地からは、1991年にアメリカ軍を撤退させているので、脆弱なフィリピン軍だけでは、中国軍に立ち向かうことができなかった。そこで当時のアキノ政権が、「中国が主張する南シナ海全域を覆う『九段線』は国際法的根拠がない」として、常設仲裁裁判所に提訴したのだ。

仲裁事案に対抗して大騒ぎ
 常設仲裁裁判所は、フィリピンが提訴したことを、すぐにその内容を添えて、公式文書で中国に通知したと、ホームページに記している。

 すると中国は、約1ヵ月後の2月19日に、この裁判自体を拒絶し、渡された公式文書を、常設仲裁裁判所に送り返してきたというのだ。同裁判所のこのあたりの表記からも、すでにフィリピン贔屓と中国憎しが滲み出ている。

 そこで常設仲裁裁判所は、2013年6月21日から、ガーナ人のトーマス・A・メンサ判事長を中心に、フランス人のジャンピエール・コット判事、ポーランド人のスタニスラフ・ポウラック判事、オランダ人のアルフレッド・H・A・スーンズ判事、ドイツ人のリュディガー・ウォルフルム判事の計5人の判事によって、2年にわたって審理してきたのだという。

 その間、中国は公式に審理に参加してもいないくせに、2014年12月7日に、『フィリピンが南シナ海の件で常設仲裁裁判所に提訴したことに対する中国政府の立場』なる出版物を上梓したとも、同裁判所のホームページに、嫌味タラタラの筆致で記されている。

 同裁判所のこの件に関するプレスリリースの最後にも、「通常の判定は英語とフランス語で発表するが、今回の判定は中国語でも出す」と書かれている。中国に対して、「あなたたちの言葉で出してあげるから、判定をよく読みなさいよ」と言いたいわけだ。

 これに対して中国は、「フィリピンが常設仲裁裁判所に行った申し立ては、法的根拠がなく、相手にしない」というのが公式見解である。だが実際には、判定が下される前から、フィリピン以上に大騒ぎしていた。

 外交部は、毎日午後3時から行っている定例会見で、スポークスマンが吠え続けたし、国営新華社通信は、6月29日から7日連続で、長文の論評を出した。それらのタイトルだけ紹介すると、こんな調子だ。

 6月29日:南シナ海仲裁案が暴露した3大法的致命傷
6月30日:ニセの規則は地域の争議を解決する特効薬にはならない
7月1日:中国とフィリピンの関係が健康的な軌道に回復することを期待する
7月2日:仲裁案は歴史的権利を抹殺できない
7月3日:アメリカは南シナ海問題で『心のリバランス』を取るべきだ
7月4日:日本は南シナ海で何をしでかそうとしているのか
7月5日:南シナ海の仲裁案はASEANを棄損する『毒薬』だ

 まさに日を追って、この仲裁事案に対する非難をエスカレートさせてきたのだ。あげく、7月5日から11日まで中国人民解放軍は、南シナ海西部の西沙(パラセル)諸島で、史上最大規模の軍事演習を強行した。この演習が、東に位置するフィリピンに向けた「威嚇演習」だったことは、一目瞭然だ。

比・米に向けたパフォーマンス
 7月9日夜には、中国中央テレビが、この軍事演習の現場からの「迫真レポート」を放映した。私もその番組を見たが、今回の演習は、青島の北海艦隊、寧波の東海艦隊、湛江の南海艦隊の三隊合同による実弾演習だったという。

 同テレビの朱伝亜記者が、艦艇の甲板からレポートしたところによれば、演習では「紅軍」と「青軍」に分かれて「激しい戦闘」を行ったのだという。紅色は中国共産党の党色なので、敵の「青軍」を打ち負かす演習というわけだ。

 艦艇や戦闘機から、次々に実弾が発射される映像が映し出される。ある艦艇内部では、「方位0度に敵艦発見!」と若い海軍兵士が叫ぶと、「魚雷武器の準備を行え!」と命令が飛ぶ。そして「発射!」の声に、艦艇から大型の魚雷が発射され、ズズーンという爆音を轟かせて、水中に飛び込んでいく。

 「紅軍」の指揮艦である戦艦「合肥」の趙岩泉船長が、中央テレビのインタビューに答えて語った。

 「青軍の戦闘機がいつ飛び立つか、潜水艦がどこにいるのか、われわれはまったく知らされていない。そのため、すべて実戦同様に探っていかねばならない。このような緊張ある演習を行ってこそ、本番の戦場で主導権を取れるのだ」

 後半の映像は、戦闘機や艦艇、地上から発射させるミサイルを、これでもかというほど見せつけるものだった。演習全体の指揮官である南海艦隊の瀋金竜司令員が、中央テレビのインタビューに答えて語った。

 「今回の演習は、全軍を実戦化するのだという座談会を受けて、海軍として初めて行った実戦型の演習だ。海上で実戦型の演習を行うことは、実戦に向けて大変役に立ち、発展性があるということが分かった」

 西沙諸島で演習を突然、行った目的は、直接的には常設仲裁裁判所の判定には従わないということを、フィリピンに見せつけるために違いなかった。わざわざ判定の直前にセッティングし、判定の前日に終了させているからだ。

 だが間接的には、フィリピンのバックに控えるアメリカに向けたパフォーマンスと言える。

993
フィリピンに向かうアメリカのニミッツ級航空母艦ジョン・C・ステニス(左)とロナルド・レーガン〔PHOTO〕gettyimages

どんな判決が出ても手を緩めない
 昨年9月に習近平主席が国賓として訪米した際、ホワイトハウスで行われた米中首脳会談で、南シナ海問題に関して完全決裂した。

 以後、オバマ大統領は「反中路線」に転じ、アメリカ軍が再三、要求していた南シナ海における「航行の自由作戦」に、ゴーサインを出した。

 いまや南シナ海問題に関しては、完全に日米一体と言える。日本外務省では、「8年目のオバマ」と言われているほどだ。これまで日本よりも中国を重視してきたオバマ大統領だったが、8年目にしてようやく「中国の本性」を悟ったという、皮肉を込めた呼び方だそうだ。

 アメリカは、4月にカーター国防長官がフィリピンを訪問して以降、南シナ海に空母ジョン・C・ステニスを展開している。この空母は、北朝鮮の軍事的脅威に対抗するため、3月に韓国沖で行われた米韓合同軍事演習に参加するために、アジアの海にやって来たはずだった。

 だが、米韓合同軍事演習に形だけ参加した後、ジョン・C・ステニスは南に旋回した。つまり、真の目的は南シナ海で、中国の脅威に対抗することだったのだ。

 図らずもフィリピンでは6月30日に、強い反中路線を貫いてきたアキノ大統領が退任。マラカニアン宮殿では、ロドリコ・ドゥトルテ新大統領の就任式が行われた。南部ダバオの市長から、首都マニラのエリートたちを挑発する発言で国民の支持を得て当選した「フィリピンのトランプ」だ。

 中国としては、これまで腹立たしい6年間だっただけに、待ちに待った瞬間だった。中国メディアは一斉に、「ドゥトルテ新大統領は就任演説で南シナ海問題について言及しなかった」と報じた。つまり、前任のアキノ大統領と違って、「反中大統領」ではないと強調したのだ。

 中国外交のすごさは、「内政不干渉」という建て前ながら、周辺国の「反中政権」が、次々にひっくり返るよう経済的圧力をかけていくことだ。フィリピンだけでなく、ベトナムのズン首相、ミャンマーのテインセイン大統領、モンゴルのサイハンビレグ首相……。

 「反中」と言われたアジアの指導者が、今年に入って次々に退陣しているのだ。中国は、人民解放軍による「ハード外交」もさることながら、外交部や経済官庁による「ソフト外交」も半端ではない。

 先日、あるパーティで柳井俊二・国際海洋法裁判所長にお目にかかる機会があったので、この中国とフィリピンの争いについて聞いた。すると、「どんな判決が出ようとも、それによって中国が南シナ海で手を緩めるとは思わない方がいい」と警鐘を鳴らした。

 中国にとっては、「わが法すなわち国際法」だというわけだ。習近平政権は、古代からの中華思想を色濃く踏襲した政権なのである。

韓国のTHAAD配備に対する反発
 ところで、常設仲裁裁判所の判定の4日前にあたる7月8日、朝鮮半島でも激震が走った。韓国国防部が記者会見を行い、「2017年末までに、THAAD(終末高高度防衛ミサイル)を韓国に配備することを決定した」と発表したのだ。

 これはある意味、アジアの将来を決定づけるような発表だった。これまで朴槿恵政権は、軍事ではアメリカを頼り、経済では中国を頼るという「バランス外交」を敷いてきた。こうした外交が可能だったのは、アメリカと中国が、比較的良好な関係を築いてきたからに他ならなかった。

 ところが前述のように、オバマ大統領は昨年秋、それまでの「親中路線」にオサラバした。それとともに軍事同盟国の韓国に、プレッシャーをかけるようになった。昨年11月に行われた初の日韓単独首脳会談も、昨年12月の日韓「慰安婦合意」も、アメリカの隠然たる圧力なしには実現しなかった。

 決定的になったのは、今年1月6日の北朝鮮の「水爆実験」と、2月7日の長距離弾道ミサイル実験だった。2月7日、北朝鮮がミサイル実験を強行したことを受けて、米韓両軍が「THAADの韓国配備に向けた交渉を開始する」と発表した。

 だがこれには、当の北朝鮮よりも、むしろ中国の方が強く反発した。この時、中国の外交関係者に聞くと、次のように憤った。

 「アメリカは以前、『イランの脅威に対抗するため中東にミサイルを配備する』としたが、実はロシアを狙ったものだった。同様に、THAADも北朝鮮ではなく、射程距離圏にある中国を狙ったものであることは間違いない。北京まで、スッポリと射程に収めているのだ。

 わが国は2月1日に、この半世紀で最大の軍機構改革を、習近平主席が断行したばかりだ。これは一言で言えば、『北部の陸軍中心から南部の海軍中心へのシフト』だ。それをアメリカは、中国陸軍を北部に釘付けにさせて、南部へのシフトができないようにしたいのだ」

 7月8日以降、中国のTHAADに対する反発は、すさまじいものがある。この日、スリランカを訪問中だった王毅外相は、直ちにコロンボで、口を尖らせて抗議した。

 「友人である韓国が、冷静に考えることを希望する。THAADを韓国に配備することは、韓国の安全にとって有効な措置ではない。朝鮮半島の平和と安定に寄与するものでもない。朝鮮半島の核問題を解決に向かわせるものでもない。韓国はもっと慎重に行動し、決定的なミスを避けるべきだ」

 新華社通信も、次々と批判記事を配信している。そのタイトルだけをいくつか示せば、以下の通りだ。

 「韓国が2017年末までにTHAADを配備するという、中国に対する罪深い決定をした!」
「朴槿恵はなぜ突然、THAADにすがりついたのか? レイムダック大統領の胸の内を探る」
「中国が米韓の中国駐在大使を呼びつけて厳重抗議」
「中国とロシアは手を組んで反対していく」
「外交部:THAADは中国の安全戦略の国益に直接的損害を与える」
「ロシアの学者が非難 韓国へのTHAAD配備は重大な後悔を招くことになる」

「米日韓vs中ロ朝」再び
 6月下旬、北京の中南海情勢に詳しいある中国人が訪日した。私はある日本人の紹介で、この中国人とディナーを共にしながら話を聞いた。その中で、私が韓国へのTHAAD配備について言及すると、彼は「すでにわが国は対抗策の検討を始めている」と前置きして、恐るべき計画について言及した。

 「中国、ロシア、北朝鮮の3ヵ国で、日本海に新たな軍港を築く計画を立ち上げた。具体的には、中国の珲春、ロシアのハサン-ウラジオストク間、北朝鮮の羅先を結ぶ。ここに、THAADを叩くためのミサイルを配備して、米韓に対抗していくのだ。

 わが国には、日本海側の海岸に領土がなく、ロシアと北朝鮮にあるばかりだ。だが、珲春を中心とした経済圏は、中国が中心である。そこで中国の経済力、ロシアの軍港のノウハウ、北朝鮮の土地の利を活かして、3ヵ国が共同で、アメリカの脅威に対抗していくのだ。

 中ロ関係は現在、過去半世紀で最高の友好関係にある。中朝関係は、このところギクシャクしていたが、今後は1950年代の朝鮮戦争時代の『抗美援朝』(アメリカに対抗して北朝鮮を援助する)を復活させる」

 韓国が、自国にTHAADを配備すると決定したことで、東アジア地域の安全保障体制は、再び前世紀の冷戦時代に舞い戻った。すなわち、「米日韓vs中ロ朝」という構図である。

 21世紀前半のアジア最大のテーマが、「第一列島線」と呼ばれるカムチャッカ半島~日本列島~朝鮮半島~台湾~フィリピン~大スンダ列島と続く南北ラインを、前世紀に続いてアメリカが死守するのか、それとも中国が奪取するのかということである。

 この「第一列島線」は、アジア激震の「南海トラフ」のようなものだ。特にホットスポットが、朝鮮半島、東シナ海、南シナ海の3ヵ所である。

 7月10日に日本で行われた参院選で、自公を中心とする「改憲派」が勝利したことで、いよいよ憲法改正が視野に入ってきた。憲法改正とはすなわち、「戦争できない国家」から、「戦争できる国家」への脱皮である。近未来の日本は、この米中の激突に巻き込まれていくことを、覚悟しておかねばならない。

 <付記>
南シナ海を巡る常設仲裁裁判所の裁定、韓国へのTHAAD配備……。いまアジアで起こっている中国を取り巻く国際情勢を分析した新著です。ぜひご高覧ください! 

 『パックス・チャイナ 中華帝国の野望』
著者: 近藤大介
(講談社現代新書、税込み918円)
南沙諸島や尖閣諸島を巡る強硬な外交で、周辺国やアメリカと軋轢を生んでいる習近平政権。「海の万里の長城」を築き、大海洋国家を目指す習近平の野望ははたして実現するのか!?


<南シナ海問題>「条約順守」…日本、声明へ
毎日新聞 7月12日(火)2時30分配信

 日本政府は、12日に南シナ海の領有権を巡る仲裁裁判の判決が出た直後に、南シナ海周辺の緊張が高まらないよう、中国を念頭に国際海洋法条約の順守と判決の尊重を関係国に求める声明を出す方針を固めた。「第三者による解決方式は受け入れない」と裁判の無効を訴えている中国をけん制する狙いがある。

 声明では、中国の人工島造成などに対し、地域の緊張感を高めるとして一方的な現状変更を控えるよう求める。日本が議長国を務めた5月の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)の首脳宣言では南シナ海や東シナ海の現状への懸念を表明し、「仲裁を含む法的手続き」などによる紛争解決の必要性も盛り込んだ。日本はG7による共同声明の呼びかけも検討する。

 日本は判決が地域の海洋安全保障に与える影響が大きいことから、直後に声明を示す必要があると判断した。【田所柳子】


判決前に神経とがらせる中国、実効支配を誇示
読売新聞 7月11日(月)20時25分配信

 【北京=竹腰雅彦】南シナ海問題を巡る仲裁裁判所の判決を12日に控え、中国が南シナ海の実効支配の誇示に躍起になるなど、神経をとがらせている。

 中国は裁判を認めず、判決に従わない立場だが、外交的に劣勢に追い込まれるとの強い危機感があるとみられる。

 「無関係の南シナ海問題を討議する計画もないし、話し合うべきでもない」

 中国の孔鉉佑外務次官補は11日、15~16日に安倍首相や李克強(リークォーチャン)首相らが出席し、モンゴルで開かれるアジア欧州会議(ASEM)首脳会議に関する記者会見で語気を強めた。

 中国軍は11日まで、パラセル(西沙)諸島近くの海域で実戦想定の大規模演習を実施。中国交通運輸省は10日、スプラトリー(南沙)諸島の五つの人工島で大型灯台が稼働または完成したと発表し、「南シナ海の航行安全に中国が責任を果たしている」と強調した。

« 三菱MRJ、ヨーロッパから初受注 スウェーデンのリース会社 | トップページ | 東日本大震災・原発事故関連のニュース・2131 »

ニュース」カテゴリの記事

侵略・支配・抑圧」カテゴリの記事

国防・軍事・安全保障」カテゴリの記事

領土・外交」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/566606/63910161

この記事へのトラックバック一覧です: どこまで図に乗る中共支那、南シナ海にミサイル・戦闘機を配備・12:

« 三菱MRJ、ヨーロッパから初受注 スウェーデンのリース会社 | トップページ | 東日本大震災・原発事故関連のニュース・2131 »

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31