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2015年11月26日 (木)

フランス・パリで多発テロ、130人が死亡・41

フランスの首都パリで13日夜(日本時間14日未明)、飲食店や劇場、サッカー競技場など複数の地点で、銃撃や爆発などがおきた。劇場では観客らが人質になったと伝えられる。オランド仏大統領は同夜、テレビ演説で「前例のないテロが起きた」と断定し、国内に非常事態を宣言した。

フランス治安当局の発表では、この同時テロで129人が死亡した。
※その後、死者は130人となった。

ロイター通信などによると、週末を過ごす客でにぎわう13日夜、パリ10区のレストランと近くの劇場で銃撃が起きた。目撃者の証言では、劇場内で60人程度の観客らが人質になった。劇場内からは、散発的な銃声が聞こえているという。

また、ドイツとフランスの親善試合が行われたサッカー競技場では、少なくとも2回の爆発が起きた。自爆テロとみられており、犯人とみられる2人を含む35人程度が死亡したもよう。

オランド大統領は、「われわれは結束し、断固戦う」と国民に訴えた。非常事態の宣言にともない、フランスと周辺国の国境が閉鎖された。

フランス国内では、今年1月、イスラム過激派により週刊紙本社が銃撃されるテロ事件が起き、計17人が死亡した。

オバマ米大統領は、ホワイトハウスで記者団に対し、「民間人を恐怖に陥れる非道な企てだ」と強く非難した。

※以上、産經新聞の報道による。

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リンク:<高等弁務官>「難民排除や憎悪はISの思うつぼ」指摘 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:仏、空港や公共交通部門で過激派シンパを調査 数年前から - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:<パリ同時多発テロ>人生変えさせない…銃撃受けた男の決意 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:難民問題、トルコと包括合意を=テロ対策も協議―仏伊首脳 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:イスラム国シリア拠点への空爆、いま決断すべき=英首相 - 速報:Yahoo!ニュース.
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リンク:パリ同時多発テロ 石破地方創生相「共謀罪なしでは日本がテロ活動の抜け道に」 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:日仏首脳、30日に会談=対テロ連携確認へ - 速報:Yahoo!ニュース.
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リンク:トランプ氏、勢い取り戻す=対テロ強硬論に支持―米大統領選 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:出口見えぬ難民対応議論=仏テロで強硬論に勢い―独 - 速報:Yahoo!ニュース.
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リンク:反テロで協調を狙うも ロシアが背負う新たな脅威 - 速報:Yahoo!ニュース.
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リンク:パリ同時多発テロ 仏、「イスラム国」掃討で一段の貢献要請 独は早急に検討へ - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:仏大統領、首謀者とニアミス? =事件直後の劇場付近―パリ同時テロ - 速報:Yahoo!ニュース.
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リンク:「大連合」一層困難に オランド氏尽力も露への疑念強く - 速報:Yahoo!ニュース.
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リンク:シリア空爆を延長=仏議会 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:パリ同時テロを招いた『移民政策』の失敗 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:オランド仏大統領:「イスラム国」掃討でドイツのさらなる関与求める - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:「米国は安全」=感謝祭控えテロ情報なし―オバマ大統領 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:「イスラム国」の挑む21世紀の宗教戦争 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:難民危険説は「作り話」=ホームページで理解求める―米国務省 - 速報:Yahoo!ニュース.
リンク:対「イスラム国」共闘=難民受け入れ継続一致―独仏 - 速報:Yahoo!ニュース.

以下、参考のために同記事を引用

伊仏首脳、対イスラム国で多国的取組み強化が必要との認識で一致
ロイター 11月26日(木)20時42分配信

[パリ 26日 ロイター] - イタリアのレンツィ首相は26日、パリでオランド仏大統領と会談し、過激派組織「イスラム国(IS)」掃討に向けた多国的な取り組み強化が必要との認識で一致した。

会談で、両首脳は、北アフリカの不安定な情勢がISの勢力拡大につながっていることに懸念を表明。レンツイ首相は、リビアが次の混乱の地になる恐れがあると指摘した。

レンツイ首相は、IS掃討に向けた有志連合拡大構想を支持したものの、新たな軍事支援は確約せず、シリア紛争解決をめざす「ウィーン・プロセス」を見守る姿勢を示した。


<高等弁務官>「難民排除や憎悪はISの思うつぼ」指摘
毎日新聞 11月26日(木)20時32分配信

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のグテーレス高等弁務官は26日、東京都内で毎日新聞のインタビューに応じ、パリの同時多発テロを受けて難民排除の動きが出ていることについて「欧州が受け入れをやめても解決しない。難民がテロを生んだのではなく、テロや戦争が難民を生んだのだ。問題のスケープゴートにすべきではない」と強調した。

 同時テロの実行犯の一部はシリアから難民に紛れて欧州入りしたとされるが、グテーレス氏は、容疑者の大半はフランスやベルギー国籍であることに言及。「今回のテロはホームグロウン(自国育ち)だ。むしろ、欧州から数千人がシリアやイラクへ渡り、多くがテロに関わっている。最大のリスクは欧州の中にあると言うべきだ」と語った。

 そのうえで偽装難民は適切な審査で防ぐことができるとし、「書類選考や面接をきちんと行う必要があり、生体認証などのノウハウもある。欧州には早急な受け入れ態勢の構築を求めてきたが、対応が不十分で遅すぎた」と述べ、問題は欧州の側にあるとの見方を示した。

 グテーレス氏は同日、日本記者クラブでも記者会見し「恐怖に駆られ、欧州が侵略されていると考えている人がいて、ポピュリスト(大衆迎合主義)の政治家が憎悪をあおっている」と指摘。難民の受け入れをやめれば過激派組織「イスラム国」(IS)の「思うつぼだ」と述べた。

 また、受け入れ人数が少ないと指摘される日本政府の難民認定については、法務省が現在進めている難民認定制度の見直しに期待を示した。【隅俊之、小泉大士】


仏、空港や公共交通部門で過激派シンパを調査 数年前から
CNN.co.jp 11月26日(木)20時28分配信

パリ(CNN) フランスの情報機関がパリの主要空港や公共交通部門の従業員を対象に数年間にわたりイスラム過激主義の信奉者の有無を調べていることが26日までにわかった。

同国のテロ捜査当局筋がCNNに明らかにした。監視の対象はフランス国鉄のSNCF、公共輸送企業RATP、シャルル・ドゴール、オルリ両空港などの従業員となっている。

パリで今月13日に起きた同時多発テロ事件ではコンサートホール「バタクラン」を襲った実行犯の1人が2012年10月までRATPでバス運転手として働いていたことが判明した。当局はこの男を同年以降、監視下に置きテロ組織への関与で起訴もしていたが、シリアへの旅行やフランスへの帰国への事実は記録として残されていなかった。

RATPの責任者によると、フランスの雇用主がテロ容疑者と関係がある従業員の存在を知らされることは通常ないという。

ただ、RATPの労組責任者は12年後半もしくは13年の初期から一部の運転手や従業員が女性の同僚へのあいさつを拒んだり、就業時間内にバスの中で祈りを捧げる姿が目撃されていたと指摘。労組内でもこれらの挙動に不満が出ていたという。世俗主義を前面に出す企業の経営方針の中で何らかの宗教的な意思表示を示すことは禁じられているという。

空港を管轄する警察は先週、空港従業員を取り扱う複数の企業を捜索した。これら従業員の一部は空港の駐機場や航空機へ近づくことも出来るという。パリの空港運営当局者はCNNの取材に、捜索の中心はシャルル・ドゴール空港で業務を行うエールフランス航空の貨物部門などの3社だったと述べた。


<パリ同時多発テロ>人生変えさせない…銃撃受けた男の決意
毎日新聞 11月26日(木)20時17分配信

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バタクラン劇場からほどちかいコンサートホールの前でテロ事件後の生活について語るセドリック・リゾさん=パリで2015年11月24日、賀有勇撮影

 【パリ賀有勇】パリ同時多発テロから4日後の17日、パリ市内のコンサートに向かう男性がいた。テロ事件で90人の命が奪われたバタクラン劇場から生還したメガネデザイナーのセドリック・リゾさん(41)だ。「彼ら(テロリスト)に私の人生を変えさせない。14日から新たな人生を始めたのではなく、13日に止まった自分の人生を続けていきたい」。テロ事件前と同じ生活を送りたいと願い、事件を連想させるコンサートホールにあえて通い続けている。

 無類の音楽好きのリゾさんは事件当日、バタクラン劇場で最前列にいた。19歳の時に初めて行ったロックバンド「U2」の公演から、足を運んだコンサートは数え切れない。バタクラン劇場を訪れるのは61回目だった。

 音楽に身をゆだねていた午後9時40分、武装した3人が正面入り口から侵入、自動小銃を乱射しながらステージに向かい始めた。事態の深刻さに気づいたのは目の前にいたバンドメンバーが逃げ出した瞬間だった。とっさに床に伏せ、後方に目をやると、乱射しながら近づいてくる男2人が見えた。

 死んだふりをしていると、銃声の間隔が次第に開いていくのが分かった。恐る恐る後方を見ると、男たちは乱射をやめ、けがをしてうめく人一人一人に狙いを定めて撃っていた。「殺される」。そう思ったとき、一人息子のアンドレア君(3)に無性に会いたくなった。動けなくなった人の上をはい、夢中で非常口の明かりを目指した。劇場の外に逃れたときには服と靴が他人の血で真っ赤に染まっていた。

 「笑いも興奮もせず、無表情で仕事を一つ一つこなすように人を撃っていた」。実行犯の表情が今も脳裏に焼き付いている。

 リゾさんは事件後、フェイスブックを通じて、コンサートによく来る友人の安否を確認し続けた。だが、トーマ・ドゥペロンさん(30)からだけは返事が来ることはなかった。

 リゾさんは最前列、ドゥペロンさんは後部にあるバーで、いつものように音楽を楽しんでいた。「私は運がよかっただけだ」と声を詰まらせるリゾさん。ドゥペロンさんがいたバーは実行犯らが侵入した後方入り口左に位置し、即座に撃たれた可能性が高い。実行犯が侵入する1分前の午後9時39分、最後の投稿がツイッターに残されている。「今夜はロックンロールだ!イーグルス・オブ・デス・メタルと一緒に!」

 事件直後、リゾさんは自宅に引きこもりがちになったが、自分が許せなくなってきた。テロにより、ドゥペロンさんの命が奪われ、自分の人生も変えられようとしていることに憤りを覚えた。自分の生活を取り戻すには、ライフスタイルを貫かねばならないと感じた。

 家族の反対を押し切り、17日にパリ市内で行われたドイツのロックバンドのコンサートに行った。事件を連想すると思っていたコンサートホールでも恐怖心はなかった。だが一方で、何度も無意識に後方を気にしている自分に気づき、悔しさがこみ上げた。

 会場にはバタクランから生還した友人3人がいた。音楽、これからの生活、そしてテロで味わった恐怖について語り合った。体験を話すことで、悪夢の延長のように思えた日常を現実として捉えられるようになり、事件前の自分に少しだけ近づけた気がした。

 24日、バタクランから1キロの距離にあるコンサートホールの前で取材に応じたリゾさんは、「音楽は私に友人も与えてくれたし、テロ後に生きる情熱も与えてくれた。まだ心の準備はできていないが、トーマたちを弔うためにもバタクランには必ず行く」と言い残すと、薄暗いホールの中へ消えていった。


難民問題、トルコと包括合意を=テロ対策も協議―仏伊首脳
時事通信 11月26日(木)19時56分配信

 【パリ時事】フランスのオランド大統領は26日、パリの大統領府でイタリアのレンツィ首相と会談した。
 パリ同時テロの容疑者がシリアからの難民を装い、犯行に及んだ可能性が高いことを受け、オランド大統領は記者会見で「(難民の主要経由地の)トルコとの包括的な合意が必要だ」と語った。
 欧州連合(EU)首脳は29日、トルコの首脳をブリュッセルに招き、難民やテロの問題などを協議する。大統領は「難民が欧州に向かわず、出身国の近くで滞在する必要がある」と述べ、難民管理や国境の安全強化でトルコとの合意に期待を示した。
 テロ対策では、オランド大統領は過激派組織「イスラム国」壊滅の必要性を重ねて強調。レンツィ首相も「もっと広大な連合を構築しなければならない」と指摘し、軍事、外交面でのフランスの取り組みに支持を表明した。


イスラム国シリア拠点への空爆、いま決断すべき=英首相
ロイター 11月26日(木)19時37分配信

[ロンドン 26日 ロイター] - 英国のキャメロン首相は26日、シリアにある過激派組織「イスラム国」の拠点への空爆参加を決断すべき時だと表明した。キャメロン首相は議会の外務委員会に送った書類で、自国の安全保障を「他国に下請けに出す」ことは許されないと強調。

「だからこそわれわれは、英軍によるISIL(イスラム国)空爆を、包括的戦略の一部としてシリアまで拡大することをいま決断すべきだ」と述べた。


【写真特集】仏戦闘機、空母から続々出撃 対IS空爆強化
AFP=時事 11月26日(木)17時37分配信

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地中海東部に配備された仏空母シャルル・ドゴールに着艦する戦闘機ラファール(2015年11月23日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News

【AFP=時事】フランス・パリ(Paris)で発生した、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」によるとされる同時テロを受けて、同国政府はシリアにおけるISの拠点への空爆作戦を強化すべく、空母「シャルル・ドゴール(Charles de Gaulle)」を地中海東部に配置した。129人が死亡した同テロでは、ISが犯行声明を出している。【翻訳編集】 AFPBB News

【関連写真】仏空母を飛び立つ戦闘機


パリ同時多発テロ 石破地方創生相「共謀罪なしでは日本がテロ活動の抜け道に」
産経新聞 11月26日(木)16時20分配信

 石破茂地方創生担当相は26日の石破派会合で、パリ同時多発テロを受け、共謀罪を含む国内テロ対策に向けた法整備に関して「不十分なままだと日本がテロ活動の抜け道、抜け穴になりかねない」と指摘した。

 国連が2000年に採択した「国際組織犯罪防止条約」を日本が批准していないことにも言及し、「批准していないのは北朝鮮とイラク、あと何カ国だけだ。日本さえ良ければいいということにはならない」と述べ、共謀罪を創設し、条約を早期に批准することが必要との考えを示した。


日仏首脳、30日に会談=対テロ連携確認へ
時事通信 11月26日(木)15時33分配信

 政府は26日、安倍晋三首相がフランスのオランド大統領とパリで30日に会談すると発表した。
 両首脳はパリで発生した同時テロを非難し、対テロでの連携強化を確認する見通しだ。
 首相は29日にパリ入り。30日は国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)の首脳級会合に出席、途上国の温暖化対策支援を柱とするスピーチを行う。インドのモディ首相との会談も同日に行うことで調整している。


仏テロによる対IS攻撃 トルコのロシア機撃墜でプーチンの戦略は変更か
THE PAGE 11月26日(木)15時0分配信

Su24
[写真]トルコに撃墜されたロシア軍機「スホイ24」の同型機(2008年10月資料写真)(ロイター/アフロ )

 パリ同時多発テロは、過激派組織「イスラム国」(IS)に対する攻撃に変化をもたらしました。フランスとロシア、そしてアメリカが共同歩調を取るような機運が出てきたのです。ただ、ロシアの西側への接近には、さまざまな思惑があり、否定的な見方もあります。また24日に起きたトルコ軍によるロシア機撃墜は、両国の対立を呼び、こうしたロシアの戦略の変更を余儀なくしているともいわれます。中東事情に詳しい軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が、ロシアの思惑とその変化について解説します。

24日に起きたトルコ軍によるロシア機撃墜
 11月24日、シリア北部のトルコ国境で、ロシア軍の爆撃機Su-24がトルコ軍のF-16戦闘機に撃墜されるという事件が起きました。トルコ側によると、ロシア軍機が領空侵犯し、再三の警告も無視したので撃墜したとのこと。他方、ロシア側は領空侵犯を否定し、むしろトルコ軍機がシリア領内を侵犯したと主張しています。

 現場はトルコ領がシリア側に突き出た国境線になっており、ロシア軍機はおそらくその部分を日常的に横断侵犯していたのではないかと思われます。トルコ軍機がそれに対して攻撃したところ、被弾したのはすでにシリア領内に入った地点だったという可能性が高いと思います。戦闘機にとって、1キロや2キロなどは瞬く間に移動する距離だからです。

 いずれにせよ、こうした事態の勃発により、ロシアの対シリアの方針は若干変更を余儀なくされたといえます。

仏テロ受け対ISで欧米と共闘を模索
 ロシアは9月末のシリア空爆開始から、一貫してアサド政権を支援するため、アサド政権と対決している反IS系反政府軍諸派への攻撃をメインに行ってきました。シリアへの軍事介入の口実としては、欧米を刺激しないために「共通の敵」である対IS戦を掲げていたのですが、実際には対IS戦は空爆全体の10%以下に留め、反IS系反政府軍諸派を攻撃してきたのです。

 しかし、11月13日のパリ同時多発テロで、国際社会が対IS壊滅に大きく動き出したことを見て、戦術を変えました。たとえば10月31日のエジプトでのロシア民間機墜落事件に対しても、それまではロシア国内世論を考慮してテロ否定説に立っていたものが、一転してISによるテロと断定。同じテロ被害者との立場で、シリアでも対IS戦での共闘を欧米に持ち掛けるようになったのです。

 なかでもロシアが盛んに秋波を送ったのが、パリ同時テロの被害国フランスでした。フランスはテロ直後からすでに空爆を強化していて、11月15日から連日、ISの首都であるシリア北部のラッカへの空爆を続けていました。空母も東地中海に向かわせ、同23日からは艦載機による空爆を開始しています。

 空爆の標的は、ISの司令部や武器庫、訓練所などです。フランスは今年9月からシリアでの空爆に参加していますが、パリのテロを受けて、いっきにその規模を拡大したといえます。

 ロシアはこうしたフランスにまるで歩調を合わせるように、それまで消極的だったISへの空爆を急に強化しました。同17日には初めてTu160戦略爆撃機などを出撃させ、ラッカなどに大規模な空爆を行っています。

シリア軍事への介入の非難を抑える狙い
 このロシアの判断は、自分たちがシリアで行っている反政府軍への攻撃に対し、欧米が介入してくることを阻止する狙いがあることは明白です。ロシアとしては、対IS戦線で欧米諸国と協調することができれば、シリアでの軍事介入に関して、欧米諸国からの非難が抑制されることが期待できます。

 前述したように、現在、ロシアはアサド政権およびイランと協力し、反IS系反政府軍を攻撃していますが、その際、一般の民間人の被害を一切考慮せず、民間の居住地に対して徹底した空爆を行っています。そのため、一般国民の犠牲者が急増するとともに、新たに多数の避難民が生まれる状況になっています。

 ロシアとしては、自分たちが行っているそうした非人道的な軍事行動から国際社会の目を逸らし、国際社会の非難や介入を阻止している間に、反IS系反政府軍に打撃を与え、劣勢だったアサド政権を立て直すことが、当面の目標となっています。

ロシアが最優先するアサド政権の温存
 実際のところ、ロシアにとってもっとも優先すべきは、自分たちの中東地域での影響力を確保するために、反欧米陣営の事実上の同盟者であるアサド政権を温存することです。ISは、自国内にチェチェンなどのイスラム武装勢力を抱えるロシアにとっても敵にはなるのですが、IS自体はロシアにとってはさほどの脅威ではなく、むしろロシアの競争相手である欧米主要国にとっての脅威度のほうが高いといえます。

 そのため、IS討伐は欧米主要国こそが喫緊の課題であり、ロシアにはまだ余裕がある状況です。ISが壊滅すれば、次はアサド政権への国際社会の非難や圧力が高まるのは必至ですから、ロシアにとっては、ISはある程度勢力を抑えられていれば、むしろ存在しているほうが好都合でもあります。

 こうした背景から、これまでロシアは、対ISを口実にシリアに軍事介入しつつも、実際にはISへの攻撃はお座なり程度で済ませ、アサド政権への実際の挑戦者である反IS系反政府軍への攻撃に総力を上げていたわけですが、ロシア機爆弾テロとパリ同時多発テロを利用し、欧米の懐柔を図ろうとしているのです。

「仲間」にはなれないロシアと米仏
 プーチン大統領は17日にフランスのオランド大統領と電話会談し、軍や情報機関の連絡調整を強化することを提案。対IS戦線でフランス側も合意しました。プーチン大統領はさらに、地中海に展開しているロシア海軍のミサイル巡洋艦を、フランス海軍空母に協力させることも公表しています。

 さらにロシア側からは、ロシアとフランスが共同作戦を行うことになったかのような情報が盛んに流されており、それを多くの西側メディアがそのまま報じています。しかし、共同作戦の話は、あくまでロシア側から出てきた情報であることに留意する必要があります。

 実際、フランス側は、作戦にあたって仏露両軍の航空機間でトラブルがあってはまずいので、作戦予定に関して連絡・調整することは必要との考えですが、同盟国のように共同作戦を実施するとは言っていません。やはりアサド政権の処遇に関し、両国は正反対の立場であり、「仲間」にはなれないのです。

 アメリカのオバマ大統領も、ロシアのフランスへの接近には警告を発しています。オバマ大統領は、ロシアの対ISへのシフトは歓迎しつつも、反IS系反政府軍に対する攻撃には明確に反対し、ともに戦う同盟軍同様な関係になることは、明確に否定しています。

誤算だった? トルコとの決定的な対立
 このように、ロシアが自分たちが有利になるように米仏に揺さぶりをかけている状況だったのですが、今回、トルコと決定的に対立することになったことで、その戦術は難しくなりました。

 トルコはNATO加盟国ですが、ロシアとしてはNATOとの対決という局面は避けたいところ。欧米諸国とは緊張緩和に努めつつ、トルコに対しては強い態度で臨むということになります。当面、ロシアもトルコも事態の拡大は望まないでしょうが、プーチン大統領がこのまま言葉だけの非難で矛を収めるかというとわかりません。アメリカのオバマ大統領はおそらくトルコに一方的に肩入れしてロシアを追い詰めるということはしませんから、ロシアはそんなアメリカの出方を見越し、なんらかの実力行使をしてくるでしょう。

 当面、ロシアとしては、シリア北部の自らの優位を確保し、そこにNATOの影響力が及ぶのを避けるため、ロシア軍機によるトルコ国境ギリギリの空爆をさらに強化しそうです。結果、同地域の住民がますます酷いロシア軍機の空爆にさらされ続けることになりそうです。

■黒井文太郎(くろい・ぶんたろう) 1963年生まれ。月刊『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長等を経て軍事ジャーナリスト。著書・編書に『イスラム国の正体』(KKベストセラーズ)『イスラムのテロリスト』『日本の情報機関』『北朝鮮に備える軍事学』(いずれも講談社)『アルカイダの全貌』(三修社)『ビンラディン抹殺指令』(洋泉社)等


トランプ氏、勢い取り戻す=対テロ強硬論に支持―米大統領選
時事通信 11月26日(木)14時48分配信

 【ワシントン時事】2016年米大統領選の共和党指名争いで、人気に陰りが出ていた不動産王ドナルド・トランプ氏(69)が勢いを取り戻し、単独首位に立っている。
 パリ同時テロを受け、トランプ氏はシリア難民送還などの強硬論を展開。対米テロへの不安が高まる中、保守層の一部がこうした姿勢に共感しているようだ。
 トランプ氏は24日、サウスカロライナ州で演説。01年の米同時テロ後、米国に住むイスラム教徒は「通りで踊っていた」と主張し、イスラム教徒に対する警戒を呼び掛けた。事実と異なるとの再三の批判にもかかわらず、トランプ氏は4日連続でこの主張を繰り返した。
 トランプ氏はシリア難民の受け入れ拒否に加え、イスラム教徒の登録制やモスク閉鎖を提唱。尋問のための「水責め」復活も訴えている。
 パリ同時テロの発生当初、共和党支持層はトランプ氏らから政治経験のあるマルコ・ルビオ上院議員(44)らに回帰するとみられていた。
 しかし、政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティックス」によると、テロ後に行われた世論調査の平均で、トランプ氏の支持率は27.5%に回復。2位の元神経外科医ベン・カーソン氏(64)を7.7ポイント引き離し、3位のルビオ氏に15ポイントの差をつけている。


出口見えぬ難民対応議論=仏テロで強硬論に勢い―独
時事通信 11月26日(木)14時44分配信

 【ベルリン時事】パリ同時テロで複数の実行犯が難民に紛れて欧州入りした可能性があることから、欧州最大の難民受け入れ国ドイツでは難民の入国制限やテロ対策強化を求める声が強まっている。
 メルケル首相は難民への寛容姿勢を変えるつもりはなく、今後の対応をめぐり、出口の見えない議論が続いている。
 ドイツ政府は難民とテロを結び付けるべきではないとの立場。首相は25日、連邦議会(下院)での演説で「単なる(難民の)閉め出しでは問題は解決しない」と断言し、難民保護の責任を果たし続ける考えを改めて明確にした。
 13日のパリ同時テロ後、難民流入の窓口になっている南部バイエルン州のゼーダー財務相は「パリが全てを変えた」と危機感を強調。同州を基盤とするキリスト教社会同盟はメルケル連立政権の一角を占めるが、過激派潜入阻止も念頭に難民の数に上限を設けるよう首相に強く要求した。


テロの温床「モレンベーク」を歩く(上)複雑に絡まる人間関係
新潮社 フォーサイト 11月26日(木)14時12分配信

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住宅街にあったカフェ「レ・ベギーヌ」

 テロなき世界に近づくには、どうすればいいか。パリ同時多発テロの被害者に思いをはせつつ、テロと対決する意志を新たにする営みは、もちろん重要だ。同時に、加害者側の実像や環境を探り、その精神構造を分析する作業も欠かせないだろう。

 今回のテロ容疑者の多くは、遠い中東の砂漠に生まれ育った人々でなく、地元フランスやベルギー出身の若者たちである。過激派組織「イスラム国」の支援があったかもしれないが、基本的に彼らは、欧州文明社会でテロリストに成長し、テロを準備したと考えられる。つまり、文明社会に暮らす私たちとテロリストとは、多くの要素を共有しているのである。

 テロリストたちの多くが幼少時を過ごし、あるいはその後出入りしていた地域が、ベルギーの首都ブリュッセル西郊の街モレンベークである。そこに漂う空気を吸うことで、過激派やテロリストを生み出す要因を感じ取ることができないか。テロから5日を経た11月18日、ブリュッセルを偶然訪れる機会があり、合間を見て訪ねてみた。

■自爆容疑者のカフェ

 郊外とはいえ、モレンベークはブリュッセルとほとんどつながった街で、中心部から徒歩でも行ける距離にある。工業地帯に位置して労働者が多く、10万弱の人口のうちイスラム教徒が5割程度、地区によっては8割を占めるといわれる。その多くがモロッコ系である。

 まず、地下鉄オスゲム駅から西に歩き始める。ここはモレンベークの北部にあたり、ディープな移民街といった様相だ。イスラム教徒向けの食材「ハラール」の看板を出した店が目立ち、行き交う女性のほとんどはスカーフやヴェールを被っている。スカーフ姿をほとんど見ないパリから来ると、異様に映る。なお、パリのテロの要因として「フランスが公共の場でのスカーフ着用を禁止したことに、イスラム教徒が反発した」との説明が日本にあるという。それが正しいならなぜ、スカーフ自由のベルギーからテロリストが出るのか。少なくとも当のフランスやベルギーで、テロとスカーフ問題とを結びつける発想はほとんどない。

 アパルトマンが並ぶ住宅街の角っこに「レ・ベギーヌ」があった。欧州のどこの街角にもありそうなカフェで、名称は店が面する通りの名前である。

 この店は、パリでレストランを襲撃したとみられるアブデスラム兄弟が経営していた。当初のうちは、パリ南東部のカフェ「コントワール・ヴォルテール」で自爆したブライム・アブデスラムが店主だった。途中から、その弟で事件後逃亡したサラ・アブデスラムが書類上の店主を引き継いだ。酒だけでなく、こっそり麻薬も売っていたという。

 フランスの地方紙『ウエスト・フランス』紙が兄弟の知人(27)の話として伝えたところでは、ブライムは人当たりが良く、怒る姿を1度も見せたことがなかった。一方、弟のサラは精力的でいつも走り回り、酒とセックスに明け暮れる遊び人だった。付き合う女性も連日のように取り換えていたという。仏週刊紙『ロプス』によると、事件後に知人の前に姿を現したサラは、車の中で自爆ベルトを着けたまま意気消沈しており、最後の段階で死ぬのが怖くなったのかもしれないという。

 店の窓枠には、ろうそくの燃えがらが3個残されていた。テロリストとはいえ、亡くなったブライムを悼むために市民が持ち寄ったようだ。

 店は閉まったままで、すでに売却されているという。警察官も、やじ馬もいない。ロシアから来た2人組のテレビクルーが建物を撮影しているだけである。

 カフェの向かいのアパルトマン2階に暮らす白髪の老婦人が、窓から顔を出して話しかけてきた。兄弟も知っているという。「ごく普通の人たちに見えたのに、どうしたのかねえ」

 老婦人はここに暮らして29年になるという。「昔はいい街だったのだけど、近年は治安が悪くなってねえ。警察官がいればいいのだけど、数が少ないのよ」。老婦人は、イスラム教徒の移民が街で増える前の時代を懐かしがっているようだった。

 もっとも、子ども2人を連れてカフェの前を通りかかったスカーフ姿の女性サナ・エルアグチ(39)は「治安なんて全然悪くないよ」と反論した。ここに住んで11年。「テロのお陰でモレンベークもすっかり有名になったね」と笑い飛ばす。

「変なのが何人かいるだけなのに、みんなすっかり偏見にとらわれている。多くのイスラム教徒は、私のように欧州社会に溶け込もうとしているのに」

 彼女も兄弟を知っていた。

「すごく感じがいい人たちだった。もう何がどうなったのか。これを機に、警察がおかしな連中を一掃してくれたらいいのだけど」

■「モレンベキスタン」の拠点

 一般的な治安のよしあしに議論はあるにしても、この街がイスラム過激派の一大拠点となってきたのは間違いない。今回のテロに限らず、昨年ブリュッセルのユダヤ博物館で4人を射殺したフランス人過激派メディ・ナムシュも、今年8月にアムステルダムからパリに向かう特急「タリス」車内で発砲しようとして乗客に取り押さえられたモロッコ人アユーブ・エルハザニも、この街と関係があった。これらのテロやパリの同時テロの首謀者と見なされ銃撃戦で射殺されたアブデルアミド・アバウドも、この街の出身である。

 過激派モスクが野放し状態だったロンドンがかつて「ロンドニスタン」と呼ばれたように、この街を「モレンベキスタン」と呼ぶ人もいる。

 その歴史は、近年始まったわけではない。20年以上前から過激派の巣窟と見なされてきた礼拝所がある。

 オスゲム駅から地下鉄で2駅南に下り、徒歩でマンチェスター街を目指す。この通りのアパルトマンの1室にイスラム教礼拝所「サントル・イスラミック・ベルジュ」(CIB)が位置している。ここが一躍有名になったのは、2001年にアフガニスタン北部同盟の指導者マスード将軍が暗殺された時だった。その首謀者のチュニジア人アブデサタール・ダーマンが出入りしていたのである。

 欧米各国と強いつながりを持っていたマスード将軍は、タリバーンやアルカイダに対抗できるアフガニスタンの指導者として期待されていた。その彼が9.11米同時多発テロのわずか2日前、テレビのクルーを装ったアルカイダの刺客2人に殺された。カメラマン役の助手が自爆し、記者役だったダーマンは逃亡を図ったものの射殺された。

 ダーマンはチュニジアから留学生としてベルギーに渡った。当初は世俗的な青年だったが、学業に行き詰まり、CIBに出入りするようになって過激化した。アフガニスタンに渡り、アルカイダのキャンプに集まった欧州系のメンバーの間で頭角を現し、マスード暗殺の任務を与えられたという。ちなみにこの時、アルカイダの同じグループ内で覇権を争っていたのが、後に風刺週刊紙『シャルリー・エブド』襲撃事件の容疑者クアシ兄弟やアメディ・クリバリの師匠となったアルジェリア系フランス人ジャメル・ベガルである(2015年3月17日「テロリストの誕生(2)塀の中の仲間たち」参照)。イスラム過激派の主流が「アルカイダ」から「イスラム国」に移る中で、かつての人間関係は複雑に絡みながら引き継がれている。(つづく)

ジャーナリスト・国末憲人

Foresight(フォーサイト)|国際情報サイト
http://www.fsight.jp/


焦点:イスラム国との経済戦争、米国が投入する「新兵器」
ロイター 11月26日(木)13時54分配信

[ワシントン 24日 ロイター] - 米軍機は先月来、シリア領内にある過激派組織「イスラム国」の石油関連施設を攻撃している。イスラム国に対する経済的な締め付け強化の一環で、これにより同組織の石油ヤミ市場での収入は約3分の1減少したと米国は試算している。

米軍の作戦担当者は、攻撃目標を見つけるための手掛りの一部として、従来とは異なる情報源を頼りにしている。それは銀行の取引記録にアクセスすることで、どの石油精製所・油井がイスラム国の資金源になっているかの把握が可能と、現旧当局者らは指摘する。

その目的は、イスラム国が今も維持しているグローバル金融システムとのつながりを追跡することにより、同組織の資金源を断つことだ。

この取り組みに詳しい筋によれば、イスラム国の資金の出入りを見極めれば、イスラム国のヤミ経済がどのように機能しているか、その一端を米国は垣間見ることができる。

13日に発生したイスラム国によるパリ攻撃以前に開始され、その後さらに強化されている空爆においても、こうした情報が、目標決定の際に影響を及ぼしているという。イスラム国による公式の銀行取引は制限されているが、ある程度の利用は今でも可能であり、米軍及び金融監督当局はこれを逆用することができると、現旧当局者は述べている。

「イスラム国を公式の金融システムからほぼ締め出すという点で、私たちは大きな成功を収めた」と、ジョージ・W・ブッシュ前大統領政権下の米財務省で情報担当副次官補を務めたマシュー・レビット氏は述べている。「完全に締め出したとは言えないのだが、それも実は悪いことではないかもしれない」

この作戦がいつ始まったのか、また具体的にどの施設が結果的に破壊されたのかといった重要な側面については今回の取材では検証できなかった。2人の現当局者から作戦の概略については確認がとれたものの、詳細についてはコメントを取れなかった。

米政府の「対テロ金融作戦」に取り組んでいる同国の情報機関、財務省、軍の当局者が、イスラム国に潤沢な資金をもたらしているシリア領内の石油関連施設の特定に際して、銀行の取引記録をどのように利用しているのか、また国内銀行が関与しているのかといった点は不明である。

政府間会合である金融活動作業部会(FATF)の今年のレポートによれば、イスラム国の支配領域内では20以上のシリア系金融機関が営業を行っている。イラクでは、米財務省がイラク政府当局者と連携し、同グループの支配領域内の銀行支店をイラク国内及び国際的な金融システムから切り離した。

米連邦捜査局(FBI)で対テロ金融作戦部門の主任を務めるジェラルド・ロバーツ氏は、シリア以外から徴募されるイスラム国メンバーは金融取引の経路を維持していることが多く、当局はこれに「便乗」して資金ルートを追跡しているという。

ロバーツ氏は先週ワシントンで開かれた銀行業界のカンファレンスで、「彼らが通常の銀行システムを使っているのは分かっている」と述べ、さらに、若年のイスラム国メンバーはテクノロジーに強く、「ビットコイン」などの仮想通貨にも詳しいと話した。

前出のレビット氏によれば、「IS」、「ISIS」、「ISIL」などの略称で知られるイスラム国は、他の手段を用いるには金額が大きすぎるために、やむなく市中銀行を利用する場合もあるという。

米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)では一連の「ビジネスルール」を用いて、金融機関から受領する1日約5万5000件の報告から、イスラム国関連の活動の兆候を選別していると、FinCENの広報担当者は語る。

ルールそのものについての説明は拒否されたが、当局筋によれば、情報当局が照合を試みるデータとしては、氏名、IPアドレス、メールアドレス、電話番号などがあるという。

この照合によってFinCENは、「見た目では無関係な個人・団体を結びつけることができる」とFinCEN広報担当者は語る。イスラム国との関連が疑われる金融活動の手掛りが発見される件数は、4月の800件から、現在では月間約1200件に増えているという。

米政府に金融取引報告を提供しているかどうかについて、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)<BAC.N>、JPモルガン<JPM.N>、ウェルズファーゴ<WFC.N>はコメントを拒んでいる。こうした報告は非公開で提供されている。

シティグループ<C.N>、HSBC<HSBA.L>、スタンダード・チャータード<STAN.L>からは、問い合わせに対する回答を得られていない。

<「第2次津波作戦」開始>

当局者によれば、イスラム国関連の金融取引記録の利用は、シリア領内での空爆に向けた情報収集活動の一部に過ぎない。ドローン(無人機)による空中偵察などの手法も用いられている。

こうしたプロセスに詳しい元軍幹部の1人は、FinCENが収集した金融情報に基づいて軍が行動する場合は「かなりの事前調査」が必要になるだろう、と話している。

国防総省の広報担当者によれば、今月行われた米国主導の有志連合による空爆で、イスラム国の石油密輸に使われる燃料輸送車116台が破壊された。攻撃の45分前には運転手に逃亡を呼びかけるリーフレットが散布されていた。これに加えて21日には、イスラム国の燃料輸送車283台が有志連合の攻撃によって破壊されたという。

また、8日には、有志連合の空爆により、トルコ国境に近いシリア領内の石油精製所3カ所が破壊された。

米国が「史上最も裕福なテログループ」と呼ぶイスラム国は、国防総当局者によれば、10月までは月4700万ドル(約58億円)もの収益を石油の密売によって得ていた。

米軍は10月に、石油関連施設に対する攻撃強化作戦を開始。作戦名「第2次津波(タイダルウェーブ)」は、ルーマニアの油田を標的とした第二次世界大戦中の爆撃作戦にちなんでいる。

この攻撃によるイスラム国の石油密売収入への影響についてはこれまでのところ報告されていないが、当局者によれば、約30%減収したと国防総省は見ているという。今回の取材では、その裏付けは取れなかった。

米軍による攻撃目標の選択に、金融取引記録が用いられているということが最初に明らかにされたのは、先週ワシントンで開かれた銀行業界のカンファレンスだ。米特殊作戦軍で対テロ金融チームを率いるカート・グレジンスキー氏は、このカンファレンスの席上、イスラム国に対する戦いにおいて銀行が提供する情報の重要性に言及した。

「私の記憶では、対テロ金融情報に基づいて戦略的に攻撃目標を定めたのは、あれが最初だった」と同氏はカンファレンスで語っている。具体的にどの攻撃を指しているのかについて、同氏はコメントしなかった。

<強靱な財務ポートフォリオ>

オバマ政権の考えに詳しい2人の元当局者によれば、資金供給が締め付けられれば、イラク及びシリアの支配領域に対するイスラム国の統制が徐々に弱まっていくというのが米当局の考えである。イスラム国としても、給料を支払い、公共インフラの運営を維持していくために収入が必要だからだ。

だが専門家は、オーストリアほどの面積を支配しているイスラム国は、さまざまな財源を手中に収めているため、驚くほど資金に恵まれていると警告する。戦略国際問題研究所のテロ専門家トーマス・サンダーソン氏によれば、イスラム国は、石油密売、物資強奪、古代遺物の密売を資金源とする「持続力のある強靱な財務ポートフォリオ」とでも言うべきものを築き上げているという。

「ラバの背中に資金を積んで運ぶことだってありうる」と同氏は語り、「略奪と混乱の時代には、国境を越えて何かを移動させることなど簡単だ」とも指摘する。

今のところは、ある程度の成功を収めているものの、イスラム国への資金流入を断つには、トルコからロシアに至るさまざまな国との協力をもっと深める必要がある、というのが専門家の見方だ。イスラム国は、支配下の石油関連施設に対するこれまでの米国の攻撃から立ち直る力を見せている。

テロ対策専門家によれば、米国は湾岸地域の富裕層からの支援に強く依存していたアルカイダの資金源を断つことに成功したが、イスラム国はそこから教訓を得ているようだという。

「ISは、あまり多くの外部資金源に頼りすぎるのは良くないということを学んでいる」とサンダーソン氏。「外部の寄付者は気まぐれで、圧力に負けやすい。(ISは資金源を)自分でコントロールしたいと思っている」と同氏は語る。

(Yeganeh Torbati記者、Brett Wolf記者)

(翻訳:エァクレーレン)


欧州の旅行関連株、いつもと違うホリデーシーズン-テロへの懸念で
Bloomberg 11月26日(木)13時33分配信

    (ブルームバーグ):ホリデーシーズン到来で、欧州の旅行関連株は7年連続で市場を上回るパフォーマンスを記録するはずだった。しかし今年は様相が異なる。

テロへの懸念や地政学上の緊張を背景に、旅行や娯楽関連株の11月のパフォーマンスは、こうした銘柄を組み込んだストックス欧州600指数全体を2007年以来初めて下回っている。ストックス600指数は今月1.4%上昇したが、旅行・娯楽関連株の指数は1.3%下落した。

パリの同時多発テロを受け、娯楽関連株が欧州株を下押ししている。テロ事件をきっかけに米国が渡航について注意を促しているほか、航空需要が落ち込む見込みだと、ブルームバーグ・インテリジェンスは指摘している。トルコによるロシア軍機撃墜で、24日の株価は2カ月ぶりの大幅安となった。

スイス・インベストメント(ロンドン)のストラテジスト、アンソニー・ピーターズ氏は「通常ならこの時期に欧州の旅行は多いが、そうした構図は崩れている。投資家は命懸けだ。また別の事件が起きれば混乱が生じる」と述べた。

旅行・娯楽関連株の指数は05年以降、ストックス600指数を平均で11月は2.2ポイント、12月は1.3ポイントそれぞれ上回るパフォーマンスを示してきた。

原題:Terror Attacks Threatening Boom Holiday Time for
Travel Stocks(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Alex Longley ,alongley@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:
Cecile Vannucci ,cvannucci1@bloomberg.net


パリ同時多発テロ 安倍首相、エジプトと対テロで結束 シュクリ外相と会談
産経新聞 11月26日(木)13時13分配信

 安倍晋三首相は26日、エジプトのシュクリ外相と官邸で会談し、エジプト・シナイ半島でのロシア機墜落やパリ同時多発テロを踏まえ、国際社会が結束してテロ対策に取り組む必要があるとの認識で一致した。

 エジプトのシシ大統領来日への調整を加速することも確認した。会談後、シュクリ氏が記者団に明らかにした。


独仏、「イスラム国」に共同対抗の方針を確認
読売新聞 11月26日(木)12時54分配信

 【パリ=石黒穣】フランスのオランド大統領は25日、パリでドイツのメルケル首相と会談し、イスラム過激派組織「イスラム国」に共同して対抗していく方針を確認した。

 共同記者会見でオランド氏は、シリアやイラクでの「イスラム国」に対する軍事的な包囲網強化に向けて、「ドイツの一層の関与を求める」と述べた。メルケル氏は「打倒には軍事力が欠かせない」と語り、貢献の用意を示した。

 メルケル氏は会談で、「イスラム国」と戦うイラク北部のクルド治安部隊の訓練にあたる独軍の要員を、現行の100人から150人に増やす計画などを説明したとみられる。ドイツは、シリア上空に偵察機を飛ばすことも検討している。

 また、ドイツは、西アフリカのマリでの仏軍の負担を軽減するため、マリに治安維持にあたる兵士650人を派遣する計画も進めている。


オバマ大統領、「米国でのテロの情報なし」 感謝祭前に強調
CNN.co.jp 11月26日(木)12時49分配信

ワシントン(CNN) 米オバマ大統領は感謝祭の休日を前にした25日、米政府はあらゆる手段を使って国内の安全確保に努めていると述べるとともに、米国での具体的なテロ情報は見つかっていないと語った。

オバマ大統領はこれに先立ち、安全保障問題の顧問らと会合。「米政府は母国の安全確保のためあらゆる可能な手段を行使している」と述べた。

また、これまでに「米国での(テロ)計画を示す具体的かつ信用に足る情報は得ていない」と明言した。

「(多くの)米国人がこの週末、家族と過ごすために旅をする。そうした中、我が国のテロ対策機関や情報収集機関、国防や警察・司法のプロたちはあらゆるレベルで、残業もして働いていることを知っておいて欲しい」とオバマ大統領は述べた。

過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」はパリ同時多発テロの直後、それもオバマ大統領がオランド仏大統領との会談でフランスを支援する姿勢を改めて示した次の日に、さらなるテロ攻撃を行うと予告した。

またオバマ大統領は、政府は8000回を超える空爆をはじめとするISISへの直接攻撃と、国境管理の強化という二方面作戦で米国をテロから守っていると述べた。


反テロで協調を狙うも ロシアが背負う新たな脅威
Wedge 11月26日(木)12時11分配信

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画像:iStock

 2015年11月13日にパリで発生した同時多発テロは世界に大きな衝撃を与えた。同テロは、ISIS(「イスラム国」。ISILとも)が犯行声明を出しており、また、さらなるテロの計画についても言及していることから、各国で警戒感が広がっている。今回のテロがISISに対する空爆への抗議の要素が極めて強いことからも、ISISに対する空爆に参加している諸国には特に大きな緊張が走っている。

 そして、それら諸国の中でも、9月からシリアへの攻撃を弛まず続け、報復措置も受けているロシアの警戒感は特に強いと言える。

パリ同時多発テロ前夜のロシアとISIS
 ロシアは9月末からシリアに対し空爆やカスピ海からの巡航ミサイルによる攻撃を続けているが(ただし、ロシアはISISに向けて攻撃をしていると主張している一方、欧米諸国はロシアが標的にしているのは主にシリア国内の反アサド派であると批判を続けてきた)、それに対する報復として、10月31日に、シナイ半島上空で、ロシアのサンクトペテルブルクに向かっていたロシア航空会社「コガリムアビア」のエアバスA321が機内に持ち込まれた爆弾によって墜落し、乗客乗員224名が全員死亡する事件が起きた。

 同事件についても、ISISの傘下テロ組織「シナイ州」が犯行声明を出し、ロシア側は最初、テロの可能性を否定していたものの、様々な検証結果から、爆弾による空中爆破による墜落であることがほぼ間違いなくなり、ロシア当局としても本事件をテロと認めざるを得なくなった。そこで、11月6日には、ロシアのウラディミル・プーチン大統領が同国とエジプトを結ぶすべての旅客航空便を当面の間、運航停止にすると発表した。

 ロシア当局にとって旅客機事故をテロと認めることは大きな痛手であった。何故なら、テロから国民を守れないことは政府の失策となる上に、そのテロがシリア空爆に対する報復だということになれば、国民の支持を集めていたシリア空爆への反対論が高まる可能性もあったからだ。そのため、事件の直後からテロの可能性の高さを重々承知しつつも、ロシア政府は同事件がテロだったという断定を避けてきた。

パリ同時多発テロ発生後のロシアと ウクライナ問題への利用
 そのような中で起きたのがパリ同時多発テロである。パリ当時多発テロは、ロシア機事件の決着のつけ方で頭を痛めていたに違いないロシア当局にとっては渡りに船になったと思われる。フランスのような欧州の先進国でもテロを防げなかったという事実はやはりテロの被害国となったロシア政府を安心させ、また、世界が「反テロ、反ISIS」で一致団結する雰囲気が高まったことは、対シリア攻撃などロシア政府の政策に対する批判をもみ消す効果を持ち得たといえるだろう。

 そして、11月17日になって、プーチン大統領はやっと公にロシア機墜落を、爆発物を用いたISISによるテロと断定する発表を行ったのだった。当初、イワノフ大統領府長官が「原因解明には相当長期の調査が必要」だと述べるなど、ロシア当局が事件の結論を明示する時間稼ぎをしていたことが明らかであることからも、筆者は17日のテロとの断定宣言にはパリ同時多発テロの影響が大きいと考える。

 プーチン氏は16日深夜に、トルコで開催されていた20カ国・地域(G20)首脳会合から帰国した直後に、安全保障関係の閣僚による会議を招集し、連邦保安局(FSB)のアレクサンドル・ボルトニコフ長官に調査結果を報告させた。同長官は、乗客の荷物や機体の残骸を調査した結果、ロシア国外で製造されたと見られる手製爆弾(のちに、ISISが同型の手製爆弾の写真を公開)の痕跡を確認し、TNT火薬に換算して1kg相当の爆発があったとみられるとし、テロだと断定できると報告した。

 そして、この報告を受け、プーチン大統領は17日に墜落事件をテロだと断定する発表を行い、同時に、報復として対シリア空爆を強化する方針も明らかにし、ISISを壊滅するために、主要国の協力を強化する必要を訴えたのだった。加えて、プーチン氏はテロ実行犯を必ず見つけて訴追すると断言した上で、捜査の徹底を指示し、それを受けてFSBは有力情報には5000万ドル(約61億円)の報奨金をだすとウェブサイトで発表した。

 ただし、エジプト側はまだ同事件をテロだと認めていない。同事件がテロだとなれば、エジプトの飛行場のセキュリティの甘さが証明されることとなるだけでなく、観光業が痛手を被ることも間違いなくなることから、エジプト経済への悪影響も極めて甚大となる。そのため、エジプトが同事件をテロだと認めたくないのは、ロシア以上であることは間違いない。ロシア機が出発したシャルムエルシェイク空港の職員二人を、爆弾を仕掛ける幇助をした疑いで拘束したという報道も、エジプト当局は否定している。

 ちなみに、ウクライナ問題による欧米による制裁とルーブルの暴落により、ロシア人の海外旅行先は大きく限定されるようになり、チャーター便が用意されたこともあって、エジプトのシャルムエルシェイクは最近のロシア人の人気観光先の1位を占めていた。このことから、本テロの衝撃はエジプトにとってもロシアにとっても大きな意味を持った。

 こうして、ロシアはテロとの断定を表明してからは、より一層、国際的な対テロ協力を求めるようになった。ウクライナ問題で国際的に孤立していた中で、国際的に「反テロ」で協調できれば、ウクライナ問題から諸外国の目をそらせ、欧米諸国との溝を埋められるという思惑も間違いなくあるだろう。このようなことから、ロシアにとってパリ同時多発テロは多くの利益や機会を与えてくれたと言えるのである。

 ロシアが、2001年の米国同時多発テロ後の「テロとの戦い」を目的とした米露蜜月、NATOとの関係強化に代表される、世界との関係強化という漁夫の利を再び得たいと期待しているのは間違いない。

 また、17日の発表に先立ち、ウィーンで行われたシリア和平を目指す多国間外相級協議では、ロシアの和平案が事実上採択され、シリアの政権移行を半年で行う合意も成立していた。このことからも、シリア問題でロシアがかなり主導的な立場を維持していることもわかる。米国が約1年シリアに空爆してもほとんど効果がなかったのに対し、いろいろな批判はあるものの9月末からのロシアによる対シリア空爆がそれなりの効果を出してきたことに鑑み、中東情勢ではロシアの方が米国より立場を強めたことは間違いない。

 そして、11月18日、ロシアはISISをはじめとするテロとの闘いにおける協力に関する新たな決議案を国連安保理に提出した。同案文では「ISISとの闘いおよび各国の協力の必要性に大きな力点が置かれている」という。

 これに先立ち、ロシアはこれに先行する反テロの大連合を目指す決議案を9月30日に安保理に提出していた。それは、プーチン大統領が国連総会での演説でISISやその他のテロ組織と闘うために世界が大連合を組んで協力するよう呼びかけた2日後のことであり、ロシアがシリア空爆を開始したその日でもあった。だが、その決議案は英米仏が難色を示したことにより、採択は阻まれたという。それでも、ロシアは決議案の「再度提出」を試みつづけるという。

 なお、フランスも独自のテロ問題に関する決議案を作成し、それを受けて国連安保理は11月20日に、パリ同時多発テロを非難し、ISISと「あらゆる手段で戦う決意」を表明する決議案を全会一致で採択した。この動きに対してロシアは強く反発しており、各国が決議案を出すのではなく、早急に世界がISISに対して団結すべきだと主張し、ロシアの決議案を主張し続けるとしつつも、ISIS対策での国際連携を重視し、フランスによる決議案には反対しなかった。

 一方同じく11月18日に、ロシアのラブロフ外相は、シリア内戦終結と政治移行を目指す反体制派などとの協議を来年1月までに開始したいという考えを発表した。

 同日、フィリピン訪問中のオバマ米大統領は、シリア内戦の終結と政治的移行を目指す外交的取り組みでロシアを「建設的なパートナー」と評価し、シリアのアサド大統領の去就に関しては米露間の大きな溝がある一方、それが克服できれば米露の協力拡大の可能性が高まるとも述べた。

 こうして「反テロ」の国際的連帯においては、ロシアが主導的立場を取れる可能性が出てきたかに見え、同時に、ロシアがウクライナ問題で失った国際関係が改善していく可能性も生まれたように見えた(だが、後述のように、その雰囲気は長くは持たなかったのだが)。ロシアは、多国間の対シリア対策で主導権を握れば握るほど、ウクライナ問題での欧米の制裁を緩和できると見ていたといってよい。11月16日には、これまで断固拒んできたウクライナの債務返済の繰延を容認する考えを突然、何の前触れもなく発表して世界を驚かしたが、その行動も、ウクライナ問題での諸外国との軋轢を緩和したい動きの一貫だと思われる。

シリア攻撃の増強とイランへの接近
 こうしてロシアは報復として、17日以降、対シリア攻撃を強化している。特に17日には、フランスとロシアがともに、ISISが「首都」とするシリア北部のラッカを含むISISの拠点を空爆した。ロシア国防省の発表によると、ロシア軍が投入した戦略爆撃機は「Tu-160」、「Tu-95MS」、「Tu-22M3」の3機種で、ロシア空軍が保有する大型戦略爆撃機と中型戦略爆撃機の全種類であり、空中発射式の巡航ミサイルや爆弾を投下したという。この規模からも、ロシアの本気度がわかる。しかも、空爆用の爆弾に「われわれのために、パリのために」と書き込む動画なども流された。

 また、20日には、ロシアのショイグ国防相が海軍のミサイル艦がカスピ海から巡航ミサイル 18発を発射し、ラッカなどを攻撃したとプーチン大統領に報告した。カスピ海からの巡航ミサイル攻撃は10月7日以来2回目であり、対テロ作戦で国際社会との協調を目指す姿勢を示す一方で、アサド大統領の退陣問題などで対立する欧米に対して精密誘導兵器を誇示し、牽制する目的もあったと考えられる。

 なお、11月17日の攻撃では露仏両国の連携はなかったが、両国は双方が受けたテロを受け、連携姿勢を強めており、17日にプーチン大統領はオランド仏大統領との電話会談の後に、ロシア海軍に対し、地中海東部に向かうフランス海軍の部隊と連絡を取り、同盟軍として扱うよう指令を出すなど、さらなる攻撃強化に向け、両国は連携を強めつつある。プーチン氏は、ロシア軍幹部に対し、海軍と空軍によるフランスとの合同作戦計画を練ることも命じた。急遽、オランド大統領が11月26日に訪露し、プーチン大統領と会談することも決まり、ISIS対策での連携強化が合意される見込みだ。

 また、ロシアのイランへの急接近も注目すべき動きだろう。そもそも、ロシアとイランの関係は基本的に良好であったが、前号の拙稿「シリアに介入するロシア その複雑な背景と思惑」でも述べたように、ロシアがシリアへの空爆を決行するに至った背景の一つに、イランの存在があったことが間違いないなど、最近の両国関係は特に緊密になっていた。

 そのような中、プーチン大統領が11月23日に8年ぶりにイランを訪問し、同国の最高指導者ハメネイ師やロウハニ大統領との会談後、イランに対し、発電所や港湾整備など35の事業に計50 億ドル(約6000億円)の支援を行うことを発表したのである。

 首脳会談では、ドルを介さない両国の自国通貨による貿易決済の方向性や、ロシアが主導するユーラシア経済同盟とイランの間の自由貿易協定、イランの原発建設でのロシアの支援強化、査証制度の簡素化、関税引き下げなどについても議論がなされたという。ウクライナ危機による経済制裁や石油価格下落でロシア自身の経済状態も厳しい最中の援助であることとその金額の規模を考えれば、ロシアがいかにイランを重視しているかがわかる。

 ロシアとしては、核問題の最終的な合意後に対イラン制裁が解除される前に、同盟国としてイランをしっかり取り込んでおきたいのだろう。しかも、イラン訪問を発表した11月12日には、プーチンが出席予定であった18日からフィリピンのマニラで行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の欠席も発表していた(APECにはメドヴェージェフ首相が出席)。

 これは、フィリピンに対しては極めて異例かつ非礼な決断であり、プーチンが「マニラよりテヘランを選んだ」つまり、アジア太平洋より中東を選んだとも分析された。10月20日には、シリアのアサトド大統領がロシアを電撃訪問し、11月15-16日のトルコで行われた20カ国・地域(G20)首脳会合の際には、トルコのエルドアン大統領はもとより、サウジアラビアのサルマン国王と会談し、24日にはロシアのソチでヨルダンのアブドラ国王と会談することが決まっている。

 加えて、30日にパリで始まる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、イスラエルのネタニヤフ首相との会談を早々に決めているなど、プーチン大統領の中東諸国との関係強化の姿勢は最近極めて顕著である。シリア問題で主導権を握り、そのまま中東全体での影響力を強く確保しようとしている狙いが見て取れる。

テロの脅威の増大と問われる対応
 このように、パリ同時多発テロで、ロシアは多くの外交カードを得たかに思えるが、ロシアがさらなるテロの被害を被る可能性が高まったのも事実だ。

 パリ同時多発テロが起こる前日の11月12日までに、ISISのメディア部門はロシアに対する攻撃を警告するビデオ声明をインターネット上に公開していた。その声明は、プロパガンダ映像を背景に「近いうちに血が海のようにあふれ出るだろう」「ロシアは死にかけている」とロシア語で好戦的な歌を流しているが、英語の字幕付きであり、ロシアのみならず、世界に発信しようとしている意図は明らかだ。

 そして、テロの脅威はパリ同時多発テロでさらに現実味を帯びた。11月20日には、国際テロ組織アルカイダ系のイスラーム武装勢力「アルムラビトゥン」によるホテル襲撃事件が起き、ロシア人6人を含む19人が犠牲になる事件が起き、アルカイダ系テロ組織がISISに対抗して起こしたテロとも見られており、世界にテロの波が広がっている。

 加えて、ロシアがシリアでの攻撃を拡大したのを受け、報復が計画される可能性が高まった中、11月17日に、ロシア原子力庁は「テロ警戒の一環として、原発の安全管理や施設の警備を強化した」と発表し、ロシア全土の原子力発電所においてテロに対する警備態勢を強化した。また、国内のテロ対策も強化しており、たとえば、11月22日にも、ロシア国家テロ対策委員会が同国南部のカバルディノ・バルカル共和国の首都・ナリチクで対テロ作戦を実施し、ISISに忠誠を誓っていた武装勢力の11人を殺害したと発表した。加えて、ロシア政府はこれまでにもまして、国境管理や移民管理を厳重に行うとしており、そのことは中央アジアからの出稼ぎ労働者にとっては打撃となるだろう。

 実際、ロシアの主要都市や原子力発電所などで、テロが起こされてしまえば、ロシアの対外的、対内的威信は地に落ち、ロシア国民も不安にさいなまれ、ロシア政府に対する支持も低下する可能性がある。ロシア機に対するテロについては、エジプトのセキュリティ対策不足という言い逃れができても、ロシア国内でテロが起きれば、それはプーチン政権にとって大きな痛手となる。ロシアとしては、何としてもテロを防がねばならないのである。現在、ロシアが背負ったテロ対策への重荷は限りなく大きいと言えそうだ。

 また、ロシアにとって、ロシア主導でISISを壊滅できることが、国内外共に名声や支持を高めるための最善のシナリオであるが、現在、ISISをとりまく状況は極めて複雑であり、ISISを壊滅させるために世界が一枚岩になれないが故に、それが困難となっているという図式もある。イスラーム教シーア派のイランは、スンニ派のアラブ・中東諸国とは相容れない前提がある一方、イランとイラクはロシアとの関係を緊密化している。他方、ロシアはシリアのアサド政権を支持しており、アサドをなんとしても引き摺り下ろしたい欧米諸国とシリア国内の反アサド派とは対立関係にある。そして、シリア隣国のトルコも、ISISの壊滅を望みつつも、同時にクルド人問題を抱えており、シリアではクルド人勢力を攻撃しているという事実もある。それに、欧米としては対ISISでまとまるといっても、ロシアに主導されることには我慢がならない背景もある。このように、対ISISで国際的な連携が生まれるためには様々な障壁があるのである。

テロリストの手先が背後から攻撃?
 ロシアにとっては、チャンスも含む一方、多くの困難をはらんだ、難しい局面が続いていたなか、11月24日にトルコ軍がロシアの爆撃機「スホイ24」を撃墜する事件が、シリアとトルコの国境付近で発生した。トルコ側は、10回にも及ぶ警告を無視して、トルコ領空を侵犯したので撃墜したと主張するが、ロシア側はシリア領空を飛んでおり、トルコの領空を侵犯していないとし、双方の主張は完全に食い違っている。しかも、ロシアの参謀本部によれば、撃墜された爆撃機からパラシュート脱出した乗員のうち一人が地上から銃撃されて死亡し、救出に向かったロシアのヘリコプターも攻撃を受けて兵士一人が死亡したとのことで、ロシアのトルコに対する憤りは頂点に達している。

 プーチン大統領は、ロシア機は決してトルコの領空を侵犯していないと主張した上で、「テロリストの手先がロシアの爆撃機を背後から襲った。2国間関係に深刻な影響を与えるだろう」と強い言葉でトルコを批判した。ロシアが中東諸国との関係強化を進めていた中で計画されていた11月25日のラブロフ外相のトルコ訪問も中止となり、ロシア国民に対し、トルコ訪問を控えるようメッセージが発せられた(トルコは、ロシア人のウクライナ危機後の人気の海外旅行先として第2位の座にあった)。加えて、トルコとの軍事的な接触を中断するなど、即座に事実上の対抗措置を打ち出し(11月24日現在)、今後も新たな措置が出される可能性は高い。

 だが、トルコのエルドアン大統領はロシア機が領空侵犯をし、警告を無視したという立場を崩さず、撃墜は正当であったと主張する。加えて、ロシアが空爆を行っていたトルコに近接するシリア北西部はトルコ系民族の居住地域であり、ISISとは無関係なトルコ人の親戚が多く犠牲になっているとし、ロシアの空爆そのものも批判した。そもそも、トルコは9月末からのロシアによるシリア空爆が始まってから、ロシアによる領空侵犯を度々批判し、10月16日には無人機を撃墜する事件も起きていた(トルコはロシア機と判断したが、ロシア側は否定)。このような緊張感の中、トルコは「何か発生した場合の責任はロシアにある」と度々警告してきた経緯がある。そのため、トルコとしては、今回の事件の責任もロシアにあるという立場だ。

 今回の撃墜は、ISISとの戦いという目的を共有しつつも、アサド政権の去就を巡っては対立するロシアとトルコを含む有志連合の乖離と、対ISISの国際連携の難しさを浮き彫りにする象徴的な事件だと言える。皮肉なことに、このような事件はISISにとっては好都合であり、このような状況は国際的なテロの展開を容易にしてしまいかねない。

 しかも、ロシアとトルコは歴史的には地域の覇権を争ってきたとはいえ、近年は戦略的な大人の関係を維持してきた。そのような両国の関係が悪化すれば、そもそも多くの紛争の火種を抱えた黒海地域の微妙な均衡が崩れ、地域の混乱につながる可能性が高まる。そうなれば、世界中に不安定感が広がってしまう。

 関係国は対ISISという共通の目的を思い出し、一度冷静になって、世界の平和により資する慎重な対応を取るべきだろう。


「イスラム国」の挑む21世紀の宗教戦争 彼らが壊滅するまで「グローバル・ジハード」は終わらない
JBpress 2015/11/26 11:45 池田 信夫

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画像:JBpress

  11月13日にパリで起こった同時多発テロの犠牲者は130人に達した。今回の事件の首謀者は第2弾のテロを実行する直前に特殊部隊に射殺されたとみられるが、まだ1人がベルギーに逃走中とされ、「イスラム国(IS)」の脅威は終わっていない。

  これについて「フランスがイスラムを排除したのが原因だ」などという人々がいるが、これは誤解だ。世界で起こったテロの死者の総数は、2013年で1万6245人。その80%は中東で出ており、今回の事件はヨーロッパで起こったから目立ったにすぎない。イスラム原理主義によるグローバル・ジハードは、世界中で起こっているのだ。

■ロシア革命から始まった「非対称戦争」

  このような大規模なテロは、新しい現象ではない。レーニンがロシア革命を行うとき、その参考にしたのは、クラウゼヴィッツの『戦争論』だった。レーニンはその膨大な読書ノートをつけ、来たるべき革命が近代国家を別の国家で置き換えるのではなく、主権国家を破壊する戦いであることを学んだのだ。

  レーニンにとってロシア革命とは、主権国家という枠組を破壊するために「非正規の軍」としての赤軍が戦う非対称戦争だった。それは既存の戦争のルールを無視して農民や労働者を組織したゲリラ戦であり、毛沢東もそれを継承した。

  社会主義は終わったが、ゲリラ戦やテロは終わらない。世界各地で、反政府ゲリラの脅威は拡大している。中でもイスラム原理主義のテロは、ヨーロッパの植民地支配で分断されたアラブを統一する正義の戦いだから、妥協も停戦もない。イスラム学者の中田考氏は、彼らの思想をこう代弁している。

国境の廃止とイスラーム秩序の統合による大地の解放はイスラームの使命にとって必要不可欠な本質なのである。[中略] ごく限られた先進国が地上の富を享受し、大多数の人々が「先進国」から切り離された「発展途上国」の中で生活することを強いられている「領域国民国家」システムが、不正であることは疑う余地がない。
(『カリフ制再興』183~184ページ)

  今やイスラム教徒は19億人とカトリックを超え、2030年代にはキリスト教全体を超えると予想される。イスラムの戒律に従い、アラーのために死ねば天国に行けるという教義は単純で、字の読めない民衆にも分かる。それは途上国において救済を低コストで実現するのだ。

■イスラムに欠けている「寛容」の思想

  こうした教義も、新しいものではない。それは500年ぐらい前にルターやカルヴァンの主張した(そして今も一部のキリスト教徒が主張している)キリスト教原理主義とよく似ている。

  彼らは中世の領邦で分断されていた国家をこの原理主義で統一しようとしたが、それはカトリック教徒との戦争をもたらし、その後300年以上にわたってヨーロッパでは血で血を洗う宗教戦争が続いた。その犠牲者は、イスラム原理主義の比ではない。

  いま全世界で起こっているのは21世紀の宗教戦争であり、これを終わらせることは困難だ。キリスト教の歴史上も多くの非対称戦争が起こったが、ほとんどのゲリラ(異端派)はカトリック教会が全滅させて終わった。

  しかしカトリックとプロテスタントのように勢力が均衡していると、戦争はいつまでも終わらない。ヨーロッパでは、ウェストファリア条約やウィーン会議など、何度も停戦が試みられたが失敗した。

  それを調停するための妥協として、エラスムスに始まり、ジョン・ロックが実現したのが自由主義である。それは「何でもできる」という原理ではなく、異なる宗派の信徒を殺さないという宗教的寛容の原理なのだ。

  しかしイスラム原理主義には、ルターはいるがエラスムスがいない、とEconomist誌は指摘した。かつてルターがカトリック教会を倒してヨーロッパを統一しようとしたとき、エラスムスは「汝の敵を愛せ」というイエスの言葉を残して、ルターと訣別した。イスラム世界にエラスムスやロックが出てくるには、まだ時間がかかりそうだ。
■全世界を統一しようとするジハード

  かつてルターやカルヴァンがヨーロッパを統一しようとしたように、いまイスラム原理主義者は全世界を統一するジハード(聖戦)を開始している。それを「アラブ・ナショナリズム」と呼ぶのは誤りで、むしろそれは西洋的なナショナリズムを否定する超グローバリズムなのだ。

  資本と商品が移動するのに人は国境を超えて移動できない資本主義は、不十分なグローバリズムにすぎない。それは「労働者には祖国がない」と主張し、プロレタリアートが国境を超えて連帯するインターナショナルと似ており、「神の独裁」を求める点でマルクス・レーニン主義と似ている。

  社会主義は終わったが、イスラム原理主義は終わらない。それは社会主義に代わる新たなゲリラとして、近代国家を破壊する世界革命だ。ゲリラもテロリストも主権国家のような国境をもたないから、「戦争に勝つ」という概念がない。「イスラム国」のテロは、かつての共産主義ほど組織的ではないが、主権国家に対する非対称戦争という点は共通している。

  しかしロシア革命がレーニンやトロツキーなどの知的なリーダーに指導され、世界の多くの知識人の共感を得るマルクス主義の高度な理論をもっていたのに対して、イスラム原理主義の「アナーキズム」が多くのイスラム教徒の支持を得るとは思えない。レーニンや毛沢東が政権を掌握できたのは世界大戦の混乱の中だったが、今後そういう世界戦争が起こるとは考えられない。

  ただグローバル・ジハードがトロツキーの世界革命と似ているのは、それが(主観的には)すべての人類を救済する永久革命であり、世界革命が成功するか全滅するまで終わらないということだ。

  もし20億人以上のイスラム教徒がこの戦争に参加したら、近世ヨーロッパのような大規模な宗教戦争が起こるだろうが、今の「イスラム国」はキリスト教の異端派に近い。歴史の教訓に従うなら、彼らを説得して降伏させることは不可能で、全滅させるまで戦争は終わらないだろう。

  かつての宗教戦争のように彼らをすべて殺す必要はないが、その組織を徹底的に破壊して戦闘能力を奪う必要がある。そのためには中途半端に「話し合い」や「和解」を求めるのではなく、欧米諸国やロシアや日本が結束して彼らと戦うしかない。


<仏独首脳会談>対IS共闘確認…独、空爆参加には慎重
毎日新聞 11月26日(木)11時1分配信

 【パリ田中龍士】オランド仏大統領とメルケル独首相は25日、パリの大統領府で会談した。両氏は記者会見で、パリの同時多発テロで犯行声明を出した過激派組織「イスラム国」(IS)に対する共闘方針を確認した。ただ、ドイツの一層の関与を強く求めたオランド氏に対し、メルケル氏はフランス支援の姿勢を示しつつ、具体策には踏み込まなかった。

 フランスは、テロ事件を受けてIS掃討に向けた外交活動を活発化している。オランド氏は24日にワシントンでオバマ米大統領と会談し、シリアでの対IS空爆強化などで合意。23日にはキャメロン英首相とパリで会談した。同氏は空爆参加に向け、年内にも英議会で同意を得る考えを示している。

 一方、ドイツは対IS空爆への参加には否定的で、25日の首脳会談でも慎重な姿勢を示したとみられる。ただ、ドイツは同日、首脳会談に先立ち、フランスが軍事介入する西アフリカ・マリへの派兵方針を示した。ISとの戦いを強化するフランスの負担を軽減するのが目的で、連邦議会(下院)で可決されれば最大650人がマリ北部の国連平和維持活動(PKO)に参加するとしている。

 中東などから欧州に押し寄せている難民問題についても、オランド氏は「難民とテロリストを混同してはならない」と述べ、受け入れを継続すべきだと強調。メルケル氏も「人道的解決策が必要だ」と応じた。同氏は並行して、国境管理強化などを進める考えも示した。

 オランド氏は26日にイタリアのレンツィ首相、ロシアのプーチン大統領とそれぞれ会談する予定で、IS対策で連携強化を求めるとみられる。


パリ同時多発テロ 仏、「イスラム国」掃討で一段の貢献要請 独は早急に検討へ
産経新聞 11月26日(木)9時36分配信

 【ベルリン=宮下日出男】フランスのオランド大統領は25日、ドイツのメルケル首相とパリで会談し、パリ同時多発テロ後の対応をめぐり協議した。オランド氏はテロの犯行声明を出したイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」掃討のため、ドイツに一段の貢献を果たすよう要請。メルケル氏は早急に対応を検討する考えを表明した。

 オランド氏は会談に先立ち、イスラム国に対するイラクとシリアでの軍事行動で、「ドイツがもっとできるなら、よいメッセージとなる」と強調。これに対し、メルケル氏は「フランスの大統領が求めるなら、検討するのがわれわれの義務」と述べ、イラクのクルド人部隊への武器供与にとどめていた軍事支援を拡大する可能性を示唆した。

 一方、フォンデアライエン独国防相は同日、西アフリカ・マリに展開する国連平和維持活動(PKO)に650人規模の独軍要員を派遣すると表明した。マリは20日に過激派による人質立てこもり事件が起きるなど治安が不安定。同国を拠点に周辺諸国で過激派掃討を進める仏軍の負担を軽減する狙いだ。


仏大統領、首謀者とニアミス? =事件直後の劇場付近―パリ同時テロ
時事通信 11月26日(木)8時17分配信

 【パリ時事】パリ同時テロが起きたバタクラン劇場付近で、事件直後、ほぼ同じ時間帯にオランド仏大統領と犯行の首謀者が近くに居合わせていた疑いが浮上し、警備関係者を青ざめさせている。
 フランスでは大きな事件が起きた直後、政権幹部が現場視察することがほぼ慣習となっているが、見直しを迫られる可能性もある。AFP通信が伝えた。
 事件の首謀者とされるアブデルハミド・アバウド容疑者(死亡)は、13日夜に飲食店襲撃を終えた後、同日午後10時28分から14日午前0時28分まで劇場周辺に滞在していたことが携帯電話の記録から分かっている。オランド大統領はこのわずか1時間後の14日午前1時半前には劇場近辺に到着していた。
 視察は治安部隊による突入作戦開始後、警備責任者らが安全だと判断し実施された。しかし、大統領は劇場から約300メートルの地点まで接近しており、アバウド容疑者がさらなる襲撃に踏み切れば巻き込まれていた危険性は排除できない。
 大統領府の元警備担当者、ジャンピエール・ディオ氏はAFPに「事件発生直後の現場を要人が訪れれば、襲撃対象となってもおかしくない」と警鐘を鳴らす。オランド大統領は1月の連続テロの際にも、襲撃された週刊紙本社を事件直後に視察している。


テロリストの生け捕りは考慮しない軍装備の「特殊警察」〈週刊新潮〉
デイリー新潮 11月26日(木)8時1分配信

 テロリストたちが立てこもったコンサート会場に突入したのは、フランス国家警察に所属する「BRI(探索出動班)」と、その指揮下にあった「RAID(特別介入部隊)」という2つの特殊部隊からなる80人の混成チームだった。軍隊並みの装備を誇る彼らの使命はあくまで敵の制圧で、生け捕りなどは考慮に入れない特殊な警察組織である。

 ***

 テロリストたちは、フランスのシリア爆撃の即刻中止を求めたとされる。RAID所属の交渉人は人質の解放を要求したが、両者の話し合いがまとまるはずはなかった。ジリジリと時は過ぎ、時計が午前0時を指すと、交渉人は彼らに20分の猶予を求めた。が、これは突入チームが態勢を整える時間を稼ぐ方便に過ぎなかった。そして――。

「大きな爆発音とともに、エントランスの扉が吹き飛んだのです。次の瞬間、小銃を手に待機していた全身黒ずくめの隊員たちが次々に突入して行きました」

 と、フランス人ジャーナリストは突入の瞬間を振り返る。ISの戦闘員3人がコンサート会場「バタクラン劇場」を占拠してから、2時間以上が経過していた。

「1階の制圧はRAID、2階はBRIが担当し、80人の隊員が突入していきました。建物内には至るところに遺体が横たわり、それを踏み越えながら犯人を捜索したそうです。一方、異変に気付いたISの3人は自動小銃で応戦したものの、1人が射殺されたと知るや、残る2人は身体に巻きつけた爆弾を起動させて次々に自爆したとのことでした」

 この間、わずか2分。が、発煙弾の煙が収まると、隊員たちは周囲の余りの凄惨さに言葉を失ったという。

「ステージ前のフロアには、数えきれない遺体が折り重なっており、おびただしい血で染まって足の踏み場もなかったそうです。血の海で足を滑らせないように、匍匐前進していた隊員もいたといいます」

 壁や天井には多くの弾痕が残されており、後に隊員の1人は言葉少なにこう振り返ったという。

「劇場の中はまさに戦場のようだった――」

 死者89人(16日現在)に加え、多数が負傷したのである。

■軍隊顔負け
 とにかく犯人の身柄確保にこだわる日本に比べ、フランスは殺害を厭わずあくまで冷徹に相手の制圧を最優先とする。在仏ジャーナリストによれば、

「BRIは組織犯罪対策中央局の所属で、普段はマフィアなどを対象とした犯罪捜査に従事しています。RAIDはFIPN(国家警察介入本部)の管轄で、彼らは捜査は行わない対テロ専門の武装集団です。11人が死亡した1972年のミュンヘン五輪事件など、70年代はフランス国内外で犯罪組織やイスラム原理主義者による事件が相次ぎました。これら2つの特殊部隊は、当時急速に武装化が進む犯罪組織に対抗すべく相次いで創設されました」

 そのため、警察予算は国防予算に匹敵するという。昨年度の国防費は約620億ドル(約7兆6200億円)とされるが、

「その約半分が、国家警察に割り振られているのです」

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏が解説する。

「彼らの装備は軍隊顔負けです。防弾性に優れたケブラー製のフェイスマスク付き防弾ヘルメットや、防弾チョッキなどで全身をガードし、武器はサブマシンガン、ショットガン、拳銃のほか、手榴弾も身につけています。頻繁にフランス軍と演習を行っており、彼らの戦闘能力は日本の警察とは比べようもありません」

 逮捕は二の次という、日本ではありえない警察だ。

「特集 7人のテロリストで死傷者480人 自爆の爆薬は『魔王の母』 パリを硝煙の都に変えた『イスラム国』に次がある!」より

※「週刊新潮」2015年11月26雪待月増大日号


オランド大統領はIS掃討に「陸上部隊」を決断するか?〈週刊新潮〉
デイリー新潮 11月26日(木)8時1分配信

「残念ながら」というフレーズを、フランス語では「エラース」と発音する。テロ事件の発生後、エリゼ宮に戻ったオランド大統領は怒りの感情を隠そうともせず、テレビカメラの前で国家の非常事態を宣言した。会見を注視した人々は、大統領の「エラース」に14年前にアルカイダへの攻撃に踏み切った、ブッシュ大統領を重ね合わせたという。

 ***

 オランド大統領が怒っている。481人が死傷した連続テロ事件からわずか3日の16日、フランス空軍にISが事実上の首都としているシリア北部のラッカへの空爆を指示したのだ。パリ在住のジャーナリストも興奮気味だ。

「参加したのは10機の戦闘爆撃機と2機の戦闘機でした。目標はISの指揮所や訓練所、弾薬庫といった施設など。20発の爆弾が投下され、ほとんどが命中したそうです。9月から加わったシリアへの空爆の中で最大規模の作戦でした」

 ここで思い起こすのは、2001年9月11日に起こった同時多発テロを受けた、米国政府の対応である。ブッシュ大統領は首謀者をアルカイダの指導者であるオサマ・ビン・ラディンと断定し、彼が潜伏していたアフガニスタンのタリバン政権に早期の引き渡しを求めた。ところが要求は受け入れられず、ついにアフガニスタンでの軍事作戦が始まったのだ。

 全国紙の外信部デスクが当時を振り返る。

「9・11の直後、ブッシュ大統領の支持率は史上最高の92%を記録しました。アメリカ全土が“テロ組織へ報復せよ”と一致団結したわけです」

 一方、フランスでは今年1月にも新聞社が襲われ12人が殺されたばかり。となればかつての米国のように、オランド大統領がISの指導者であるバグダディ師の引き渡しを求めたり、国民が報復を支持することはないのだろうか。

「大統領の支持率は昨年来、20%前後と低い水準で推移しています。16日の空爆後も数字に目立った変化はありません」(同)

 戦争大好きと揶揄されたブッシュ大統領さえ遠く及ばぬ支持率で、国民の団結など望むべくもないという。

■非対称戦争
 防衛大学校名誉教授の佐瀬昌盛氏も、フランスの陸上部隊投入には懐疑的だ。

「オランド大統領やバルス首相は“戦争”という言葉を使いましたが、ISによるテロは“非対称戦争”と呼ばれ、対策は非常に難しい。IS側は死を覚悟して攻めて来ますが、フランス側は人命保護が最優先です。価値観の天秤が釣り合っておらず、正面からぶつかり合えば、どちらが不利かは明らかでしょう」

 加えて、今のフランスにはシリア難民を装ったテロリストがEU加盟国経由で入国している可能性がある。空爆に加えて陸上戦力の投入となれば、彼らの動きが活発化してテロ攻撃がエスカレートすることが予想されるのだ。

 が、軍事ジャーナリストの潮匡人氏はこんな意見だ。

「フランスの外人部隊には精鋭で組織された第2外人落下傘連隊が、正規軍にも第1海兵歩兵落下傘連隊という特殊部隊があります。彼らをISの支配地域に潜入させ、指導者のバグダディ師を暗殺するという、一発逆転の打開策に打って出ることは考えられます」

 が、こうした極秘作戦は両刃の剣という。

「作戦が失敗して、隊員がISに拘束された場合は最悪です。ISは空爆の即時中止や有志連合からの離脱、或いは勾留中のIS兵士の解放など、無理難題を突き付けてくるでしょう」

 引くも進むも地獄――。

「特集 7人のテロリストで死傷者480人 自爆の爆薬は『魔王の母』 パリを硝煙の都に変えた『イスラム国』に次がある!」より

※「週刊新潮」2015年11月26雪待月増大日号


「大連合」一層困難に オランド氏尽力も露への疑念強く
産経新聞 11月26日(木)7時55分配信

 【ベルリン=宮下日出男】トルコのロシア軍機撃墜で、フランスが「イスラム国」壊滅に向けて目指す米仏露の「大連合」構想が一段と難しくなる可能性が出てきた。オランド仏大統領は26日の仏露首脳会談を通じて実現に尽力する考えだが、撃墜により露軍のシリア空爆に対する欧米の疑念が強まったためだ。

 「一段の軍事的連携は可能だと信じる」。オランド氏は24日、オバマ米大統領との共同記者会見で、ロシアとの連携を引き続き目指す意向を強調。そのためモスクワでのプーチン露大統領との会談では、攻撃をイスラム国に集中するよう求める考えを示した。

 オランド氏はパリ同時多発テロを受け、イスラム国掃討のため、ロシアも含めた「強力で唯一の連合」を提唱し、シャトル外交を開始。米国ではロシアとの協力に懐疑的なオバマ氏を説得する狙いだった。だが、オバマ氏は「ロシアがイスラム国空爆に力を注いでいれば、こうした衝突の可能性は低い」との見解を指摘。撃墜は露軍の空爆の最大の目的がアサド政権支援だとの不信を強める結果となった。

 ロシアと「連合」には米国のみならず、アサド政権と対立するアラブ諸国やトルコの理解も重要。だが、フランスが露側に配慮してアサド大統領の処遇問題を一時棚上げしても、トルコが撃墜を受け、露側との協力に抵抗を強める可能性は高く、オランド氏の外交努力が「軌道を外れた」とも仏メディアは伝えた。

 仏国防省は24日、シリア沖の空母シャルル・ドゴールから出撃した戦闘機がイラクへの2日連続の空爆を米軍機と行ったと発表し、米仏の緊密な協力を誇示した。だが、オランド氏は露軍とすでに連携しているとも明らかにし、フランスは今後、米露間で微妙な立場に置かれる可能性がある。


露軍機撃墜 ロシア、関係修復に狂い 「領空侵犯ない」…対抗措置確実
産経新聞 11月26日(木)7時55分配信

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撃墜されたロシア軍機の航路(写真:産経新聞)

 【モスクワ=遠藤良介】ロシア軍機がトルコ軍に撃墜された事件は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」打倒の大義で米欧と手を組み、国際的孤立から脱却することを狙ってきたプーチン露政権への打撃となった。ロシアはトルコへの軍事的報復は行わないとみられるが、この一件がプーチン政権の逆鱗(げきりん)に触れたのは確かだ。この問題が両国の経済関係に影響を及ぼし、ロシアが一層の閉塞(へいそく)状況に陥る可能性が高まっている。

 トルコとロシアの言い分は領空侵犯の有無をめぐって食い違っている。

 ただ、事件の土壌となったのは、最近のロシアがシリア反体制派の一角を成すトルクメン人の地域に空爆を加え、その後ろ盾であるトルコが猛反発していたことだ。

 トルコは反体制派支援を通じてシリアのアサド政権打倒を狙い、ロシアはイスラム国掃討を掲げつつ、同政権を援護する-。シリア内戦にこんな構図が生まれ、ロシアがトルコの利害を軽視したことが結果として衝突を招いた。

 パリ同時多発テロで国際協調機運が高まったのに乗じ、プーチン政権は「対イスラム国」を旗印に米欧との関係を修復する戦略を描いてきた。ロシアは撃墜の影響を最小限にとどめたいとみられ、ペスコフ露大統領報道官は軍事的報復の可能性を否定している。

 ただ、プーチン大統領は撃墜について、「テロの共犯者による背後からの攻撃」と厳しく批判しており、何らかの対抗措置は確実だ。メドベージェフ首相はトルコとの共同経済プロジェクトを見直す可能性に言及した。トルコはロシアにとって第5位の貿易相手国。ロシアはトルコへの天然ガス・パイプライン敷設で欧州への経済依存度を下げる思惑だったが、実現は遠のくことになった。


シリア空爆を延長=仏議会
時事通信 11月26日(木)6時50分配信

 【パリ時事】フランス上下両院は25日、9月に開始したシリアでの過激派組織「イスラム国」拠点に対する空爆作戦の延長を認める議案の採決をそれぞれ行い、いずれも賛成多数で可決、成立した。
 仏憲法は、国外での軍事作戦を4カ月以上継続する場合には議会の承認を求めている。
 フランス軍は2014年9月にイラクで空爆を開始し、今年9月になって対象をシリアに拡大した。バルス首相は議会で、パリ同時テロの犯行声明を出した「イスラム国」について「壊滅する以外に選択肢はない」と強調、昨年9月以降の仏軍の空爆は計300回以上に達したと説明した。


パリ同時テロを招いた『移民政策』の失敗
SBクリエイティブOnline 2015/11/26 06:40 茂木 誠

テロ事件の容疑者は移民の2世
 2015年11月。13日の金曜日のパリを襲った史上最悪の同時テロは、ロックバンドのコンサート会場だった劇場と近くのレストランで一般市民130人以上をカラシニコフ銃で射殺し、90人以上に重傷を負わせました。観戦中のオランド大統領を狙ったサッカースタジアムでの爆弾テロは、警備員に入場を阻止されたため、犯人が場外で自爆しましたが、もしこれが実行されていれば、死者は200人を超えていたはずです。

 シリアを拠点とする過激派組織IS(イスラム国)が「フランス軍の空爆に対する報復」と犯行声明を出しましたが、犯行グループはシリア人ではなく、ベルギー生まれの移民の若者たちでした。ベルギー南部はフランス語圏で、EU加盟国フランスとの国境はフリーパスです。

 射殺された主犯格のアバウド容疑者(27)はモロッコ系移民の2世で、2013年にシリアへ渡り、ISの戦闘員になっています。ISの主力はこのような傭兵たちで、フランスからは700名以上が渡航し、傭兵になっています。

 1月7日、預言者ムハンマドの風刺画をたびたび掲載してきたパリの新聞社シャルリー・エブド紙が襲われ、編集者ら12人が射殺されました。この事件の犯人もアルジェリア系移民2世の兄弟でした。

 半世紀以上にわたる欧州諸国の移民政策の失敗が、今回の惨劇をもたらしたというべきでしょう。

ヨーロッパの移民問題はなぜ深刻化したのか?
 そもそもなぜ移民が発生するのでしょうか。

「アラブの春」以降、混乱が続くアラブ諸国では、庶民の生活は困窮し、飯を食えない人が急増しました。

 食えない人が手っ取り早く稼ぐ方法は、ヨーロッパ諸国への「出稼ぎ」です。イギ リスの植民地だったエジプト人は英語が話せます。アルジェリア人やチュニジア人はフランス語ができます。言葉の壁がないうえに、地理的にも近いので、移民としてどんどん船でヨーロッパに渡っていくのです。

 さらには、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国からも、北アフリカ経由でヨーロッパへ不法移民が押し寄せています。密航船は、モロッコからスペインに渡るルートと、チュニジアからイタリアに渡るルートがあり、決死の覚悟で地中海を渡ってきます。

 北アフリカからの移民は、1960年代からすでに活発でした。当時はまだヨーロッパの景気が良かったので、各国は合法的に移民労働者を受け入れ、仕事もいっぱいありました。パリやローマの郊外に、移民向けの集合住宅が大量につくられました。

 現在でもローマに行くと、「ここは本当にローマ?」と疑うほど人種のるつぼです。 少し裏道に入ると、1ブロック全体が黒人という地域もあります。フランスも人口の約1割がイスラム教徒ですし、2009年に、イギリスで生まれた男の子の名前でいちばん多かったのが「ムハンマド」でした。イスラム教徒の出生率が高いからです。

 石油危機(1973年)以降、ヨーロッパは慢性的な不景気に陥り、仕事が減っていきました。にもかかわらず、出稼ぎでやってきた移民たちはそのまま居座り、家族を呼び寄せるケースがほとんど。大きな社会問題となっていったのです。

 パリ近郊の移民団地では、失業者の急増により極度に治安が悪化したうえ、暴動も相次ぎます。この結果、もともと住んでいたフランス人が逃げてしまうという事態に陥りました。こうした現象がヨーロッパの各地で発生したのです。

広がる移民排斥と貧富の格差
 シリア内戦の激化にともない、ヨーロッパへの移民ルートがもう一本開かれました。シリア・トルコ・ギリシア・バルカン半島・東欧・ドイツ、というルートです。2015年以降、数十万人のシリア難民が押し寄せるようになり、通路となったハンガリー、セルビアなど東欧各国では、社会不安が広がっています。

 ISやアサド政権から迫害され、あるいは内戦で住む場所をなくした政治難民だけでなく、ドイツでの豊かな暮らしを求める経済難民(移民労働者)、ISのテロリストも混ざっていて選別ができない状態です。はじめは難民を歓迎するといっていたドイツのメルケル首相も、国境線の封鎖、パスポートチェックの復活に踏み切りました。東欧各国は国境にフェンスを建設して、移民の流入をストップしています。
 ただでさえヨーロッパは景気が悪いのに、次々と移民がやってくる。そうなると、いちばん困るのは、ヨーロッパの若者です。働きたくても移民に職を奪われて、働けない。貧富の差もどんどん広がっていく。

 こうした世論を背景に、各国で移民排斥を唱える右翼政党が躍進し、「移民を取り締まれ」という声が大きくなっていきました。フランスでは、国民戦線という移民排斥を唱える政党が大躍進し、ジャック・ルペン党首がフランス大統領選挙で2位になったこともあります。

 仕事もない、白人からは排斥される。自分の価値を見いだせない移民の若者たちが、ネットを通じてIS(イスラム国)の宣伝ビデオを見たとき、そこに「自分の居場所」を感じてしまう。ヨーロッパからISの戦闘員として参加する若者があとを絶たない背景には、移民問題がもたらしたヨーロッパ社会の閉塞感や貧富の差があるのです。
北アフリカにユーロが広がらないのはなぜか?
「ユーロは東に拡大したのに、どうして南には広がらないのか?」

 不思議に思いませんか。
 北アフリカのモロッコやアルジェリア、チュニジアといった国々はフランスの植民地だったわけですし、地理的にも近い。言葉だって通じる。北アフリカからの移民もたくさんヨーロッパに住んでいます。

 しかし、北アフリカにユーロが導入されることは絶対にありえません。
 なぜなら、フランスとアルジェリアでは文明や価値観がまったく違ううえに、経済格差が大きすぎるからです。

 日中関係を独仏関係にたとえる人がいます。フランスとドイツの歴史を振り返れば、何度も戦争をしているのに、今ではともにEUの一員として、仲良くできているように見える。同じように日本と中国も仲良くできるはずだという理屈です。鳩山由紀夫元首相のように、日韓中は一緒になって東アジア共同体を構築すべきだと主張する人もいます。

 しかし、これらの主張は間違いだと、私は思います。
 フランスとドイツの関係がうまくいっているのは、人口規模がほとんど同じで、経済格差がさほどないからです。中世にはフランク王国として同じ国だった記憶があって、宗教も同じキリスト教なので価値観も似ています。日本と中国は価値観を共有できるでしょうか。
 共通するのは漢字を使っていることだけで、文明も思想も異なります。古代から連綿と続く天皇家を宗教的権威として政教分離を確立した日本。野心家が武力によって王朝を建てては、前王朝を粛清する歴史を繰り返してきた中国。

 儒教や仏教は、古代中国から日本人が学んだ思想ですが、いまの中国に儒教や仏教の影響は残っていません。共産党政権下であらゆる宗教が弾圧され、特に1960年代の文化大革命によって伝統文化が破壊しつくされたからです。今の中国人には神も仏もなく、ただ個人主義と物欲があるだけです。

 また、中国が急激に経済発展してきたといっても、一人当たりの豊かさでは、日本と中国ではいまだに大きな格差があります。仮に、日本と中国が通貨統合し、パスポートなしで行き来できるようになったらどうなるでしょうか。
 上海の大卒の初任給は、約6万円。地方の中卒だと月給が3000円の世界です。

 そんな中国人がフリーパスで東京にやってくれば、3~4時間のアルバイトで彼らの1カ月分の給料を稼ぐことができるのです。
 多くの中国人が日本への出稼ぎを望むでしょう。仮に中国人の10%が日本に来たとしても、1億4000万人です。日本の人口を軽く超えてしまいますよね。

 そうなれば、日本人はたちまち職を失う結果となります。当然、中国系移民は参政権を要求するでしょうから、将来は中国系の日本国首相が生まれることになります。日中関係をヨーロッパでたとえれば、フランスとアルジェリアです。いくら近い国だといっても、文明も宗教も価値観もすべてが違います。経済格差も大きすぎます。

 経済統合や通貨統合の絶対条件は、同じ価値観をもっていること。そして、経済格差があまりないことです。これを無視すれば大混乱が起こることは、ヨーロッパの移民問題ですでに証明済みです。今でさえ大勢の不法移民が入ってきているのに、欧州と北アフリカを経済統合して国境という壁をなくしたら、それこそ収拾がつかなくなるでしょう。ヨーロッパの人たちは、地中海という防波堤をなんとしても死守したいと考えているのです。

 労働人口減少の解決策として日本でも取りざたされている「移民受け入れ」。机上の空論ではなく、ヨーロッパ諸国の苦い歴史に学ぶことで、冷静に未来を見通すことができると思います。


オランド仏大統領:「イスラム国」掃討でドイツのさらなる関与求める
Bloomberg 11月26日(木)6時32分配信

    (ブルームバーグ):フランスのオランド大統領は25日、パリでメルケル独首相と会談し、軍事活動を自制しているドイツが過激派組織「イスラム国」の掃討にさらに踏み込んで関与するよう求めた。

メルケル首相のパリ訪問は13日の同時多発テロ後では初めて。オランド大統領はメルケル首相との記者会見で、ドイツ政府がマリへの軍派遣を提案したことを歓迎した上で、「シリアとイラクでの『イスラム国』との戦いでドイツが一層関与できることを望む」と発言。「これについて首相がどう述べるかよく耳を傾けたい。ドイツには外国での介入に関するルールがあることを理解しており、ドイツがさらに踏み込むことができれば、テロとの戦いで極めて良いシグナルとなる」と語った。

メルケル首相は、マリへの軍派遣以外のことを検討するようオランド大統領に要請されれば、「それを検討するのがわれわれの務めだ。われわれは極めて迅速に対応する」と述べた。どのような支援を提供できるかについては具体的に言及しなかった。

原題:Hollande Seeks to Recruit Merkel in Fight Against
Islamic State(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:パリ Mark Deen ;ベルリン Patrick Donahue ,markdeen@bloomberg.net,pdonahue1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:
Alan Crawford ,acrawford6@bloomberg.net


「米国は安全」=感謝祭控えテロ情報なし―オバマ大統領
時事通信 11月26日(木)6時26分配信

 【ワシントン時事】オバマ米大統領は25日、国民的祝日である感謝祭を翌日に控え、「国土の安全を維持するためあらゆる措置を講じている」と強調した。
 パリ同時テロを受け米欧を狙った攻撃への懸念が高まっているが、大統領は「米国を狙った企てを示唆する具体的で信頼するに足る情報は把握していない」と述べ、安心して過ごすよう国民に促した。


「イスラム国」の挑む21世紀の宗教戦争
JBpress 11月26日(木)6時15分配信

  11月13日にパリで起こった同時多発テロの犠牲者は130人に達した。今回の事件の首謀者は第2弾のテロを実行する直前に特殊部隊に射殺されたとみられるが、まだ1人がベルギーに逃走中とされ、「イスラム国(IS)」の脅威は終わっていない。

  これについて「フランスがイスラムを排除したのが原因だ」などという人々がいるが、これは誤解だ。世界で起こったテロの死者の総数は、2013年で1万6245人。その80%は中東で出ており、今回の事件はヨーロッパで起こったから目立ったにすぎない。イスラム原理主義によるグローバル・ジハードは、世界中で起こっているのだ。

■ ロシア革命から始まった「非対称戦争」

  このような大規模なテロは、新しい現象ではない。レーニンがロシア革命を行うとき、その参考にしたのは、クラウゼヴィッツの『戦争論』だった。レーニンはその膨大な読書ノートをつけ、来たるべき革命が近代国家を別の国家で置き換えるのではなく、主権国家を破壊する戦いであることを学んだのだ。

  レーニンにとってロシア革命とは、主権国家という枠組を破壊するために「非正規の軍」としての赤軍が戦う非対称戦争だった。それは既存の戦争のルールを無視して農民や労働者を組織したゲリラ戦であり、毛沢東もそれを継承した。

  社会主義は終わったが、ゲリラ戦やテロは終わらない。世界各地で、反政府ゲリラの脅威は拡大している。中でもイスラム原理主義のテロは、ヨーロッパの植民地支配で分断されたアラブを統一する正義の戦いだから、妥協も停戦もない。イスラム学者の中田考氏は、彼らの思想をこう代弁している。

国境の廃止とイスラーム秩序の統合による大地の解放はイスラームの使命にとって必要不可欠な本質なのである。[中略] ごく限られた先進国が地上の富を享受し、大多数の人々が「先進国」から切り離された「発展途上国」の中で生活することを強いられている「領域国民国家」システムが、不正であることは疑う余地がない。
(『カリフ制再興』183~184ページ)
 
  今やイスラム教徒は19億人とカトリックを超え、2030年代にはキリスト教全体を超えると予想される。イスラムの戒律に従い、アラーのために死ねば天国に行けるという教義は単純で、字の読めない民衆にも分かる。それは途上国において救済を低コストで実現するのだ。

■ イスラムに欠けている「寛容」の思想

  こうした教義も、新しいものではない。それは500年ぐらい前にルターやカルヴァンの主張した(そして今も一部のキリスト教徒が主張している)キリスト教原理主義とよく似ている。

  彼らは中世の領邦で分断されていた国家をこの原理主義で統一しようとしたが、それはカトリック教徒との戦争をもたらし、その後300年以上にわたってヨーロッパでは血で血を洗う宗教戦争が続いた。その犠牲者は、イスラム原理主義の比ではない。

  いま全世界で起こっているのは21世紀の宗教戦争であり、これを終わらせることは困難だ。キリスト教の歴史上も多くの非対称戦争が起こったが、ほとんどのゲリラ(異端派)はカトリック教会が全滅させて終わった。

  しかしカトリックとプロテスタントのように勢力が均衡していると、戦争はいつまでも終わらない。ヨーロッパでは、ウェストファリア条約やウィーン会議など、何度も停戦が試みられたが失敗した。

  それを調停するための妥協として、エラスムスに始まり、ジョン・ロックが実現したのが自由主義である。それは「何でもできる」という原理ではなく、異なる宗派の信徒を殺さないという宗教的寛容の原理なのだ。

  しかしイスラム原理主義には、ルターはいるがエラスムスがいない、とEconomist誌は指摘した。かつてルターがカトリック教会を倒してヨーロッパを統一しようとしたとき、エラスムスは「汝の敵を愛せ」というイエスの言葉を残して、ルターと訣別した。イスラム世界にエラスムスやロックが出てくるには、まだ時間がかかりそうだ。

■ 全世界を統一しようとするジハード

  かつてルターやカルヴァンがヨーロッパを統一しようとしたように、いまイスラム原理主義者は全世界を統一するジハード(聖戦)を開始している。それを「アラブ・ナショナリズム」と呼ぶのは誤りで、むしろそれは西洋的なナショナリズムを否定する超グローバリズムなのだ。

  資本と商品が移動するのに人は国境を超えて移動できない資本主義は、不十分なグローバリズムにすぎない。それは「労働者には祖国がない」と主張し、プロレタリアートが国境を超えて連帯するインターナショナルと似ており、「神の独裁」を求める点でマルクス・レーニン主義と似ている。

  社会主義は終わったが、イスラム原理主義は終わらない。それは社会主義に代わる新たなゲリラとして、近代国家を破壊する世界革命だ。ゲリラもテロリストも主権国家のような国境をもたないから、「戦争に勝つ」という概念がない。「イスラム国」のテロは、かつての共産主義ほど組織的ではないが、主権国家に対する非対称戦争という点は共通している。

  しかしロシア革命がレーニンやトロツキーなどの知的なリーダーに指導され、世界の多くの知識人の共感を得るマルクス主義の高度な理論をもっていたのに対して、イスラム原理主義の「アナーキズム」が多くのイスラム教徒の支持を得るとは思えない。レーニンや毛沢東が政権を掌握できたのは世界大戦の混乱の中だったが、今後そういう世界戦争が起こるとは考えられない。

  ただグローバル・ジハードがトロツキーの世界革命と似ているのは、それが(主観的には)すべての人類を救済する永久革命であり、世界革命が成功するか全滅するまで終わらないということだ。

  もし20億人以上のイスラム教徒がこの戦争に参加したら、近世ヨーロッパのような大規模な宗教戦争が起こるだろうが、今の「イスラム国」はキリスト教の異端派に近い。歴史の教訓に従うなら、彼らを説得して降伏させることは不可能で、全滅させるまで戦争は終わらないだろう。

  かつての宗教戦争のように彼らをすべて殺す必要はないが、その組織を徹底的に破壊して戦闘能力を奪う必要がある。そのためには中途半端に「話し合い」や「和解」を求めるのではなく、欧米諸国やロシアや日本が結束して彼らと戦うしかない。


難民危険説は「作り話」=ホームページで理解求める―米国務省
時事通信 11月26日(木)6時12分配信

 【ワシントン時事】米国務省は25日、シリア難民の受け入れは安全だと訴える「作り話と事実」と題したコーナーをホームページに開設した。
 パリ同時テロを受けて議会などに慎重論が広がる中、国民の不安を解消し、オバマ政権が進める年間1万人のシリア難民受け入れに理解を求める狙いがある。
 国務省はこの中で「シリア難民は全員危険だ」などとする五つのうわさを取り上げ、いずれも「作り話」と強調。「2010年10月以降、2234人のシリア難民の入国を認めてきたが、テロ容疑で逮捕された難民は一人もいない」「難民はあらゆる旅行者の中で最も広範な審査を課されている」などと「事実」を説明している。


対「イスラム国」共闘=難民受け入れ継続一致―独仏
時事通信 11月26日(木)6時3分配信

 【パリ時事】フランスのオランド大統領とドイツのメルケル首相は25日、パリのエリゼ宮(仏大統領府)で共同記者会見を行い、パリ同時テロの犯行声明を出した過激派組織「イスラム国」に対し、共同して対決していく方針を表明した。
 「イスラム国」による迫害を逃れて中東から欧州に殺到する難民についても、受け入れを継続する考えで一致した。
 オランド大統領は会見で、「イスラム国」への攻撃について「ドイツが今以上に関与することを希望する」と要請。メルケル首相も「ドイツにはさらに責任を引き受ける余地がある。早急に対応したい」と述べた。
 独政府は25日、アフリカと中東の両方でイスラム過激派との戦いを迫られている仏軍の負担を軽減するため、アフリカ西部マリに独軍650人を派遣する計画を発表した。オランド大統領は会見で「感謝する」と表明した。
 難民問題に関しては、オランド大統領が「難民とテロリストを混同してはならない」と語り、同時テロ後も難民受け入れは中止すべきではないと強調。メルケル首相も「人道的な解決策が必要だ」と応じ、受け入れ継続と並行して国境管理強化などの対策を進める必要があると指摘した。

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